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(短編集)
看守眼
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看守眼の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.96pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全39件 21~39 2/2ページ
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『看守眼』は、ノンシリーズの短編集である。D県警もF県警も登場しないが、警察や役所の中のあまり表にはあらわれない人々を主役に据えているのが、横山さんらしさ。後味のじわーっとくるほろ苦さも横山さんならでは。暗いけれど、くせになる。 ■看守眼 県警機関誌の編集者 山名悦子は、退職予定者の回想手記を寄稿してもらうべく近藤のもとを訪れる。近藤は29年間を留置場の看守として過ごした男だ。山名の依頼に聞く耳を持たない近藤。近藤は、F県警下で発生した主婦失踪事件に関心を持っている。被疑者 山野井の留置場での態度に引っかかるものがあるらしい。F県警総動員での捜査で決着がつなかい事件に、近藤はひとりで挑んでいるのだろうか。 ・・・ 失踪事件の裏に隠された真相を、ベテラン看守の眼が暴くスリリングな作品。山名の仕事や私生活の迷いが隠し味になっている。人の鬱屈した心理を抉った逸品である。 ■口癖 家事調停委員 関根ゆき江が担当とすることとなった新たな離婚調停。申立人の菊田好美は、ゆき江の娘 奈津子と高校の同級生だった。好恵が原因となり、高校時代、奈津子が不登校となったことを思い出すゆき江。現在の境遇の逆転を目の当たりにして、内心の快哉を抑えられない。難航する調停に業を煮やす好恵へ、ゆき江の叱責の声がとぶ。 ・・・ 「それしきのこと」が口癖で、前のめりに生きてきた ゆき江。人生の黄昏時に差しかかった悲哀が、苦さをともなった余韻を残す作品。 その他の収録作品は以下のとおり。 自伝/午前五時の侵入者/静かな家/秘書課の男 | ||||
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その名前を見ただけで、安心できる作家さんは何名もいるけれど、 横山さんも明らかに私の中ではセーフゾーン。 長編・短篇・連作いずれにおいても、100%外れがないというのが嬉しい! 看守眼、というタイトルで最初に思ったのは、看守の人が主人公で、その職業を通じて さまざまな囚人と交流し、その人柄に触れ、人や罪を描いてゆくのかな? なんて感じ。 ところが、展開はまったく違う。主人公も警察関係者の他にも調停員やライターなど、さまざま。 最後に本音が浮かんだり、さびしくなったりどっと疲れたり・・ 本は薄いのになんとも重厚な濃密な作品集。 香納諒一に並び、この人も短篇の名手であることに疑いはない。 前者がダンディーな都会派だとしたら、こちらは重厚な年輪を感じさせる市井の名手か? | ||||
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横山さんの短編は素晴らしいの一言に尽きます。一つ一つの長さが丁度良い。心理描写も台詞も多くは語らず。少し短い、物足りない、もっと読みたいと思わせます。かといってこれ以上長いと間延びするんだろうなあ。ギリギリのバランスでスパっと終わる、計算し尽くされた心地良さは熟練の成せる技ですね。 暖かい気持ちになれるもの、やりきれなさが残るもの、ニヤリとさせられるものと読後感に違いはあれど、クオリティの差はありません。捨て曲なしの名アルバムに出会ったような感じです。 | ||||
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横山秀夫は短編に限ります。 長編も悪くはありませんが、少ない頁数で畳み掛けるように主人公の危機的な立場や負の感情を描き出す手法は彼の真骨頂だと思います。 登場人物の背負っている重荷、苛立ち、劣等感、不遇感などが感情移入しやすいレベルの現実味を持って描かれています。 世間では『クライマーズ・ハイ』『出口のない海』『半落ち』などが代表作とされます。 けれど自分が唸ってしまうのは『第三の時効』『動機』そしてこの『看守眼』です! | ||||
