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ダンス・ダンス・ダンス



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ダンス・ダンス・ダンスの評価: 4.38/5点 レビュー 134件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.38pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全116件 21~40 2/6ページ
No.96:
(5pt)

やっぱり「多崎つくる〜」よりは

「多崎つくる〜」ほどは洗練された印象はなかった。でもその代わり会話の面白さやユーモアが盛り込まれていて楽しかったです。
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)より
4062749041
No.95:
(5pt)

壮大な独り言かな

ちょっとした事情があって、ここのところ村上作品をデビュー作から読み続けているのだけど、本作はこれまでとは違う意識で読んだ。
それはその昔、本作で村上作品を読むのを休止したからで、その理由を思い出すという理由からだ。

上巻は普通に面白く読んでいたけれど、下巻を読んで思ったのは、あーあの頃のわたしは、「僕」と同様に物語の展開に混乱していたのだろう、加えて、失う/失われることにばかり心をもっていかれていたのだろう、ということ。
今読むと、本作で「僕」はちゃんとケリをつけたのだねと感じるけど、あの頃はそんなことに思い至る余裕はなかったのかな。

『世界の終わりと~』のリブートであるようにも思う。
「世界の終わり」と「ハードボイルドワンダーランド」とふたつに分けなければ書けなかった思い/認識をひとつの物語にする。

壮大な独り言かな、とも思う。
子供であったり、周りに合わせていたり、独善的であったりした自分を登場人物たちに語らせ、自らを見つめ直し、そして自分なりのステップで進もうとする。
進む決意をする。
あの頃のわたしは進む決意ができなかったのかもなあ。
ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)より
406274905X
No.94:
(5pt)

本作で村上作品を読むのを止めたはずだ

『羊』のその後。
それまでの小説の登場人物も出てくる。
これまで通りのテイストに、スティーブン・キングを思い出させるモダンホラーな感じも加わって、面白く読み進める。
相変わらず、登場する女性は(わたしには)魅力的だし。
でも。
たしか、本作で村上作品を読むのを止めたはずだ、あの頃のわたしは。
どうしてだろう。
三部作+『ノルウェイ』での事柄の積み重ねで辛くなったのだろうけど、全く理由を覚えていない。
そんな興味もあって、いろんな意味でドキドキしながら下巻へ。
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)より
4062749041
No.93:
(5pt)

【現代的悟り】どこを現実にするか

夫に勧められて[上下]読みました

大傑作でした!!
内容はむしろ新しいです
皆さんが仰るとおり【羊をめぐる冒険】を先に読んだ方が良いと思いますが、
私はこれで先に[村上春樹デビュー]させました

―――――――――
◎高度資本主義社会での[平凡]と[悟り]
◎[本心]と[天性]の葛藤
◎[現実]と[イメージ(深層界)]の違い

こういったことが丁寧に描かれています
[社会の汚さ]や[性描写]も盛り沢山ですが、
人生に一度はこういう濃い本ぜひ読んで頂きたいです

―――――――――
私事になりますが、近年まで限界にダンスしてました
残りの1%まで[イメージ]に傾向しかけたとき、
運良く[この世]と結んで生還してるのですが、朝起きるたびに不思議な心地です
私の場合は小学高学年から潜っていたので、そこへは15年程度かかりました
孤独で惨めな半生でしたが、情報過多な現代では特に必須過程だったように思います
[地上]に出てきたときに不幸になる行為だけはしないよう死守しました
また[敵(苦)を知って][環境を変える]などの現実的な手段はとても大事だと実感してます
【苦】を感じるのは新たな敵(ストレス)が出ただけで、かわすか解決するか選べます
ぜひこの本のラストに注目してください、お楽しみに
(エントロピーの法則もぜひ検索してください)

皆さん人生前半に必ず直面することです
普遍的な人間の成長過程を見事に描いてる
だから[自分だけ辛い][自分だけ悟った]なんてことはありません
[地上]では大きな波はない人、真っ最中な人、乗り超えて生還した人で共同生活してるが
【孤独で当然】【不平等で当然】。人は一人一人[人類初]として生きているのを実感します

母親アメが「血の繋がった友達が欲しい」という理由で子どもを産んでるが
その子どもが無事ダンスを終えて安息に辿り着くかどうかっていう、心配ないのかしら
私はその点で未産のままですが
出産に名答はありません
この[地上]は先代より何らかの希望で[75億人]も築いてる
先のことは分かりませんが、とりあえず[生きてみて][自他の為になること]して[地]に[足]をつけてみるのが愛に応えることな気がします

