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ノルウェイの森



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ノルウェイの森の評価: 3.82/5点 レビュー 812件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.82pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全558件 381~400 20/28ページ
No.178:
(4pt)

登場人物それぞれにしっかりとした世界観がある。

10年くらい前に読んだときには、この本が絶賛されている理由が全くわからなかった。
しかし10年の間に私も変わり、時代も変わった。
今回改めて読むと、登場人物を通じて表現されている村上春樹の頭の中がわかった気がした。
小説家は自分の中にある志向、思考、嗜好などを作品に投影させるために
どんな人物にどんな経験をさせ、どんな性格で色づければ代弁させることが出来るかを考える。
一作品に、その時の作家の持てる全てを投影させることが、傑作へとつながるのだと思う。
この話には、少なくとも五人の自殺者が登場するが、そんなに身の回りに自殺した人がいるなど滅多にないだろう。
しかし、あり得ないような設定だとかそんなことはどうでもいい。
村上春樹は赤と緑の表紙に飾られた本作を出版する際、100%の恋愛小説だと
言ったらしいけれど、恋愛軸だけでなく、様々な「軸」を持った作品だと思う。
登場人物一人ひとりについての小説もまた存在しうるはずだ。
それほど人物には厚みも、深みもあるように思えた。
深読みはいくらでも可能な作品だ。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.177:
(5pt)

そういえば

大学生当時、村上春樹が大好きで、
村上作品も翻訳も全部読んでしまったので、
しかたなくヘミングウェイの短編をバスの中で読んでいたら、
友人に「そういう本読むヤツって大嫌い」と言われたことがあります。
別にただの外国文学じゃん、と思ったけど、
たぶん村上春樹が嫌いって人は
そういう感覚なんだろうな。
劣等感を刺激される感じ。
僕は好きですよ。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.176:
(5pt)

「時代と寝た小説」シリーズ、1969年日本版。

いわゆる「時代と寝た小説」シリーズ、1969年日本版とでも言うべきでしょうか。
八年ぶりに読み返したのですが、ページをやたらめくらせる小説なんだなと、実感しなおしました。
この本で一番おっくうなのは最初の十数ページです。
第一章でヒロインと主人公の関係の話で引き込まれたら、後は一気にいけると思います。
その辺はミリオンセラーですから、ばっちり出来上がってます。
基本的には恋愛メインの青春小説で、成長やら未来への不安やらと、使用され続けて擦り切れてアカギレできそうな程定番なテーマを扱ったものですが、1969年の日本という時代・場所と上手く折り合いをつけているので、何だかクラシカルな感じがします。
ちょうど、「華麗なるギャツビィ」(作中にも何度か出てきます)と1920年代アメリカのように。
まだ二十歳になったばかりという方よりも、二十代後半以降の方に、是非。
新宿西口が原っぱだった頃のストーリーに共感は抱けなくても、十代・二十代の恋愛は、苦いだけのチョコレートに粉砂糖をまぶしたようなものだったと思い出させられるのは、ある意味で悪くないと思いませんか?
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.175:
(4pt)

とりあえず

とにかくこの小説に関しては、村上春樹の過不足ない流れるような美しい文章と、
分かったような分からんような(時には全く分からん)比喩表現を楽しめばいいんじゃないでしょうか。
それだけでこの小説には充分な価値があると思う。少なくとも星四つくらいの価値は。
ノルウェイの森 下 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 下 (講談社文庫)より
406274869X
No.174:
(5pt)

