世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

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評判

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドの評価:

4.24/5点 レビュー 267件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.24pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全295件 121〜140 7/15ページ
No.175
(3pt)

セカイ系に繋がる問題構制

小説として面白いとは思えなかったが、本作が1990年代の旧エヴァを経てセカイ系に繋がる問題構制を1980年代に先取りし、アニメやゲームなどのポップカルチャーに影響を与えた点は注目に値する。

安倍吉俊監督のアニメ『灰羽連盟』は本作の「世界の終り」を範としている。またゲーム『AIR』『CLANNAD』の脚本を担当した麻枝准は、本作から強い影響を受けたと語っている。

日本文学の中で、必ずしも高い評価を受けてこなかった村上春樹が、なぜ世界中で読まれるのか。それは現象としては、日本製のアニメやゲームなどがオリエンタリズムとは無縁なポップカルチャーとして海外に輸出されている状況と連動していると見るべきだろう。翻訳上の問題が殆どない透明で平易な文体(これは吉本ばななも同様である)で書かれているということも大きい。

村上春樹は英語圏ではスリップストリーム(主流文学とSF・ファンタジー等の通俗文学との境界解体)やアヴァン・ポップ(前衛文学とポップカルチャーの融合)の枠組で捉えられているが、そういう観点から見た無国籍的で匿名的な日本文学としては、安部公房の系譜に連なるものともいえるかもしれない。

村上春樹の場合は、1960年代の学生運動の挫折という社会的背景もあったのだろうが、社会関係への参与を拒絶し内面性に引きこもること(村上春樹がいう「デタッチメント」)、現実を見ないことで傷付くことを避け、自己を防衛するという傾向があり、本作で描かれる「世界の終り」はその産物である。

それは主人公が潜在意識内で作り出した一種の仮想世界であり、外界から壁で隔てられたその街は、快楽も苦痛もない、アパシー(無感動)の、不死の安らぎの世界である。しかしそこでは主人公は心を、つまり自分自身を喪失せざるを得ない。本作はそのようなジレンマを幻想的な物語として表現しているが、総じて自閉的な独白に終始しており、そこには旧エヴァのような内在的な批評性も希薄である。結局、資本制のグローバル化による生活環境の均質化を背景に、孤独な個人が抱える喪失感を自己愛的な物語に解消しようとする癒しと慰めの装置でしかないのではないか。

東浩紀(『クォンタム・ファミリーズ』)や宇野常寛(『リトル・ピープルの時代』)は、かつての蓮實重彦や柄谷行人等による村上春樹批判に抗い、特に本作に着目して村上春樹をポップカルチャーの文脈で再評価し、かつ批判的に乗り越えようとしている訳だが、彼等の春樹評価は、柄谷・蓮實以降の批評が春樹を文学的にdisってきたことの反動で過大になっており、かなり無理があるように感じられる。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.174
(5pt)

どう始末をつけるのかと思いましたが。

二つの世界を見事にひとつに重ねた結末には唸りました。安部公房の「壁」を思い出しました。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359
No.173
(5pt)

おもしろい

書き出しから結末まで、すべての筋書を頭に描いてから文字にしたんだろうと感じさせる一本通った内容が気持ちよく面白い。
へそ曲がりで、流行の作家を読まない私だが(この本は人の推薦)、成る程これなら・・・と思わせられる一冊(上下だから2冊か)だった。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.172
(5pt)

良いですね

二つの交錯するストーリー、そして最後にそれらが結合していくエンディング。圧巻でした。とても印象深い。世の中には、余命が分かってしまった人が気を取り直した後に「どうやって残りの日々を楽しく過ごそう?」と知恵を絞ったり、視力が尽きてしまう人が「何を見ておくべきだろう?」と熟慮する映画があって、そんな作品を見た後には「もし俺(私)だったら何を?」としみじみと考え込むことってありますよね。何が大切なのかを考えたり、そういう状況に自分は立ち向かえるか勇気を問い直したり。そんな重厚感のある読後感です。作りはSFチックですが、文学だから構いません。村上氏の才能に酔いしれてください。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.171
(5pt)

