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とも さんのレビュー一覧

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レビュー数14

全14件 1~14 1/1ページ

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No.14:
(6pt)

真夜中のマーチの感想

ここ最近、当たりの作品を手にしていない。

そんな本に当たれば、ほんとうに寝るのも忘れ読み続けてしまう。

逆に 途中で気乗りのしない作品にあたってしまうと、ついつい 途中で他の本に手が伸びてしまい、進まない頁が更に停滞してしまう。

そんな訳で 現在6冊を回し読み中、ということは6冊すべて大したことがない、という悲しい現実ではあるのだが (;´д`)トホホ…

この作品は、コンゲーム的要素を取り入れたクライムノベル。

一言で言えば、詐欺まがいの方法で集めた10億円を巡り 3組の凌ぎ合いをするストーリー。

とはいえ、この手の作品の常道で ポップには仕上げてあり、少々の犯罪など吹き飛んでしまう爽快感はある。

が、いいところといえばそれくらいで、プロット、スピード感、人物描写、リアリティ、全てにおいて 中途半端で浅すぎる。

特に、思いのほか 迫力のないスピード感、いまいちキャラクターがありきたりで中途半端な登場人物、コミカルチックにしたかったのだろうがそれも弱いし、完全犯罪といいながら 手抜きの計画は作家の怠慢か能力か(;´д`)トホホ…

これが例えば、道尾秀介「カラスの親指」なんかだと、徹底的にストーリー構築しキッチリと笑いを取っているし、伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」「グラスホッパー」なんかだと、圧倒的なスピード感と悪役が憎々しいほどにワルであるので 主人公との対比でキャラクターが引き立ち 作品にのめり込んでしまう。

もし、これらの作品を読む前に この作品を手に取っていれば、もう少し違った感想になったのかもしれないが。

とはいえ、病人を病院を徹底的にパロディー化した かの名作「イン・ザ・プール」や、圧倒的なキャラクターを描ききったクライムノベル「サウスバウンド」と同じ作者かと思うと、相当に残念な作品。  了

真夜中のマーチ (集英社文庫)
奥田英朗真夜中のマーチ についてのレビュー
No.13: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

青の炎の感想

初めてこの作家の本を読んだのは『黒い家』。
これには衝撃作だった。
ただただ、怖かった。

それ以来、この作品は 私の中では、ホーラーとしてはダントツに怖い作品のトップに君臨し続けている。

そうしてそれ以降、この作家の作品には 折に触れ 手にとってきているのだが、これといった作品に出会うことはなく、実は万を持して この作品を手に取った。

結果的には、残念ながらこの作家とは相性がよくないのだろうか、全く心を打たない。

内容としては、母の別れた義父が、家に押し入り住み込み始めることから、この作品は始まる。

義父は危険人物である。

だから消さなければ、母と妹は守れない。

真面目で少しばかり頭はよい優等生の少年が、狭い視野、少ない知識で可能な限り考え抜いた殺人計画。

それが成功に終わるのか失敗に期すのか、そんなストーリーではある。

犯罪に手を染めるまでの、その後の精神状態についは、実にリアリティーがある。

とはいえ、おそらく主人公が高校生ということで意図的に考慮されてなのではあろうが、その分内容が貧相で視野が狭く。。。

結果的には、私にとっては 薄っぺらなないように感じてしまったのも事実。

殺人というものはおそらく、殆どの人が経験しない世界である。

その1線を越えた先にあるものがどのようなものなのか、勝手な想像は出来ても実際のところは分からないし。

が、しかし その中でも 「タガが外れ」易くなることは、これは人間の弱さとして想定できる間違いない事ではあろう。

それが故に、人間社会には 法律があり、道徳があり、倫理があり、常識や慣習があり、規制されるのである。

それが時には、煩わしくもあり縛られることに対する息苦しさもあるが、換言すれば 外圧からの抑制になっていることも事実なのである。

少年から青年に移行する時代の、特に男子諸君には、殊のほか この制約が煩わしく感じらせる時期があり、無意味に抵抗/反抗してしまう経験をするものである。

そんな 逆にバランスの悪い時代を生きる青少年に対して、意図的に緩和する少年法は必要なのだろか、小賢しいガキどもにとっては逆に犯罪を助長させるきっかけにはならないだろうか。