ありがとうございました

――――――――――――――――――――
<おすすめ関連>
[本]シッダールタ(ヘルマン・ヘッセ)/草思社/(訳)岡田朝雄
[映画]インセプションー「地上」~「第三深層」・「虚無」ー
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)より
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No.92:
(4pt)

急旋回する物語

下巻に入って物語はかなりシリアスな方向に進みます。13歳の少女を諭す主人公の言葉には重く厳しい真実があります。
そして、ハワイのオフィスビルでの白骨のイメージは鮮烈です。時を経て紡がれたさまざまな作品の中での「あちら側の世界」と比べると、短い描写ではあるのですが、それにもかかわらず強い印象を与えるものでした。
ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)より
406274905X
No.91:
(5pt)

いいね

「高度資本主義はあらゆる隙間から商品を掘り起こす。幻想、それがキーワード。」 この部分が上下巻あわせて一番いいと思いました。
 この本は世にも奇妙な物語で放送されそうな物語です。ミステリーなのかな?上下巻で750ページくらいありますけど、かなり読みやすく難しい表現もないのでとても読みやすいです。
ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)より
406274905X
No.90:
(5pt)

羊をめぐる冒険の主人公の再生と成長を1980年代の時代と共に描いた物語の傑作前編

前作羊をめぐる冒険で29歳の時に妻に離婚され、半ば悪魔に殺される形で友を失った主人公が34歳にして、再び自分を取り戻し、成長して行く傑作小説の前編。

世界で最も読まれる日本人作家の作品の懐(井戸)は限りなく深い。

以下に本初からキーワードを記します。

前作と合わせて、多くの方に読んで頂きたいです。

~~~キーワード~~~

結び目
繋がり


ホテルの精
心の震え
感情の波
考え方の違い
生き方の違い
孤独
時空が混乱
宇宙の神秘
高度資本主義社会
次の戦争
システムが出来上がっちゃってるの。この社会が嫌なら大地震でも待ってるんだね
地球の終わり
マクドナルドを初めとするジャンクフード(の侵略)
自分が何を求めているか明確にしなくてはならない
今は語るべき時
実態のある時間
主体的な選択
三島、トルーマン・カポーティ
スターウォーズ、理力があなたとともにありますように
本当にいいものは少ない
機械も気持ち良くなったり、頭に来たりする
娼婦のキキとメイ(宮崎駿作品の登場人物名とのシンクロ)
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)より
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No.89:
(5pt)

羊をめぐる冒険の主人公の再生と成長を1980年代の時代性と共に描いた物語後編

前作羊をめぐる冒険で29歳の時に妻に離婚され、半ば悪魔に殺される形で友を失った主人公が34歳にして、再び自分を取り戻し、成長して行く傑作小説の前編。

世界で最も読まれる日本人作家の作品の懐(井戸)は限りなく深い。

以下に本初からキーワードを記します。

前作と合わせて、多くの方に読んで頂きたいです。

~~~キーワード~~~

心の交流、精神的なつながり
泣く(大切さ)
成長するしかない

星まわり
何か外の大きな力に操られている
魔がさした
遺伝子
こちらの世界
あちらの世界
時間的空間的移動
耳を澄ませば求めているものの声が聞こえる
目を凝らせば求められているものの姿が見える
僕はひとりぼっちになりたくないんだ
光と闇
人間の意識というは深い闇の中で生きている
袖振り合うも多生の縁
生命の核
一生に一度
調和と静けさ

神話的世界
永遠のアドレセンス
何かと一人で抱え込むのは辛いこと
どんなことだって起こり得る。この世界は脆く、そして危ういのだ。この世界ではあらゆることが簡単に起こり売るのだ。
ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)より
406274905X
No.88:
(4pt)

