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深紅
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深紅の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.93pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全41件 1~20 1/3ページ
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これは昔あった「練馬区一家5人殺人事件」をテーマにしていると思う。「ある男性が仕事で自分を騙した男性の一家を皆殺しにするが、その日に学校で修学旅行(林間学校か何かだろうか)に行っていた娘だけは家におらず、事件にまきこまれなかった」というもので、この本も事件もその点が一致する。さらに言えば、殺害された一家、というより、「事件のきっかけを作った被害者男性(父親)には欠片ほどの同情もできない」点も一致した(主観ですが)。事件の方は、犯人の死刑は執行されてしまい、事件自体も1983年なので、随分昔のものになった。(自分は世代的に分からないからネットでひたすら調べた) ネタバレみたいなことは書きたくないが、この本は読み始めたら夢中になるとともに、野沢尚さんの犯人や生き残った女児、犯人の娘に対する暖かい眼差しを感じる作品だった。野沢さんのこの手の作品だと『眠れる森』思い浮かべる人が多いと思うけど、『眠れる森』より歪んでいない犯人の心理が痛いほど分かるし、追い込まれた人間の苦しさに寄り添う野沢さんが素晴らしかった。 恐らく、『眠れる森』でさえ、あんなに大ヒットしても再放送すら難しかったから、この作品も映像化は難しい。世の中、凶悪な犯罪が起こりすぎて、殺伐としているように見えても、事件が起こる背景には、人間らしい感情の行き違いや葛藤や、死ぬような苦しさがあるのは、いつの時代も変わらない。 今は素晴らしい作品を残してくれた野沢尚さんの新しい作品にもう出会えないことだけが、何より悲しい。 | ||||
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紙本で読んだが、キンドル版が欲しい。著者の他作品もまとめkindle化してもらえるとうれしい。 | ||||
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12歳の頃、両親と二人の幼い弟を父親の仕事仲間に皆殺しにされた奏子が、 20歳になった頃、加害者の一人娘である同じ年頃の未歩と出会うことで 紡がれる物語。 犯罪被害者の遺族と、犯罪加害者の遺族。 出会うべきではなかった二人が出会ったことで、どうなるか。 未歩の夫であるDV男の明良の存在も手伝い、 物語は思いもよらない展開を見せることになる。 家族を皆殺しにされた体験から心の中に蓄積され、 誰にも悟られないようにしまい続けてきたわだかまりを 「心の隠れ家の中に満たされた黒い液体」と表現したり、 自身の辛い境遇から他人に気を遣わせ、迷惑をかけることのないように 鈍麻させてきた自分の感情を「黒い芯」と表現したりなど、 奏子の心の裡を表現する描写の上手さ、的確さに感服しながら 夢中で読み進めてしまった。 事件を想起させる現象をきっかけに奏子に起こる 「四時間」の描写も圧巻の一言。 後半にかけて加速していく物語を読み切り、 ラストシーンのある一文にたどり着いて、 その意味するところ、象徴するところを 拙い感性ながらも読み解けた気がした時、 いい終わり方だ、と思えた。 自分とは違う誰かになって、違う世界を体験することが 小説の醍醐味の一つであるなら、この本はその目的を 十分に達成していると思う。読んで損はしない。 | ||||
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購入したのは数年前ですが、もう一度読みたくなる秀作。実話ベースだそうですが、とにかくストーリーが面白く、結構なページ数ですが途中で止められず一日で読んでしまいました。 | ||||
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明示はされていないが、1983年に起きた練馬一家5人殺害事件をモデルとしたストーリー。描かれる事件のプロットは、多少の作り変えはあるがおおむね実際の事件の経緯に忠実で、著者の筆力とも相まって導入部からぐいぐいと引き込まれる。 ただ、展開としては後半がやや尻つぼみの印象。エンディングは事件のインパクトにふさわしいもっと破滅的なものを期待していたが、この辺はやや不満を感じる。 全体的にはかなり面白く読める一冊で、興味のある方へはおすすめ。 | ||||
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父と母、幼い2人の弟の遺体は顔を砕かれていた。秋葉家を襲った一家惨殺事件。修学旅行でひとり生き残った奏子は、癒しがたい傷を負ったまま大学生に成長する。父に恨みを抱きハンマーを振るった加害者にも同じ年の娘がいたことを知る。正体を隠し、奏子は彼女に会うが!?吉川英治文学新人賞受賞の衝撃作。 | ||||
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Very nice | ||||
