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掏摸
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掏摸の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.70pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全89件 21~40 2/5ページ
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銃がとても面白かったのでこちらも読んでみましたが、買って正解でした。健全な生活を送る自分からは遠い世界の話でとても魅力的で引き込まれるものがありました。兄妹篇である王国も買ってきたので早速読みたいと思います! | ||||
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まず、この小説の欠点を先に書くと、次の3点となる。 ①読点を打ち過ぎている上に、打つ位置の間違いが多い。 文章の不必要な箇所に読点を打つことが多用されているために、読むリズムが乱され、読み難くなってしまっている。さらには、誤った箇所に読点があるために誤読を引き起こす場合が多い。もう少し丁寧に読点を打って欲しいと思う。 ②誤った表現がある。 「おもむろに」を突然に・急にといった意味で使用しているので、大変気になる。確かに今日、この意味で使用する誤用が多いのだが、登場人物が誤用したセリフとして使うならまだしも、プロの小説家が地の文で誤用してはいけないと考える。 ③主人公のキャラクターに不統一感がある。 主人公は掏摸として超一流で、私服刑事や万引きを見張る警備員を瞬時に見破る程の腕前を持ち、極めて困難な仕事をやり遂げる計画性と臨機応変さを示しているのに、尾行に全く気付かなかったり、危険な場所に連れて行かれる際には素人のように心理的に無防備になっていたり、フランスの貴族の話を聞いた後で、女と子どもに知り合ったことが仕組まれたものであるかも知れないという可能性に思い至らない。確かに人は完全無欠ではないが、「間抜けな超一流」感が出てしまっている。主人公にユーモアを感じさせる性格描写があれば、そのような点も納得できるだろうが、彼はクールかつ自己完結的。また、子どもに親切にしたり、かつての愛人を引きずっている割には世捨て人。彼が抱えているものが原因での行動や心理の不統一は、「塔」だけでは説明しきれていないと感ぜられた。 一方、この小説の素晴らしさは、物語構成である。スリリングな掏摸場面を挟みつつ、かつての強盗仕事に纏わるミステリーと、闇社会の仕事師の登場によるハードボイルドもしくはサスペンス・スリラーへの物語の変化の妙は素晴らしい。アルフレッド=ヒッチコックの映画のようである。闇社会の仕事師は少々語り過ぎで、その怖さが少し減るが、物語全体では説明を抑制して、読者の想像に委ねるところがいい。 もう一皮むけると、作者はソルジェニーツィンやカフカの閾に達するかな。 | ||||
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救いがあるわけではなく、結末の謎は残されたままですが、 世界の成り立ちの核に少し触れたような感覚が残った。 普段から、漠とした満たされない感覚を持って生きている人には 読んで面白いと感じると思う。 | ||||
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この小説のモチーフに掏摸を選んだこと、流石中村文則です。 人は生きている限り奪い(奪われ)続けなくてはならないという、陰鬱ながらも強いメッセージが込められていました。 運命という抽象概念を木崎という人間に落とし込んで魅せたところも見事です。最後のコインは、500円玉という硬貨の中では最も大きいものを選んだところも、小→大への最大限の抵抗という意味合いも含めて面白かったです。 塔の話を含め、中村文則の中核を成す一作なのではないでしょうか。 | ||||
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熱心なファンに薦められて読みました、見出しの通り。 面白かったです。 中村先生の本には外れがないですね(笑) 読み返してみても面白いですし。 薦めてくれた方には感謝ですね。 主人公と子供との関係性や、 主人公がこれからどうなってゆくのかが気になります。 父親になるのか? 掏摸を続けるのか? 安定した生活を得るのか? 最後に投げられたコインはどうなるのか……? | ||||
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理不尽な条件下で、シゴトをせざるを得なくなった掏摸の物語。 シゴト(掏摸)に失敗すると、主人公の命が奪われ、要求から逃げれば主人公の知己の母と子を殺す。そう脅迫された主人公は三つのシゴトに取り掛かかる。 さしたるつながりのない主人公と脅迫者。ストイックな主人公は魅力的だが、なんといっても、とことん破壊的な脅迫者の設定が良い。アンダーグラウンドな世界で、とんがった強烈悪人キャラ登場の一冊だ。おシゴトのシーンの緊張感がたまらない。 ラストは続く予感ありで、兄弟作『王国』へ興味深々となった。 | ||||