最高に面白い小説

村上春樹の小説は「ノルウェイの森」「スプートニクの恋人」「海辺のカフカ」などを読んだが、その中ではダントツに好きな作品。

村上春樹小説の特徴である「ニヒリズム、オシャレ感、性的描写」がこれほど上手くはまり込んだ作品を、僕は他に知らない。

他作品では、普通の学生が主人公なのに、嫌にニヒルで偏屈なため、感情移入しにくかったりするが、本作の主人公は特殊な職業に就く特殊な人物なので、そこに嫌らしさがなく、音楽、料理のオシャレ感や、性的な描写も、非日常に翻弄される主人公(及び読者)に、ホッとする日常を感じさせる、箸休めのような存在となっている。
村上春樹の「ニヒリズム、オシャレ感、性的描写が苦手」と毛嫌いしている人でも、この小説は好きになってもらえるのではないかと思う。

SFとファンタジーが織り成す、独特の世界観。
設定の面白さと、それを肉付けするディテールの作り込み。
アクの強い登場人物たちの魅力と役割設定。
物語が収束していくカタルシス。
適度に謎と余韻を残す、もう一度読みたくなる読後感。

全てが素晴らしく、非常に考え込まれた完成度の高い作品。
とにかくオススメ。ノルウェイの森などの上記3作にハマれなかった人にもオススメしたい。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.170
(5pt)

いろんなことを想像させられます。

圧倒的な質量を感じる小説です。
実は、この作品は何度か読み始めて途中で挫けてしまったことがあります。
村上氏の長編小説はこの作品から二つの物語が交錯するスタイルが出てきたんですね。
村上氏の小説を読むのが今では何よりの楽しみなのですが、まだ十分に慣れていない頃、受け入れづらかったんだろうなと思っています。
『海辺のカフカ』『1Q84』を先に読んでから再びここに戻ってくると今度はもうどうしようもないほど興奮させられました。
こういう場合もあるかもしれません。

ビートルズの曲に『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』というのがありますが、ポール・マッカートニーとジョン・レノンが作った別々の曲をつなぎ合せています。
同じく『ストロベリー・フィールズ・フォーエバー』はジョンの曲ですが、別々のレコーディング・テイクをつないでいます。
この小説を読みながら、こういった2つをつなぎ合せた曲を連想しました。

村上春樹さんの小説はいろんなことを想像させられます。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.169
(4pt)

無駄は否めない

村上春樹は初でしたが世界観を彩る文章力は流石です。ハードボイルドワンダーランドと世界の終わりがくっつきそうで完全にはくっつかない。どちらが先か疑問が出て来るのも面白い。世界観自体はしっかりしており文章のうまさを実感。代表作と言われていても不思議はない。 ただ好き嫌いは別れそう。正直、1行の事を5.6行にこねくり回されたり、中盤から後半にかけての世界観の構成には役に立つにしても展開といては無駄のある文章はこの世界にどこまで感情移入出来るかが勝負。 正解、不正解の線引きがしっかりしたのを読みたい人には向いていない。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.168
(3pt)

我々は、お互いに気持ち悪い存在なのだ

タイトルが大袈裟だ。個人的な小さな世界に、このタイトルとは!自惚れが過ぎる。

村上春樹の小説をいくつか読んで、いつも思うことがある。主人公は、いつも被害者意識を気取っていて、自分が加害者になることには極めて鈍感でいる。自分の命はとても大切で重たいが、他人の命はコピー用紙1枚のように薄く軽い。その上、いつも女性にもてることを自慢する。世間はバカにするためにあり、人生はファッションだと思う。無意味にレトリックを連発し、ブルックナーの交響曲もBGMとして聞き流し、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」までお洒落のパーツとして飾ろうとする。ふざけているのか?と思うと、意外と真面目に悩んでいるように振舞う。この感覚が気持ち悪い。

しかし、文章は読ませる。まるで大きく膨らんだ柔らかい食パンのような文章だ。原材料は少ないのに、食べ応えがある。独特の風味がある。そして、食べやすい。この文章力は、イースト菌の力なのだろう。発酵させる力で長編小説をものにする。
「世界の終わり」には、冷たい詩的な世界があり、「ハード〜」には、等身大の30代の男性がいる。「海辺のカフカ」のような、中年女性がセーラー服を着てアイドルを気取るような違和感はないし、「ねじまき鳥クロニクル」のような悪趣味も比較的少ない。但し、悪役の演出は、難解というよりも稚拙だと思う。企業の本質もまるで理解していない。

