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風の歌を聴け



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風の歌を聴けの評価: 4.06/5点 レビュー 370件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.06pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全274件 141~160 8/14ページ
No.134:
(4pt)

僕と鼠

日本を代表する小説家、村上春樹のデビュー作です。
このころはまだ、一人称のようです。
外国の小説を日本語に翻訳したのかと思える文体と雰囲気は最高にロマンチック。
常に何かで満たされているのに、どこか陰のある「僕」はどうしても格好良く見えてしまい、その生活に憧れてしまう。
風の歌を聴けAmazon書評・レビュー:風の歌を聴けより
4061163671
No.133:
(5pt)

村上春樹氏のデビュー作 17歳の病床の少女はだれ お姉さんが、高校時代にLPを貸してくれた

デレク・ハートフィールドの何冊かに出会っていなかったら小説家にはなっていなかっただろうと言う話で始まり終わった。
井戸を掘る火星人の話がでてきた。

僕、鼠、彼女のはなしだ。
僕と鼠は、三部作、「1973年のピンボール」、「羊をめぐる冒険」にも登場する、お馴染みさんだ。
「風の歌を聴け」が1作目だ。
60年、70年の安保の時代を感じるのは私だけだろうか。

僕は、3人の女性とセックスした。夏休みに東京から帰省しているあいだのはなしだ。
ラジオのリクエストがきっかけでレコード店を訪れ、彼女と出会う。帰省中の一夏の彼女だった。

小説は、ラジオのディスクジョッキーからの電話で始まり、17歳の病床の少女の手紙を姉に代筆してもらったという。
僕と鼠と彼女の伏線にあるのが、高校時代にレコードを貸してくれた彼女のストーリーだった。

話は変わるが、村上春樹氏の言葉はやさしいが、読めない(自信がない)漢字が多い。
たとえば、下記のような漢字だ。
読めても、意味が分からない漢字もある。

芥子 からし
齧る かじる
嚥み下す のみくだす
吃水線 きっすいせん
銃把 じゅうは

などだ。
風の歌を聴けAmazon書評・レビュー:風の歌を聴けより
4061163671
No.132:
(5pt)

この空気がいい

寂寥感のある空気がなんともいえず、良い。
最近の村上春樹とは全く違う作風で、
最近のよりはこういう作風が好きなファンも多いようです。

私はこの本を読んで、ビーチボーイズという
アメリカのロックバンドを知り、ファンになりました。
今ではブライアン・ウィルソンの新譜をチェックするくらいです。
風の歌を聴けAmazon書評・レビュー:風の歌を聴けより
4061163671
No.131:
(4pt)

はるか遠い昔の青春

携帯電話も無く、お酒を飲む娯楽の場所も今のクラブや居酒屋チェーン店のような墓所が無かった古き良き時代の青春の一コマ。自分とは時代が違うものの甘く切ないもどかしさや心残りなど、様々なことを考えることができるさわやかな作品。
風の歌を聴けAmazon書評・レビュー:風の歌を聴けより
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No.130:
(4pt)

村上春樹さん。

この本を読んだのは大学一年生の時。私は自ら孤独に入り込むような人間なので、この本、この作者が合うのだと思います。
だからこそ危険なんです。私にとってこの人は。自ら行動しなくてもなんらかの事柄が良いように降りかかってきて、主人公は退屈していない。女は常にいるし、仕事もある。
気が向いたらセックスをして、コーヒーを飲んで、サンドウィッチをつくり、パスタを・・・。
実際問題として現実に目を向ければ、物事は自分から動かなければ何も進展しない。
私のようなものがこんな生活(人間)に憧れてしまえば、どうなるか。
朝食にコーヒーを淹れ、ハムとチーズのサンドウィッチをつくり、寝る前にワインを片手にドストエフスキーやらフィッツジラルドを読むお洒落な?ひきこもりになってしまう。
私はこの作者の本を読むびに現実と理想のギャップをひしひしと感じてしまうのです。
風の歌を聴けAmazon書評・レビュー:風の歌を聴けより
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No.129:
(5pt)

