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沈むもの sinker
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沈むもの sinkerの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.86pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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まだ1万円の時に買っといてよかったー! まだ読んでない人、めっちゃ面白いすよ! | ||||
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いつかきっと再版に…‼という期待を持ちつつ数年立ちました。 再版よ、何処へ…。 ということで買ってしまいました。迷ってるあなた。今です。ポチってしまいましょう。 | ||||
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『贈る物語~wonder』というアンソロジーに入っていた「托卵」という話が気に入って、平山さんという人は他にどういう作品を書いているんだろうと、レビュー等には敢えて触れず、図書館でこの本を借りて読みました。 アマゾンで見てみると著書の多くは怪談ものが多いようなのですが、「托卵」はダークファンタジー、『Sinker―沈むもの』はサイコサスペンスと、偶然ではありますが、私の場合はどちらかというと傍流の方に引きよせられたようです。 話としては、残虐な幼女誘拐殺人事件を捜査する刑事が主人公で、捜査過程でサイキックに捜査の手助けをして貰い、事件を追い犯人を捜すというオーソドックス(?)な話。 残虐なシーン、日本版レクター博士、検屍官シリーズを彷彿とさせる科学捜査、警察機構で生きる刑事の苦悩、登場人物の間に構築される人間的な感情等、いくつもの目を惹く部分がある作品だと思います。 そしてなにより、「なぜそんな事件が?」「なぜ犯人はこんなことをしたのか?」「なぜ被害者は選ばれたのか?」「なぜ?」その理由が一人の例外はあれども、「家族(の機能不全)」に収束していった点が強く印象に残りました。 <ネタバレになりますが> 96年に出版された作品なのですが、親から子への虐待が非常に大きな軸となっています。 親による子への虐待が、負の連鎖という形で、自分が被害者だったはずが加害者になってしまい、そしてその子供が事件の被害者として選定されてしまうという部分がやりきれないリアリティを持っていました。 このテーマ(社会問題)は現代にも根強く存在していて、家庭内の問題であるため外的なアプローチは介入しづらく容易に解決はできないわけですが、その最悪の状況がこの作品では描かれているのではないかな、と思います。 それと、家族の団らんを得られなかった男が、いざ家族を持とうとした時、この事件を通じて結果的にそれが破壊されてしまった、というのも、とても辛かったです。 生まれや育ちが不幸せだったからといって、幸せになっていけないわけはないのですが、この作品においてはそんなに甘くなかった。 話の展開自体にはあまり時代性を有しておらず、今読んでも色あせることはありません。 が、この作品の持ち味だと一番に強く感じたのは、作者のシャープな問題意識と、当時の社会が示した解に対するある意味での作者によるアンチテーゼでした。 先を行きすぎていたのか、残虐描写がたたったか、実際に凶悪な事件が起こったからか、あまり広く読まれなかったようですが、非常に残念。 今こそ読まれる価値があると思うのですが、昨日見たらマケプレ5千円、今みたら7千円。 何らかの形で再版されるといいですね! | ||||
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ある人物視点では報われないの一言。 サイコパスとオカルト(超能力者系)をスリラーとして丁寧に料理した作品。 良い意味でB級感が漂うおもしろさを感じました。 物語全体の傾向としては暗いばかりでなく緩急があり飽きさせない作り。 残酷な描写もありますが総じて淡々と描かれている為か、 自分はそこまで気分が悪くなる事もありませんでした(それはそれで異常かもしれませんが)。 とはいえ、バラバラ死体が描写されていたり拷問まがいの描写もあるので全く受け付けない方は避けた方が無難です。 人物が淡々と書かれている所は趣味が分かれるかもしれません。 作中の登場人物には過去が有り、そして現在置かれている立場も良いと言える人物は少なく、 それぞれの悩みや葛藤も作中で確り描かれているのですが、その部分が強調して描写はされません。 作中で起きる出来事は過激に書かれているのですが、人物の内面の描写は抑え気味に書かれている印象があります。 自分としてはそのカラリとした描写は好みでしたが、人によっては物足りなく感じるかもしれません。 最後まで読ませる力は流石。 以下は余計な一言。 絶版物なので仕方ないと前置きしますが、 面白いけれども自分には6000円の値段が付くのは少し高いかなと感じました(2014/10/19時点)。 著者の余程のファンでない限りは図書館等で確認してから購入することをお勧めします。 | ||||