村上春樹は、世界で多くの読者を獲得しているらしい。作家として大成功だろう。しかし、自分の趣味に合わないものを冷淡に批判するから、作用・反作用の法則が働いて、愛読者以外の読者から反感も買う。私のように。我々は、お互いに気持ち悪い存在なのだ、ということにもっと想像力を働かせていただきたいものだ。他人に対してだけではなく、自分に対しても。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.167
(2pt)

終わりなければすべてよし

まるでハゲをカツラでかくしたような小説だ。ハゲとカツラのパラレル・ワールド?
それにしても、自然描写がへただな。「世界の終わり」の方は、もともとまったく現実的じゃないのだけど。
両方の主人公が、3人の女の子から好意をもたれ、いい人だと思われ、簡単に性交したり、誘われたりするのには、鼻が白む。もう勝手にしろって感じ。
それでも、「世界の終わり」は『ギバー』の作者に影響を与えたんじゃないかと思う。
これだけぐだぐだと長い物語を書いたことに敬意を表して星一つプラスした。
「やれやれ」、Oh, my God!
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.166
(5pt)

引き込まれること間違いなし

村上作品の中でもかなり上位に位置する作品です
もっと読んでいたい気持ちになる一冊です。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.165
(5pt)

村上春樹的SF・幻想

あらゆる物事に断固とした因果関係や意味を求める方にはおそらく向いていませんが、それ以外の方なら面白く読めるのではないでしょうか。
相変わらず村上春樹独特の言い回しが溢れています。
そして彼の作品には珍しく、若干SFや幻想といった要素がありますが、それも良いアクセントとなっているようです。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.164
(5pt)

個人的には村上春樹でベスト

村上春樹の中で一番好きな本。自分にとって文学作品の中で最も示唆に富んでいる本かもしれない。
2つの世界が章立てで交互に展開していき、最後に収斂する構成とそれをストーリーとしても両立させていく手腕は見事と言うほかはない。
とっつき難さはあると思いますが、村上春樹好きのヒトには手にとって欲しい作品です。
これからも折に触れ読み返してみたいです。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359
No.163
(5pt)

個人的には村上春樹でベスト

村上春樹の中で一番好きな本。自分にとって文学作品の中で最も示唆に富んでいる本かもしれない。
2つの世界が章立てで交互に展開していき、最後に収斂する構成とそれをストーリーとしても両立させていく手腕は見事と言うほかはない。
とっつき難さはあると思いますが、村上春樹好きのヒトには手にとって欲しい作品です。
これからも折に触れ読み返してみたいです。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.162
(4pt)

そうだなぁ。

いろいろレビュー読んでて、やっぱり村上春樹さんの本は無理だ、っていう人は全ての物事をいちいち考えすぎているのだと思います。
やみくろって一体何なの?記号士と計算士の争いはなぜ起こっているの?結局何が言いたいの?
なんでサンドウィッチなんかつくるの?なんでパスタなんか茹でるの?なんでそんなに女が寄ってくるの?
みたいに。
そんなこといちいち考えてしまう人はきっとこの人の本は受けつけないのかな、と思います。

洗練された文章、構成が織りなす不思議な世界、雰囲気にただ身をあずける。
それが自然にできるか、できないか。
それによって評価が変わってくるのだと思います。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359
No.161
(4pt)

そうだなぁ。

いろいろレビュー読んでて、やっぱり村上春樹さんの本は無理だ、っていう人は全ての物事をいちいち考えすぎているのだと思います。
やみくろって一体何なの?記号士と計算士の争いはなぜ起こっているの?結局何が言いたいの?
なんでサンドウィッチなんかつくるの?なんでパスタなんか茹でるの?なんでそんなに女が寄ってくるの?
みたいに。
そんなこといちいち考えてしまう人はきっとこの人の本は受けつけないのかな、と思います。

洗練された文章、構成が織りなす不思議な世界、雰囲気にただ身をあずける。
それが自然にできるか、できないか。
それによって評価が変わってくるのだと思います。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.160
(4pt)

言いたいことはわかった

彼の作品はいくつか読んだが、いわゆる村上ワールドのようなものが一番出ているのは多分これだろう
なぜ村上春樹は人気なのか、彼の魅力は何なのか、みたいなことを知りたい人はとりあえずこの作品を読むのがいいと思う。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359
No.159
(3pt)

混沌としたリアリティー

どうも村上春樹氏は短編から拡張させて長編を創作しているようである。

そのせいか初期の長編のこの作品においても、良くも悪くもツギハギ感がある。
そのせいだと思うが、面白い箇所と面白くない箇所がはっきりわかれる。

また伏線っぽい箇所が、結局はあまり発展しないことが他の作品でも時折指摘されているが、そのせいではなかろうか?