読後感

大学の日本文学の授業で一部取り上げられた本書。 村上作品に全く馴染んでない私は「こんなかんじなのかー」と思いながらも続きが気になって、図書館で借りました。

私の感覚から言えば「僕」はとても冷静で悪く言えば冷めてるんだけど、何処か人間みがあって、それが魅力的に写りました。

私は同年代の女なので、同年代の男の子はこんな風に日々の雑多で退屈な時間を過ごし、誰かを思うのかなと想像しました。

9本の指をした女の子が感じる気持ちも、18から20になるまでに女が抱く、社会や大人への反骨心、まだ統合されていないアイデンティティ、少々危なっかしい向上心、潔癖ぎみの正義感やこの頃抱く男性への思い が実に上手く表現されていて、まるで生きてるみたいで、つい当時の私を思ってしまいました。

他にも最後にラジオでの犬の漫才師さんが読み上げる手紙の内容や、 大学を離れる鼠の気持ち、
もっと言及したいところがあるのですが、 私は9本の指をした女の子と僕が最後に会う時の会話のシーンや、

病床の男の子の手紙のシーンで声を上げるくらいいつも涙が出てしまいます。

実は読んで3日ほど(薄い本なので2、3時間で読めるのですが)、読後感が消えなくて、不意に涙したり感傷に浸ったりと忙しい目に合いました(^_^;)

「悲しい」とか、「切ない」では表現出来ない、こんなにもやり場のない思いを、断片的なんだけど継起性を持ち、空気感を与えて描写することが、人間にできるんだ!(少し大袈裟かも)というのが正直な感想です。

私はいつもまず感覚的に読むので、読み方はかなり粗く分析にはなっていないのですが、参考になれば嬉しいです。
他にも気になるところが沢山あるのでこれからも何度も読み込むことになると思います。
風の歌を聴けAmazon書評・レビュー:風の歌を聴けより
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No.128:
(5pt)

村上春樹でいちばん好きな作品

村上春樹のなかでいちばん好きな作品。個人的に国道134号をイメージし、どことなくノスタルジアな気持ちになった。生きた時代は違うが、あの古き良き時代は何処に行ってしまったのだろうかと。夢と儚さが同居した、そんな物語だった。
 他の作品は、雰囲気を味わう以外には意味は見いだせないのだが、唯一語りかけてくるものがあった。あるときは主人公と自分が重なり、またあるときは鼠と自分が重なった。苦悩する若き村上春樹の姿も浮かぶ。

風の歌を聴けAmazon書評・レビュー:風の歌を聴けより
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No.127:
(4pt)

読みやすいし面白い。

文章全体に重い感じがしない。また、アップルパイやクロワッサンといった食べ物や、レコードや偽の作家についての情報などは、
とてもしゃれている。なぜ星4つにしたかと言われたらこれといって理由が思いつかないが、
「I love it=星5つ」ほどの評価には値しないかと。
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No.126:
(5pt)

初期の最高作

風景の描き方や比喩が上手で、雰囲気を楽しみながらすらすらと読めます。

ヘミングウェイの「日はまた昇る」と通じる気がしました。

ウンザリするくらいに混沌とした時代。そんな社会を肯定も否定もせず、ただひたすらに背を向けて、仲間との享楽におぼれる青年たち。

自分を保つ為に、冷淡かつ退廃的であろうとする彼らに、これ以上ないほどに、人間味を感じます。

独特の世界観がグッド。


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No.125:
(4pt)