ほかの作品とは少しちがうものだと思う。

村上春樹は全ての作品を愛読しています。
この小説は、ほかの村上春樹の小説と少し違うところがあると思う。
過ぎ去られたものや失われたものをみつめている時や、
その中にまだ含まれている自分の描写の中に
村上春樹自身もいるのではないかなあ、と感じることが多くある。
とても正直だから。
文章が、正直すぎて、ほかの彼の文章とは違って、少しいたいのだ。
なんというか、彼がこの作品を書くときに、自分の心に沿って書いていったのではないかな、と思う。
もう何かを失ったあとに、それが何だったかを、時間をかけてゆっくりと理解していくようで、とても哀しい。
たまらなく哀しい。
「いろんなことを気にしないで下さい。
 たとえ何が起こっていたとしても、たとえ何が起こっていなかったとしても、結局はこうなっていたんだろうと思います。」
本当にそうなのだろうか?
少しでも自分が何かが損なわれていくのを見過ごしていたのなら、
そしてそれによって親愛なる誰かを少しでも傷つけていたのなら。
そういうことを気にしないということは、
自分と周りの様々な事物との間に少しの距離を置きながら生きるということの中に含まれるのではないか。
この小説を読むたびに、
損なわれたもの、損なったものを見つめながら生きていくことほど哀しいことはないんじゃないかと思う。
死者は死んだままということだけが私たちの頭の上につよく決定されていて、
私たちは、しばしばその決定事項は残された人間が生きていくことよりも大きいんじゃないか、と感じる。
でも違うのだ。大切なのは残された風景・言い換えれば残った風景なのだ。
たとえそれがひどく弱弱しくみすぼらしくともとにかくそれが私たちに残された風景なのだ。
瞳は失われた風景を見ているし私たちはそこにいるように思える。
でも私はこの小説を読んで、本当に存在している場所は残された風景で、今で、そこにいることこそがすごく哀しいことなのだと思った。
そしてそれがキーなのだと思った。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.173:
(5pt)

痛快な物語

ジャンルは何に区切ればよいのかわからない。
とにかく線の引き方がとても曖昧で、色々と思うこともあったりします。
正直初めの方は、ただなんとなくつらつらと読んでいたんですが、下巻になると、どんどん読み進めていき、続きが気になって仕方がなかったです。
下巻で終わってしまうのは、正直切なかった。
もっと先が見たかった。読み終わった感想はこんな感じです。
何が面白いって普通の本じゃないってところですかね。
普通の本では、可愛い女の子がSMやら性的なことを語るなんてなかなか無いと思います。
語る、というより知りたがると言った方がよいのでしょうか。
私から見ると、この女の子の存在がなかなか良かった。
味があって、ちょっとスペシャルな感じです。
性描写が結構あって、苦手な人には受け付けないかもしれません。
ただ、痛快な物語が好きな人にはいいかもしれないです。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.172:
(4pt)

後悔してます

ノーベル賞をとるかも とのニュースに慌てて
海辺のカフカとともに今更ながら読みました
感想は もっと若い時に読んでおくべきだったと後悔してます
結婚をして子供ができ
祖父母が亡くなり 父親が亡くなり 友人が亡くなり
そろそろ列の順番の先頭が見えて来ました
先頭が見えない内に読んでおくべきだった
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.171:
(5pt)

これを読んで泣けば、もう一歩、大人になれるかも。

最初に読んでから、もう20年位たつのかな。
最近、入社1年目の女性社員に『なんか泣ける本ないですかね?』
と問われてお勧めした本。
当時、20の学生だった僕は、淡々と進んでいく出来事と裏腹に、
前に進んで行けない愛に、せつなさと悲しみを感じた。
当時付き合ってた彼女にも多少影響与えてたかも。(笑)
主人公の大学生は、才能があり純粋な心の持ち主と出会っていく。
心が純粋すぎるために、些細なできごとで心を歪め、連鎖していく。
心を歪めてしまった本人達も、そのことに気ずいてさえいる。
取り戻そうとする心の葛藤と取っていく行動が悲しく、悔しい。
最近読み直してみて、こんなに性描写あったかな?と抵抗のある方も
いるかもしれないけど、特に若い人達は、性描写は気にしないで、
愛の形を読んでいくのもオススメかも。
読み終わった頃には、一歩大人な、優しい心の持ち主になっているはずです。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.170:
(5pt)

若かりし頃。

赤と緑のクリスマスカラーのカバーを見るだけで、今ではすっかり落ち着いてしまったこんな自分にも、かつて、誰かを本気で愛し、もがき、傷ついていた時期があったことを思い出す。
そんなときに、この小説が傍らにあったことは、非常に幸運だった。むさぼるように繰り返し読んだことを覚えている。高校時代に僕の隣の席に座っていた、勉強嫌いなヤンキー風の女の子でさえ、徹夜で読んだと少し照れくさそうに言っていた。
「人生はクッキーの缶だ」、「自分に同情するな」等、登場人物の語るセリフは、傷つきやすかった頃の自分の大きな支えとなり、今でも心にはっきりと刻まれている。
15〜22才くらいの人にはぜひ読んでみてほしい。心に何かが残るだろう
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.169:
(4pt)

