四日のあやめ
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・「ゆだん大敵」には、時勢の縛りを感じるが、他の8篇は、佳作揃い。 中で「燕」は、老若の屈託のない談話を通して、前者は来し方を感慨し、後者は現時を謳歌、乃至は行く先を悲憤慷慨して止まない、人の世に繰り返される実相が、多面・多重に描かれて、味わい深い。 一方他の6篇は、女の情愛が生み、或いは齎す、悲喜のこもごもを、作者持ち前の多彩な創作で、綴る。多少創り込みに過ぎる感、なくもないが、情愛の様相はもとより、関わる男の翻弄されたり、成長する姿に、作者の限りない人生洞察が込められた、力作である。 | ||||
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山本周五郎『四日のあやめ』(新潮文庫)は江戸時代を舞台とした時代小説の短編集である。最初の短編は「ゆだん大敵」である。ここでは武士道を究めるストイックさが描かれる。名人とは、仙人のような存在になる。右肩上がりに拡大する感覚とは正反対である。 ストイックな美しさは料理にも表れている。粗末な食材を使うからこそ美味しい、それこそが食事であるという。「材料が粗末なだけ、それを大切に活かすつつましい心が籠っていて、どんな珍羞も及ばない豊かな深い味を創り出している」(22頁)。食材の価格と味が比例するというような浅ましい拝金主義を否定する。 表題作の「四日のあやめ」は何が正しい選択なのか考えさせられる。六日のあやめは遅すぎて意味がないという、たとえである。四日のあやめは逆に早すぎるということになるだろう。最善手は私闘を防ぐことだろう。私闘に参加しなかったから良かった、良かったとは本来ならない。上位者ならば私闘が起きたことに対する管理責任が問われる。もっとも、それでは夫婦の物語にならない。 「貧窮問答」は御家人の屋敷に奉公する臨時雇の中間の話である。だまされる話かと思いきや意外な結末になった。よくある人情物のように見えながら、意外な結果になる。最後の「榎物語」は恋愛物である。愛の力を描く話を予想させたが、シビアな結末になった。 | ||||
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周五郎らしい味わい深い短編が揃っています。表題作「四日のあやめ」がやはり素晴らしい。夫を愛するがゆえに妻が取った行動が夫の武士としての立場を苦しめる物語ですが、夫婦の情愛が見事に描写されています。個人的なベスト3を挙げるとすればあと2つは「初夜」と「榎物語」でしょうか。「初夜」は緊迫感ある展開が読みごたえがあり、「榎物語」は人生の不条理を感じさせる切ない物語で、晩年の周五郎の上手さが光ります。 | ||||
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この本は、武家もの、岡場所もの、愛情ものなど、周五郎作品の 多様さが味わえる作品集です。 特に印象に残ったものは、男のことを愛し、子供までなしたのに、 自分の愛情の発端が、岡場所の女たちの賭けから始まったことを 恥て、男の下から立ち去っていく女の姿を描いた「契りきぬ」は、 岡場所のの中では、傑作だと思います。 あと決闘の知らせを「私闘」とし、妻が夫に伝えなかったことから 始まった夫婦関係と武士としての在り方を説いた「四日のあやめ」も 印象に残ります。 | ||||
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収録作品は以下の通りです。 「ゆだん大敵」(昭和20年) 「契りきぬ」(昭和24年) 「はたし状」(昭和26年) 「貧窮問答」(昭和28年) 「初夜」(昭和29年) 「四日のあやめ」(昭和29年) 「古今集巻之五」(昭和33年) 「燕」(昭和35年) 「榎物語」(昭和36年) 本書は武家社会を中心に夫婦、恋人同士の心の綾を扱った作品を集めている。「契りきぬ」は味わい深い作品。ヒロインおなつのひたむきさと潔さが印象的。そこまでしなくてもと思ってしまう。「初夜」は、周五郎典型的なさわやかな作品。巧すぎるきらいがないではないが。「四日のあやめ」も力作。武士には御法度の私闘を妻が取り次がなかったために夫が受ける精神的な苦痛、そして、夫婦の情愛が描かれる。力作。「古今集巻之五」も面白い。妻に自害された夫とその謎解き。タイトルになった古今集の歌は作品中には引用されません。が、古今集を持っていれば容易にわかります。探してみるのも一興でしょう。「榎物語」も力作。将来の再会を誓い合った不運な恋人同士。周五郎によくある一件落着にならないところがこの作品の価値を高めていると思う。 | ||||
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