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針の眼
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【この小説が収録されている参考書籍】
針の眼の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.94pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全18件 1~18 1/1ページ
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『大聖堂』の作者の実質的第一作。 1978年のMWA最優秀長編賞受賞作。 早川書房の「冒険・スパイ小説ハンドブック」(1992年)では、冒険小説部門で第9位(総合ランキングでも26位)。 舞台は第二次大戦下のイギリス、ノルマンディー上陸作戦前夜。連合軍の大陸侵攻地点の情報をめぐるドイツの一匹狼のスパイとイギリス政府防諜機関との攻防。 30年前の作品であるけれど、はっきり言って、面白い。 前半のプロ同士の追跡劇から、後半、孤島に舞台が移ってからの作品のトーンの変化も、賛否あるかもしれないが、許容範囲だろう。 絶版状態はもったいない。東京創元社はなぜ再版しないのか。 余談。 スパイ追跡の指揮を執るゴドリマン教授は中世史の専門家で、「ヘンリー2世は1173年になぜイングランドを訪問したのか、それが1940年夏の彼の課題だった」という登場時のくだりは、後に『大聖堂』を書くことになる作者の壮大な伏線か。 | ||||
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所謂、冒険スパイ小説という括りの部類だろうか。 J・ヒギンズやF・フォーサイスのそれと読後感が非常に似ている。共通しているのは読んでいる最中楽しく時間を潰せるが読み終わって何も残らない、折りに触れ読み返す事もない、硬質な文体とも言えず文学的要素も皆無である事。 途中で予想できる結末、安易な数年後のエピローグ、映像化される事を念頭に書かれた様な大立ち回りや濡れ場等スパイ小説には不要。 | ||||
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Dデイ前夜の第二次大戦の裏面を描いたスパイ小説として、タイムリミット・テーマのサスペンスとして、まさに息詰まる迫力の正真正銘の傑作。主要登場人物から端役に至るまで生き生きと活写する筆力も圧巻。特にヒロインの心理描写の鮮やかさには舌を巻く。 | ||||
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名作の誉れ高い本作ですが、私の琴線には全く触れませんでした。 本作のスパイには何の苦悩も挫折も成長も自己犠牲もありません。 ただ冷酷非情なだけで、ジェームズボンドのようなグラマラスな魅力も皆無です。 しかも、スパイに感情移入できないまま、語り手の目線は英軍人の奥さんに移ってしまう。 ラストで、大した活躍もしていない刑事とその奥さんがくっついたからって何のカタルシスもない。 本当の名作「北壁の死闘」の足元にも及ばない凡作です。 これが名作扱いされているのは、妙にくどい性愛描写が昔の読者に受けたからでしょうね。 | ||||
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評者は、2009年に、友人からケン・ホレットの『大聖堂』上・中・下巻を送ってもらって読んだことがある。 このころ評者は、読了した本のレビューをすべてこのAmazonのレビューに投稿していたわけではなかったのでレビュー履歴に、この『大聖堂』は残っていない。 この『大聖堂』は、主人公のジャックという若者が何度もの苦難をのりこえ聖堂を建立する長い物語であった。 なにより中世ヨーロッパを、ケン・ホレットが巧みに描き切っていたのが今でも印象に残っている。 本書『針の眼』と、この『大聖堂』が、テーマがあまりにも異なっていたから同じ作家が書いたものかと訝りながら、昔買った覚えのある『針の眼』をこの友人に読んでもらおうと思い、本棚などを探したが見つからなかった。 仕方がないからAmazonで購入して他の本と一緒に送ったのが同じ2009年のことだった記憶である。 先日、古いダンボール箱のなかから先に読んだカミユの『異邦人』と一緒に見つかった何十冊もあった本の中から送ろうと思って探しても見つからなかった本書『針の眼』を見つけてしまった。 