いつまでも読んでいたい

村上春樹の小説には、一見優柔不断な主人公が登場する。好きな人のことを思いながらも、何をしたらいいのか、どうしたらいいのかを考える時間をいつも必要としている。ちっとも明るさがない、幸せそうに思えない。「ねじまき鳥クロニクル」のオカダトオルもそうだし、本書のワタナベもそう。そうこうしているうちに別の人と性的な行為に及んだり、人が死んでいったりする。そしてその流れが読み出すと止まらなくなるほど読者を捕らえてしまう。いったい何故なんだろう?
本書を再読して、確かに悲しい物語であり、純愛が綴られていると思う。ワタナベが成長していく過程も描かれている。でも、読み出したら風呂の中でも頁を繰ってしまうこの渇望に似た気持ちはストーリーの先を知りたいからではなく、この文章の中に居続けたいという不思議な気持ちであると感じる。
読み終えてそして、「海辺のカフカ」を買いに走ってしまう。
ノルウェイの森 下 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 下 (講談社文庫)より
406274869X
No.168:
(5pt)

読む都度に感想の変る珍しい本

この本にレビューをつけるのはある意味恐ろしい。
何を書いたらいいんだろう。
この小説の大きさは単に恋愛小説だとか青春小説だとか
区切ることが出来ない点がある。
よく恋愛小説だとかいわれたりするが、そんな単純なものでは
ないだろう。
物語の形式を取りながら物語ではなく、恋愛の形式を取りながら
恋愛ではなく。
生きていくという上で支払っている代償やら、人生に潜む井戸やらを
村上春樹特有の語り口調で独特のバランスとセンスを持って
一見分かりやすく、ある意味分かりにくく、
それは物語らしきものを使って伝えてます。
重要なことは、何かうまく伝えられないが、
僕たちの心の奥底に潜む哀しみのようなものを呼び起こす感じでしょうか。
もう15年くらいの間、何度も読んでいるが
その都度に感想が変る。とにかくそういう本です。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.167:
(4pt)

心にあいた穴

何度読んでも切なくなる本です。
高校時代に唯一の親友が世を去り、残された「僕」と「直子」が大きな心の穴をかかえたまま生きていく。
お互いを求めあってはいるけれど、傷は乗り越えることができないほどに深かった。
それでも生きていくことを静かに決意した「僕」は一種の諦観を持ち、「直子」は心の病を乗り越えるために死を選んだ。
それでも「わたしを忘れないで」と言った彼女の想いは、まるでこの世に残した一片の希望のようにも思える。
それから20年近い時を経ても「僕」の心を締めつける。
回想という設定で書かれている小説だけど、振り返った青春と呼ぶには歪んでいる。
まわりの人があの世へ旅立っていくたびに「僕」の心に開いていく穴が見えたような気がした。
それは心を蝕むのではなくて、ただぽっかりと穴を開ける。
それでもまだ死者を思うたびに哀惜の情を抱ける「僕」は強い人なんだろう。
再生したとか乗り越えたというよりは、すべてを抱えたままでも生きていけるだけの強さを身につけたようだった。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.166:
(5pt)

読者の対象年齢をとわず、すべての世代向け。

10数年ぶりに読み返してみた。
はずかしながらストーリーはほとんど忘れかけていたのだが、おかげで最後まで楽しめた。
日常生活の中で考え、意識すべき『死』について、あらためて考えさせられる良いきっかけを与えてくれた。もちろん"恋愛"も重要な主題であるのだが、あくまでもメインは『自分』のありかたであり、自分の意識の中にある死であり、これら日常の中の死とどのように対峙すればよいのか、というあたりが読み手が受け止めるべきテーマである、と思う。
村上作品は、どれもそうなのだが、読むたびにヒトとしてあるべき姿、いわば『行動規範』のようなものを、自分はいつも指南されているように感じる。(あるいは自分が共感する部分が多いためそのように思い込んでいるだけかもしれないが。)
性描写については個々の嗜好などを含めいろいろ賛否があるとは思うが、非日常的なイベントや状況にリアリティを与えるための"要素"として、作者が取捨選択した結果なのだと思う。それ以上でもそれ以下でもない。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.165:
(5pt)

