■スポンサードリンク
樅ノ木は残った
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
樅ノ木は残ったの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.36pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全100件 61~80 4/5ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
新八がおみやに言う、「侍というものは、自分や自分の家族よりも、仕える主君や藩のほうが大事なんだ。・・・けれども、おれたちにはあんな生きかたはできない。あの人たちからみれば、おれやおまえは堕落した賤しい人間だろう。おれたちからみれば、あの人たちはどこかで間違っている、この世にありもしないもののために、自分や家族をいさんで不幸にしている、というように思える。」 甲斐が舎人に言う、「――意地や面目を立てとおすことはいさましい、人の眼にも壮烈にみえるだろう、しかし、侍の本分というものは堪忍や辛抱の中にある、生きられる限り生きて御奉公することだ、これは侍に限らない、およそ人間の生きかたとはそういうものだ、いつの世でも、しんじつ国家を支え護立てているのは、こういう堪忍や辛抱、――人の眼につかず名もあらわれないところに働いている力なのだ」 下巻について、あらすじを書くのは野暮であろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
伊達騒動での逆臣が実は主家存続を図った功臣だった?!著者山本周五郎の鮮やかな筆捌きは、極悪人の烙印を押された原田甲斐の深謀遠慮、臥薪嘗胆、孤立無援、艱難辛苦を壮大に描き切る。アウトドア志向の野性味溢れる型破りな武士としてこの人物を捉える点も異色で面白い。 周りの無理解、悪評に耐え忍ぶ姿が誰かに似ていると思ったら、元赤穂藩国家老大石内蔵助の名前が脳裡に浮かんだ。だが、御家断絶後の復讐劇(「忠臣蔵」)の主人公は、見事亡君の仇討ちという本懐を遂げたことで、後世に武士の鑑との名を残し得た。親族へのお咎めも後に許される。 一方の原田甲斐はどうか。獅子身中の虫たる藩主一族の奸計に抵抗しつつ幕閣権力者に挑んだ結果、謀殺の事実を秘して乱心者の汚名を一身に引き受け倒れた。前門の虎、後門の狼からの攻撃に身をかわしながら、内憂外患の伊達藩六十二万石を護り抜き恥辱の死を迎える。累は親族に及び、原田家は断絶した。 いつの世も時の最高権力者と戦うことの無謀さは想像に余りある。敵は守りの弱点を突いてくる。敵の懐に飛び込みその奸智の上をゆく妙手を繰り出す困難さは、幾度も本書の主人公に無力感と焦燥感を強いたことだろう。対等に闘った筈の森の大鹿くびじろは唐突に猟師の鉄砲で撃たれる。これは何かの暗示なのか。 数少ない味方は病死し、もう一人は敵の策略に堪忍袋の緒を切らせた。堅忍不抜の主人公の仲間は消えた。そして、彼自身も…。北国の風雪に耐えた樅ノ木は黙して語らず、ただ原田甲斐その人を偲ぶ娘たちが確かに居たことを、手向け代わりに著者は書き記すだけだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
伊達騒動での逆臣が実は主家存続を図った功臣だった?!著者山本周五郎の鮮やかな筆捌きは、極悪人の烙印を押された原田甲斐の深謀遠慮、臥薪嘗胆、孤立無援、艱難辛苦を壮大に描き切る。アウトドア志向の野性味溢れる型破りな武士としてこの人物を捉える点も異色で面白い。 周りの無理解、悪評に耐え忍ぶ姿が誰かに似ていると思ったら、元赤穂藩国家老大石内蔵助の名前が脳裡に浮かんだ。だが、御家断絶後の復讐劇(「忠臣蔵」)の主人公は、見事亡君の仇討ちという本懐を遂げたことで、後世に武士の鑑との名を残し得た。親族へのお咎めも後に許される。 一方の原田甲斐はどうか。獅子身中の虫たる藩主一族の奸計に抵抗しつつ幕閣権力者に挑んだ結果、謀殺の事実を秘して乱心者の汚名を一身に引き受け倒れた。前門の虎、後門の狼からの攻撃に身をかわしながら、内憂外患の伊達藩六十二万石を護り抜き恥辱の死を迎える。累は親族に及び、原田家は断絶した。 いつの世も時の最高権力者と戦うことの無謀さは想像に余りある。敵は守りの弱点を突いてくる。敵の懐に飛び込みその奸智の上をゆく妙手を繰り出す困難さは、幾度も本書の主人公に無力感と焦燥感を強いたことだろう。対等に闘った筈の森の大鹿くびじろは唐突に猟師の鉄砲で撃たれる。これは何かの暗示なのか。 数少ない味方は病死し、もう一人は敵の策略に堪忍袋の緒を切らせた。堅忍不抜の主人公の仲間は消えた。そして、彼自身も…。北国の風雪に耐えた樅ノ木は黙して語らず、ただ原田甲斐その人を偲ぶ娘たちが確かに居たことを、手向け代わりに著者は書き記すだけだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「人が虎を殺そうとする場合には,人はそれをスポーツだといい,虎が人を殺そうとする場合には,人はそれを獰猛だという.罪悪と正義の区別も,まあそんなものだよ」 これは劇作家ジョージ・バーナード・ショーの言葉だ. 個人的に原田甲斐が善人であったとか,悪人であったとかそういった歴史的評価には余り興味はない.そもそも視点を変えてしまえばどうとでもなるような議論に,どれほどの意味があるのか分からない. 