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赤ひげ診療譚



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赤ひげ診療譚の評価: 4.78/5点 レビュー 72件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.78pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全72件 61~72 4/4ページ
No.12:
(5pt)

読みやすいが、読みが応えあり、そして考えさせてくれる。

 良き医師の典型として多くの日本人がイメージする人物、それが赤ひげである。しかし、実際に本書を読んだ人は多くはないのではないだろうか? 赤ひげは著者が練り上げた架空の人物であるのだが、その行動原理や行動規範はまさしく「医師たるべき人」として申し分ない。いやむしろ、架空の人物だからこそ、医師にふさわしい行動をとらせることが出来たのかも知れない。その意味で、「単なるフィクション」として本作を見ることも充分に可能である。しかし、人間描写のプロであり、また「人々が望むもの」を見極めるプロである職業作家が描くこの人物は、人々が求める「医師たるべき人」のモデル例である‥との解釈も可能である。
 
ある種、高圧的で強権的な赤ひげであるが、その医師としての行動には私心がない。ただひたすら、合理的な治療家であろうとのみ思考が集約している。しかし本書を読む人に、是非とも想象してもらいたい。赤ひげのような人間性の形成が、果たして現実問題として可能なのかどうかを。読者と同じ人間として、赤ひげのような人間が存在しえるのか‥ということを、考えて戴きたいのである。そしてそれが可能だとして、ではどういう社会制度が赤ひげのような医師の活躍を促進するのか‥ということも同時に想象して戴きたい。
 
架空の人物である赤ひげと対比して実際の医師を批判することは溜飲の下がることかもしれず、それはそれでやっていただいて全く構わないのだが、本書を読んだことを良ききっかけとして、もう一歩、建設的な想象をしていただければ、と思う。恐らく、著者、山本周五郎氏の求めていたのは、そういう事だったのではないだろうか?本作の設定が、時代こそ違え、現在の医療情勢と非常に似通っていることを考えると、私にはそのように思えるのである。 
赤ひげ診療譚 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:赤ひげ診療譚 (新潮文庫)より
4101134065
No.11:
(5pt)

青春小説

これは紛れも無く、青春小説の傑作なのです。タイトルに「赤ひげ」とあるが本書の主人公はあくまで青年医師である。赤ひげ先生は青年医師が成長していく過程で様々な影響を与え続けていく。初めは反発していた青年医師保本も赤ひげ先生の考え方、生き方に感銘し、自分の進路を見つけていく。そこには自分の受けた過去の傷をも乗り越える、強い意志が生まれるのである。つまり、青春の課程をじっくり見せられるのである。これこそ青春小説である。人間の成長過程を見ることはなんと素晴らしいことか。自分の青春と比較してしまい、卑屈になってしまうかもしれないが、そんなことはない。青春とは一人一人違うものだし、その価値も人それぞれ違うものである。恋愛しなくてもいいよ。友達いなくてもいいよ。みんなと同じことすることないんだよ。でも、本書のような青春ど真ん中の物語は、誰にでもなんらかの感動を与えてくれる。卑屈にならず、ただ感動すればよい。そんな物語です。
各短編には結末が書かれていない。みんな想像すればいいのである。自分だけの「赤ひげ診療譚」が出来上がるはずである。
赤ひげ診療譚 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:赤ひげ診療譚 (新潮文庫)より
4101134065
No.10:
(5pt)

山本周五郎傑作 

 自らの意思とは反し小石川養生所に派遣され、所長である赤ひげの元で働くことになった青年意志を主人公とした物語。
 社会的弱者である多くの患者を前に、自らのを犠牲にし治療を行う赤ひげの姿にし、青年医師は次第にその人間性を変えていく。
 特に多くの医療関係に従事する人には読んでほしい、山本周五郎を代表する感動の一作だ。
 周五郎の作品、その人情どっぷりの作風を「まるで濃い味噌汁を飲まされているようだ」と比喩する人々の声を少なからず聞いた事がある。
 私は反論したい。本書にある赤ひげの言葉に耳を傾けてほしい。そうすれば周五郎の人間に対する強い愛情を必ず感じ取れるはずだ。
赤ひげ診療譚 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:赤ひげ診療譚 (新潮文庫)より
4101134065
No.9:
(5pt)

江戸時代の心療内科

幕府の御番医になるべくエリート街道を進んでいたが、ひょんなことから小石川養生所の赤ひげ先生の見習医になった本書の主人公の保本登。
養生所の多くの患者の診療を重ねるごとに医学的な知識だけでは解決できない問題があることに気付き始める。現代でいう診療内科的診療を行う赤ひげ先生に最初は反抗をするが最終的には傾倒してゆく。
ここに出てくる患者たちは皆一寸だけトラウマがあり、通常の診療では解決できない問題を抱えている。そして保本登自身、自身が持っていたトラウマを克服してゆく。読んでいてほのぼのとするストーリーです。
赤ひげ診療譚 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:赤ひげ診療譚 (新潮文庫)より
4101134065
No.8:
(5pt)

人はどうあるべきか

「赤ひげ」の名前は聞いたことがあっても、実際に元となる本を読んだ人は少ないのではないでしょうか。読んだ気になっていて。私もその1人でした。
主人公である保本の成長を主軸として、医療とは何か?生きていくとはなにか?を説いていきます。もとは雑誌に連載していたこともあり、短編風の連作ですので大変読みやすいです。
この世知辛く、信ずるに足るものがない中での人の生き方、関わり方はどうあるべきか?ということを考えている私ですが、山本周五郎氏は以前からその道しるべを提示してくれていたのかと、出会いに感動してしまいました。 もっとはやく読めば良かった。 もっとどんどん読んでいきます。
赤ひげ診療譚 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:赤ひげ診療譚 (新潮文庫)より
4101134065
No.7:
(5pt)