ミステリも他に何冊か見つかったので再読してみようと思ったが、まずは本書『針の眼』を手にした。 評者が本書を読んだのは、30年以上も昔であり、記憶では面白いスパイものだと思い込んでいたので友人に送ってしまったのである。 が、本書の後半まで読み進んできたら唐突に濃厚なベットシーンが描写され始めるのである。 この状況設定に評者は違和感を覚えてしまったのです。 連合軍がDデイに上陸する場所を確定するため、一匹オオカミで冷静沈着のプロ中のプロのスパイが、貴重な囮基地の写真を撮ったあと緊張感を読み手に与えながら物語が進んでいたのに、このロマンスでこのスパイ物語の流れが断ち切れてしまった。 この孤島でのロマンスを挿入することなく巧妙にストーリー展開させることも可能な著者だっただろうと思うと残念でならない。 読者には、それぞれ好みがあるから評価はそれぞれ分かれるだろうが、このプロット構成は評者の好みではない。 かって評者が読んだアラン・ファースト著『影の王国』(講談社文庫)のような地味でリアル感のある作品のほうが評者の好みである。 いかにもアメリカ人好みのDデイをテーマにしているし、濃厚なロマンスもありだから、アメリカ探偵作家クラブが「エドガー賞長編賞」を与えたのも納得である。 『大聖堂』を、評価星5ヶとしたら、本作『針の眼』は、後半までは面白く読ませてくれたので星3ヶ進呈しました。 | ||||
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後半の濃厚なベッドシーンがどうにも・・・。 クライマックスの冷静さを欠いたバトルも・・・ねぇ。 自分の感性には合わなかったです。 | ||||
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ヒトラーが絶大な信頼を寄せる冷淡酷薄、無慈悲、完全無欠のスパイが 孤島に住む幼い子供を持つ女性に息の根を止められお話は完結します。 とにかくドイツ人スパイが頭脳明晰で、無慈悲な殺人の技も完璧でめっぽう強い点、 英国諜報機関の捜査官達の追跡が後手を踏むところが滑稽な点、 その他読みどころは満載です。 文章が達者で、訳も完璧ですからとても読みやすく一気読みでした。 映画ではD・サザーランドがドイツ人スパイを演じていますが、 再度映画化するならP・ベタニーかB・カンバーバッチを主演にしてほしいですね。 | ||||
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ケンフォレットの他の作品のあとがきを読んで探していましたが、 なかなか見つからず、書店に注文すれば納期が長いのでAmazon を利用しました。中古本でしたが、汚れもなく楽しく読み終えました。 | ||||
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読み始めると、止められないほど引き込まれる。次々とサスペンスが・・ | ||||
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読んだのは本が出た直後なので今はすっかり忘れていた。先日WOWOWだったかどこかで映画を見た。 映画を見ても思い出せないほど完全に忘れていたため映画を存分に楽しめた。(忘れるのはいいことだ!) サザーランドの若い頃は息子のサザーランドよりもハンサムでスマートだ。 スパイというのは長身は避けるらしい(目立つから)し、ハンサムも避け、どこにもいそうなありふれた人間を雇うらしい。ハンサムだと女から持ててリスキー? この主人公も、女との官能に浸ってしまい寝過ごしたことで・・・。 ほかの作品を読みたいがキンドルを買えばこうしたケン・フォレット作品も読めるのだろうか。 | ||||
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第二次世界大戦も終盤、イギリスで諜報活動を行っていたドイツ将校のヘンリー・フェイバー、通称「針」は、 連合軍の極めて重要な極秘情報を入手、ドイツに持ち帰るべくイギリス脱出を図るが嵐に遭遇したヘンリーは会合点から大きくはずれた北海の孤島に漂着してしまう。ヘンリーの行方は… 1970年代後半の出版ですが、これまでに出版されたスパイ小説の金字塔です。 現在でもベスト10に入る、まったく色褪せない名作です。 孤島に流れ着いてからの怒涛のクライマックスは、手に汗握る興奮度100%。 ケン・フォレットはこの1作で永遠に名を残すでしょう。 | ||||