そんなことを感じながら、自分の青春時代を思い出しながら、犯罪に手を染めるかどうかは、紙一重のことなんだろうと。

よくぞ前科を受けることなく生きてこられたことにただただ感謝するばかりでありながら、だからこそ こういった特に少年の悲しい犯罪小説に対しては厳しい評価になったかもしれない。

評価は低いが優秀な作品ではありますので、一度手に。  了

青の炎 (角川文庫)
貴志祐介青の炎 についてのレビュー
No.12:
(6pt)

中国毒の感想

時事や登場人物等が中途半端に実在しており、ノンフィクションとは思えないリアル感満載は、当作家 いつもながらの作風。

当作品は、鳩山政権下で実際にあった韓国哨戒艦沈没事件や宮崎の口蹄疫、沖縄基地移転、サリン事件、警察庁長官狙撃事件なんかと絡ませて、このヤコブ病激増の真実を突き詰めていくというもの。

冒頭 ニューギニアで実際にあった笑い死病、その後 日本で起こる一見なんの関わりもない殺人事件が、どうやらクロイツフェルト・ヤコブ病と関係があるのではないかということを、曰くあるジャーナリストや警官、病院関係者が 関係者がどんどんと亡くなることから なんとなく気づき始め、調査していく中でつながっていき、真相を探っていくうちに、驚くべき真実が浮かび上がっていく。

とはいえ、中国が毒物の入った食品を輸出し続けていることは事実で、既に中国産がとんでもないものと忌避されてはいる。

とはいえ、分かりながらも市場に出回る毒食品、それをする中国はもちろん悪であるのは間違いないが、輸入品に対する国や納入業者の管理や意識の体制の不十分さもあるのではないだろうか。

とくに政府側としては、政治のカードとして押さえつけられ、軍事力でビビらされている現実。

わかってはいるものの、今更ながらに対外戦略(それが戦略と呼べるものなのか迎合なのかは別に)と称して必死に隠す政府や官僚の弱腰外交にも辟易とする。

人命に関わる食品である。

購入者側責任といっても、加工前の食品には産地明示義務が出来たが、加工品には未だに明示義務ない。

とはいえ、数年前 日本で大ブームになった、産地偽装はなにも中国だけではない所をみると、日本人のモラルも相当に低下してはいるのだが。。。

全てが、金や利権に関わるからこそ難しいのだが、もう少しなんとかしろよ!と言いたくなる、ある意味 結論の出ない後味の悪いテーマに対する追い打ち作品となっていたため、評価は低めとする。

とはいえ、単に読み物としては十分にスピード感も迫力も真実味もあり楽しめるので、そこは読み手に委ねられるのであろうが。  了

中国毒
柴田哲孝中国毒 についてのレビュー
No.11:
(6pt)

謀略の首 織田信長推理帳の感想

探偵役を信長に据え、時代背景は歴史的には少々マイナー気味な第一次木津川沖海戦で大敗北を喫した以降、鉄甲船を製造する間の出来事となっている。

実は日本の歴史でも、思いのほか海戦は数少なく、源平の盛衰を決した屋島・壇ノ浦の戦い、この信長対石山寺本願寺での勝敗を決した今回の第一次、第二次木津川沖海戦、あとは第二次世界大戦で日本の敗北を決定づけたマリアナ・レイテ沖海戦くらいしかなく、ただしこれら海戦はその後の歴史に大きく影響する戦いであったことは間違いない。

文頭の第一次で壊滅的敗北を喫した信長側九鬼水軍が、数年後には圧倒的逆転勝利を修たのに鉄甲船は不可欠であった。

この鉄甲船、単に船に鉄板を張ったというイメージくらいは浸透しているかもしれないが、日本海軍的には革新的な船なのである。

もちろん、名前は有名かも知れないものの 単に船の周りに鉄板を貼っただけではない。サイズは20mを越える当時の最大サイズなれど、その上に3層の天守閣、3門の大砲を備え、ぐるりと鉄砲用の穴が空いている。

構造的にも、それまでの箱型(ボートの様なもの)の不安定な形状から、ヨーロッパで開発された最新式竜骨(船首から船尾まで一本の軸を通した様が龍の背骨の様に見えることからそう呼ぶのだが)式で、更に船底に穴があいても沈没しないよう、細かな間仕切りがされたというから、その最新の技術力を取り入れる信長の柔軟性には感服するものがある。

まぁ、そんなこんなでここからは歴史的事実かどうかはわからないが、本願寺側の毛利家のブレーンである小早川隆景(毛利元就の三男で、秀吉5大老の一人)、信長がこんな船を作っていると知れば、いてもたってもいられなかったであろう。