村上春樹のデビュー作

1949年生まれ、村上春樹のデビュー作。群像新人賞受賞。1979年の受賞なので、作者30歳の頃の作品。現在、作者おおよそ60歳に書いた「1Q84」と比べると、初々しさが感じられる。
以下に記した、「新宿で最も激しいデモ」「催眠ガスのおかげで目がチクチク」などは、当時を知らないと分からない様相だと思った。学生デモによる新宿騒乱事件が実際にあったのが1968年である。本小説に出てくる、アイゼンハワーは米国の第34代大統領で、1953年に就任し、1961年まで務めた。セイバーは米国のジェット戦闘機F-86で、朝鮮戦争時ソ連のMiG-15と空中戦を繰り広げた。本小説で、「あと10年もたてばナパームでさえ懐かしくなるかもしれない。」という台詞が出てくるが、北ベトナムや南ベトナム解放戦線のゲリラ掃討に使われたナパーム弾は、1965年の北爆の開始、1975年のサイゴンの陥落というベトナム戦争に関連している。この小説の舞台の実際の1970年は、赤軍派学生による「よど号ハイジャック事件」が起こり、大阪では日本万国博覧会が開かれた。海を渡った米国では、ニクソンが大統領となり、カンボジア内戦が勃発した。
「この話は1970年の8月8日に始まり、18日後、つまり同じ年の8月26日に終わる。」13 「僕が鼠と初めて出会ったのは3年前の春のことだった。それは僕たちが大学に入った年で、2人ともずいぶん酔っ払っていた。」18 「彼女が目が覚めるまでに、それからざっと3時間ばかりかかった。〜。『誰…あなたは?』」34 「『〜僕は顔を洗うために洗面所まで入った。〜。〜床に君が転がってた。』」36 「『(ジェイズ・バーの)店じゅうの客に君のことを知らないかって訊ねてまわった。でも誰も知らなかった。〜。』〜『結局僕が家まで車で送ることになった。〜。〜住所を頼りに君をここまで連れてきて、鍵を開けてベッドに寝かせた。〜。』」37 「『もういかなくちゃ。』『何処に?』『仕事よ。』」46 「『もう時間がないわ。あなたも早く服を着て自分の家に帰って。』」41 「『車で送る。遅刻しなくて済むよ。』〜『でもね、意識をなくした女の子と寝るような奴は…最低よ。』『でも何もしてないぜ。』」42 「車を下りる時、彼女は何も言わずに千円札を一枚バックミラーの後ろにねじこんでいった。」45 「7時15分に電話のベルが鳴った。〜。『やあ、こんばんは、こちらラジオN・E・Bのポップス・テレフォン・リクエスト。ラジオを聴いてくれたかい?』」57 「『実はね、君にリクエスト曲をプレゼントした女の子が…ムッ…いるわけなんだ。誰だかわかるかい?』」58 「『カリフォルニア・ガールズ…ビーチ・ボーイズ…、どう思い出した?』」59 「翌日の朝、〜、目についた小さなレコード店のドアを開けた。」63 「〜彼女に見覚えがあることに気づいた。一週間前に洗面所に寝転がっていた小指のない女の子だった。やあと僕は言った。〜。『〜。レコードを買いにきたんだ。』『どんな?』『<カリフォルニア・ガールズ>の入ったビーチ・ボーイズのLP。』」64 「彼女はカウンターの上に3枚のレコードを並べた。『これ、あなたが全部聴くの?』『いや、プレゼント用さ。』」65 「僕がジェイズ・バーに入った時、鼠はカウンターに肘をついて〜小説を読んでいた。」67 「僕は〜、レコードの包みを取り出して鼠に渡した。〜『誕生日のプレゼントさ。』」68 「電話のベルが鳴った。〜。『私のことを覚えている?』僕は少し考える振りをした。『レコードの売れ具合はどう?』」71 「『私のことを怒ってる?』〜『ひどいことを言ったからよ。それで謝りたかったの。』」73 「『今夜会えるかしら。』『いいよ。』」73 「僕は21歳で、〜。僕はこれまでに三人の女の子と寝た。最初の女の子は高校のクラス・メートだった〜。」74 「二人目の相手は地下鉄の新宿駅であったヒッピーの女の子だった。〜。それは新宿で最も激しいデモが吹き荒れた夜で、電車もバスも何もかも完全に止まっていた。」75 「催眠ガスのおかげで目がチクチクと痛んだ。〜。そのひどく無口な少女は一週間ばかり僕のアパートに滞在した。」76  「三人目の相手は大学の図書館で知り合った〜翌年の春休みに〜雑木林の中で首を吊って死んだ。」77 「彼女はジェイズ・バーのカウンターに居心地悪そうに腰かけ、〜」同じく77 「『来ないのかと思ったわ。』〜『〜。用事があって少し遅れたんだ。』」78 「『お父さんは五年前に脳腫瘍で死んだの。〜。』〜。『兄弟は?』」80 「『双子の妹がいるの。それだけ。』」81 「『八つの時に電気掃除機のモーターに小指をはさんだの。はじけ飛んだわ。』」82 「『あなたは何をしているの?』『大学に通っている。東京のね。』『帰省中なのね。』『そう。』」83  「電話のベルが鳴った。」85 「『ん…、ビーフ・シチューは好き?』『ああ。』『作ったんだけど、〜。食べに来ない。』」86 「僕たちは彼女のプレイヤーでレコードを聴きながらゆっくりと食事をした。」90 「『明日から旅行するの。』『何処に?』『決めてないわ。静かで涼しいところにいくつもりよ。一週間ほどね。』〜『帰ったら電話するわ。』」94 「(鼠と)僕たちはカウンターに戻り、ビールとジム・ビームを飲んだ。」97 「『頼みがあるんだ。』と鼠が言った。〜『人に会ってほしいんだ。』