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文庫化されるのを待ちわびており、 期待度が高かったためか、 「ひりひり」度が「第三の時効」などと比べてやや低く、 星を4つとした。 もちろん、ほかの作者なら5つ星である。 私は、横山モノは名前買いするので、てっきり短編連作集(主人公が同じ)と思っていたが、 一話一話は完全に独立しているので、 名前買いする方は、ご注意を。 | ||||
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今が旬の横山秀夫。期待は裏切らない。『半落ち』で大ブレークしたが、著者の醍醐味は短編集で味わえる、と断言したい。 『動機』を読んだときの鮮烈さがここにある。 全6編。「国家公務員」にからむ、それぞれの主人公の顛末。 あえて1つ選ぶなら『口癖』。家裁調停委員の中年主婦、ゆき江。離婚調停に現れたのは、娘の高校時代の級友だった…。 オチは、横山が得意とするところ。短編集では軽いジャブのようでいて鋭いダメージ。 一気に読める短編集。 | ||||
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あまり同一作者を賞賛するのも憚れるが やっぱりこの作者の短編集は「凄い」の一言。 シンプルかつ奥行きのある作品群は まさに「筆力」の賜物。 常にハズレのない作家。 素直に脱帽。 | ||||
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横山秀夫さんは短編集でも連作短編集など「繋がり」のある作品が多いように感じるが、この作品は完全な短編集。 表題作の「看守眼」は署内誌の編集をあまり乗り気でない態度で続けている事務系警察官が、定年を迎えた老看守の「眼」に見える事件に接する話。派手な作品ではないが、事件のアイデアは膨らませれば中長編にでもなりそうなぐらいのものなのに、短編ですっとまとめてしまう辺りが恐ろしい。短い話の中で老看守、その妻、若い女性署員、そして「眼」をつけられた男の息づかいまでが浮かび上がってくる。 その他の作品もさらっと読んでしまうけれども、実は濃密で奥が深い。 | ||||
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決して格好のいいヒーローが出てくるわけではない。普通に暮らしている人々がある時に巻き込まれる事件。 事件のアイディアなども面白いが、それ以上に魅力のある人々に惹きつけられる。 | ||||
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横山作品の中でも、(私の中では)「渋くてイイ味だしている〜」な 良い短編集です。 掲題の「看守眼」と「自伝」が 衝撃的でした。 あいかわらず、人間を描くのがうまい、横山先生の筆力に感嘆♪ どちらかというと、警察機構や人間のダークサイドを書いた作品が多い傾向にある 作品集です。 警察小説好き、横山作品好きの方々は外せない一品♪ | ||||
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作者は「警察小説」で最近最も人気のある作家の一人である作者であり、彼の作品の特長は綿密な調査と広い知識を使ってパズルがどんどん埋まってくように真実が浮かび上がりそれに驚嘆する事が多い。それ故短編だと物足りないように感じてしまう。それ故私は作者の小説は長編の方が傑作だと思っている。しかしそれでも、やはり力のある作家の描いた作品は短編も面白い。 この短編集の主人公は「事務系の警察官」「フリーライター」「調停員」「新聞社の整理部」「知事の秘書」どちらかといったら表舞台には立たない、縁の下の力持ち的な仕事に従事する者たちである。そういった人々の仕事や心の内面にスポットをあてたこれらの作品はこういう人たちの仕事内容やそこにもこんな沢山のドラマがあるという事を感じさせてくれた。 | ||||
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人の心理を描いたもので、どれも面白かった。なかでも「看守眼」は特に面白かった。何気ないしぐさの中に、他の人が気づかなかった何かを感じ取る。それは長い間に培われた職業的な勘なのだが、そこから真実が見えてくる。人の心に潜むものは、知らず知らずのうちに行動となって現れてくるものなのだ。作者はそれを鋭く描いている。どの作品も、読者をのめりこませる魅力があった。楽しめる1冊だ。 | ||||
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世間を騒がす横山秀夫作品に、この本ではじめて接しました。 評判に違わず、面白い。短編の面白さをみごとに醸し出している。一編ごとのストーリーの展開、オチがいい。これぞ短編という感じで、爽やかな読後感にひたれました。 | ||||