そんな訳で、鉄甲船を製造しようとすsる信長軍団とそれを邪魔する毛利の裏で行われた高いをミステリー調にしたのが当作品となっている。

ミステリー的には、最初の被害者 船大工の棟梁を殺したのは誰か?なのだが、登場人物が信長はじめ、蘭丸、滝川一益、九鬼嘉隆、本願寺顕如、下妻頼廉、小早川隆景等々と、実はオールスターとは言い難い二軍選手感はあるものの、逆にそれが歴史好き玄人はだしにはたまらないのではないだろうか。

ミステリー的には作家得意の暗号が用いられるが、残念ながらこれは大したひねりもなく、評価を下げはしたものの、歴史的側面では そこは作家の十八番、キッチリと押さえるところは押さえられており、暇とエンターテインメント、あと少々の知的好奇心があれば、肩肘張らずに楽しめる一冊であることは間違いない。  了

謀略の首―織田信長推理帳 (講談社文庫)
井沢元彦謀略の首 織田信長推理帳 についてのレビュー
No.10: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

卒業―雪月花殺人ゲームの感想

加賀恭一郎シリーズの記念する第一弾。

時は加賀の大学4年の卒業までの1年を描いた作品。

ストーリーは、加賀の友人が理由もなく原因(自殺か他殺か)すら分からず突然亡くなるところからスタートする。

そうして第二の殺人なのか自殺なのかが起こり・・・。

このころよりストーリーテラーのきざしは見えるものの、全体的に古臭く文庫では副題「雪月花殺人ゲーム」が示すとおり、少々この面白くない謎解きのしつこさに辟易されられるところは、まだまだ駆け出し作家の思い入れが見て取れる。

従い、読者はおいて行かれた気分満載で、まだまだ多分に作家としては洗練されておらず青臭い作品。

まあ、面白くないわけではない程度か。

とはいえ、最後はきっちり締めるところなどは、現在の東野に通じる記念すべき作品であることは、間違いない。 了

卒業 (講談社文庫)
東野圭吾卒業―雪月花殺人ゲーム についてのレビュー
No.9:
(6pt)

RYUの感想


▼以下、ネタバレ感想
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RYU (徳間文庫)
柴田哲孝RYU についてのレビュー
No.8:
(6pt)

銀座ブルースの感想

終戦後から数年間にあった未解決事件を解明していく。

GHQ占領下の時代とあって、偏った犯人にはなっているものの、あたかも本当に答えのように思えてきて、読み物として十分に楽しめる。

が、この時代に生まれてなくてつくづく良かったと思う。
銀座ブルース (双葉文庫)
柴田哲孝銀座ブルース についてのレビュー
No.7:
(6pt)

太陽の塔の感想

この作家の作品は、以前 『夜は短し~』と『有頂天家族』以来の久しぶりとなる。

その時には、巷で絶賛の『夜~』は理解が出来ず 続いて『有頂天~』では全く合わずに途中で断念したことから、この作家の作品はもう読むまいと思っていた。

今回なぜにこの森見作品に手を出したかというと、単に表題が気になったから。

個人的に、岡本太郎は 大のお気に入りなのである。

もともと京都の町屋で生まれ育ち、少なからず作品の主人公同様 「塔」には親近感はあった。子供の頃の太郎のイメージは、「芸術は爆発だ~」と喚いている変わったおっさんくらいしかなかったのだが、その後 抽象というものに対する知識がわずかながら増えて 彼の作品、特に「塔」に接した時に、ピカソに通じる 彼の天才性に衝撃を受けた記憶がある。

そんなこんなで、ほぼ表題だけで 久しぶりにこの作品に手を出した訳である。

読み始めて感じたのは、以前に比べ比較的入り込みやすかった。

内容としてはなんの事もない、青年がモテず振られた理由を、うまく回らない人生を自己弁護し現実逃避するために頭の中で「妄想」を繰り返す。

ただ その「妄想」レベルが、頻度もレベルも半端なく、言えばその妄想活劇だけで最後まで突っ切つのである。

なので、ある意味ついて行くには疲れる。

テンポはあるのの、非常に読みづらく 遅々として進まない。

しかし、昔を思い出して、そうそうこんな事を考えていたという記憶とともに若さに圧倒されながら、無意味に最後まで突っ切るパワーは、この年代にしか書けないものかと。

何とはなしに、万城目学のデビュー作「鴨川ホルモー」を思い出し、彼も森見とほぼおんじような経歴かと、外からやって来て京都で学生として過ごすうちに、京都という伏魔殿に取り込まれしまったということか。