『…女?』少し迷ってから鼠は肯いた。」98 「僕が2時ぴったりに「ジェイズ・バー」の前に車を着けた時、鼠は〜(本を)読んでいた。『彼女は何処にいるんだ?』僕はそう訊ねてみた。鼠は黙って本を閉じ、車に乗り込んでからサングラスをかけた。『止めたよ。』」105 「街について話す。僕が生まれ、育ち、〜。前は海、後ろは山、隣には巨大な港街がある。ほんの小さな街だ。〜。人口は7万と少し。」106 「〜僕の友達には貧乏な家の子供もいる。〜。『おい、いいものがあるんだ。』〜。彼は財布から一枚の写真を出して僕に渡した。それは裸の女がいっぱいに股をひろげ、そこにビール瓶を突き立てている写真だった。」108 「僕は18年間、そこ(育った街)に実に多くを学んだ。」109 「秋が近づくと、いつも鼠の心は少しずつ落ち込んでいった。」110 「〜、僕は鼠を誘って山の手にあるホテルのプールにでかけた。〜。僕と鼠は25メートル・プールを競争して何度か往復してからデッキ・チェアに並んですわり、冷たいコーラを飲んだ。」114 「『そう、アイゼンハワーの頃さ。港に巡洋艦が入ると、街中にMPと水平だらけになってね。〜』〜。『セイバーは本当に素敵な飛行機だったよ。ナパームさえ落とさなきゃね。〜』」115 「『〜。あと10年もたてばナパームでさえ懐かしくなるかもしれない。』〜。鼠は〜、突然口を開いた。『時々ね、どうしても我慢できなくなることがあるんだ。自分が金持ちだってことにね。〜』」116 「『小説を書こうと思うんだ。どう思う。』『もちろん書けばいいさ。』(と僕は答える)」117 「夕方になって日が翳り始める頃、僕たちはプールから出て、〜ホテルの小さなバーに入り、冷たいビールを飲んだ。〜『女の子はどうしたんだ?』僕は重い切ってそう訊ねてみた。鼠は〜。『はっきり言ってね、そのことについてはあんたには何も言わないつもりだったんだ。〜』」120 「電話のベルが鳴った。『帰ったわ。』と彼女が言った。『会いたいな。』」128 「僕がYMCAに着いた時には雨はすっかり上がっていた〜。僕は門の向かい側に車を止め、エンジンを切ってタバコに火を点けた。」129 「『ひどい雨だったわ。』助手席に乗り込むなり彼女はそういって、〜スカートの裾を直した。」130 「『旅行は楽しかった?』〜。『旅行になんて行かなかったの。あなたに嘘をついていたのよ。』『何故嘘なんてついた?』『後で話すわ。』」131 「僕たちは港の近くにある小さなレストランに入り、簡単な食事を済ませ〜。」134 「店を出て、僕たちは不思議なくらい鮮明な夕暮れの中を、静かな倉庫街に沿ってゆっくりと歩いた。〜。しばらく歩いてから、彼女は指が5本ついた方の手で僕の手を握った。『いつ東京に帰るの?』『来週だね。テストがあるんだ。』」136 「『あなたがいなくなると寂しくなりそうな気がするわ。』」137 「僕たちはずいぶん長いあいだ、口をつぐんだまま海と空と船をずっと眺めていた。」138 「『一人でじっとしているとね。いろんな人が私に話しかけてくるのが聞こえてくるの。〜。』」139 「『こんなこと話したのはあなたが初めてよ。』〜。『嘘なんて本当につきたくなかったのよ。』〜。気がついた時、彼女は泣いていた。僕は彼女の涙で濡れた頬を指でたどってから肩をだいた。」140 「30分かけて彼女のアパートまで歩いた。」141 「彼女はゆったりと寝返りを打って、鼻先を僕の右肩につけた。」142 「『私とセッ○スがしたい?』『うん。』『御免なさい。今日は駄目なの。』〜。『手術をしたばかりなのよ。』『子供?』『そう。』」143 「彼女は僕の背中に回した腕の力をもう一度強めた。僕はみぞおちのあたりに彼女の乳房を感じた。〜。『ずっと何年も前から、いろんなことがうまくいかなくなったの。』『何年くらい前?』『12、13…、お父さんが病気になった年。〜』〜。僕たちはそれ以上何もしゃべらずに抱きあった。彼女は僕の胸に頭を乗せ、唇を僕の乳首に軽くつけたまま眠ったように長い間動かなかった。」145 「彼女は眠っていた。」146 「東京に帰る日の夕方、僕はスーツ・ケースを抱えたまま「ジェイズ・バー」に顔を出した。〜。『今夜バスで帰るよ。』」158  「『元気でね。』とジェイは言った。」151 「これで僕の話は終わるのだが、もちろん後日談はある。僕は29歳になり、鼠は30歳になった。ちょっとした歳だ。「ジェイズ・バー」は道路拡張の際に改築され、すっかり小奇麗な店になってしまった。〜。僕は結婚して、東京で暮らしている。」153 「鼠はまだ小説を書き続けている。彼は幾つかのコピーを毎年クルスマスに送ってくれる。〜。左手の指が4本しかない女の子に、僕は二度と会えなかった。僕が冬に街に帰った時、彼女はレコード屋をやめ、アパートを引き払っていた。〜。「カリフォルニア・ガール」のレコードは、まだ僕のレコード棚の片隅にある。」155
なお、以上の数字は頁数である。この小説の中身はは152頁分あった。現在ノーベル文学賞の有力候補と目されているが、結局以後、芥川賞は獲れなかった。外国の翻訳小説のような、ハイカラなバタくささが敬遠されたとも聞くが、残念なことである。
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4061163671
No.124:
(5pt)

