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深紅
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深紅の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.93pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全41件 21~40 2/3ページ
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読むスピードが遅い私が、386ページを2日で読んだことからも本書の面白さが分かる。冒頭ののどかな様子からはその後の進展を全く予想させない。そのため、一気に展開していく物語に余計に引き込まれる。情景が目に浮かぶような描写は、非常に細かいが無駄がない。余計な挿話もないので途中でダレる所がなく一気に最後まで緊張感が続く。設定はドラマチックだが、最後に大どんでん返しがある訳ではない。それでも物足りなさを感じないのは、扱われているのが現実に実際に起こっていることではなくて、人物の心の深層の動きをいろんな角度から見ていているからだ。表面的なサスペンスだけを求めるのなら、尻すぼみに感じるかもしれない。とても深い「心理サスペンス」だと思う。 | ||||
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まず、驚くべき人物設定であることに驚くだろう。事件の被害者と加害者の遺族同士の、一種の交流というのは前代未聞ではないだろうか。過去と現在を行きつ戻りつし、遺族としての気持ちが時に迷い、時に勇気を鼓舞しながら物語が進行していく。非常にスリリングだが、見た目は淡々としていて、非常に薄ら寒さを感じるときもある。 最後がどうなることやら途中から気が重くなったが、最後はこれしかないだろうなという終わり方で気持ちがゆっくりと弛緩した。きっと主人公も同じ気持ちだろう、そう思わせる開放感だった。 本作品でも作家のこだわりである「マスコミの責任」がはっきりと現れている。作中に登場するルポライターが作家の贖罪の心を表す姿に思えてならなかった。 本書は文学賞受賞作品だが、その選考委員でもあった高橋克彦の力強い解説も非常に面白い。 | ||||
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この小説は家族を失った小学生が心のどこか壊れたまま成長する姿が実に見事に書かれている・ そして犯人の娘に会いに行き、彼女との交流を持つ中、彼女自身事件と向き合い、新たな憎悪、共感など新しい感情が浮かんでくる。 色々な事を考えた小説だった。被害者家族の傷と加害者の思いそして加害者家族の人生。 この小説は被害者家族である奏子の視点から書かれている。加害者の娘である未歩との交流の結末は違ったものを想像していた分すこし肩透かしをくらった点もあったが、対極的な立場であるが、同じ苦しみを得たものとして磁石のように惹かれあった二人の気持ちは理解できるように思う。 | ||||
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評判の本なので読んでみた。たしかに前半の事件発生、その経緯を追った場景描写は緻密で克明、主人公奏子の心理描写も圧巻。後半、被害者の娘と加害者の娘が出会う件にむけて重厚なストーリー展開が続く。奏子は家族を惨殺した加害者の娘、未歩にどう接していくのか…。 一気に読んだが、ラストの展開が弱く、期待はずれの感あり。読み応えは、ある。 | ||||
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まず思うことは、野沢尚の作品だなぁということ。 「破線のマリス」の時も思ったが、この人の作品は ハッピーエンドとはほど遠い終わり方をする。 そして、この「深紅」を読むと、 彼が昨年自殺によってその生涯を自ら閉じて しまったことにも妙に納得がいく。そんな作品である。 だから、相変わらずテーマはものすごく面白いし、 終盤まで引っ張るのだがいまいち切れ味に欠ける。 悩んだまま作品が終わっていく。作家野沢尚という人は、 ここがちょっと惜しいのである。 〜〜〜〜〜 家族を惨殺された主人公奏子と 死刑宣告を受けた犯人の娘が出会ったあとから、 物語はどんどん深い闇の中に入っていく。 | ||||
