世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
評判
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドの評価:
4.24/5点 レビュー 267件。 B ランク
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全57件 1〜20 1/3ページ
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世界の終りとハードボイルド・ワンダーランドの評価:
4.24/5点 レビュー 267件。 B ランク
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(ちなみに村上春樹訳のチャンドラーの長編はすべて読んでます。おもしろかった)
これはいったいどんな物語だったんだろうなあ・・・あ、村上春樹の作品を通読してる人にとって、以下、的外れな感想かもしれませんが。
いわゆる「文学」的作品といういうのだと開高健や吉行淳之介くらいが好きな作家(古!)で、作品の主題に対する自身の向き合い方とかその表現の仕方が文学的という認識くらいしかないんだけれど、日常から飛躍するという物語だと安部公房くらいかなあ、でもその作品も物語のベースにあるのは普通の日常の営みなのだけれど、これは最初から日常とは異質な状況から始まるわけです。で、それが「ハードボイルドワンダーランド」と「世界の終わり」という(おそらくは何らかのつながりを持つであろう)物語がスイッチしながら続きます。
で、ここでかなり違和感があるんだよなあ・・もし物語として非日常の世界を設定したうえで人間の葛藤を描きたいのであれば、それって「文学」という定義や価値を認める必要もないと思うわけです(もし、この作品をSFとかファンタジーとかの作品と比べた時に、ここで描かれた世界観の”なんでもなさ”に、ちょっと興ざめしちゃいます)。フィクションとしての瞠目もダイナミズムもほとんどなくて、設定だけだったら物語の広がりを期待させるようなものはもちろんないし、これだったら世界観の構築と人間の葛藤ということでは親しんでいるSFとかにも優れた作品が多くあるように思うし・・
チャンドラーの長編の翻訳をやっているからか、そういう点では「ハードボイルドワンダーランド」での事細かな描写や言い回しの重なりなんかは楽しく読めたけど、ここで描かれるエピソードが一つの主題に向かっていくようにも感じないし、これと「世界の終わり」という二つの世界を(一角獣で)つなぎ合わせることで結局、何を言いたかったのか・・それが、読後の詩的喪失感を目的としていたとすると、やはり自分が「文学」的作品というものにもっている(ある意味固着的な)いずまいを感じることはできませんでした。
もちろん作品の中に何かの答えを求めてるわけでもないのですが、あえて非現実的な設定をしたうえで、たんに「情緒」とか「余韻」だけを残して、それで高い文学性があるというのであれば、もうすこし「ブンガク」というものの裾野を広げてもらえれば、SFとかエンタテインメントとかの作品の中にも優れたものがあるような気がするんだけどなあ・・その手の本を好きで読んでいる人は、こういった作品をどう評価してるんだろうか。
ま、「文学」であるかないかという拘りそのものが的外れだというのもあるかもしれないけど、もし村上春樹の作品が、あえて非日常的な世界のなかでおこる普遍的な心象を描くことで「生きること」のなにがしかを問いかけるということであるとすれば、やはり自分にはそれに対する主題の探求や、その同調と理解が不足しているんだろうなあ・・と思ったりもしました。