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騙し絵
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騙し絵の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.64pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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ミステリ・マニアのフランス人が対戦中捕虜収容所で書き上げた、といういわく付きのミステリ。 屋敷の見取り図が付いていたり、密室からの消失や、怪しげな導師、令嬢などいかにもな設定。ついでに、読者への挑戦が付いていたり、いかにもミステリマニアが喜びそうなギミックがいろいろ付いている。 全体としては、テンポが良く、退屈せずにどんどん読み進められる作品だが、いかにも持って回った言い回しや、ちょっと無理がありそうなトリックなど、クラシックな雰囲気のする作品になっている。今のがちがちな作品と比べると、どうしても見劣りするが、もっと軽い読み方をする分には充分楽しめる作品だと思う。 この作者の「幻」の作品は全3作で、同時期(1944年、1948年)のほか2作もあるようだが、出来れば読んでみたい気もする(難しいとは思うが)。作者のトリビアとしては、戦時中に捕虜収容所で書き上げた、というネタもすごいが、個人的には、外国のプレイヤーとチェスのやり取りを手紙でしていて、(その怪しい記号によるやりとりから)軍の情報部に目をつけられた、という方がインパクトがあると思う。 Marcel F Lanteaumeのボブ・スローマンシリーズ 『聖週間の嵐』 "Orage sur la grande semaine" (1944) 『騙し絵』 "Trompe L'il" (1946) 『十三番目の銃弾』 "La Treizime balle" (1948) その他、解説があるらしい。 ロラン・ラクルブ『九十九の密室』 "99 chambres Closes : Guide de lecture du crime impossible" de Roland Lacourbeフランス語以外の英訳とかないのかな。ていうか、この人の名前で検索すると、カーとか、『占星術殺人事件』とかがヒットするって、何それ。 | ||||
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ミステリ・マニアのフランス人が対戦中捕虜収容所で書き上げた、といういわく付きのミステリ。 屋敷の見取り図が付いていたり、密室からの消失や、怪しげな導師、令嬢などいかにもな設定。ついでに、読者への挑戦が付いていたり、いかにもミステリマニアが喜びそうなギミックがいろいろ付いている。 全体としては、テンポが良く、退屈せずにどんどん読み進められる作品だが、いかにも持って回った言い回しや、ちょっと無理がありそうなトリックなど、クラシックな雰囲気のする作品になっている。今のがちがちな作品と比べると、どうしても見劣りするが、もっと軽い読み方をする分には充分楽しめる作品だと思う。 この作者の「幻」の作品は全3作で、同時期(1944年、1948年)のほか2作もあるようだが、出来れば読んでみたい気もする(難しいとは思うが)。作者のトリビアとしては、戦時中に捕虜収容所で書き上げた、というネタもすごいが、個人的には、外国のプレイヤーとチェスのやり取りを手紙でしていて、(その怪しい記号によるやりとりから)軍の情報部に目をつけられた、という方がインパクトがあると思う。 Marcel F Lanteaumeのボブ・スローマンシリーズ 『聖週間の嵐』 "Orage sur la grande semaine" (1944) 『騙し絵』 "Trompe L''il" (1946) 『十三番目の銃弾』 "La Treizi'me balle" (1948) その他、解説があるらしい。 ロラン・ラクルブ『九十九の密室』 "99 chambres Closes : Guide de lecture du crime impossible" de Roland Lacourbe フランス語以外の英訳とかないのかな。ていうか、この人の名前で検索すると、カーとか、『占星術殺人事件』とかがヒットするって、何それ。 | ||||
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ドイツの捕虜収容所で執筆に励んだという変り種のフランス人本格ミステリー作家ラントームの代表作で幻の不可能犯罪ミステリーです。著者の3冊の作品が幻と呼ばれる理由は、発表当時の1940年代にファンの支持を得られなかった為で、近年ようやく再評価の兆しが見え始めているとの事です。訳者あとがきでフランスでは本格ミステリーが受けないのかと理由を推定して書かれていますが、私はそれだけではなく内容的にも少し問題が有るのではと感じました。 1888年から半世紀に掛けてプイヤンジュ家のダイヤモンド《ケープタウンの星》はどうにか盗難の危機を乗り越えて来たが、令嬢アリーヌが祖父から贈られ結婚披露宴の日にパリの屋敷で披露する事になった途端に、世界6か国の保険会社の派遣した警官が厳重に警備していたにも関わらずまんまと偽物とすり替えられてしまう。