見方を変えて

以前は村上春樹の事があまり好きではありませんでした。しかし、外国人の友人がたびたび彼の作品について聞いてくるので、約15年ぶりに本書を読み返しました。
読むにあたって、1.登場人物中誰が一番好きか?(はつみさん)2.誰が一番悲しい人物か?(ワタナベくん)3.誰が一番自分に近いか?(ナガサワ)とあらかじめ自分自身に課題と設けました。
マーラーや、グレートギャツビー、マルボーロといった、少し不自然な小道具にも気付きましたが、見方を変え、ある意味、分析するように読み返してみると、(年齢を重ねたせいもあるでしょうが)本書は実に悲しい物語である事に気付きました。
この物語を悲しくさせた一番の理由は、ワタナベ君と直子との恋が成り立たないことは始めから解りきっているからです。恋とは努力して成就させるものではないことは誰もが知っているはず。そのワタナベ君の努力は義務感から来るもの。そういった意味では、二人の間には始めから恋愛感情など存在しなかったのかもしれない。
そういう物語を久しぶりに読み返して、15年前とは違った印象を持った。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.164:
(5pt)

「僕」のサバイバル&「突撃隊」はどこへ行ってしまったの?

村上春樹の小説の主人公はたいてい孤独を愛し、タフである。
ワタナベもそういう傾向の人物であり、
まわりの人間がつぎつぎに死んでゆくという過酷な状況を耐え、乗り越えていく。
まだ若い彼は時にアルコールにおぼれたり、感情を爆発させることもある。
そうやって不安定な時代を生き抜いた彼の良さは、
「タフさ」とともに自身でも述べているように、
「楽天的」であるということだろう。
アルコール、音楽、セックス(村上文学ではおなじみですね。ところで「純愛小説」というコピーは何だったの?)。
それらの事で日々の生活を愉しみ、渇きをうるおしていく。
これはストレスに取り囲まれて、日々汲々としている日本人へのシンプルだが重要なひとつの示唆だと思う。
私もワタナベ式サバイバル術?を少し取り入れてみようかなと思わせられた一冊でした。
この本が気に入った方は、『国境の南、太陽の西』をお薦めします(本書と同じリアリズム小説です)。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.163:
(4pt)

「純愛」とはいかなるものか

デビュー以来、長編四作を書き終えた村上氏が、「このへんでリアリズムの文体を身に付けなければ」として、自らの大学生活もモチーフにして書かれた作品。
この作品は、表面的に読めば単なる恋愛小説にも見えますが、その裏側を読み取ることで、初めて意味を成すようにも思えます。そもそも、氏の経緯を見て、氏が自ら考案したという、「100%の純愛小説」という帯の言葉に表わされているような、単純なものを書くはずがありません。そもそも、「純愛」とはなんでしょう…?…総て、「嘘」…?あるいは、性欲…?氏の真意を考察しましょう。
まあ、取り敢えずこの作品は、大学生活中に読んでおいて非常に良かった本です。何故なら、高校時代に読むのでも、社会人になってから読むのでも味わえないリアリティを味わえたからです。もちろん、僕は主人公ワタナベ君のように豊かな女性経験はしませんでしたが、大学生活の、どうしようもない無機質な感じは、時代は違えど普遍的なものだと感じました。だから僕にとっては、本書を初読の大学二回生時、ワタナベ君が回想する「ノスタルジー」を、どこまでも「リアリティ」として感じられた訳です。
それと同時に、ワタナベ君の読むフィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』、フォークナーの『八月の光』、トーマス・マンの『魔の山』、ヘッセの『車輪の下』など、文学初心者に本書は良き文学の道案内となってくれるでしょう。僕ももちろんその恩恵を受けたひとりでした。
いずれにせよ、戦後から今なお続く、乾いた頽廃、云われもなき虚無、空虚な生と死、などの空気感を、肌で味わえる作品です。確かに全体として非現実な描写が為されているのかもしれませんが、読了後永く時間が経過しても、本棚に置いてある本書を見ることで、その一つ一つの描写の情景が、自分の心にリアルに湧き上がってくる、つまりは自分の心で生きている、そんな作品のひとつです。むしろ時が経てば経つほど、「ノスタルジー」として、本書の存在が際立ってくるのが、不思議です。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.162:
(5pt)