ビールが飲みたくなる

著者、村上春樹の作品の中でこの「風の歌を聴け」を私は2番目に読みました。初めて読んだのは「ノルウェイの森」。

雷に打たれたように、一回目を読み終えた後は、自分の周りの日常の風景が(自宅リビングでしたが)不自然で違和感のあるものに見えたり、あるいは自分がふわふわと地面から少しだけ浮いてしまっているような感覚に襲われたことを鮮明に記憶しています。現実に戻りきれなかったので、家族のいない自分の部屋に帰って、そのまま寝てしまいました。

この本を読んだ今の僕の感想は、私たちの日常生活が、僕の思っていたよりもはるかに「儚い」ものだということです。そして怖い。怖いのは多分、「儚い」のが、誰でもいつかは死んでしまうということと、ほとんど同じことを意味しているからです。退屈な時間を過ごしてそのままおじいちゃん(おばあちゃん)になって、死んでしまうんじゃないか。そんな感情が読んでいる間に何度も頭を行ったり来たりしました。

そして逆に、そのような死と隣り合わせの時間(自殺したいとかそういうことじゃなく)を過ごすことによってしか、得ることの出来ない視点を、本書の主人公は持っているように感じられました。
風の歌を聴けAmazon書評・レビュー:風の歌を聴けより
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No.123:
(5pt)

村上春樹のエキス

おそらく、村上春樹のこの最初の作品に彼が持たんとしていた小説に対する本質のすべてが随所に散りばめられている。村上春樹はこの1作だけで隠遁してもよかったかもしれない。それだけ初期の村上春樹を知る上で『風の歌を聴け』は避けて通ることのできない作品だ。

 15億年という時間の流れは驚異的な出来事ではあるけれど、むしろそこに人生の本質が残酷なまでに明確化されているとも言える。つまり、生と死は生と死であるが故に究極の対立構造として一般的には捉えられるが、実はその境界は曖昧かつ朦朧としており、限りなく等価である”可能性”がある。よって、生と死の意味を模索することは、この上なく無意味な行為なのかもしれない。