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木崎という、不気味な魅力を持つ謎の人物を描き切ったという点だけでも、この作品は評価に値すると思います。 木崎、ちょう怖いです。このレベルの怖い人、フィクションといえどなかなかいないです。 文芸作品として、大きなテーマ(人間と神的存在との関係)を扱いながら、作家個人のパーソナルな人生観を含ませつつ、それでいてエンタメとして最高の作品に仕上がっています。海外で評価されるのも納得。だってちょう面白いもの。 こういう作品が評価されるのはとても嬉しい。もっと売れてほしいな。映像化もしてほしい! | ||||
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古典文学の名作のような 出来事だけでなく、ひとつひとつの言葉がサスペンスを生み、ミステリーを生むような小説。 そして線では無く、面として書かれている、 全ての文字が同時に存在しているということに自覚的な小説。 そんな小説です。 それでいて、ここで描かれている感覚は、 そうそう、まさに今ってこういう感じなんだと思えるようなものでした。 | ||||
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とてもダークなお話で、映画にしたら良さそうな感じ。 非常に詳しく描写している部分と、完全に説明を放棄している部分が明確に分かれていて、闇の権力が一体全体なんなのか想像力をかきたてられる。 | ||||
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著者の中ではトップクラスの作品です。 掏摸以前、掏摸以後、と呼ばれることになるのではと思っています。 掏摸以前はトライアル的な小説群。 掏摸以後は野心的な先品群。 そんな印象です。 掏摸は、面白い。 とても面白い。 | ||||
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著者は掏摸か!?と思うほどのなまなましい緊張感、指の動き、 体温までが実によく描写されている。 作中よく「塔」が出てくるが何かのメタファーだろう「神」か? 心理描写、場景描写、形容詞が巧い。 決して厚くはない本作だが、内容は濃く質感がある。 | ||||
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わずか数秒の出来事や人間の思考を表現しようとしたとき、写真であればその瞬間だけであるし、映像であればスローモーションになりますが、文による表現によれば時間的制約から解放されると感じた小説でした。 スリという瞬間の行為の緊張や緊迫感が文で表現されるとよりリアルに想像されることに驚きました。 主人公の思考やスリ行為とストーリーの時間的スピードが変化する点で面白く読めました。 | ||||
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中村文則さんのファンです。 当時、実存主義文学を読み漁っていて、この小説は文庫版が出た時、すぐに買いました。 以降、本棚ではなく手元に置いて、何度も読んだので古くなり、去年、二冊目を買いました。 読んで取り憑かれたのは、主人公と、木崎という二人の人物の存在でした。 主人公は多くが語られない、天才的な掏摸師。 一方、木崎は闇の社会を生きる人物。 その木崎は、東京を仕事場にしている、かつて共に強盗事件に関わった掏摸師の主人公の前に(自身の告げた予言のように)再び現れ、彼を捉えて、人質を使って成功不可能に思える困難な使命を与える。 それは、三人の人間から、それぞれの対象物(携帯、髪と指紋、書類)を盗み出せというものだった。 さらに彼は、自作の物語である、あらかじめ運命を予定されていた少年の人生を主人公へ聞かせる。(その少年は貴族の思い通りに生き、やがて殺される) その上で木崎は、『旧約聖書』でエホバに従ったユダヤ人を引き合いに出し、ユダヤ人が神に従ったのはただ恐ろしかった為だと断じて、 旧約の神(怒りの神)を『それは、スーパーパワーを持った人間と同じではないか』と主人公に問う。 その台詞は暗示のように物語に作用し、神と運命というキリスト教的テーマから、神の本質は暴力にあるのだという、非・宗教的問題へと作品はテーマを変える。 神学的な神・運命論は、そのまま、近くに住み主人公を頼る、虐待を受けている少年とその母との関係(エホバと人間の暴力を媒介にした主従関係)に表現される。 つまり、神とは、暴力で他者を支配する存在の別称にすぎないのだと、この作品は語ります。 中村さんはこの小説で、単にキリスト教的問題を描いたのではなく、その根本に潜む『本質』を見出すことで、形而上学的なテーマを、そのまま非・キリスト教の国である日本にも存在する『虐待』や『暴力』による支配関係として普遍的な形で語り直す。 デビュー作以来書き続けていた『暴力』の問題を、キリスト教を媒介させることで、宗教・非宗教を超えた普遍性を獲得したのが、この作品だったのではないでしょうか。 それゆえ私は、作中で描かれる運命への抵抗とは、暴力で支配する神(作中の少年にとっては母とその恋人の男)から逃れるという、『暴力からの脱出』を意味するのだと思います。 同時に、木崎の暴力の中で、それでも少年を助けようとする主人公は彼に、『俺はお前の救世主じゃない』と言いますが、ここでは主人公に苦しみから人を救おうとするキリストのイメージが重ねられているのではないでしょうか。 木崎の語る旧約のエホバが人に罰を与える『怒りの神』なら、キリストの唱えた新約のエホバは『赦しの神』です。 主人公に担わされた、あるいは主人公が自ら引き受けたキリストの役目は、人(少年)を救うことであり、その為に彼は圧倒的な存在である木崎(神)へ挑んだのではないかと、私は思いました。 