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とも さんのレビュー一覧

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レビュー数8

全8件 1~8 1/1ページ

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No.8:
(4pt)

平将門の呪縛の感想

井沢作品は基本歴史をベースに、歴史の真実を解き明かす作品と歴史をネタに物語を創作する2つのパターンがあるが、当作は残念ながら後者。

また彼得意のテンポやスピード感もなく、駄作としかいいようがない。

概要としては、平将門の至宝「三宝の神器」をめぐり、将門の娘瀧夜叉姫がその祖先 竜野隆之の夢に現れるところから物語は始まる。

神器を集めることがこれから発生する国難に対抗できる唯一の策であると告げられ その捜索、さまざまな妨害、そうして国際テロにまで巻き込まれるが、という作品である。  了

一千年の陰謀―平将門の呪縛 (角川文庫)
井沢元彦平将門の呪縛 についてのレビュー
No.7:
(4pt)

邪馬台国殺人紀行の感想

作家の3つの人気(?)シリーズものの美人探偵3人が勢ぞろいして旅行へ。

それも行き先は、邪馬台国の所在と考えられている有名な3地点、九州 吉野ヶ里、畿内 纒向、あと東北 三内丸山。

ということで、初めから期待値はあがる。


その各地で邪馬台国や卑弥呼に纏わる殺人事件に遭遇するのは 探偵もののとして当たり前で、もちろんこの3探偵が解決していくのも普通の話し。

要は、この邪馬台国をどう処理していくのか。

望むべくは、彼の名著『邪馬台国はどこですか?』をどのように深堀していくのかにあった。


が、しかし、期待に反し 全くと言っていいほど彼の著の歴史推理には触れず、結局はその地で起こる殺人事件の解明に留まるのみ。

なぜにこの本を書いた?という作家の意図も全く見えず、得るところもない全くの期待はずれに相当のガッカリ本であった。  了

邪馬台国殺人紀行 (実業之日本社文庫)
No.6: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

火の粉の感想


▼以下、ネタバレ感想
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火の粉 (幻冬舎文庫)
雫井脩介火の粉 についてのレビュー
No.5: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

七回死んだ男の感想

初めて読む作家であり、非常に評判の良い作品だったので 期待して読み始めた。

ジャンルは、SF新本格というSF的要素を取り入れたプロットの組まれた推理小説とのこと。

ストーリーとしては、主人公があるタイミングになると、9度 同じ1日が繰り返されるという突拍子もないもので、確かにSFではある。

が、SF的要素は この同じ日を何度も繰り返す能力(?)があるというだけであり、それ以外はごくごく普通のストーリー。

とはいえ、主人公の意思で戻れるわけではなく たまにその周期に「落ち込んで」しまうだけである様に受身的な能力だし、その間の出来事も深夜12時にほぼリセットほされてしまうので、実質的にはほぼ無意味な繰り返しが生じる。

唯一リセットされないのが主人公の記憶だけで、彼の体験した記憶だけは残る。

確かにそれまでリセットされてしまえば、その事実を知る人が一人もいないことになり、小説として成り立たなくなる。また、この彼の8回の記憶のみがあることと、繰り返しの最中に主人公は行動を変えてもいいというルール(というよりはルールがないだけなのではあるが。。。)が、この作品のミソになっている。

そうして9回目(最終回)が、最後の正規の周回としてその日が最終として消えずに残り、やっと本当の次の日を迎えることになる。

ここで少々設定として面白いのは、なにをしてもいいということ。

よくSFタイムトラベルモノとかでは、歴史を変えてはいけないというがあるが、この作品では前向き、実験的にその中間の周回を使う点であり、この発想は奇抜であり感心する。

そういう設定の中で、殺人事件が起こる。

その原因を突き止め事件を阻止しようと、主人公はひとり 毎回条件を変更しながらに奮闘するのだが なかかなに思うように行かず、さあて上手く殺人を阻止できるでしょうか、という内容。

とはいえ、読んでいても入り込めない。

それはストーリーの突飛さに起因するところが大きいのかもしれないが、それよりかは読みづらいのである。表現力が稚拙で奥行がなく、情景が浮かんでこない。

あとこの9回の繰り返しも、主要な回だけ深掘りし大したことのない回は流すのではなく、毎回をひとつの章としてこれも平面的に語られる。

確かに毎回、なにかを変化させようとするので内容は異なるのだが、同じ日を9回もパターンを変えて繰り返す。

途中でいい加減にしつこくて、 飽きと嫌気がさしてくる。

というわけで、わたしとしては期待していた分 非常に残念な作品であり、がっかりな作品であった。 了
新装版 七回死んだ男 (講談社文庫)
西澤保彦七回死んだ男 についてのレビュー
No.4: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

豆の上で眠るの感想

湊かなえの作品には、1本の主柱と2つのパターンがある。

柱とは、人に対する悪意である。特に子供に対して相当の悪意がある。一般的に子供は真っ白で純粋でと考えるのが正しいとされる世の中に真っ向対立する珍しい作家である。
ただし、その部分に対してはわたしも 基本性悪説であり、それは子供においても全く同じであることから否定的ではない。

次に2つのパターンというと、
1つは全面的に悪意を放出する感情的作品であり、代表作としてはデビュー作の「告白」となろう。まぁひらすら感情的であり、ほとんどヒステリーを文書化したようなものであるが、このタイプ非常に珍しくもう笑えるレベルである。

もう1つは、なぜか作家として認められ、その余裕なのかそれともプライド、地位向上、なんなのかはわからないが、感情を抑え理性でもって作品に仕上げ様と体裁を整えた作品。

基本彼女はプロの作家ではない。しかし悪意を前面に出した時にはその感情が筆に乗り移り、生き生きとした勢いのある作品となることがある。
それが理性をもって書いた時、途端に勢いもプロットも内容も在り来りな作品となる。