 それは、あたかも論理物理学者のスティーヴン・ウィリアム・ホーキングがかつて指摘した宇宙の果てを考えることの無意味さに酷似しているかのようだ。
 宇宙は時間と空間「=時空」によって構成され、時間と空間は定量化することが可能であり、かつ相対的なものである。我々はそんな時空の中に存在するごく微小な存在に過ぎず、その時空の周縁は球体のように緩やかに歪んでいる。したがって、我々はいつまで経っても宇宙の果てに辿りつくことはできない。というか、宇宙の果てという概念は始めから存在せず、宇宙の果てなるものを想定すること自体に意味などありはしないのである。

 火星の砂漠に呆然と立ちすくみ、15億年という歳月を知ってしまった青年は、銃で頭を打ち抜き”自殺”してしまう。
 しかし、彼は決して悲観などしてはいなかっただろう。また楽観もしていなかったに違いない。宇宙の果ての追求が無意味であるように、彼の生と死もまた限りなく曖昧で無意味なものへと”昇華”し、生と死の等価性を彼は悟ったのかもしれない。彼は喜んでもいなければ悲しんでもいなかった。そして、彼の採用した自殺という結末は一つの選択肢であり、引き金を引いたのもあるいは一つの偶然であったと解釈できる。青年の死に意味はない。彼はただ死んだのだ。
 ここに村上春樹の死生観なるものが露出しているようにも感じられ、この火星での下りが『風の歌を聴け』のポイントではないかと個人的には考えるのである。


 最近の作品「1Q84」はさておいて、村上春樹はやはり初期の方が良かったと思われる。過去から現在に至るまで、とにかく登場人物にセックスや自殺をさせたがるのが村上作品の特徴である。そのセックス描写と死亡率たるや、まるでノワール小説ばりである。
 もちろん、そこには村上春樹独自の想いと感性が濃縮されており、好き嫌いはあるが彼の言うそんな根源的問題を感じ取ることは十分に可能ではある。そんなことを念頭に置いて村上作品に触れたとしても、やはり彼は昔の方が良かったなという思いは残ってしまう。

 昔、NHK-FM『サウンド・ストリート』の火曜日のDJであった坂本龍一は、しきりに村上春樹に言及していたわけだが、村上春樹が実際に一般ピープルのもとへ降りてきたのは『ノルウェイの森』からだろう。この時の世間の騒ぎぶりは、ちょっとした社会現象のようでもあった。猫も杓子も『ノルウェイ・・・』だったわけだが、その頃の村上春樹は悲しいかな、今から思えばピークを過ぎてしまっていたと言わざるを得ない。
 一説によると、村上春樹は「ねじまき鳥クロニクル」の頃から”転向”してしまったらしい。この3篇からなる長編作品を最近になってようやく揃えることができたが、まだ読むにいたってはいない。そんなわけで、この作品への書評ははばかれるところだが、それ以前に、村上春樹は初期の作品から順を追って読む必要性を感じる次第である。
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4061163671
No.122:
(5pt)

村上ワールドに引きこまれる作品

村上春樹さんの作品をこれまで読んだことがなく、
何気なく手に取ったのが処女作であるこの作品でしたが、当たりでした。

作中に特に大きな事件が起こるというわけでもなくただ淡々と物語が進行し
あっけなく夏が終わるという印象を受けたのですが、それが却って夏が(または
この物語が)終わることに対するやるせなさを感じさせてなんとも切ないです。

また、作品のところどころで70年代らしさや西洋っぽさが散りばめられていて、
私自身は70年代を生きた人間ではないのに、不思議と懐かしい気持ちにさせられました。
村上春樹さんの作品はまだこの1作しか読んでいませんが、これが村上さんの作風なのかなと
勝手に解釈しています(笑)

もちろん、完読後にデレク・ハートフィールドの書籍をネットで探した事は言うまでもありません
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4061163671
No.121:
(5pt)

かっこよくて、かわいいお話

「25メートルプール一杯分のビール」

「僕は☆君たちの事が☆好きだ」

村上春樹の本は数多く読破して来た

その原点というか、村上春樹の持つ世界観が、最も色濃く表現された作品では無いだろうか


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4061163671
No.120:
(5pt)