あなたは、月に住んでるのだね。

「羊をめぐる冒険」 から 続いている物語のようだ。
いるかホテル に 行く僕。僕にとっては いるかホテルが 何らかの出発点になる。
1983年3月 という時間が 物語の枠組みとなる。僕は 34歳になっていた。
付き合っている彼女は 電話局に勤めていて、時々 僕の家にとまりに来た。
彼女の乳房が僕のわき腹に 触れることを感じながらいろいろな話をする。
僕は 月に住んでいるヒトだと 彼女は言う。
そして 彼女は 地球に住んでいるヒトと結婚するために、別れるという。
僕は なすすべがない。薄い空気の中ですんでいる僕は どこに向かうのか?
羊男が 配電盤の役目をしている。僕につながっているものが、キキ。
キキは羊をめぐる冒険では 耳の女として登場する。
キキにつながるのが 同級生の五反田君 そしてメイ。
ドルフィンホテルから つながっていくのが、ホテルの精 ユミヨシさん。
13歳のとびきりにきれいで 霊感の持ち主の ユキ。
ユキにつながっていくのが 天才カメラマン アメ と 片腕の詩人。
そして 小説家 牧村拓 書生 フライデー
どうして つながっていくのか?なぜつながるのか?
そのことが テーマ となっている。
高度に発達した資本主義の持つ 特性が面白いように書かれている。
言いたいことは、ツナガッテイル ということだ。
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)より
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No.87:
(5pt)

村上春樹のターニングポイント的作品

この本は、確か「ノルウェイの森」と同時期に出版されたと記憶しているが、間違っていたらすいません。内容は、鼠3部作「風の歌聴け」「1973年のピンボール」「羊を巡る冒険」の何年か後に出版された完結作であり、また彼の最高傑作である「カササギ鳥クロニクル」の序章であると思っている。作品自体当時は余り話題にならなかったが、村上春樹のキャリアの中でもターニングポイントになった作品である
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)より
4062749041
No.86:
(5pt)

神が細部に宿る村上作品

村上春樹が新訳を出しているチャンドラーの作品がそうなのだが、全体的なストーリーは忘れてもある場面やらセリフが印象的でいつまでも心に残る、そういう作品だと思った。個人的に印象に残ったのがディック・ノースの死に接して後悔を口にするユキに対しての主人公の言葉。まるでチャンドラーが創造した名探偵フィリップ・マーロウが言ったかのような名セリフだった。「後悔するくらいなら君ははじめからきちんと公平に彼に接しておくべきだったんだ。でも君はそうしなかった。だから君には後悔する資格はない。全然ない・・・」このセリフに出会えただけでこの作品を読んだ価値があると思ったし、読む人それぞれにそんな名場面、名セリフがあるのではなかろうか。波長が合う人に限られるかも知れないが。
 村上春樹の作品は細部に神が宿っているのだ。
ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)より
406274905X
No.85:
(5pt)

スタイリッシュで諧謔に富んだ文章で、70年代から80年代への転換を描いた傑作

実はチャンドラーの新訳で興味を持ち、「ノルウェーの森」など数作品しか読んだ事のなかった村上春樹を初期の作品から読み直している。その結果、ハードボイルドでスタイリッシュな文章に共通点があり、なるほど村上春樹がチャンドラーを訳したかったわけだと納得した。
 やはり村上春樹もスタイリッシュで諧謔に富んだ文章が一番の長所で、慣れると読んでいてとても心地良い。個人的にはその慣れ故であろうが、初期三部作の中でも本作が最も読み易く傑作と思った。村上春樹は私と同世代なので、70年代から80年代への転換を扱った内容も共感を覚えるところが多いのも確か。もちろん作中人物のような優雅な暮らしやハードルの低い性生活なんか私には無縁だったけど、それでもあの時代の感覚は確かによくわかるのだ。高度経済成長期に入って、大量生産の物資で皆が豊かだが画一的で没個性な生活に変わり、古き良きものは捨てられる。そんな時代を描いているので、初期三部作や本作は若い世代には面白くないだろうと思う。
 いずれにしても個人的に極めて波長が合ったこの作品、まだ上巻だけど満点評価としたい。
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)より
4062749041
No.84:
(4pt)

バブルの日本から、一歩離れて書かれた傑作

だいぶ以前に読んだことがあったのだが、こうしてレヴューを書こうとして、再読してみた。記憶では、佐々木マキさんの表紙の絵のせいもあったのか、明るい小説だと思っていたのだが、読み返してみると、だいぶこの表紙の印象から離れていると感じた。まず多くの人が亡くなり、そして次々と起こる事件に対して、主人公である“僕”は、まるで迷える羊のようである。それでも最後には、身近にいる人に救われる、少なくともそのような感触を読者に与えるエピローグが置かれている。

