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風の歌を聴け
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風の歌を聴けの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.06pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全52件 41~52 3/3ページ
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デビュー作ということもあり、文章はまだまだ下手っぴな部分も多いが、この直後にやってくる80年代 的Coolness&Popnessの先駆的意匠というアプローチから読めば、実はかなり前衛的な純文学だったと言え るかもしれない。内容自体はどうでも言いっちゃどうでも良く、読んでいて小っ恥かしくなる──二十歳そ こらでそんなこと言う奴いるかよ的な──場面も多く、個人的には好きな作品とは言えないまでも、結局、 村上春樹の村上春樹たる最も偉大で稀有な資質とは、テキストを上滑りながら読んでも読者を作品の本質と いうか内奥にまで接近させる技術にあるのだと思った。 他の純文学作家の場合、大前提として読者は、そのテキストと極めて近い距離から半ば文学的格闘を通じ てその作品を読む必然に駆られる。つまり、適当に上滑りつつ読みなぞっていても作品世界の内奥に没頭す ることができないのが他の純文学ほとんど全てに通じる最低条件だったりするのだが、村上春樹には、特に 深い入りすることもなく表面を適当になぞっているだけでも作品の深い部分にまで読者を引きずり込む魔力 がある。その魔力自体は必ずしも芸術的価値のある構造的特質というわけではないものの、それでも、興味 のない読者までをも作品のボトムスに引きずり込む作力だけは評価していい。(アンチにまで何かを奮い立 たせる作家はそう多くないだろう。) とはいえ、作品の内容をあれこれ議論する程度の世界観でもないだろうというのが率直な感想。つうか、 ほとんど内容とか細部を、もうほとんど忘れてる。謎めいた女の登場人物がややショッキングな打ち明け話 をするという必殺技はカポーティーの『草の竪琴』からの飛び切りのインスパイアだったのか、その後の彼 の作品でも必ず登場するお決まりのプロット(筋運び)である。そう考えると、登場人物にほとんど真相を 語らせることなく作品に衝撃の結末を用意してしまうレイモンド・カーヴァーに、彼が自分とは正反対の ハードボイルド観を見出して大きな衝撃を受けたであろうことも素直に納得できる。 ちなみに、「完璧な文章」は必ず存在します。ただ、我々がそれを遂に見る事がないというだけのことで す。完璧を目指して絶望するのと、完璧の不在を拠り所に最初からに絶望を回避するのとは、全く意味が違 うばかりでなく、いちいちそんな言葉を有り難がっていること自体が一つの大いなる絶望を招くということ に早く気づいた方が、方向感覚を剥奪された真っ暗闇の海上から微かな岸辺の灯を見つける日もそう遠くは ないってもんだろう。 | ||||
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私は本を読む時、どうしても、はっとするような思想に出会いたい、 と思ってしまう。 そういうスタンスの読者にとっては、気分の良くない作品だ。 結局、主人公の僕、の物憂さの原因の一つは、きっと、 恋人が自殺したこととか、なのだろうとわかる。 その事を書く時、読者を引き込もうとする為に、ぽそっ、と書き、また、さっ、と 場面転換し、忘れた頃に、また、ぱっ、と出す。 自殺とか、そういう重い話を、そうやって、物語を引っ張るための、 小道具にしている感じがして、嫌なのだ。 ああ、そうか、「僕」はその事件がネックになっているのだな、 という共感は持てるかもしれない。 しかし、人間関係そのもの、とか、死、そのものについて、 何かを語っている小説を読みたい、と願うものにとっては、 本当に、空疎な作品に思えてしまう。 もっとも、作者は、青春期の、そういう死とか人生に対して、 受け身にならざるを得ない若者の姿を書きたかったのかもしれない。 そういう点が、若い読者をひきつけるだろう。 「嘘」ということも、この作品の重要なモチーフである。 何だか、この作品自体が、巧妙な嘘に満ちているような気もする。 ハートフィールドのこともそうだし、ラジオ投稿の難病少女の手紙も、 作者は、読者を騙して笑っていたりして・・・。 トリッキーな作品ではある。 | ||||
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恐らく今、この小説の持つ独特の感触は薄れてしまっていると思う。 小説の賞味期限としてはもちろん長いモノであると思うし、村上春樹さんのデビュー作であるから、今後も読まれていくと思う。 しかし、出版された当時のショックは大きかった。これを私は高校生時に読んでしまって、その後「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を読んでしまったが為に、新作が出るたびに買わずにはいられない作家になってしまった。 この作品はいろいろしかけは多いのだが、その仕掛けをいちいち解きたくなり、また自分の説を説明したくなるという作用を持つ。しかし、私の感じた1番大きなことはまるで消毒された様な文体だった、という事です。 今では当たり前のこの文体ですが、その当時は本当にショックだった。有名な1度英語で書いて翻訳した、という事実も良く分かりますが、それだけでない突き放した、自分の影を出来るだけ排除し、消した文章が、とても印象的でした。 今はやりの文体の恐らく原点、それを確認してみたい方にオススメいたします。 | ||||
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村上春樹・著 群像新人賞受賞作であり、村上春樹のデビュー作でもある。 私は、村上春樹はそれほど好きではないのだが(「た」「た」と過去形が続くのがどうにも気になって思い切って世界にのめり込めない)、この作品は比較的好きである。 高校時代に昼休みに図書館で借りたこの本を、 次の授業であった世界史の一時間に私は一冊読み終えてしまったほど、 テンポがよく、あくがなく、読みやすい。 村上春樹を初めて読んでみたい、という人にはオススメできる作品。 | ||||