アマチュア探偵ボブ・スローマンが捜査に乗り出し怪事件の連続に苦しみながら最後に大胆な推理を披露する。本書には古典ミステリーの華である小道具、見取り図に時間表に不可能犯罪に読者への挑戦までついているというミステリー・マニアが泣いて喜びそうな設定なのですが、何故読後感動や盛り上がりが全然やって来ないのかというと、果してこんな危ういトリックに騙されるような無能な警官がいるのだろうか?という疑問が湧き、余りにもリアリティーに乏し過ぎるなと考えてしまうからです。本職の警官であればもう少し慎重に確認してしっかり行動する筈で、随所に推理の緩さや甘さが感じられます。聴衆が肩すかしを食らわせられた気持ちになり「木戸銭を返せ!」と叫びそうになる場面は抱腹絶倒のユーモア感があって面白く大好きですが、しかしやはり真面目に決めるべき所はピシッと決めて欲しいと思います。とは言え厳しく考え過ぎずにユーモアを楽しむ余裕を持って読めばそれなりに愉快な冒険風物語ですので一読してみてください。 | ||||
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ドイツの捕虜収容所で執筆に励んだという変り種のフランス人本格ミステリー作家ラントームの代表作で幻の不可能犯罪ミステリーです。著者の3冊の作品が幻と呼ばれる理由は、発表当時の1940年代にファンの支持を得られなかった為で、近年ようやく再評価の兆しが見え始めているとの事です。訳者あとがきでフランスでは本格ミステリーが受けないのかと理由を推定して書かれていますが、私はそれだけではなく内容的にも少し問題が有るのではと感じました。 1888年から半世紀に掛けてプイヤンジュ家のダイヤモンド《ケープタウンの星》はどうにか盗難の危機を乗り越えて来たが、令嬢アリーヌが祖父から贈られ結婚披露宴の日にパリの屋敷で披露する事になった途端に、世界6か国の保険会社の派遣した警官が厳重に警備していたにも関わらずまんまと偽物とすり替えられてしまう。アマチュア探偵ボブ・スローマンが捜査に乗り出し怪事件の連続に苦しみながら最後に大胆な推理を披露する。 本書には古典ミステリーの華である小道具、見取り図に時間表に不可能犯罪に読者への挑戦までついているというミステリー・マニアが泣いて喜びそうな設定なのですが、何故読後感動や盛り上がりが全然やって来ないのかというと、果してこんな危ういトリックに騙されるような無能な警官がいるのだろうか?という疑問が湧き、余りにもリアリティーに乏し過ぎるなと考えてしまうからです。本職の警官であればもう少し慎重に確認してしっかり行動する筈で、随所に推理の緩さや甘さが感じられます。聴衆が肩すかしを食らわせられた気持ちになり「木戸銭を返せ!」と叫びそうになる場面は抱腹絶倒のユーモア感があって面白く大好きですが、しかしやはり真面目に決めるべき所はピシッと決めて欲しいと思います。とは言え厳しく考え過ぎずにユーモアを楽しむ余裕を持って読めばそれなりに愉快な冒険風物語ですので一読してみてください。 | ||||
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まずおもしろいのがこの本の成立過程。第二次世界大戦時にドイツの捕虜収容所で本格ミステリマニアのフランス人が暇つぶしに書いたミステリだ というのだから驚いてしまう。そこで彼は素人探偵ボブ・スローマンを主人公にしたミステリ三作品を書いた。本書はその中の二番目の作品という わけなのだ。で、本編はどうなのかというと、ダイアモンドが消え、密室から人が消え、大きな乗り物まで消失してしまうという大盤振る舞い。い やはや、この捕虜さん筋金入りのミステリマニアだなと感心してると、あの黄金期ミステリには付き物だった『読者への挑戦』がはさまれ、妙に興 奮してしまう。それから展開される解決編は、もっともらしい三つの仮説が披露された上で本命の登場。いやあ、わかってるね、やはりミステリは こうでなくちゃいけません。真相自体はさほど驚くものでもないのだが、全体から受ける印象が素晴らしいので、それでもいいかと思ってしまう。 探偵が没個性的なキャラなのが玉に瑕だが、本書はなかなかの掘り出し物だと思った。いやあ創元さん、いい仕事してます。 | ||||
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まずおもしろいのがこの本の成立過程。第二次世界大戦時にドイツの捕虜収容所で本格ミステリマニアのフランス人が暇つぶしに書いたミステリだ というのだから驚いてしまう。そこで彼は素人探偵ボブ・スローマンを主人公にしたミステリ三作品を書いた。本書はその中の二番目の作品という わけなのだ。で、本編はどうなのかというと、ダイアモンドが消え、密室から人が消え、大きな乗り物まで消失してしまうという大盤振る舞い。い やはや、この捕虜さん筋金入りのミステリマニアだなと感心してると、あの黄金期ミステリには付き物だった『読者への挑戦』がはさまれ、妙に興 奮してしまう。それから展開される解決編は、もっともらしい三つの仮説が披露された上で本命の登場。いやあ、わかってるね、やはりミステリは こうでなくちゃいけません。真相自体はさほど驚くものでもないのだが、全体から受ける印象が素晴らしいので、それでもいいかと思ってしまう。 探偵が没個性的なキャラなのが玉に瑕だが、本書はなかなかの掘り出し物だと思った。いやあ創元さん、いい仕事してます。 | ||||
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