ハードカバーの帯に遠藤周作の名を見て、なるほど狐狸庵先生の随筆もこんな感じだったなあと、昔読み耽った事を思い出しながら、なぜか郷愁に耽ることのできる作品であった。

太陽の塔〈2〉 (大活字文庫)
森見登美彦太陽の塔 についてのレビュー
No.6:
(6pt)

裏庭の感想

この作家の作品は、いままでにも何度も手にしている。

なかでも、『家守奇譚』は極上の傑作で、それゆえに自然と期待値はあがる。

というわけで、ひさびさに梨木香歩作品に読み始めることにした。


彼女の作品はもともと、和風ファンタジー色が強く、それはこの作品でも同じである。

が少々異なるのは、和と洋が入り混じっていることであろうか。

あらすじとしては、双子の弟が死に、残った姉のことを両親は見て見ぬ振りをすることで、つらい現実から目を背けている家族、となる。

その様な孤独な生活の中、友人の祖父と仲良くなりいろいろと昔話を聞くなかで、近所にある洋館の裏庭の話を聞く。

あるときその友人の祖父が倒れたと聞き、自然と足がその洋館に向く。

自然と飛びがが開き 家屋のなかには、悠仁の祖父が語っていた異世界=裏庭と繋がっている大鏡を目にする。

その鏡は異世界への入口で、裏庭の世界に入り込み 少女は自分探しの旅を始める、という物語。

なれど、前半のテンポの悪さと、現実の世界と異世界の話の混同、主人公の少女、その母、祖母もまたその洋館とその住人に関わっており、それぞれの少女時代に纏わる話が混在するためか、非常にわかりづらく、それ故に物語の世界に入り込みづらい。

とはいえ、ファンタジーで物語に入り込めないのはある種致命的で、その面白みに欠ける作品となってしまっていた。

期待したがゆえに、残念な作品であった。 了

裏庭 (新潮文庫)
梨木香歩裏庭 についてのレビュー
No.5:
(6pt)

幽霊人命救助隊の感想

やっと読み終わった、シンドかった!というのが、正直な感想。

おおまかなスジとしては、自殺した主人公が辿り着いた場所は、現世と天国の途中地点。
そこには既に、年齢も死んだ時代も異なる3人の先着者がいて4人チームで地上へ幽霊となって舞い戻り100人の自殺を止める事ができたら成仏させてあげると半ば強制的な神様ミッションに引きずり込まれる、つまらないストーリー。

こうして自殺しそうな人を思いとどまらせせる事を目的としたチームが結成され、その活動方針と目標が設定されて物語が動き出すのだが・・・。

主人公は自殺した幽霊4名で、彼らが相対するのは登場人物は自殺する直前の人たち。
自殺を考えるまで追い込まれるくらいだから並大抵ではなく、そんな彼らを説得するのだから 至る状況を理解しベストな説得方法を導き出していくといういろいろなケースはあれど、ストーリーの流れはパターン化されてい進む。文体や表現、4人の世代による異なる時代の流行語やジェネレーションギャップを会話に織り交ぜることで、全体的には軽い文体でコミカルにしているので、読みづらさはない。

そのなかで人が自殺を思い立つのには ひとつのバターンがあることを見出す。それは、
    ①自分の心身/②人とのつながり/③経済力
このどれかひとつでも欠けた時、その状況によっては、人は究極、自殺という判断をする危険性があるということ。

ただし、この判断は客観性のある確固としたものではなく 一種のうつ状態による判断なので、ほとんどの場合なんらかの外的要因があれば思いとどまらせる事が可能であり、その外的要因を当書では「人命救助隊」などとふざけた名前を付けているが、変えることが出来るのである。

スパイラル、というものがある。これは意思や行動とは別の力が作用することであるが、『正のスパイラル』にある時は、自分の持っている以上の力が発揮できる。よくノっているやツイている状態の時で、この波に乗れば物事がスムーズに優位に働きやすい。
が、いったん 『負のスパイラル』 に陥いってしまうと厄介で、自分の力以上の外因がかかるわけであるから、ある意味蟻地獄のようなもの。個人の力だけで脱出するのは非常に難しい。