名医の代名詞

 「赤ひげ」の名前は名医の代名詞として広く人口に膾炙しているが、この作品をどれだけ実際に読んだ方がいるのだろうか。わたくしには疑問に感じられる。赤ひげは小石川療養所、つまり徳川幕府による無料診療所に勤務する医師である。そこに新米の医師である主人公が不本意ながら派遣されてくる。主人公は赤ひげに反感を持つが、次第に彼の人柄に魅せられてゆき、最後は出世の道を捨てて赤ひげと共に貧民救済の医療を志すようになる、というヒューマニズム讃歌である。 このようにあらすじだけ書いてしまうと、「南極に犬を残して日本に帰りました。翌年再訪したら犬が二匹生きていました。めでたしめでたし」という南極物語と同じようにつまらない話ということになってしまう。そこは山本周五郎、微妙な心理の襞や患者との出会い、そして赤ひげの性格描写を通じて、その主人公の選択に説得力を持たせて「ああ自分であっても同じ行動を取ったかもしれないな」と思わせてゆくのである。 歴史小説というよりはふつうの教養小説のようである。なので、「山本周五郎の歴史物」を期待すると若干拍子が外れるかもしれない。当時の江戸情緒は至るところに現れてはいるが。 しかし日本の名医の代名詞「赤ひげ」とは何か知るためにも読むべきであろう。
赤ひげ診療譚 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:赤ひげ診療譚 (新潮文庫)より
4101134065
No.6:
(5pt)

人間とは?

はじめて小石川養生所を訪れた保本登は自分が長崎で医学を修行してきたことを鼻にかけた思い上がった、世間知らずの一人の若い医師でしかなかった。だが、この養生所に君臨している赤ひげこと新出去定という一人の医師によって、また、ここを訪れる貧民達との関わりの中で本当の医者とは何か、また人間とはどういったものかということに目覚めていく物語です。本を読んだあと映画も見てください黒澤明の作品ですが物語りにぴったりとはまりますよ!
赤ひげ診療譚 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:赤ひげ診療譚 (新潮文庫)より
4101134065
No.5:
(5pt)

すばらしい人生論を、

 本としては普通の長編小説なんだろうが、中身は短編にまとめられている。しかし、その短編集がそれぞれ絡み合って結果として長編小説ということになる。 若い医師がぼろい診療所に送られ、反抗した態度をとる。しかし、赤ひげ先生(新出去定)との付き合いや、周りの人などの影響により、だんだん考え方を変えてくる。しだいには赤ひげ先生の生き方に共感をしてしまったのでは。と思うほど。何が正義で、何が幸せで、誰が悪いのか。いろいろ考えさせられることはある。 小生も知らなかったのだが、山本周五郎は文学賞を何も取ったことがないということだ。それはなぜかと思ったが、この赤ひげ診療譚を読んだあとすぐそれを知ることができたので妙に納得させられた。この赤ひげは物語だけでなく、山本周五郎って人の生き方、人生論が良く出ている作品だと思った。 泣けるようなところは少なかった。というよりも、扇野みたいに泣くことはできなかったが、人生論って意味では大変勉強になった。世の中の行いには一見無駄に見えても、無駄なことは何一つない。こんなこと、どっかで聞いたことあるが、無駄だと分かっていても、その無駄に何か意味を見出そうとするのが良いのかもしれない。
赤ひげ診療譚 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:赤ひげ診療譚 (新潮文庫)より
4101134065
No.4:
(5pt)

青べか、季節のない街を土台に作り上げた名作です

いろんな読み方ができる本だと思います。医療の問題や青年の成長物語、教育とは?とか、江戸人情ものとしても一級品ですね。もっか山本周五郎道にはまっっているワタクシとしては作者の代表的現代劇「青べか物語」や「季節のない街」の登場人物たちがちらついてなりませんでした。作者のテーマとして大きな柱の一つである「貧乏」で「無知蒙昧」でしょうもない庶民たち。作者自身も(そして読者である我々も)塩や醤油を借りあいながら陰口たたき合いながら生きていくこんな人たちの一部であり、両現代作品で冷静に見つめていた視線を時代小説に移し、それを肯定するでもなく否定するでもなくやむにやまれぬ気持ちが形作ったものが新出去定像ではないか、やるせなさを吐露して見せたのではないか、そんな気がするのでした。それはそれとしておもしろく読めます。
赤ひげ診療譚 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:赤ひげ診療譚 (新潮文庫)より
4101134065
No.3:
(5pt)

心を打つ小説

「山本周五郎小説」は他の小説にない物がある。それは人の心を打つということであろう。それは、どうしてか解らないが、とにかく心を打つ小説である。
赤ひげ診療譚 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:赤ひげ診療譚 (新潮文庫)より
4101134065
No.2:
(5pt)

読みやすく、面白い

時代物苦手な方でも、入り込んでいき易いと思います。山本周五郎の作品の中でも、好きな作品です。長すぎず短すぎない量で、途中で飽きずに読み終えることができます。時代物好きの方には少々物足りないかもしれません。
赤ひげ診療譚 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:赤ひげ診療譚 (新潮文庫)より
4101134065
No.1:
(4pt)

映画といっしょに楽しもう

黒澤作品の原作で、映画もほぼ忠実に小説をなぞっています(いくつかのエピソードが異なりますが)。私は映画が先立ったので、三船敏郎や加山雄三のキャラクターを思い浮かべながら読み、とても楽しめました。
赤ひげ診療譚 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:赤ひげ診療譚 (新潮文庫)より
4101134065

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