普通の小説は起承転結等の技法で一本筋を通すことによってリアリティーをつくりあげるが、それに比べるとツギハギ的で、コラージュ的な要素がある村上氏の小説は、一見散らばっているようにも見える。けれどもよく考えてみると、我々の生活というか人生は普通の小説のような起承転結は通常ではありえない。あたりまえのように複数のことが同時進行するし、自分にとっては重要でないことが突然起こる。

この小説での小便の描写に、それが良く現れていると思う。どんな素敵な恋愛をしていても、どんな緊迫した場面でも、人間は小便をするものだ。その他にも、命をねらわれているかもしれないという状況で、待ち合わせの暇つぶしでポスターを観察していたり、インディージョーンズさながらの暗闇の脱出劇中にまったく関係ないことを考えていたりする。そういう感覚において、村上氏の作品には真のリアリティーが宿ることもある。(逆にバラバラになりすぎて失敗していることもある。)

この作品はSF的な土台に、そういう混沌としたリアリティーを盛り込んでいるんだと思う。この作風は僕と鼠のシリーズの初期の三部作にも見受けられます。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359
No.158
(4pt)

言いたいことはわかった

彼の作品はいくつか読んだが、いわゆる村上ワールドのようなものが一番出ているのは多分これだろう
なぜ村上春樹は人気なのか、彼の魅力は何なのか、みたいなことを知りたい人はとりあえずこの作品を読むのがいいと思う。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.157
(3pt)

混沌としたリアリティー

どうも村上春樹氏は短編から拡張させて長編を創作しているようである。

そのせいか初期の長編のこの作品においても、良くも悪くもツギハギ感がある。
そのせいだと思うが、面白い箇所と面白くない箇所がはっきりわかれる。

また伏線っぽい箇所が、結局はあまり発展しないことが他の作品でも時折指摘されているが、そのせいではなかろうか?

普通の小説は起承転結等の技法で一本筋を通すことによってリアリティーをつくりあげるが、それに比べるとツギハギ的で、コラージュ的な要素がある村上氏の小説は、一見散らばっているようにも見える。けれどもよく考えてみると、我々の生活というか人生は普通の小説のような起承転結は通常ではありえない。あたりまえのように複数のことが同時進行するし、自分にとっては重要でないことが突然起こる。

この小説での小便の描写に、それが良く現れていると思う。どんな素敵な恋愛をしていても、どんな緊迫した場面でも、人間は小便をするものだ。その他にも、命をねらわれているかもしれないという状況で、待ち合わせの暇つぶしでポスターを観察していたり、インディージョーンズさながらの暗闇の脱出劇中にまったく関係ないことを考えていたりする。そういう感覚において、村上氏の作品には真のリアリティーが宿ることもある。(逆にバラバラになりすぎて失敗していることもある。)

この作品はSF的な土台に、そういう混沌としたリアリティーを盛り込んでいるんだと思う。この作風は僕と鼠のシリーズの初期の三部作にも見受けられます。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)より
4101001340
No.156
(5pt)

映像化

今頃(2011年)になり、ついにこちらの作品を読み終えました。
1985年当時に創造された作品なのに、
現代の近未来の描き方と変わってないことに圧倒されました。
是非、映像として見て見たい!

70、80年代のインディアナジョーンズやブレードランナーなどの冒険物やSF物の匂いもするなか、
90年から2000年にかけてのダークシティやマトリックスのさらに無機質で進化した世界につながっていき、
また昨今のインセプションにいたるまで、
世界の終わりもハードボイルドワンダーランドも、どちらの世界観も
時代を超え、国境を超えた影響力が実はあるのではないかと思います。

人間の奥深さ、複雑さをを味わうために、
現代の技術をもってして、美しい映像で堪能してみたい作品です。
映像美は後付けで、Paul Thomas Anderson監督あたりが
ストーリー重視で、新天地を開拓してみてほしいものです。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)より
4101001359