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数々の都市伝説、夏の旅行の友的怪談集を撰じている平山夢明氏の初期の作品。 無駄を省き、とことん読者を突き放すドライな文体、 章ごとのつかみの切り込みのうまさなどがこの人の作品には一貫しており、高評価です。 彼の作品の特徴として、登場人物に感情的にベタベタと寄り添うような、 一歩間違うとお涙頂戴になりかねない描写を極力排除している部分が上げられます。 だからこそ読者は共感する対象を自分で選択せねばならず、 そこに「正常な人間」のみではなく「異常な人間」にも共感してしまうスキマが生まれます。 冷静で簡潔で客観性に徹しようとした筆致のせいで、 研究者に観察対象としか見られない、見捨てられた子供たちの成れの果て=怪物の孤独さ、絶望感が 鮮やかに浮き彫りになります。 残酷描写は、多分故意でやってるんだと思いますが、淡々としている分余計にえぐいです。 人のイヤな部分を余り見たくない人にはお奨めできません。ハリウッド的幸せな物語要素はほとんどありません。 だからこそリアリスティックで良い。 ここまで「生理的に厭」なパーツを集められる筆者に脱帽します。 同著にベクシンスキーの装丁のハードカバー『ミサイルマン』がありますが、 復刻を待ちきれない方はこれと同著『他人事』でも似た雰囲気を味わえます。 人がこの歪んだ世界で生き延びるためにどこまで変形してしまうのか、 そんなボーダーに興味のある人に是非筆者の作品はお奨めしたい。 蛇足ですが筆者に奥さんと子供いるって聞いてびっくりしました。 家族を持ちながら、あえて深淵を覗き込む筆者の勇気に乾杯です。 | ||||
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間違いなく平山氏の最高傑作!!何度読み返したことか! 作者は初の長編でサイコミステリーとでも分類されるのであろうが、ジャンルを超えた面白さに作者の懐の深さを感じる。 トマスハリス著の「羊たちの沈黙」から影響されたのは間違いないが、ただのキャラクターの模倣で終わっていない点は作者なりのオマージュと解釈すればよい。正直かなり鬼畜的な残虐シーンがあるので多少読み手は選ぶと思う。 初版からは10年以上経過しているが古臭さはまったく感じない。このような名著が復刻されないのは真に残念だ。 | ||||
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読了後、数時間を経過して未だに興奮が冷めない。圧倒的なのである。トマス・ハリス『羊たちの沈黙』の本歌取りなのは疑いようがないが、それを割り引いてもなお余りある作品に仕上がっている。これだけのサイコ・スリラー作品が日本にあったなんて…。こんな作家が日本にいたなんて…。 確かに、ストーリィその他は『羊たちの沈黙』にそっくりだ。でも、「レクター博士」なくしては登場しえなかったであろう「プゾー」や「ジグ」の行動・エピソードをよ〜く読んで欲しい。これは生半可なサイコ作家では絶対に書けない。それにもうひとつ『羊たちの沈黙』にはないテイストが本作には詰まっている。物語自体が、実は掟破りのアプローチなのである。もちろん、この掟破りも作者の意図であろう。新味となっているのだ。児童虐待。逆手に取った恐ろしき痴人の愛。なるほど、これならば納得ができる。冷静に考えれば、実に荒唐無稽な物語ではあるのだが、妙にしっくり懐におさまる。作者の警察機構、犯罪学、その他の知識がリアリティを生み出しているためだ。 そのリアリティと対称的なのが名前の表記だ。超能力者ビトー、元児童発達心理学者プゾー、ビトーの婚約者ジジ、警部のキタガミ、そして誘拐殺人犯のジグ。主な登場人物ではこの5人のみが、カタカナで表記されている。作者が作り上げた『SINKER』というジグソーパズルに、この5ピースが収まるべきところに収まって世にも恐ろしいサイコ・スリラーを作り上げているのだ。 だから、この物語ではプロローグとは裏腹にビトーは1ピースに過ぎない。プゾーの内面に深く入りこまなかったように、ビトーの内面にも入りこんでいないからだ。そう考えれば、この物語は序章に過ぎないのではないか、そんな気がしてくる。次作に期待しよう。プゾーが、ビトーが真の主役になった物語を読みたい、と切に願うのである。 | ||||
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