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彼の短編集の中では、一番バラエティに富んでる一冊かもしれない。話の濃厚さという点のみで見れば、彼の他の作品よりは劣るかもしれないが、かといってこの一冊がつまらないわけではない。各話の水準は相変わらずの高レベルを維持している。それぞれの話にそれぞれの味があり、実に楽しめる。個人的には、表題作の「看守眼」に一番惹かれた。寡作な作家ではないのに、高品質で面白い作品を出し続ける横山秀夫氏。凄い。 | ||||
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横山秀夫の人物描写が緻密なだけに、収録6作品共主人公のもがく心理が旨い。自分の人生に投げやりになっている自分の仕事にやりがいを見つけられずにいる自分の人生から這い上がろうとしている自分の立場を守ろうとしている・・・・・それぞれの状況の中で、逃れようと姑息な手段が頭をよぎる。主人公が闇から抜け出すに、頭を駆け巡る姑息な手段とのやりとり。あまりにもの、リアルな焦燥感に主人公達のもがく息がページから聞こえてくるよう。主人公達の決断を通して、横山秀夫の人生感が出ている気がした。 | ||||
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横山秀夫の書く小説の主人公にエリートはいない。日の目を見ない凡人や、この道一筋の苦労人ばかりである。本書も、そう。ごく普通に生きてきた人間が初めて謎と向きあうという言うならば人生のハイライトの瞬間を集めた短編ばかりだ。トリックの部分は綿密に考えられており、特級の出来。惜しむらくは、読み終えた時のカタルシスがあればね。少々貧乏たらしいのが、玉に疵か。それでも、ぐいぐい読まされてしますところは凄い、の一語。 | ||||
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やっぱりうまいですよ、横山秀夫は。ただ、個人的な好みから言えば、次々と読み続けていると食傷ぎみになって、しんどくなってくる作家です。『半落ち』も『クライマーズ ・ハイ』も『影踏み』もすごかったんですけど、この『看守眼』は、第一線で戦う強い男のぎらぎらしたところがなりをひそめて、静謐な燻し銀のような感じです。「看守眼」は、最後がちょっと物足りなかった。「口癖」は大事件ではないけど、駆け引きと謎解きにうなります。一番好きなのは「秘書課の男」。小心者、いいじゃないですか。心理描写が絶妙です。 | ||||
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本書は6つの作品が収録された短編集。刑事になりきれず、29年間看守として過ごしているうちに、人を殺めたかどうかを見抜く力を持った警察官を描いた表題作「看守眼」を始めとして、どの作品も主人公のキリギリの精神をうまく短編小説として描いています。派手な展開はないものの、横山秀夫らしさといえる人間味溢れる作品集で、期待を裏切らない作品でもあります。 | ||||
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非常に完成度の高い短編集である。今更作者の作品の善し悪しを議論するのは、イチローの打率が3割3分か3割3分1厘であるかを論ずるがごとく、意味がないと思う。常にこれだけのスピードで作品を発表しながらハイアベレージを維持し、年に一回はすごいホームランを放つ、あらためて、作者のすごさに驚かされるばかりである。「看守眼」死体なき殺人の容疑者が隠す秘密を、刑事になることを夢見ながら看守として定年を迎えた近藤の「眼」があばく。「自伝」特に人生の目的もなく30をすぎたライター只野のもとに、気難しい立志伝中の人物、兵藤の自伝執筆の依頼が届く。「わしは人を殺したことがある」という兵藤の告白の裏にひそむ秘密は?「口癖」家事調停委員、関根の手がけた離婚調停の申立人は、昔、娘の不登校の原因となった菊田好美だった。今は玉の輿に乗った娘と比較して感じた関根の優越感が驚愕に変わる。他、警視庁情報課警部を主人公にした「第五時の侵入者」、地方紙の整理記者を主人公にした「静かな家」、知事公室秘書課員を主人公にした「秘書課の男」の六編。本作品は、作者にとって「クライマーハイ」のようなホームランではないが、ハイアベレージを維持した良質な短編集である。個人的に、今年度の作品では「影踏み」の方が好きかな。 | ||||
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