作者は 自殺はすべては一時的な感情(うつ)状態によるもの考えて、その時に差し伸べられるものがあるかないかが実行に移すか否かの分岐点となる。その一時的な状態さえ越えて冷静になれれば、死に至るほどのことはない。その波が引くまで待てない人にでも、なんらかの外因(それがこの作品では救助隊として現れるのだが)があれば思いとどまらせることも可能であると訴えかけているのである。

「人命救助隊」などと銘打ったりして、作品全体をおちゃらけ軽くしていますが、当書の隠されたテーマは、『自殺抑止マニュアル』である。

もし暇であれば こころが健常な間に、自分のため 、自分のまわりにいる人の為に、一度は読んでおいた方が良いかもしれません。

ただし、当初はあくまでマニュアルなので、単なる読み物として楽しみは期待しないことです。 了


幽霊人命救助隊 (文春文庫)
高野和明幽霊人命救助隊 についてのレビュー
No.4: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

パラドックス13の感想

まず題名に惹かれる。

第1章ですぐに、13時13分に発生するブラックホールによる時間の跳びが発生する、その時になにか大事故がおこればどのような影響が生じるかわからいから何もするなという首相官邸の会議風景からのスタートで SFなんだと理解し、東野圭吾がSFかぁとある意味驚くとともに、期待が募る。

と同時になにか不自然で、早々に文中の科学者の説明が、「何が起こるかわかない」としている時点で、少なくとも本格SFではあるまじき科学的な根拠を放棄して物語がスタートする。

場面が変わり気づけば人が誰も世界世界に取り残された主人公がその世界で生き残った人達と共になぜか壊滅していく東京でサバイバルしながら・・・という映画でよくあるストーリーになるのだが、なぜ彼らだけが生き残ったかという謎もそうそうで予想がつき、期待はそのなかで生じる人間模様。

主人公の兄がリーダーシップをとって生存の為に突き進むのだが、彼は頭が切れるのは当たり前で、清廉潔白で意志が強く将来を見据える展望も持つ、とはいえ人の意見を聞き入れらえる度量を持つ理想のリーダー像で、前半は順調に生存メンバーを引っ張って話しが進む。

のだが面白いのは後半以降。

なぜか彼の正しさがメンバー通じなくなってくる。それは、なにも彼が強硬なことを言ったわけでも、独裁的になるわけでもない。全くブレがない。

では何が?というと、周りの人間が変化するのである。要は彼に慣れてきて、個人的主張や感情をぶつけ始めるのである。とはいえ、彼も強くてブレない

その掛け合いはさすが東野圭吾といいたくなる人間模様のあぶりだしで、人間の描写やスピード感は言うに及ばず、その表現力は秀逸である。

とはいえ、彼にも不得手な分野があるんだなぁというのが率直な感想で、無理してSFチックにした感は否めない作品であった。

パラドックス13 (講談社文庫)
東野圭吾パラドックス13 についてのレビュー
No.3: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

ソウルケイジの感想

結構期待して読み始めたんだが、なんとなく物語に入り込みづらく、が故に間に何冊かの本を挟んで読んだために前後関係もあやふやになり、全く入り込めなく最後は読み流すことになった。とはいえ、全体に薄っぺらく感じられたのは読み方の問題だったのか、作品の問題だったのか、次回作で判断しよう。内容は刑事もの殺人事で、パターン的な金、恨み、混乱、それなりのドンデンはあるものの、対して真新しい発想も無かった。
ソウルケイジ (光文社文庫)
誉田哲也ソウルケイジ についてのレビュー
No.2:
(6pt)

バベル島の感想

ソフトホラー。優しくもなく、怖すぎずで中途半端。北村薫、加納朋子系列のつもりで読んだが、ガッカリ。
バベル島 (光文社文庫)
若竹七海バベル島 についてのレビュー
No.1:
(6pt)

モノレールねこの感想

書籍として、弱い家族が頑張る物語。誰もが弱い部分はあるだろうし、ある部分で大なり小なり虚勢を張りながらら生きている。その弱いところを突かれた家族が笑顔を取り戻す物語となっており、わずか応援するところもありながらも、気持ちいい内容かというとそういうでもなく、ほんわかさを求めて読む加納朋子としては、少々読む理由が無い一冊で残念。とはいえ、最後の「バルタン最期の日」は、なかなかにじんわり染み入る作品。
モノレールねこ (文春文庫)
加納朋子モノレールねこ についてのレビュー