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小6の主人公が修学旅行先で突然家に帰るように言われるところから始まるストーリー、。子供ながらに、家族の死を確信し、東京に帰るまでの4時間を、不安な気持ちと覚悟を持ってやり過ごしていく。 そして知らされる残虐な殺人行為。読者は、この少女を悲劇のヒロインとして認識し、罪を犯した犯人を心から憎む。 第2章には、犯人の男の上申書が綴られていく。そこで知る、彼の悲劇。読み手を今度は行き場のない怒りに誘う内容である。 この前半部分の展開は、読み手を一気に引きずり込み、途中で止めることを許さぬ構成だ。やがて始まる、被害者と加害者の二人の娘のくだり。前半に比べると、確かに緩慢かもしれないが、作者の言いたいことはこの後半にこそある。真綿で首を絞めるように徐々に加害者の娘を追いやっていくさまは、前半の性急な犯罪と対比されて、むしろ怖い。 大変に計算されつくした傑作と思った。 映画も見てみたい。 | ||||
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第一章では、主人公が修学旅行先から事件の知らせを受け、 教師と共に家族の安置されている病院に行くまでが克明に 描かれる。主人公の心理描写は、この作者でなければ書け ないような緊迫感あふれるものである。 第二章では、犯人の上申書という形で犯行の様子が語られる。 そこでは、必ずしも被害者である父親が良い人間ではなかった 事が明かされる。 そして、第三章以降、犯人にも同じ年の娘がいる事を知った 主人公が、身分を隠して犯人の娘に接近していく。 いったい主人公は何をするつもりなのか? ジリジリした緊張感が盛り上がる。 が、終盤で今ひとつ盛り上がりに欠けた。 結局主人公は何をしたかったのか? 良く判らないまま終わってしまった。 この作者の作品を何作か読んだが、いずれも描写力は優れるものの、 一遍の小説としてみると、バランスの悪さを感じる。 | ||||
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秋葉奏子は、小学6年生の頃に両親と幼い2人の弟を都築則夫に殺された。そのまま大きくなった奏子は大学生になったが、その事件がもとで「四時間」という名の心的外傷後ストレスに悩まされてきた。 そんな時、奏子は事件で死刑になった都築則夫にも娘がいることを突き止める。その女性、都築未歩はバーテンダーとして働いていたが、同棲している男の暴力に悩まされていた。そんな未歩に近づいた奏子は、始めは興味本位であったが、次第に復讐心が芽生えてくる。 本作品では、都築則夫は死刑になったが、奏子やその遺族の悲しみは晴れたわけではない。法律は人を裁けるが、人の心に影響するとは限らないのだ。 なお、この作品は後半が竜頭蛇尾に終わっている感じがあるが、それを差し引いてもとても面白い作品であると思う。 | ||||
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旅行中の娘一人を残し夫婦・息子2人が男に惨殺される。冒頭の数10ページで死刑囚となった男の上申書による殺害の状況説明・判決文による司法判断が詳らかにされ事件の様相は全て明らかに。よって、筋立ての主眼は事件がなぜ起きたかではなく、加害者・被害者双方の残された娘二人が成人してからの邂逅にあります。面白さは評判通り。加害者の贖罪意識・被害者の恨みという定番メニューを各々の娘の立場に転換し、かつ加害者側の殺人動機の「微妙さ」と相俟って読者は娘二人の心情双方にある種の共感を覚えるよう巧みにレールが敷かれている。そんな感じ。 | ||||
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普段本を読まない私。 「難しくて、途中で飽きてしまうかも?」なんて思いながらも、手にとって読んでみると……現実の事件に関心を寄せるように、深くこの本にハマっていきました。 凄いです。 読み応えがあります! | ||||
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面白かったです!普通のサスペンスじゃないところも。この手の本はいつも犯人探しだったり、トリック探しで退屈ですが、この作品は実際に事件があったかのように錯覚さえしそうな細かい描写で続きが気になって一気に読んでしまいました。私も自分の家族を惨殺されたら、犯人に向けた憎しみをその家族にも向けるだろう。その次にはどのような行動をとるか。。。奏子のとる行動にどきどきしました。お勧めです! | ||||
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初めて野沢さんの本を読みました。分量はあるものの、スラスラ読めてしまいました。というより、読まずにいられませんでした。犯罪の被害者心理・・・残された加害者の子ども・・・実際どうなんだろう?という気持ちが沸々と湧いてきました。本作のような人間関係は現実には考えにくいですが・・・。それでも、現実のルポ等よんでみたくなる作品です。 | ||||
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一つの殺人事件を巡る暗黒物語。それぞれの心情が丹念に綴られていく・・・犯罪被害者遺族の暗い情念が描写されていて秀逸。 | ||||
