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二十世紀鉄仮面
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【この小説が収録されている参考書籍】
二十世紀鉄仮面の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.75pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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小栗虫太郎大好きで、黒死館など本当に面白いと思っていて楽しみにしていたのですが、この作品はちょっとわかりにくかったですね。場面転換が一行くらいでさらっと書かれているので、誰がどこで何をしたということを把握するのが難しいです。最初の方は川崎でのペストについて、途中はヨットによる航海、最後にやっと鉄仮面の謎に肉薄するという流れになっていて、統一感を欠く出来栄えなのはファンの私でも感じてしまいます。法水麟太郎全短篇が出たのでそちらに期待。 | ||||
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帝都に蔓延する黒死病(ペスト)、大型客船の沈没の悲劇、謎の鉄仮面、大財閥の後裔をめぐる文書の争奪等々。 描こうとしている物語は、波乱万丈、興味津々となるはずだが、描写ではなく文章で進めていくような語り口で、内容の割には淡々と進行し、心に響いたり訴えたりするところが感じられない。また説明不足に加え、ご都合主義や不自然な心理描写(特に敵役や女性)が気になり、全体に稚拙さを感じさせられる。 かと言って全くつまらないかと言うとそうでもない。 「黒死館殺人事件」とは明らかに性格の違う探偵・法水麟太郎は、巨大な悪に立ち向かうヒーローであり、登場する女性たちに思いを寄せられ、愛憎を繰り広げるあたりは、007の先取りのような珍妙な面白さを味合わせてくれる。 また相変わらずの衒学趣味と怪しげな牽強付会は健在だ。 本作の発表は1936年。凶悪な死の商人として巨大財閥を敵役としているあたり、迫りくる戦争の影とそこに暗躍する産業資本家たちへの作者なりの反抗心があったのでは、とは考えすぎだろうか? | ||||
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表題作を最初に読んだのは桃源社版だった。 当時中学生だった私にとっては、小栗の文体や独特のスタイルよりも、まずそのストーリーが伝え聞いていたミステリ度の高いものではないということに、正直驚いたものだった。 しかし、巻頭の本作のあと、「後光〜」、「夢殿〜」、「失楽園〜」、「聖アレキセイ〜」と続く作品群は、まさに目眩く幻妖怪奇なミステリ世界を堪能したものだった。 あれから何十年を経て再読した表題作は、しかし、実に面白く読めた。 この「二十世紀〜」には謎とそのロジックによる解明とがあることはある。 しかし、どちらかというと冒険活劇といった感じが強い。 探偵役の法水からして、他の作品とは違って実に活動的というか行動的であるし、なにより活劇する。 いや、活劇どころか、○○までしてしまうのである、えっバレバレじゃ・・・ うーむ、なぜばれなかったんだろう?不思議だ(笑)。 さて、本作のモチーフはタイトルのとおり「鉄仮面」である。 つまり、仮面の幽閉された人物を救出する、というのがメインプロットであり、そこにさまざまな人物が影になりひなたになって絡んでくる。 この仮面の囚人の正体は別に秘密でもなんでもなく、いかに相手の裏をかくかということに、本作のミステリとしてのポイントがある。 そして、ラストに披露される著者独特の和風暗号もまた、著者の作品を良く知るものにとっては、実に微笑ましくも嬉しい。 著者が早世せずに戦後も作家として活躍していたら、本作のような作品で法水がハードボイルドに活躍する作品を創作していたかもしれない。 そうしたら、「黒死館〜」を始めとした一連の法水ものミステリの評価もまた、違ったものになっていたかもしれないな。 ああ、本作の雰囲気は、「潜航艇鷹の城(鉄仮面の舌)」と似ている。 本シリーズのもう一冊、「失楽園殺人事件」と併せて読むと、著者のミステリに魅了されること間違いなしだ。 ただ、個人的には著者の持ち味は「人外魔境」などの秘境冒険もの等に良く出ていたと思うね。 入手が難しいかもしれないけれども、本書を読んだひとは、ぜひ「人外魔境」シリーズも読んでみてほしい。 | ||||
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難解で、ちょっと気を抜くと話の前後関係はおろか、いま読んでいるところが何について書いてあるのかさえわからなくなってしまうような、小栗虫太郎の諸作品。長い時間をかけてようやっと読み通したとんでもない長編「黒死館殺人事件」は言うに及ばず、短編でさえ、何度ページを戻して読み直したことか。そんなことがあったので、後期の法水麟太郎もの2作(長編1作、短編1作)に絶筆となったミステリの書き出し部分(解決編を笹沢左保が執筆)、エッセイなどの小品をまとめてある本書も、気合いを入れて読み始めたのですが、あれれれ、いままでの法水探偵譚に比べて、格段に読みやすくなっている。内容も、フェアかどうかについては別にしても、コテコテのミステリだったのが、冒険小説風になっていて、後の辺境探検小説「人外魔境」シリーズへのつながりがうかがえます。読みやすくなったということは、虫太郎らしさがなくなったということ、逆から言えば、虫太郎らしさが希薄にならなければ一般うけするような小説にならないと、皮肉な見方もできますが、こうなると、何度も何度も読み返し読み直しをし、あまり好きでなかった晦渋さに妙な愛着がわいてきます。勝手なものですね。 | ||||
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