そうして、当作は悲しいかな後者に含まれる。
過去から多くの作家が嫌というほどに書いてきた有名な事件(事象といった方がいいのか)の焼き直しとして、既に物語の中盤でその結論は目に見えている。そんな訳で、全く面白みのない作品ではあった。

ほんの少しだけ光明があるとすれば、最後に中途半端ながら悪意が残っていたことであろうか。湊かなえの作品には、1本の主柱と大きく2つのパターンに分かれる。

彼女の柱とは、人に対する悪意である。

特に子供に対して相当の悪意がある。一般的に子供は真っ白で純粋でと考えるのが正しいとされる世の中に真っ向対立する珍しい作家である。
ただし、その部分に対してはわたしも 基本性悪説であり、それは子供においても全く同じであることから否定的ではない、というよりはむしろこ気味良い。

次に2つのパターンはというと、
1つは全面的に悪意を放出する感情的作品であり、代表作としてはデビュー作の「告白」となろう。まぁひらすら感情的であり、ほとんどヒステリーを文書化したようなものであるが、このタイプ非常に珍しくもう笑えるレベルで、ある意味この抑制のない感情を書き連ねたものが作品としての体をなしている事は驚きである。

もう1つは、なぜか作家として認められ、その余裕なのかそれともプライド、地位向上、なんなのかはわからないが、感情を抑え理性でもって作品に仕上げ様と体裁を整えた作品群である。
ちょうど恋愛作家やミステリー作家が、晩年に歴史小説に手を出すのによく似ている。

どちらにしても彼女はプロの作家ではない。

しかし悪意を前面に出した時にはその感情が筆に乗り移り、生き生きとした勢いのある作品となることがある。
それが理性をもって書いた時、途端に勢いもプロットも内容も在り来りな駄作となってしまう。

そうして、当作は悲しいかな後者に含まれる。

物語は、過去から多くの作家が嫌というほどに書いてきた有名な事件(事象といった方がいいのか)の焼き直しとして、物語の中盤では既にその結末が目に見えている。そんな訳で、全く面白みのない作品ではあった。

ほんのわずか光明があるとすれば、パンドラの箱の希望の代わりに 湊かなえの「悪意」が残っていたことであろうか。
豆の上で眠る
湊かなえ豆の上で眠る についてのレビュー
No.3: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

奪取の感想

非常にダルイ作品である。

話しの筋としても、友人がヤクザに騙されて、多くの借金を背負わされて、その保証人とし友人を巻き込んで、二人して考えついた返済方法が偽札作りで。。。という安易で面白みのない筋書き。

まず、偽造するにも ヤクザへの返済でっていう追い込まれの状況は使い古された小説の定番で、発想が貧相でまた寂しすぎて笑えもしない。

そのうえ、内容はというと、兎にも角にもひたすら偽札造り説明に終始。

一生懸命調べて覚えたんだろうなぁ、という事は理解できる。

確かにどんな製造業にも独特の特殊技術やノウハウはある。その製造物が当作では『お金』という、一般性とは隔絶された特殊物であることに、目の付け所はよい。
とはいえ 誰も現実に偽札作りをしたいとは思ってないし、その専門家になりたいと思って小説など読んでいるわけではないから、事細かな説明など不要なのである。

それにも関わらずに、その追求姿勢には目を見張るものはあるも、覚えたての知識を全て書くことがリアリティの追求、と大きなハキチガエているようにしか思えない。
そうそう小学生の夏休みの研究発表みたいな感じで。

読者が読みたいのはあくまでプロの作家の書いた小説である。その中で、確かにリアリティは大切である。ただしそれは、ちらっと垣間見えるところに、この作家調べ尽くしているな、という喜びを見つけのが愉しみなのであってその程度のいい。

当作を読んだとき、昔に読んだ『白鯨』という海外文学作品を思い出した。
非常に長い作品であある。概要は 昔悪魔の鯨モビーディックに足を食いちぎられた船長エイハブが数年後に復讐に向かう、という惹きつけられるストーリーなのだが、このメインストーリーは最後の数十ページだけで、それまでの数百ページはひたすら鯨の生態に終始するという駄作である。(作者はメルヴィル)

要は、専門的な内容を深堀りするには、普通以上の作家としての技量がなけれそれは単に覚えた知識のお披露目会さながらの押し付け感となるのである。

最後の100ページくらいはそれなりに楽しめるも、それまで要した400ページは作家の自己満足と言ってよいであろう意味で、この作品はひらたすらにダルイ作品である。

奪取(上)-推理作家協会賞全集(86) (双葉文庫)
真保裕一奪取 についてのレビュー
No.2:
(4pt)

柳生十兵衛死すの感想

淡々とゆっくりと、黙々と進んでいく、いつもの風太郎と異なり能の幽玄を組み合わせた渋い渋い作品。ただし、尻すぼみで期待外れ。風太郎の悪いところは、テンションの維持が最後まで続かないこと。突拍子もない発想だから難しいだろうが、それにしてももう少し何とかならなかったか。
柳生十兵衛死す〈上〉 (小学館文庫―時代・歴史傑作シリーズ)
山田風太郎柳生十兵衛死す についてのレビュー
No.1:
(4pt)

ララピポの感想

ひときわ低級で下品で、とわいえリアリティがあってなんとも言えない。各章で主人公が入れ替わるも、それぞれが繋がり合っている連作短篇集の体を取っているが、わたしには合わない。とはいえ、この悲惨さも最後には段々とは慣れてくる自分がいることに驚くのではあるが。
ララピポ (幻冬舎文庫)
奥田英朗ララピポ についてのレビュー