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雁の寺
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雁の寺の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.27pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全30件 21~30 2/2ページ
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直木賞くらいは全部読み終えて死にたい、と言う動機で。昔の作家や作品はいい | ||||
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水上勉氏の「雁の寺」は昭和八年の頃のお寺での設定である。主人公の小僧が抱えていた無明や社会への不満が、住職に対する殺人へ拡がっていく。昭和八年の段階で中学校にまで軍事教練が課されていたのは、驚きである。臨済宗のお寺の修行僧が、住職を殺すという、修業とは正反対の結果が描かれており、その恐怖は檀家の葬式にかこつけて、棺の中に殺した住職の死体をもう一体隠して葬ることで、一層なまなましい実感として襲ってくる。その修行僧の心の様々な鬱屈とした憎しみが、殺意となって闇を駆け抜ける。乞食の母の私生児という不幸な出生、肉体的なコンプレックス、軍事教練と寺の修行の苦しさ、そう言った苦しみが得体の知れない憎悪となって、住職を襲うのである。その救い難い殺意に、修行の空虚を読みとる者もいるだろう。この得体の知れない闇は無明そのものである。しかし、仏縁とは不思議なもので、「雁の寺」で作家として認められ、後年水上氏は病に倒れ、少年時代に修行した禅寺の食事法を摂るために軽井沢に移っている。 「越前竹人形」は泥に咲く蓮の花のように、苦涯に身を堕した女が、竹細工の職人に救われて、薄幸な人生を終えるのを、哀しくも美しい物語として描かれている。人間の業の深さを思い知らされると同時に、人間の美しい情愛溢れる物語である。 | ||||
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慈念がかわいそうで心が痛みました。 自分のルーツを探してさまよう少年の物語 | ||||
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暗すぎます。 饑餓海峡から始まった水上ファンにもおすすめできない。 | ||||
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水上勉の直木賞受賞作「雁の寺」と、それに続く三編。異形の少年僧、慈念の苦悩の半生を描く連作小説。 表題作はある意味完結した本格短編ミステリーだが、全作を読み通すと、愛を求め、狂い、怯え、そして裏切られる慈念の悲劇の物語。ただ、雁たちのみが、その悲しき運命を見つめ続けていた。 著者自身、少年時代に寺に預けられ脱走を繰り返す過酷な体験をしており、煩悩と打算に塗れた住職たちの生活、世間から隔てられ孤独と歪んだ欲望に苛まれる修行僧の心情、昭和初期の若狭の寒村の貧しき風土、いずれもリアリティを持って迫ってくる。 | ||||
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2時間ドラマでおなじみの山村美沙サスペンスと同列に考えてはいけないが、この『雁の寺』も京都を舞台にしたサスペンス・ドラマだ。イメージとしての京都は、どこか閉鎖的で排他的。奥まったところにある寺では、何かが起きそうな予感さえする。(あくまで私のイメージだが) 戦前の昭和初期のころが舞台。寺には独身の中年住職と13歳の小僧がいて、そこに女が加わる。修行僧の時からずっと独身を通して来た住職には、長い間の禁欲生活から解放された激しさがあり、朝も昼も女を求める。だが、そんな房事を秘かに覗く者が・・・とまぁこんな展開だ。 この小説は冒頭のところからしてサスペンスらしいストーリーを展開してくれる。日を置いて続きを読むような悠長な読書はしていられず、わき目も振らずページをめくりたくなる隠微な世界が広がる。 作中、問題を解決しようとする刑事もいなければ、探偵なども出て来ない。事件は起きたまんまになってしまい、真相は藪の中だ。 そのせいかどうか、この小説の背景は暗く、狂信的な孤独さえ感じられる。犯人がすぐに誰なのか分かってしまうだけに、意外性のようなものは感じられないが、じゃあ一体なぜ犯行に及んだのかという理由は謎だ。おそらく時代性とか、登場人物(この場合、犯人)の出自が大きく影響しているに違いない。 『雁の寺』という小説には、底知れぬ鬱積した怨念を感じ取らなければいけないのかもしれないが、今を生きる私たちは“サスペンス・ドラマ”として読むのが一番適しているような気がする。著者である水上勉も、平成を生きる若い世代に、過去の喪失を汲み取って欲しいなどとは望んでいないに違いない。 既成のミステリー小説に少々飽きて来た方、この作品では本物のミステリーを味わうことができる、かも。 【余談】新潮文庫の『雁の寺』は、『越前竹人形』と2本立てになっている。こちらもかなりイタイ小説。 | ||||
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鴈の寺は『金閣炎上』とのパラレルでもあり、これらは筆者にとっての寺ないし俗物坊主という存在への復讐なのかな、と感じました。描かれない主人公の心情は、それを吐露することがあまりに赤裸々だったからではないかと。越前竹人形は、一転して客観的で史実的な、でもただただ物悲しい物語りで、最後には竹人形が土間に一つ転がっているシーンがイメージできるような仕立てでした。 | ||||
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初めて読んだ水上勉の作品で、読み始めてすぐにその古典的なスタイルと情趣あふれる物語に一気に引き込まれた。元々が大衆作家で純文学にしては比較的紋切り型の展開の仕方をしているとも言えるが、著者の誇張のない淡々とした文章は物語により一層の哀切な雰囲気を加えきれいな仕上がりになっている。 二編に共通しているのは、どちらも悲劇的な女性をベースにしいた哀切きわまる物語だということ。女性関係が非常に複雑でメロドラマの様でもある。物語上ちょっとくどいところもあるが、特に傷にもなっていないと思う。 雁の寺は寺の小坊主が複雑な心理から殺人事件を引き起こす過程を描いた物。最初から登場人物が少なく、直木賞受賞という割には話の筋が見え透いているものの、悲劇的な物語が展開していくにつれ魅力が増していき話の中に引き込まれてしまう。越前竹人形にも同じ事が言えるが、(読み切る前に挫折する人も居そうなぐらい)地味な伏線を経てラストシーンでしみじみとした哀切きわまる描写に帰結していくのが読んでいて素直に情に訴えかけられてきて感動した。 特に越前竹人形はお勧め。父が恋慕した女性への憧憬から一心に竹人形を作る男の陰で繰り広げられる女性の悲劇的な過失。苦難を乗り越えた後に罪のない幸せな描写から突然訪れるラストシーンは涙を誘う。 感動的な二編。是非こういった物が好きな方はもちろん嫌いな方にも是非読んでいただきたい。 | ||||
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3回読みました。 主人公玉枝が喜助に対して注ぐ哀しいまでにひたむきな愛情〔恋情〕に本来の日本女性の姿を見た思いがしました。また、最後は哀れな結末で終わるのですが、その玉枝に「頑張れよ、負けるなよ」という作者の声が作品全体に響いているような気がします。 | ||||
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「シネマきもの手帖」に紹介されていた映画の原作として読みました。が。人物には感情移入できないし、場面の色や匂いも感じられない。出来事が積み上げられているだけ。私には水上文学を味わう舌がないようです。■雁の寺前の旦那である住職が死んだため、女はその親友の住職にかこってもらう。寺の見習僧は恵まれぬ境遇にじっと耐えて暮らしている。■越前竹人形竹細工職人の父の墓参りにきてくれた女性を訪ね、父の遺した竹細工人形とまみえる。 | ||||
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