「精神を病む人」への造詣の深さ

著者は、「精神を病む人」にかなり造詣が深いみたいですね。おそらく、著者自身が多少なりともその世界に無縁ではないからかなぁ、なんて思いました。精神を病む人が、そうでない人々よりも却って「健全」であるケースが、作品の中にいくつも描かれています。私は、各登場人物が、「精神を病んでいるが実は純粋」⇔「世の中に適合しているが心は腐っている」の尺度の上の諸段階に位置づけられていることに興味を持ちました。左端は自殺をした3名の人たちであり、その隣は左と右とのインターフェースが務められる「僕」およびその解説者としての「レイコ」、その右隣が腐った世の中に疑問と嫌悪を感じて自分の左隣に居る「僕」に魅かれる「緑」、その右隣が世の中に適合しているし健全でもある、即ち最も「歪み」の少ない「ハツミ」、(彼女も結局自殺をするのですが、私はこの位置に彼女をおきたいと思います。)右から二番目が、自分の価値観が全てであり他人への配慮がない代わりに特に大きな迷惑もかけない「突撃隊」および「寮長」、右端が、世の中に埋没して腐っている「店長」および「学生運動の人たち」でしょう。外務省に入る「永沢」は、それら全ての段階を承知していながら、いや承知しているがゆえに、そのどこにも自分を位置づけないし、おそらく位置づけることが出来ない「根無し草」です。私および最も多くの読者が共感を覚えるのは、「緑」ではないでしょうか。素直でひたむきでありながら、かつ、やせ我慢や片意地を張って見せたりする。そして、その、入って三ヶ月でやめたフォークのサークルについてのそれに代表される胸のすくような科白。「僕」が「緑」といっしょに幸せになったかどうか、という読者が一番知りたい(それを知りたくて最後まで一気に読んだのに。)結果は、とうとう知らされないまま物語は終わってしまいました。
ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森〈上〉 (講談社文庫)より
4061848925
No.161:
(5pt)

捻くれてはいるが、やたら素直な人生賛歌

村上春樹は初めて読みました。共感するかしないか、かなり分かれる
作品を書く方とお見受けしました。個人的には大共感。即、他作品も
読んでみようと思います。思うに、この作品に共感を持つ人は皆、
「自分が一番可愛い人」なのでしょうね。作品の中でも、主人公に
対し同じ指摘をされる箇所があります。表題にもある通り、この作品
は紛れもなく人生賛歌です。が、非常に独善的な人生賛歌であり、
結局、自分の幸せしか考えていない賛歌です。ですが、その潔さと、
それをそのままストレートに書いてしまうと身も蓋もないので、死と
の対比、世間と溶け込めず決して幸せではない主人公、という形で
上手にぼかす奥ゆかしさが素晴らしいです。その独善ぶりに、合わない
人は強い拒絶反応を示すし、合う人は「よくぞここまで問題の
ど真ん中を突いた」と賛辞するのでしょう。この物語が裏で恥ずかし
がりながら訴えるのは「自分が幸せじゃなきゃ人を幸せに出来ないん
だから自分の幸せを第一に考えるのは仕方ないでしょ」という正論で
あり、これを立地点にした人生賛歌です。他の立地点は受け入れません。
そして「まあこの考え方が完璧じゃなく異論があるもの分かってる」
と謙虚に認めつつ、その力強い主張を続けます。
読後に残ったぽっかりとした感じは、物語の哀しさではなく、「これ
に共感する自分も欠陥あるのかな」という自己憐憫であり、これが
結局は私も自分が何より可愛い人間である証拠なのでしょうね。
ノルウェイの森 下 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 下 (講談社文庫)より
406274869X
No.160:
(4pt)

うーん…わからない、なぁ

村上春樹の文章ってのは理解するのではなく感じるものなんだと思いましたつまり私は理解できなかった、それでもとても楽しめました読んでみる価値はあると思います
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681
No.159:
(5pt)

しっとりした恋愛もの

内容を考えたりストーリーを追ったりするより、
雰囲気に浸るという読み方がいいんだと思う。
こんな生き方がしたいわけじゃないけど、
でもいいなと思えた。
ノルウェイの森 上 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:ノルウェイの森 上 (講談社文庫)より
4062748681

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