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【ネタバレ無し】 とても技法の豊かな作品です。 お勧めしますが、読みだしたら抜け出せません。 | ||||
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小学6年生の時に、自分をのぞいて、父、母、弟2人が、惨殺される事件。 そのころされたシーンが、真っ赤な血の海で、迫力ある文章。 さすが、テレビドラマの脚本を書いて人だ。 その犯人にも、小学6年生の女の子がいて、20歳になったときに、あおうとする。 殺人の狂気は、遺伝するのか? 被害者である自分の心理が、加害者の娘の言葉で跳ね返る。 そのゆれ動く心が、微妙にせつないおもい。 最後の結末が、予想外だった。 しかし、ほぉ とした。なにか、人間っていいね。 野沢尚は、人間が好きなんだなぁ。 | ||||
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5人家族の内4人が顔をハンマーで砕かれ殺害される事件を基点に描かれる作品。 物語の前半は一家で1人難を逃れた小学生の長女秋葉奏子の視点と裁判長に宛てた上申書という形での犯人の視点で事件を描くのだが、これが息を飲む怒涛の展開で読者に読むことを辞めさせない迫力がある。 後半は心に傷を抱えながらも大学生になった奏子が事件の加害者の娘、未歩に近づいていく展開となっている。だが、前半部分とはまるでテンポや描き方が違う。後半で失速したとの声が出るのもわかるが、私はこの後半にこそ心掴まれた。前半とは別の作品だと割り切ってでも最後まで読んでほしいものである。 主人公、奏子の事件後の8年間や未歩と出会ってからの心理描写に引き込まれ、様々に感情を揺さぶられる苦しくも愛おしくもある傑作だ。 | ||||
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野沢氏の本は、こちらの気力が充実していないと、とてもじゃないが読み続けられない、そんな重さがある。 自分を除く家族全員がある犯人に殺され、一人だけ生き残った主人公。 月日がたち、とあることから犯人に自分と同い年の娘がいることを知る。 その娘の所在を突き止めた主人公は、復讐を決意する。 こちらの感情お構いなしに話が進み、何か危険な方向へヒタヒタと近づいていく。 先を読むのが躊躇われ、結末を知りたくないと思いつつも、どうなるのかも気になる。 限りなく可能性のない話ではあるものの、もし当事者となったら、非常にリアルなテーマだけにとても考えさせられる。 被害者の家族と加害者の家族、特に後者について我々はどう向き合うべきか考えさせられた。 | ||||
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自宅で両親と弟二人が殺されますが、修学旅行で不在だったため一人生き残った小学6年の秋葉奏子さんは、20歳になり、名前を偽って、加害者の娘で同い年の都築未歩さんに会います。一家惨殺に至る経緯、奏子さんの葛藤、未歩さんへの恨みと友情が綴られた物語です。 中ほどまで緊張感あふれる展開が続き、まさに文字通り一気に読みました。これはスゴイと、思わず独り言ちつつ。 一家4人を撲殺した都築の精神は病んでいますが、奏子さんの殺された父親は、確かに、そのトリガーを引いてしまうかもしれないと思える酷い人間です。その経緯も、幼い弟二人がついでのように殺された不条理も合わせて、奏子さんの中で揺れながら吐き出すことのできない心理描写が印象的です。平静を装う仮面の下で、恨みも怒りも悲しみも諦めもみな綯い交ぜになって、あふれそうになっている感情がリアルです。 終盤になっても終わり方が見えず、読み手を休ませない話術は素晴らしいと思いました。 ですが、奏子さんと未歩さんの作った犯行計画は、複雑な割に説得力が無く、この二人だから杜撰さがリアリティなのよということかもしれませんが、シンプルに面白くありません。奏子さんの恋人の渡辺拓巳くんが彼女を思う気持ちは随分強いように書かれていますが、それにしてはどうだろうか?と思う行動もありますし、全部納得ではありませんが、最近読んだ中では一番だと思いました。 | ||||
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この本を読み、この後に書かれた本を読んでいると、自殺の原因が分かるような気がしてきます。 『深紅』は、かなり高い評価を得た作品ではないでしょうか。 前半は、特にワクワクさせられます。 後半は、失速する感じなので、そこが惜しいです。 | ||||
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犯罪被害者と加害者をテーマにしたものに興味があり読んでみた。 かつて家族を皆殺しにされ、自分だけ生き残った女の子と同じ年齢の加害者の娘の物語。 これまたテーマが激重い。序盤の事件が起こるところの緊迫感がすさまじい。 読んでる間中常時、眉間に皺がよってしまうほど。 とみせかけて読者の感情移入を、そっくりそのままひっくり返す第2章。 この構成力はたいしたもの。 著者はドラマの脚本家としての名前は知っていたが、生粋の小説家好きとしてはそれだけで敬遠していた。 しかし、構成力と人物描写どれをとっても一流の小説家だった。 ラストに向かう部分は少し浅はかな展開かなとも思ったけれど、 救いのない、救いなど入る隙間もないようなところにも、なんとか光をあてようとする著者の温かな意志が伝わってきて感動した。 そう考えると、とても自殺でなくなってしまうような人ではないと思うが残念。他の本も読みたくなった。 | ||||
