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椿姫を見ませんかの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.62pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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1986年発表、1989年文庫化の昭和の学園ミステリであります。 登場人物たちの描写は軽妙かつエキセントリックで、キャラクター小説のハシリといった一冊。 著者が芸大出身だけに戯画化されつつもがっつい濃い、音楽+絵画のどろどろの芸術の世界。タッチはライトなのですが、錯綜したプロットもあって、その方面に関心が薄いとけっこう息切れしてしまいます。この辺りは時代の違い、感覚の違いなのかも。衆人環視の舞台上の毒殺事件という派手なシチュエーションをはじめ、メリハリをつけた展開はなかなかのものながら、いかんせん、登場人物たちの人間関係が好都合に繋がり過ぎだといった点は否めず、解決も予定調和な印象なのが残念。 ところで、カバー裏とオビのあらすじなのですが、ほとんど終盤の展開までネタバレ! 某脇役について「この娘、後で殺されるのか…」と気の毒になりながら読んでいました。初読の読者は御注意を。 | ||||
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芸術大学を舞台にした殺人ミステリである。 "椿姫"のプリマが連続して毒殺された。美術学部の守泉音彦は、毒物が入手困難な絵具であったことから、学内の誰かの手によることを確信する。プリマの代役は、音彦の高校時代からの友人 音楽部の鮎村尋深。死の舞台へ向かう尋深を、音彦は守ることができるか ・・・ 芸大出身の著者だけあって、音楽、美術についての造詣の深さがあらわれた作品となっている。マネが実在の"椿姫"を描いたとした贋作事件を絡めて、謎解きとしても良いのだが、芸術に専心する学生たちの日々に惹きこまれていく。蘊蓄に陥ることなく、芸術に向き合う姿勢が門外漢にもわかるように描かれている。 どこか斜に構えていながらも、優しさをあわせもつ音彦。きまぐれななかに、静かな情熱を感じる尋深。友人以上でありながら恋人にもなりきれない、つかずはなれずの二人の関係が物語を盛り上げてくれる。多少時代を感じる二人のやり取りではあるが、それがかえってノスタルジックな感慨に浸らせてくれた。 事件の顛末は、切なさ満開。音彦と尋深の関係が気になる次回作は「あしたカルメン通りで」、そして「蝶々婦人に赤い靴(エナメル)」と続く。 | ||||
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森氏の初期の長編ミステリーで、今回は現代の芸大を舞台に、絵画ネタとオペラネタを盛り込んだライトタッチのミステリーになっている。 ミステリーとしては突出したトリックがあるという訳ではなく、本格推理ものというよりはプロット重視のサスペンス風味が強い。 江口氏のカバーイラストもそうだが、舞台の描写や雰囲気がいかにも本作が書かれた80年代中期の空気感がよく出ていて、ミステリー云々ということではなく小説としてよく出来た作品と言える。 | ||||
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看茶花女了?看没看没?。。。。。。。。。。三文字 | ||||
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オトヒコくんとヒロミさんて21世紀には少ないタイプのカップルですね。なんか70年代の青春もののTVドラマを見ているような清々しさと懐かしさを感じます。森さんの描くキャラクターってみんな口が悪くて素直じゃないけど、知的で心が真直ぐで正義感が強い。そして一抹の孤独感を抱えている。この2人だけじゃなく、ベートーベンもチェルニーもみんなそう。読後感がとても爽やかで心が暖かくなります。このシリーズ全制覇したい。 | ||||
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オペラ歌手を目指し、新芸術学園音楽部声楽課へ通う鮎村尋深、好不調の波が激しく、口が悪いのが玉に瑕。同じ大学絵画課の守泉音彦とは高校からの腐れ縁の仲。舞台での練習中、学園のアイドル的存在で尋深のライバルの女性が殺された事件を皮切りに、尋深の出生の謎、さらには絵画贋作事件へと巻き込まれていってしまう二人。長編ミステリです。 ミステリとしてもよくできているのですが、何と言っても本作の一番の魅力は鮎村尋深。けっこう我がまま、あっけらかんとしてやりたい放題に見える尋深ですが、大事なところで一本ビシッと筋が通っていて、実は暗い過去を背負っている。音楽界・美術界のドロドロとした汚い暗い部分が描かれているのに、読後感が爽やかなのは彼女のおかげ。 シリーズ次作もぜひ読まなくては、という気にさせてくれる、よくできた一作です。 | ||||
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読んで本当に良かった、これはいい味わいのミステリだなあ、なんで絶版になってしまってるんだろう?と思った、そのくらい読みごたえのある音楽ミステリであり、絵画ミステリでした。話の語り手の視点から描写される鮎村尋深(ひろみ)がとてもいい。酒好きで、歌の好不調の波が激しいプリマドンナの卵。近所の迷惑も気にせずに、学校の練習室で夜中にオペラのアリアを大声で歌う尋深という女性のキャラが、陰翳をもって描写されていたのが印象的でした。タイトルにある“椿姫”というのは、デュマ・フィスの小説を許にしたイタリアの作曲家ヴェルディの有名なオペラです。大好きなオペラなのですが、本書ではその音楽の内容と雰囲気がうまく描かれているなあと感心しました。表面的にさらっと紹介されているというのとは違い、ヴェルディの“椿姫”という音楽を的確に、そして深く聴き込んだ上で、作者が作品の中で素材を生かしている。そこが見事でした。また、この作品は絵画ミステリでもあるんですね。フランスの画家マネが描いた“マリー・デュプレシの肖像”という絵の贋作が出てくる。ただ、事件のトリックの核心部分がすっと頭に入ってこなかったのが残念。もっと単純なものであったほうが、作品の印象もさらにUPしたかなと、自分の理解力不足は棚に上げてそんなことも思った次第です。 | ||||
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この人の作風はとかく軽くみられがちですが本格も本格、ごくごく正統の本格派。なのになぜかいつも的外れな評価を受けることが多く、本当に書評に恵まれない人です。しかも、会話のテンポがよく、またウィットに富み、デビュー作(これも乱歩賞受賞に際しては審査員の票が割れに割れました)以来毎回毎回楽しませてもらっています。読んでよかった!と思える本は、年間1000冊ほどは推理小説を読みますが、数冊しかありません。この作品が今年の最初のそれです。 | ||||
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