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週刊文春1980年 総合6位 MWA1979年 最優秀長編賞 スパイ小説といえば、ジョージ・スマイリー、チャーリー・マフィンを思い出してしまうのだが(ジェームス・ボンドもいるか)、本作品の主役、ヘンリー・フェイバーは、彼らとは違って、最強の敵として描かれている。大戦の趨勢を左右する証拠を自国のドイツに持ち込むべく、冷酷無比に殺人すら厭わず逃避行をつづけるフェイバーと、それを阻止しようとするゴドマリンとの頭脳戦がみどころ。フェイバーの運命を(結局は)決定づけてしまう冷え切ったルーシイとデイヴィッド夫妻、妻の死から立ち直れないゴドマリンの部下ブロックズなど、本筋にうまく絡めながらものがたりは進行していく。歴史の裏側の虚々実々を、ここまでものしている、29歳のケン・フォレット恐るべしというところか。ラストは、ホラーばりの緊迫感あり、いっき読みしてしまった。 ただ、ルーシィの”よろめき”は好悪がわかれるところ。ドナルド・サザーランド主演の映画は未見だが、内面をうまく描かないと安っぽくみえるかもね。 | ||||
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「大聖堂」のケン・フォレットのスパイ小説。 MWA最優秀長編賞受賞作で こっちのほうが「大聖堂」よりだいぶ前の作品だから、逆の紹介のほうが正しいのかもしれない。 こちらは第二次世界大戦末 ノルマンディー上陸作戦を巡るドイツスパイとMI5の攻防戦を描いた作品。史実をもとにしたフィクションという点では大聖堂と同じだが、こっちのほうが「史実をもとにした」部分が大きい。多視点で書かれていて「主人公」「主人公格」の人物が複数いるのも同じだが、とりあえず「主人公」と思われるドイツスパイ「針」には、かなり近いモデルがいるらしい。 この 「針」 が魅力的だ。 凄腕スパイだから当然でもあるのだが、ほんっとうに冷酷無比。「おれの顔なんか見るからだ」と次から次へとあっさりとヒトを殺していく。スパイらしく目立たない冴えない格好をしているにもかかわらず、女にはもてる。 対する MI5側に冒頭でリクルートされるのが、中世の大聖堂を研究している歴史の先生、ゴドリマン教授。ここで、「大聖堂」から入った私はついニヤリとしてしまう。 ヒトラーから絶大なる信頼を得ている「針」の任務は、連合軍の上陸地点が カレーかノルマンディかを探ること。連合軍側はドイツスパイの大半を二重スパイとして取り込み、おおがかりな情報攪乱作戦に出ているのだが、ヒトラーだけは直感的にそれがニセ情報だと感じている。その証拠を「針」が掴んでくれさえすれば、「正しい」地点に友軍をむけ連合軍を撃破できる。 現代に生きる読者は、結末を知っている。ナチスは負ける。D-デイは成功し、連合軍が勝利する。「針」の失敗は読者には最初からわかっているのだ。 後書きに、ケン・フォレットは後日 ハーレクインスパイ小説 と揶揄されるほどロマンスを書くとあった。「大聖堂」のロマンスシーン、ことに赤毛のジャックがお姫さまを口説くシーンは個人的にツボ直撃だったが、こちらはもっと即物的と言ってもいい。手練れのスパイらしくうぶな女を性的に篭絡していくくだり、なかなかに官能的だし、確かにねちっこくもある。だが、なるべくしてこうなったと思わせるところが、やっぱりスゴイところだろう。詳細を書くのは控えるが、クライマックスは興奮する。性的に ではない。そのあとだ。甘い官能シーンのあとだけに、気が高ぶる。これはやはり ラストバトルと呼ぶべきだろう。まさに決死の戦いなのだから。 「針」が勝つことは在り得ない。情報を無事ヒトラーに届けることは在り得ない。そう判っていてすら、手に汗握る。舞台装置も満点。 迷うことなく星五つ。 | ||||
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超が付くプロフェッショナルなドイツのスパイと、そのスパイが特A級の情報を本国に持ち帰るのを阻止すべく後を追うイギリス人達の話。スパイものの小説はあまり読んだ覚えが無いのですが、さくさく読めました。創元文庫は文字が小さくてびっちりとページが文字に埋め尽くされてるので、読むのに時間がかかるイメージですが(それが本を読んだ満足感を与えてくれて好きなのですが)、訳が読みやすく、話のテンポも良いからさくさく読めるのだと思う。史実と、歴史上の空想物語を上手く絡めてまとめ上げた良作だと思います。 | ||||