唯一つ言える事は,山本周五郎の描き出した原田甲斐という人物,そして彼を中心に紡ぎ出された物語は十分に感動に値するものであり,彼の生き様は落涙に値する.伊達家を守る.この誓いを守るためだけに,誰にも理解されずに孤独に戦い続ける彼の生き様をぜひ多くの人に読んでもらいたい. | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「人が虎を殺そうとする場合には,人はそれをスポーツだといい,虎が人を殺そうとする場合には,人はそれを獰猛だという.罪悪と正義の区別も,まあそんなものだよ」 これは劇作家ジョージ・バーナード・ショーの言葉だ. 個人的に原田甲斐が善人であったとか,悪人であったとかそういった歴史的評価には余り興味はない.そもそも視点を変えてしまえばどうとでもなるような議論に,どれほどの意味があるのか分からない. 唯一つ言える事は,山本周五郎の描き出した原田甲斐という人物,そして彼を中心に紡ぎ出された物語は十分に感動に値するものであり,彼の生き様は落涙に値する.伊達家を守る.この誓いを守るためだけに,誰にも理解されずに孤独に戦い続ける彼の生き様をぜひ多くの人に読んでもらいたい. | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
上巻は物語の背景、登場人物の性格、ものの考え方がだんだん解かってきます。何事かを成さんと、捨てて捨てて一心になるかのような原田甲斐が印象的です。作中「断章」が入れられサスペンス物のように想像が掻き立てられます。男女の機微も物語りに膨らみをもたせ、どんどん引き込まれます。どっぷりと物語に浸り、中巻にすすめます。「木はものを云うさ、・・・」風雪に耐え生き続ける「樅の木」が誰も知りえない人の心のうちを語るようです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
上巻は物語の背景、登場人物の性格、ものの考え方がだんだん解かってきます。何事かを成さんと、捨てて捨てて一心になるかのような原田甲斐が印象的です。作中「断章」が入れられサスペンス物のように想像が掻き立てられます。男女の機微も物語りに膨らみをもたせ、どんどん引き込まれます。どっぷりと物語に浸り、中巻にすすめます。「木はものを云うさ、・・・」風雪に耐え生き続ける「樅の木」が誰も知りえない人の心のうちを語るようです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
官位、職名、字、苗字、氏名など人の呼名は様々です。 これが時代小説の面白い点で、相手との力関係、感情が細かに織り込まれているようです。 圧巻のフィナーレでした。 何とも形容しがたく、複雑な心境です。 死ぬときがくれば死ぬ、死に方よりもどう生きたか、生き抜いたか今何を考え、何をしているのか。 主人公の周りの女性も魅力的で、この物語にゆたかな膨らみを持たせているように感じます。 人の行ないの一部は目にしますが、その意図、意味を知ることは容易ではありません。 邪推も多く恥ずかしいことです。 語らずとも、蒔かれた土に根を張り風雪に耐え成長する草木の姿に、樅の木の姿に思いを深めました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
前々から山本周五郎の小説を読んでみたかったので、代表作と言われている本作を読んでみた。伊達騒動において従来悪役と見られていた原田甲斐が、山本周五郎の大胆な新解釈によって、伊達家を救ったヒーローとして描かれており、(この新解釈には、異論もあるだろうが・・)しかも非常に魅力的な人物として描かれている。 読み応えのある娯楽大作という感じで、ほかの山本周五郎作品も読んでみたいと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
前々から山本周五郎の小説を読んでみたかったので、代表作と言われている本作を読んでみた。伊達騒動において従来悪役と見られていた原田甲斐が、山本周五郎の大胆な新解釈によって、伊達家を救ったヒーローとして描かれており、(この新解釈には、異論もあるだろうが・・)しかも非常に魅力的な人物として描かれている。 読み応えのある娯楽大作という感じで、ほかの山本周五郎作品も読んでみたいと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
それだけに尽きます。 私は山本周五郎できちんと読ませてもらったのはこれだけです。 時間さえあれば何度も読み返したい作品です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
それだけに尽きます。 私は山本周五郎できちんと読ませてもらったのはこれだけです。 時間さえあれば何度も読み返したい作品です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