1988年10月にこの作品は、発表された。この時代の日本は、バブルの最盛期であった。ところが当の村上さんは、はっきりとその理由を文章にしている訳ではないのだが、1986年からヨーロッパに移住してしまったのだ。つまり日本のバブルに全身が浸っていたのではないのが、この小説の不思議なところである。日本を舞台にしていながら、ハワイも登場するけれども、当時の日本の異様な光景を仔細に反映しているのではない。

全般に暗い内容の小説だけれども、当時の日本から離れた雰囲気であることが、救われることに繋がっているのかもしれない。
ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)より
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No.83:
(4pt)

バブルの絶頂へ向かっていた日本に居たなら、書けなかった小説

1988年10月にこの作品は、発表された。前作の「ノルウェイの森」も上下2巻で、この作品も上下2巻であることは同じだ。けれども内容については、大きく異なる。「ノルウェイ……」が、それまでの村上さんの作品の傾向から外れているのに対して、この「ダンス ダンス ダンス」は、「風の歌を聴け」、「1973年のピンボール」、「羊をめぐる冒険」所謂前記3部作の主人公をはじめ登場人物の多くを継承している。けれども前期3部作と異なって、規模は大きく、やはり「ノルウェイ……」で培った村上さんの能力を発揮している。

1988年と言えば、1949年の村上さんにとっては30代最後の年である。ところで村上さんはヨーロッパ滞在時の様子を描いた「遠い太鼓」で、「ノルウェイ……」を書いている時には“自分の骨を削ぐような思いをして”と書いていた、と記していたように記憶している。それに対してこの「ダンス……」については、楽しく書くことができた、と表現していたように憶えている。

日本はこの作品が書かれた1988年当時、バブルは最盛期に向かっていた。この小説には、そんなバブルの渦野中にあった日本とは無縁ではないだろうか?もし村上さんが日本に留まっていたら、こんな小説を書くことはできなかっただろう。ただ、”ドルフィン・ホテル”をめぐる土地の価格の高騰の仕組みを描いた週刊誌の記事にについては、当時の日本のあちこちで見られた現象が、「地上げ」と呼ばれたのだが、垣間見えている。やはり村上さんも、日本の陥った不思議な事態に気がついていたのだろう。
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)より
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No.82:
(5pt)

バブル神話の崩壊。僕たちはステップを踏み続ける。

バブル景気は、80年代の終りにピークを迎えました。
その直後に、私たちの社会は狂気に満ちた崩壊へと自ら飛び込んでいきます。
[ダンス・ダンス・ダンス(下)」では、一人の男の哀しい結末を通じて、時代の狂気に迫ります。

【高度資本主義社会の神話】
ポストモダンと呼ばれた思想は、もはや過去の思想のような社会批判の力を失っていた。

「哲学はどんどん経営理論に似ていった。」

無駄が美徳とされ、矛盾が経済を活性化し、ますます社会は高度化していく。

「誰も必要としていないものが、必要なものとしての幻想を与えられるんだ。」

私たちの追い求めたものの正体は、メディアが作り上げた実体の無いイメージでした。

【ハワイの白昼夢】
一時的な休息のつもりで訪れたホノルルのダウンタウンで、主人公は「死の部屋」に辿り着いた。

「青い闇の中に六体の骨がぼんやりと白く浮かんでいるのが見えた」

混迷した社会を遠ざけることはできても、死の絶望から逃れることは誰にもできない。

【五反田君の告白】
おそらく解離性の精神疾患を負った彼は、なぜ自分がキキを殺したのかが分からないと告白する。

「何故僕が彼女を殺さなくちゃいけない?でも殺したんだよ、この手で」

人生における全ての矛盾を抱え込んだまま、彼は自ら命を絶った。

この悲劇の結末にある種のカタルシスを感じるのは、彼が私の身代わりであるからかもしれません。
あの時代に自分の中の「狂気」を隠蔽して生きてきた、もう一人の私自身のように思えるのです。

【キキの夢】
「あなたは自分の影法師をパートナーとして踊っていたのよ」
「私は死んでいない。もう一つの別の世界に移るの」

死に至る絶望を前提とした私たちの欲望は、決してこの社会で実現することはないのかもしれない。
もしそうだとしても、私たちの生の枠組みは乗り越えることができることを、キキは伝えようとします。
その可能性を信じることが出来れば、この不完全で偶発的な日常を受け入れ、
ダンス・ステップを踏み続けることが出来るのかもしれない。
それは誰にでもできる簡単なことだ、とキキの言葉を通じて作者は語りかけます。