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被害者の娘と加害者の娘を接近させるシナリオは、残虐性を孕みつつ挑戦的だと思う。しかし、そのことで双方が胸の内に秘める想いを、赤裸々に表現することができている。和解か、それとも復讐か、被害者の娘がどちらを選択するか、そこにサスペンス色も見出すこともできるが、作品の読みどころは鏡像関係にある二人の心が精密に描写されるところだ。なお、この作品は第22回吉川英治文学新人賞を受賞している。 | ||||
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家族を殺された泰子と、 家族を殺した加害者の娘の未歩。 泰子は未歩に逢いにいく。憎しみの螺旋と、二人の苦悩と呪縛。 犯罪とはこんなにも爪痕を残す。どうか二人が、少しでも幸せになれますように。読んでいる最中、ずっと気になっていたこと。 主人公は、未歩に 「あなたの父親が私の家族を殺した」 と告げるのかどうか。 告げたときの、未歩はどうだったのか。 答えは… やはり読んでみなくてはね。 | ||||
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皆さんの感想ですと前半はいいけど、後半が弱いとか書いてあったのでそうなのかな?と思い読んでみました。でも、私の感想は逆で、むしろ後半の方が素晴らしかったです。というより、後半部のために前半があるような気さえしました。発想、着眼点もとても新鮮でした。被害者の少女も、加害者の少女も立場が違っても同じ苦しみを抱えて生きていた。生きていていいのか?そう思いながらの人生は切ないほど悲しいです。すべての呪縛から解き放たれた2人の少女。彼女たちのこれからの人生が、素晴らしいものになるように祈らずにはいられませんでした。本当に深い愛を感じました。 | ||||
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著者の作品は購入前に常に悩まされる。本を手に取って作品紹介を読む。重い 重そうだ。たいていはこのパターン。けれど類まれな筆力が一旦読み始めると重さに投げ出すことなく最後まで一気に読ませてくれる。常に著者の作品に隠されたテーマとなっている家族。それにメディア批判。今回もそれは隠し味として存在。メインは自力救済を禁じた法治国家という仕組みの中で被害者の人権というものが如何に扱われているか。そしてそこから生まれるゆがみ。憎悪の自己増殖。被害者遺族への感情移入を完璧にさせておきながら加害者へのそれを直後にさせてしまう凄み。立場が変わることで正義も変わる、相手の立場にたつということの難しさ。そしてそれが容易にできないのならせめて出来ていないことを悟って安易な感情洞察は避ける方がより傷が少ないということを教えてくれる。秘めたテーマのもうひとつは案外 連帯保証人などという摩訶不思議な制度への問いかけかもしれない。好みは大きく分かれるだろうが様々なテーマ 様々な問題意識これを避けることなく考えさせてくれることを評価したい。 | ||||
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前半は一家殺人事件というショッキングなスタートから犯人の供述と、スリリングでスピード感ある展開。一転して後半は、心に傷を負って成長した奏子と犯人の娘の心理描写に重きを置いてじっくりと進む。後半部分の2人の心理こそが、この作品の中核で前半のショッキングな事件はその伏線に過ぎない。そういう意味では、最初の事件で引きつけて、後半へと流れ込ませる流れは実に巧い。ただ、後半の一部に唐突に感じてしまう部分があったり、心理描写中心の後半は好みが分かれる部分が多いと思うので4点とした。 | ||||
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ミステリーだというのに涙を流したのは初めてでした。ある事件の加害者の娘と、被害者の娘それぞれの心の痛みが伝わってきました。 事件には、加害者、被害者はもちろんその周りの人たちも、相当傷つくことを、あらためて思いました。 | ||||
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内容、展開、人物描写とも満点に近いデキであることには違いないのですが、何故か読み終わった後、煮え切らない気持ちになるのはやはり後半の締めくくりにあるのかなぁ。せめて間接的にでも主人公が加害者の娘に正体を明かすシーンが欲しかったような、無くてもいいような…。でも面白いですよ。 | ||||
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