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物語に重要な人物がふたり登場する。 前半では切れ者のスパイの冷徹な判断力と行動に舌を巻く。 後半の、ふたり目の重要人物は女性である。 彼女と出逢ったところから彼の判断力は変調をきたし・・・ 島での後半部分が、最初から登場するスパイの視線で一貫して物語を描いてあれば かなり違った印象になったかもしれません。 つくづく、女って怖いですねぇ〜、と。 訳文が平易で、あっという間に読めてしまう面白いスパイ小説です。 | ||||
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本書は、アメリカにおけるミステリーの最高峰、「MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞」の’79年度ベスト・ノヴェル(最優秀長編賞)受賞作であり、日本では’80年、当時国内と海外両方併せてベスト10を選んでいた「週刊文春ミステリーベスト10」の第6位にランクインしており、オールタイム・ベストにも名を連ねる冒険スパイ小説である。 第二次世界大戦も終盤、ヒトラーの信任厚い英国潜伏中のスパイ、コードネーム≪針≫ことヘンリー・フェイバーは、連合軍の欧州進攻に関する極秘情報を入手した。彼はドイツへ自らそれを持ち帰ろうとする。前半はフェイバーが、袖に隠した錐のような小型の短剣、スティレットを必殺武器に、冷徹なプロ意識と酷薄さで英国情報部の追跡をかいくぐるスリリングな脱出行が展開される。 後半に入ると、嵐のためUボートと接触できず、北海の小島に流れ着いたフェイバーを助けたそこで暮らすローズ一家、とりわけ妻のルーシイが主役となる。彼女は新婚旅行中の事故で両足を失った夫と幼い息子と住んでいるのだが、鬱屈した日々を送っていた。フェイバーとルーシイは道ならぬ関係に陥るのだが、最後に手に汗握る対決をすることになる。 緊迫感あふれる防諜戦と活劇、ルーシイの視点で綴られる、絶海の孤島で静かに崩壊してゆく夫婦関係の微妙な心理の綾。この両者が巧みにあいまって、嵐の夜のクライマックスへとなだれ込んでゆく。本書を単なる冒険スパイ・アクション小説を超えた名作にしているケン・フォレットのうまいところである。 本書は、歴史の“if ”を、見事なエンターテインメントとして昇華させた傑作である。 | ||||
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K.フォレットの代表作。第2次世界大戦中のスパイ物だが、趣向の奇抜さで読む者を驚かせる。ドイツのスパイ「針」がイギリスの機密を盗むのはありきたり。「針」が帰りの航海で遭難し、ある島に漂着するのも平凡。しかし、その島に住む夫婦の妻と「針」が恋愛感情を持つようになってから話はおかしくなる。 これはラブ・コメディかと思わせておいて、「針」の正体が分かってからは二人の死闘が始まる。通常なら、奮戦している彼女に救いの手が差し伸べられるのが定石だ。ところが、最後まで彼女は一人で戦い、何と「針」を打ち倒すのだ。まさに"鉄の女"。そして最後に待っているエピソードが微笑ましい。そう言えば、この物語の語り手は...。 イギリス女性の鋼の強さに圧倒されるスパイ小説の傑作。 | ||||
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「The Needle」というコード・ネームを持つドイツのスパイは英国軍の対ドイツ工作の秘密を知り、本国へ警告を発しようとしている。一方、英国北部で満たされぬ生活を送っていたLucy Roseは「The Needle」に出会い、愛国心と欲望との間で板ばさみに…。Ken Folletのデビュー作にして彼の最高傑作と呼び名の高い作品ですが、「melodoramatically」等のチープな副詞・形容詞を安易に多用した原文は決して褒められたものではなく、明らかに表現よりはアイデアで勝った作品です。また、今回の「新約」なるものは旧訳と比べると離乳食的に簡易化されたものに過ぎず、大人層にのみアピールしているはずの後半のラブ・サスペンスを売り物にしている本作には相応しくない改訳だと言わざるを得ません。 | ||||
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