リスト形式の新しい小説の書き方

冒頭に、「リストを書くことしかできない」といった趣旨の記述が見られる。語り手がいくつかの部分でさまざまな物事をリスト形式で不必要なまでに挙げている。今までにない、新たな小説の技巧を村上春樹が試したのがこの作品であろう。こういった新たな語り口で物語をつづるという意欲的な挑戦が見て取れる。
風の歌を聴けAmazon書評・レビュー:風の歌を聴けより
4061163671
No.119:
(5pt)

何もかもが少しずつ、けれどとり返しのつかぬくらい昔とは違っていた。

タイトルは作品の引用です。その通り、登場人物は皆ゆっくりと変わっていきます。というか出会いと別れが描かれています。まず登場人物を借りて、作者の所信表明から始まります。そして最後に架空の作家で終わります。3ページくらい読めば軽快にとんとん進みます。途中セックスのことや自殺のこと、いろいろ出てきますが、高校生の読書感想文に向いていると思います。というより高校生時代に読んでおくと面白いです。軽さの中に深く突き刺さる箇所がいくつもあります。その箇所はご自由に感じ、楽しめば、繰り返し読みたくなります。
 もしかしたら物語に出てくる「カルフォルニア・ガールズ」を一度聴いてみるとと、レビューを見るより役に立つかも…です。
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4061163671
No.118:
(5pt)

阪神間、特に芦屋の文学

村上春樹の小説では最初の3部作が1番好きだ。特にこのデビュー作は単行本第一刷が出た時からの大ファン。

舞台は抽象化され、特定の土地から切り離された作品だが、私は著者の出身地である芦屋の空気を強く感じる。六甲山系から芦屋川が市街地を貫いて海に注ぎ、その川辺に松が枝を広げた公園やテニス・コートがある。そして70年代初頭までは堤防の外は海。山から海へ川に沿って清冽な風が吹く。本作のハートを掴むためには、この風に吹かれ、風の歌を聴く体験が必要だと思うし、そのような体験を持つ人なら共感するsomethingがある。

細雪の世界から約30年後に生まれた芦屋の文学。同郷の者として繰り返し愛読したい。
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4061163671
No.117:
(5pt)

村上氏の若き日の世界の捉え方が反映された短編小説です。

私は、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」以降リアルタイムで呼んでいる村上春樹ファンです。本書は、初めて読んだ大学4年生以降、折にふれ、読み返していますので、10回は読んでいると思います。本書の良いところは、カートボネガットばりのユーモアが随所にちりばめられてて肩から力を抜くことができることと、現在の村上氏の長編からは想像もつかないほど短い小説なので、ほんの2時間程度で読み終えることができることでしょうか。特に、夏の熱い日に読むと、クーラーの効いた部屋でビールとピーナッツが恋しくなります。J'sバーを夢想しますね。1Q84の「僕」まで一貫してつながっているような印象を受ける「僕」と僕の分身として「羊をめぐる冒険」で葬られる「ねずみ」とのペアマッチ、「他人なんか関係ない」という青年期にありがちな虚無的、刹那的感覚。ドライで、少し翻訳調の文体で書かれた物語を読むことは、既に自分の中からは失って久しい感覚を呼び起こさせます。最近のヘビーな「生と死」でがんじがらめになっている村上ワールドとはひと味違う旧き村上ワールドを味わってみませんか。
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No.116:
(5pt)

素晴らしい!!

何度も何度も読み返したくなる作品。デビュー作とは思えない。
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No.115:
(4pt)

読む順番は重要。本書は最初に読もう。

『羊をめぐる冒険』を読んだ後に、本書を読んで「しまった」と思いました。僕と鼠との関係ってこんなところから始まったんだということに気付かされて、知っていれば『羊〜』ももっと深い面白さが得られたのにというか、それが後で分かったというか。いずれにしても、3部作になっているので、最初に読んだ方が良いでしょう。内容は難解です。話は飛ぶし、どの彼女のことを説明しているのかと思ったり、なぜか小指が無い彼女はいなくなってしまうし、鼠は本を書くし。。。1回では全部を理解するのは無理がありますね。でも、村上春樹の本の中では、比較感としては、他の本に比べてサラッとした感じ、決して爽やかということではないのですが、若さを読後に感じる作品です。
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4061163671

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