それから、中村文則さんの作品を順番に追っていくと、木崎の存在が、中村作品の『悪の系譜』の一つの到達点だと思えました。 それまでの中村さんの作品の【悪】の登場人物は、幾らかの葛藤を抱えていましたが、木崎にはそれがなく、 『無邪気に遊ぶ子供を見て、可愛いと思った次には、殺せる』 という台詞さえあります。 あらゆる倫理的意識を捨てる事に成功し、『カラマーゾフ』のイワンや『悪霊』のスタブローギンをも超えた、人間を超えた悪を中村さんは木崎という人物によって生み出したのだと思います。 さらに、その狂気の世界を生きる木崎自身の『すべてを味わえ』という言葉は、それでも生きて現世に留まろうとする決意に聞こえ、そのことで木崎の不気味さが反転し、奇妙なことですが、むしろ、苦しみの中でも快楽によって人生を肯定しようとする一種の力強い『聖句』のようにさえ感じました。 この作品で描かれた二人の人物(主人公と木崎)は、木崎はそれまでの中村作品の主人公が持っていた悪の到達点であり、主人公はその歴代の悪(あるいはそれを生んだ虐待の過去)と闘う、新しい主人公像だったのかも知れません。 (もっともその前兆は前作『何もかも憂鬱な夜に』に伺うことができます) 個人的には、この小説は、日本の近年の形式化した純文学作品では滅多に見られない傑作だと思いました。 昔の作家(戦後派や、遠藤周作さん、大江健三郎さん)の作品が好きだという硬派な方にもオススメできる、稀有な作品ではないでしょうか。 ちなみに、作中の掏摸行為の描写がリアルなのは、中村さんが本作の執筆にあたって、友人を1年間練習台にして、本当に掏摸のテクニックの練習をしたからだそうです。 | ||||
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この作品は、実はたいしたボリュームがないものながらこれまで序盤で何度も挫折していた。 というのも、スリ師を描いたアウトロー作品という先入観を持って読み始めていたため。 そうした先入観があると、アウトロー作品にしてはパンチが弱い感じがする。 ただ、中盤以降読み進めると、より深いテーマを持った作品だという感じがしてくる。 中盤を越えるとページをめくる手が止まらず一気に読了。 あとがきを読むと、「王国」という作品が姉妹版のようだ(早速、本屋で購入)。 本作品を通して著者の作品にどっぷりハマりそうな予感がしている。 | ||||
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頗る興する文庫です。中村文則さんの作品の中でもお気に入りの文庫です。ピック症は読め。 | ||||
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天才的なスリ師の主人公は,仲間に巻き込まれ, 裏社会の権力者から仕事を命じられる. 仕事を遂行し,権力者から逃れることはできるのか? 主人公が見せる裏社会の権力から押し付けられた無理な要求を遂行するための計画と, 実行過程での臨機応変な対応力. あまり良好とはいえない生い立ちを持ち,スリを生業にしていながら, 高い分析力と計画遂行能力を持ち,一方で垣間見せる優しさと併せ持つ魅力的な主人公である. 血の通った等身大のキャラクターが人間的な弱さと魅力を表現できているからこそ, 裏社会の権力者から受ける圧倒的な恐怖感と絶望感が引き立っている. 姉妹作である「王国」に比べると,裏社会の構造の説明や権力者の登場場面は少ないのだが, むしろこの方が底の見えない怖さが伝わってくる良作. | ||||
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かなり完成度の高い作品だと思う。 テーマとしてはヴォネガットのタイタンの妖女に似ている。人間は自由意思を持っているのかという問題だ。 しかし、タイタンの妖女が運命に逆らえない人間の生きる意味について書かれた作品であるのに対し、この作品は逆らえない運命によって罪を犯さざるを得ない人間に焦点を当てている。 自由意思が存在しないならば、人間が罪を犯すのは本人にはどうすることもできず、犯罪者はただ運が悪かっただけに過ぎないということになる。 そうであれば、ただ運が良かっただけの私たちに犯罪者を裁く権利が有るのか。色々と考えさせられた。 また、普遍的なテーマを持ちながらも、この作品は高いエンターテイメント性も備えている。 私に言わせれば、中村文則の最高傑作は悪と仮面のルールだと思うが、この作品も傑作と呼べる作品だ。 以前の私のように現代の小説を馬鹿にしている人におすすめしたい。 | ||||
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スリを実行する時の描写が詳しくて面白い。子どもとの掛け合いがよかった | ||||
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東京を舞台としたアウトローな闇社会での犯罪。 スリの細かい描写がとても印象的で、こんな社会にいながらも子供に対する接し方が絶妙で読んでよかった。 2017.1.8 読了11冊目 | ||||
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初期の作品からは、すっかり文体も変わり、作品の内容もエンターテイメント的になっている。 | ||||
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