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村上春樹のデビュー作。氏の作品には前期と後期に分別されていて、それは『ねじまき鳥クロニクル』以前以後である。前期の作品の特徴は、ノスタルジー、デタッチメント(無関心)、諦念、といったところで、後期の作品の特徴は、現実の諸問題とのコミットメント(関わり)、である。この作品は、まさにその前期作品の特徴の、ど真ん中を射ている。前期作品と後期作品の世界観、どちらが好きかと言うのは人それぞれだと思うが、僕はメタフィクション化が促進された後期の世界観の方が断然好きだ。しかしながら友人は、この前期のあっさりしているようで陰影を含まれた感じの方が好きだと言っていたので、まさに人それぞれ。 時代の虚無を、必要最低限の言葉数で、物語として感じられる作品だ。氏の作品は、氏の文学史全体を把握していくことによって、見方が変わってくると思う。何はともあれ、今や「世界のMurakami」となった彼の、記念すべき出発点だ。 | ||||
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帰省中の大学生「僕」と友人の「鼠」のひと夏。 ロマンスと呼ぶには奇妙な設定の恋と、独特の味を出しているジェイズバー。そんな中で生き生きと描かれているのは、ハートフィールドをはじめとする作家の話だった。 夏の思い出として振り返っているにはあまりにも詳細であり、現在の話としては淡白すぎる。 自分の過去をビデオで見て再確認するような小説だった。 春樹作品の主人公「僕」は、いつも同じような性格と雰囲気を持っている。その「僕」の青春時代、すべてのはじまりの物語として一読をお勧めする。 小説家は自らを描く以外に書くものはない。 | ||||
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えーと、微妙です。('-,_ω-`)プッ とりあえず前半は楽しめました。親しみやすい文体がすーっと身体の奥に入っていく感じがして心地よかったです。 だけど後半から(主人公が女子と絡みだした辺り)謎の哲学めいた言葉だったり、他の書物から印象的な言葉を引用したりとよくわからない展開になって興ざめしてしまいました。 中盤辺りで一度読むのをやめたのがまずかったかなあ。一気に読めば前半の心地よさをそのまま後半まで持ち越せた気がしなくもない。 この人の小説全般に言えることだけど、訴えたい明確なテーマってないですよね。多分。最初にプロットは立てるけれども書いていく中でどんどん話が脇に逸れて行ってる気がする。で、最終的には意味の分からないものになると。 だけどその意味の分からない話の中にも共感するところがあったり、話の雰囲気がなんとなく良かったりしてこの人の作品は評価されてるんでしょうけど、今作では読了した後、その"なんとなく良い"感じにはなれませんでした。ダンスダンスダンスとかねじまき鳥ではなれたんですけどね。何が違うんでしょ。('-,_ω-`)プッ | ||||
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非常に読みやすく、世界に入り込みやすいことは好感が持てます。しかしそのことと、文学性は切り離して考えるべきだと思います。まったく別のある実用書のレビューで、次のようなことを書いている人がいました。 「この本は非常に○○についてわかりやすい。しかし、わかった気になるだけで実際はわかっていない危険性をもはらんでいると思う。読むと文学がわかった気になる村上春樹作品と似ている」 非常に的を射たコメントだと思います。そして、この小説は村上春樹の処女作だけあってその性質が特に顕著です。 個人的には村上春樹氏は、純文学の新境地を切り開いたと言うのではなく、純文学を大衆文学に近づけたという意味で偉大なのではないか、と思います。それはすばらしいのですが、氏は同時に「曖昧なままごまかす」という手法を文壇に持ち込んでしまった点が、少しまずかったんじゃないか、という気がします。 要するに彼の作品でしばしば見られる 「‾つまりはそういうことだ」 という表現です。この作品などはそれの宝庫です。この言葉を、小説、ひいては文学をわかったつもりにさせる免罪符として用いているような気がしてしまうのです。文章で書いてあるからには、三島由紀夫の作品のように、細大漏らさず書いてほしいと、僕は思います。 この小説を読んでピンと来なかったとしても、文学を諦めるのは早すぎます。ピンと来なかった人は、曖昧な表現が受け入れられなかった可能性が高いと思います。そういう方には、三島やトルストイなどの、ハッキリと書いてある作品をお薦めします(ただ、その細部を理解するのは少々困難ですが)。 村上春樹氏の作品では、「スプートニクの恋人」が、最後に曖昧さがあまり残らず、晴れ晴れとした読後感が得られるので、お薦めです。 | ||||
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佐々木マキさんのイラストに惹かれてジャケ買いしました。作品中に出てくる音楽だけをピックアップしてCDを下北沢の中古CD屋さんで探して買って聴いてその時出会った二人の青年と意気投合して三人でバンドを組んで現在プロとしてツアーをしてます。 | ||||
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学校の図書館の新刊コ-ナ-で借りた。けれど、私にはあまり合わなかった。読後は何も残らない。ただアメリカの青春映画を見ているような心地良い文体。読んで得にも損にもならない。流れるような音楽を聴いているような感じだ。でも、だらだらとした文体や、年上の女性に対する感覚が、どことなく垢抜けてない。こういうのを、現代の純文学というんだ、と何となく納得。 | ||||
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軽いタッチで書かれていて興味深かったし、デビュー作ですごいと思いましたが、個人的には同じ村上春樹さんの作品なら「ノルウェイの森」のほうがお勧めです。 | ||||
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僕は受験生なんですが、この本から漂ってくる虚無感がなんか嫌でした。やっぱ主人公と同じような時期に、同じような感情の状態で読んだのが原因で同族嫌悪に陥ってたように思います。もう少し大人になったら振り返る形で見れて楽しいかも。 | ||||
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