多様な解釈が可能な読み応えのある作品でした。
この作品の感動が、世代や地域を超えて全ての読者に伝わることを願います。
ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)より
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No.81:
(5pt)

人生の不確かさを感じる作品

本書を読んで感じたのは、今の生活がいかに安定しているように見えても、実は不確かで脆く儚いものであるということだ。

本書の主人公の「僕」は、人間的には思いやりがあり、独特のユーモアもあっていい人物と思うのだが、妻には月に住んでいるような人と言われ離婚され、30代半ばの独り身だ。「僕」は過去から人との別れを繰り返して来たようで、その度に自分の中の一部を失い、自己の存在が希薄化していったような感覚を持っている。

そんな彼が、過去、特別な体験をした札幌にある「いるかホテル」に戻るところから本書の物語はスタートする。ところが「いるかホテル」は最新のホテルに立て替えられ、以前の面影はなく、戸惑う「僕」が出会った、ホテル受付の「ユミヨシさん」、13歳の美少女「ユキ」、中学の同級生で久しぶりに再会した映画スターの「五反田君」と少し不思議な、でもなかなか素敵な関係を築くが、それは常に不安定で壊れそうな危うさが常につきまとう。

そして、物語は主人公がタイトル通り、ダンスのステップを踏むように軽やかに進み、エンディングを迎えるわけだが、この結末をどう考えれば良いのかしばし考えてしまった。「僕」にとって心の安らぎのある安定した場所に辿り着いたと考えてよいのだろうか?そうであってほしいと願いながら本を閉じた。
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)より
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No.80:
(5pt)

80年代をめぐる冒険

本作は青春3部作の一つである「羊をめぐる冒険」の続編となっています。
「羊をめぐる~」では三島由紀夫の自決や浅間山荘事件をモチーフとして、
70年代に蔓延したイデオロギー幻想を葬ることで一旦幕を閉じました。
高度資本主義社会を迎えた80年代を舞台に、時代の病理を探る冒険が再び始まります。

【フロント係の女の子】
誰も真剣に愛せなくなってしまっていた僕の前に、ユミヨシさんが現れた。
僕は彼女に好意を感じているが、その先に踏み出すことを躊躇している。
「何処にも行けないだろう。たぶん僕がもっと失われるだけのことだろう」

【羊男との再会】
巨大な建物に生まれ変わったドルフィンホテルの片隅で羊男に遭遇した。
「踊るんだ。踊り続けるんだ。何故踊るかなんて考えちゃいけない。」
羊男は僕に何かを教えようとしている。

【13歳の女の子】
ユキは僕が少年時代に味わった切ない気持ちをよみがえらせてくれる。
「でも、13歳の時の僕はそれほど幸せな少年ではなかった。」

【五反田君】
「本当の自分というものがわからなくなる」「致命的なんだ」
時代の寵児となった彼の告白には、何か深刻な問題が隠されている。

【コミットメントする僕】
主人公が出会う奇妙な人たちはみな謎めいていて、いろんな物事がカオスとなって僕を包み込む。
そもそも私たちは、不完全で偶発的で受動的なコミュニケーションの世界に住んでいる。
「我々がこの肉体の中に存在している限り、永遠にそうなのだ。」

下巻では登場人物の秘密が解き明かされ、主人公を取り巻く世界が開示されていきます。
それはあのバブルで狂乱した時代に隠れた、もう一つの現実のように感じます。
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)より
4062749041
No.79:
(4pt)

本の汚れ、破損状態について

今回初めて中古本をオーダーしたのですが意外と本がきれいでした。ありがとう
ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)より
4062749041
No.78:
(5pt)

《いわし》という名の猫。

僕も主人公の真似をして《いわし》って名前の猫を飼ってました。
2年前の4月29日の朝に死んじゃいました。
音もなく雨が降る竹やぶにシャベルで穴を掘って埋めました。
ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)より
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No.77:
(4pt)

ラストが良かった。

ハラハラドキドキのラスト手前。そしてラストは良かった。最期に救いのあるベートーヴェンの曲のように。まるでベートーヴェンの「エグモント序曲」を聴いているようだった。
ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)より
406274905X

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