伊達騒動という史実を元に「一人で生きていく」困難さを見事に表現した傑作である。 これでもかこれでもかと出てくる難題に、まさに命がけであたっていくさまは、読者の胸を打たずにおかない。 今の若い人たちが、原田甲斐の死に様(生き方)が理解できるだろうか。 私はこの本をハードボイルドとして読んだが、「ハードボイルド」といってしまうとなんだか「形だけの軽いもの」という印象を受ける方も多いことであろう。 しかし、この本は「真のハードボイルド」である。 隆氏の「死ぬことと見つけたり」同様働き始めた若い世代にぜひとも読んでほしい一冊である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ずっと読みたいと思っていたのだが、今回文庫の字が大きくなったのを機に 手をつけてみた。登場人物の多さは気になるところではあるが、人物が出てくるたびに書き出しておけば(翻訳ものによくあるように)理解が深まる。 私は稲見一良のように、この小説をハードボイルドとして味わっている。 まだまだ著についたばかりだが、かなり深いものがある。 今後の展開が非常に楽しみである。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ずっと読みたいと思っていたのだが、今回文庫の字が大きくなったのを機に 手をつけてみた。登場人物の多さは気になるところではあるが、人物が出てくるたびに書き出しておけば(翻訳ものによくあるように)理解が深まる。 私は稲見一良のように、この小説をハードボイルドとして味わっている。 まだまだ著についたばかりだが、かなり深いものがある。 今後の展開が非常に楽しみである。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
山本周五郎全集、未収録全集をすべて読んだが、もっともつまらなかったのがこの小説。 この小説は、それまで逆臣とされた原田甲斐を大忠臣ととらえたものである。しかし、近年、とくに近代史においては1次資料の発掘が進められ、通説化した史実の見直しが進められている。寛文事件については不明な点も多いが、酒井忠清の関わりについては池田光政の日記や土佐藩の記録などでほぼ明らかになっている。今更読むと、全く陳腐な小説としか言いようがない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
山本周五郎全集、未収録全集をすべて読んだが、もっともつまらなかったのがこの小説。 この小説は、それまで逆臣とされた原田甲斐を大忠臣ととらえたものである。しかし、近年、とくに近代史においては1次資料の発掘が進められ、通説化した史実の見直しが進められている。寛文事件については不明な点も多いが、酒井忠清の関わりについては池田光政の日記や土佐藩の記録などでほぼ明らかになっている。今更読むと、全く陳腐な小説としか言いようがない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
山本周五郎は大ファンですが、これは文句なしに良い!伊達騒動の悪者となってしまっている原田甲斐の生き様。偽悪者の生き方に涙なしでは読めませんよ。 これが本当かどうかは誰にも分かりません。だから、本当に彼は山本周五郎の書いたような人間だったのかも知れないし、本当に悪者だったのかもしれません。 でもそんな事よりも、この本は読むべきですよ。僕は十代でこの本が読めてよかったと思っていますから。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
山本周五郎は大ファンですが、これは文句なしに良い!伊達騒動の悪者となってしまっている原田甲斐の生き様。 偽悪者の生き方に涙なしでは読めませんよ。 これが本当かどうかは誰にも分かりません。 だから、本当に彼は山本周五郎の書いたような人間だったのかも知れないし、本当に悪者だったのかもしれません。 でもそんな事よりも、この本は読むべきですよ。 僕は十代でこの本が読めてよかったと思っていますから。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
山本周五郎の代表作というと「ながい坂」ということになっていると思うが、作品の完成度、与えられる感銘ということになると、本作の方に軍配が上がるように思われる。 本作は、「伊達騒動」を題材に取った作品であり、主人公の原田甲斐は主家を改易に導きそうになった大悪人である、と一般的には認識されており、事実伊達政宗公の頃から続く名家である原田家は廃絶の憂き目に遭っている。その原田甲斐悪人説を転倒させたのみならず、そこに至るストーリーの作りかた、プロセスの描き方が素晴らしい。 上巻、中巻、下巻のほとんどを読んでいて、いったいどこに「救い」があるのだろう、とずっと疑問に思われるに違いない。徳川家のあまりにも強い権力と陰謀に屈してしまうのではないかと・・。そしてずっと暗雲が垂れ込めていた伊達家にようやく光明が見えてくるのが最後の最後、そして本当に光が差し込むと同時に、その光は原田甲斐そのものを死に追いやってしまう使いでもあったのである。結果的に伊達家は存続するものの、重臣涌谷と甲斐の命は絶たれ、原田家は断絶する。 「家」を守ることとは何なのか。公人としての生き方とは何か。次々と重い問いを突きつけてくる、歴史小説の大傑作である。 隆慶一郎、宮城谷昌光、そして最近では池宮彰一郎など、優れた歴史小説家は輩出しているものの、やはり山本周五郎を第一に挙げたくなるものであり、さらに本作を第一に推すものである。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!