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どちらかと言うと脚本家として有名だった野沢尚の作品を読むのはこれが初めてだが、非常に筆力のある作家だ。一家惨殺の 残された唯一の娘とその犯人の娘、お互い消えぬ心の闇をこの作家はきちっと描いていく。特に被害者の娘である泰子はまさに 家族が殺されたときに修学旅行の最中、4時間かけて現場にかけつけるが、この4時間がこの後も彼女のトラウマとして残っていく。 彼女は一種の復讐の意味から犯人の娘である未歩に近づく。彼女の夫の殺害を示唆するも、やがて二人は心が通じ合っていく。 そういう予想もしない展開に泰子は戸惑い、やがて未歩から離れていく。やっと彼女もそういったトラウマから逃れることが出来る かも知れない。深い闇の中でやっと落ち着いた自分を見つけ出そうとする二人。二人は別れるがきっとどこかでまた交わるかも 知れないと言う余韻を残して作品は終わる。これは決してミステリーや他のジャンルで片付けられる作品ではない。犯罪の被害者の 遺族の心境をここまで描ききることの難しさ。なかなか面白い作品だった。 | ||||
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主人公達が直接の加害者と被害者ではない部分に驚きです。 それと他のレビューで知ったのですが、著者が脚本家であったのは納得。印象に残るシーンが多く、良い意味で映像的に感じました。心理描写もくどくないギリギリの線で凝っているので、悶々とネガティブ思考を繰り返すような重苦しさはなかったですね。 ただ、切っ掛けとなる犯罪があまりに浮かばれないので、救いようのない悲惨な話が苦手な人は読まない方が良いかもしれません。それでも、その事件に間接的に関わりのある登場人物の心情や行動には読まされました。主要人物は二人の女性なのですが、悪い因縁を再び繰り返してしまうのか?と結構やきもきしながら考えさせられました。どちらも幸せになればいいなと思っていましたが、ハッピーエンドというほどでもなく、丸く収まります。 最後のシメは自分としてはうまい収め方だと思います。 自己投影の極地が最後の別れの場面であり、「吹っ切れる」ことに繋がるのでしょう。これも印象的でした。 | ||||
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出だしがスゴイです。 修学旅行中、家族が事故にあったから急いで帰る用意をしなさい。 から始まる前半、家族に何が起こったのか? 事故? どこで?どんな事故? 大人は誰も教えてくれない。 事故なんかじゃない、もっと何か悪いことが起きているんだ、 修学旅行先から東京へ戻るまで、あれこれ思い、想像しながらの4時間。 そして、変わり果てた姿の家族。。。 一気にストーリーに引き込まれます。 葬儀が終わり、叔母の家に引き取られるまでの前半。 犯人の上申書。 裁判所の判決文。 後半は、時間が経ち主人公が小学生から大学生へ。 普通の女子大生のようでも、背負っているものは重い、重すぎます。 あるきっかけで、犯人には同い年の娘がいることを知り、会おうとする。 会ってどうするのか?どうしたいのか? 非常に重い内容なのですが、読みだしたら、止まらず読まされてしまいました。 | ||||
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著者の名前だけは知っていたけれども、 手に取るのは始めてのこの作品、 正直かなり面白かった。 当初、ドストエフスキーの罪と罰のような描写で、 気持ち悪くなり本を閉じようと思ったが、 巧みな比喩表現、登場人物の描写、随所に隠されたキーワードなど、 誰もが文句無く名作といえると思う。 おそらく東野圭吾にも かなりの影響を与えたのではないだろうか。 著者の死が残念でならない。 | ||||
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通常、行き当たりばったりで無ければ、物語はエンディングを決めて物語を構成する。 作者の言いたい事は、そこに集約される。 『あれだけの酷い事件』を乗り越えた少女は大人になり自らの家族の命を奪った殺人犯の娘を 無意識のうちに憎む。 けれども、その娘には罪は無く、自らが背負った物と同じ物を背負った殺人犯の娘を許す。 因果応報はいつかは経たねばならない。 法律の起源は、ハンブラビ法典だがその作られた経緯は、抑えるものが無ければ 部族間闘争が収まらない所から発している。 憎しみの連鎖はいつかは止めねばならない。ヒトは成長するものだ。 成長して欲しい・・・そんな願いから産まれた物語では無いのか・・・とつい深読み。 | ||||
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後半ハラハラで加速しちゃったー!! なんかもうギリギリの綱渡り。 被害者と加害者 そしてその家族 難しい問題だよね、常に。 正解なんて当事者にもわからない。 でも、この場合は、これでよかったんだと思う。 | ||||
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