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オリンピックの身代金



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オリンピックの身代金の評価: 4.16/5点 レビュー 178件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.16pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全139件 81~100 5/7ページ
No.59:
(5pt)

考えさせられた

いろいろ考えさせられた作品でした。

「ありえない?」と思いながらも、登場人物にどんどん感情移入してしまい、一気に読んでしまいました。

地方出身ですが、東京に住む人たちは地方にまったく興味が無いんだな。とよく思い知らされます。東京だけしか存在しなければ、あっというまにたちゆかなくなってしまうでしょうに。

父母は毎日田畑を耕して、できた野菜を食べ、米を売って金銭にしていました。(会社勤めもしておりましたが)
それゆえ、食べていくためには、本来汗水たらして手足を動かすべきという考えが根底にあります。

ですが、東京にかぎらず今の日本は汗水たらして報酬を得る人はわずかで、よくわからない仕事で多額の報酬を得ることができる。これでいいのか?という気持ちは常にあります。特に都市部で暮らしたころは葛藤がありました。都市部で育った友人に違和感がありました。

ありえない?と思って読み進めましたが、ありえたかもしれません。
実際アメリカがテロに攻撃されたように。
昔と比べ世界は狭くなっています。テレビやインターネットを介して。自分たちのことしか知らない時代はそれなりに幸せだったのでしょうが。

私たちは生活そのものを、幸せというものを、もっともっと考えるべきだと思います。
オリンピックの身代金Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金より
4048738992
No.58:
(5pt)

高度成長時代の光と影。

犯罪に至る「やむをえない」経緯が丁寧に描かれ、いつの間にか犯人に肩入れしてしまう。
こんな推理小説を他に読んだことがない。

ほんの50年前の日本に、これだけの光と影があったことを、今の日本は忘れてしまった
かのように思わされた。

高校生に歴史を教えるのであれば、新学期の授業はこれを読ませることから
始めたらよいのではないか。

ストーリーの面白さは、歴史の明と暗を描こうとする作者の意図によって、
際立っているように思った。

「映画化」の価値のある作品であるし、面白い映画にして欲しいと思う。
オリンピックの身代金Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金より
4048738992
No.57:
(4pt)

ボリューム通りの魅力

久しぶりの奥田英朗。
さすがの一言。

時代は間もなく東京オリンピックが開幕する直前の日本。
タイトル通り、
東京オリンピックを人質にして、
身代金を奪い取ろうという大胆な犯罪を描いたもの。

上巻では、
なぜ、その犯罪を起こすにいたったのか、
という動機が分かっていく。
少しづつ時間軸をずらしていくことで、
それぞれの視点から、事件を立体的に浮かび上がらせる。

構成や、
筆致の見事さも良いのだが、
何より、やはり、物語の良さ。
特に、主人公が動機としたものが、
とても説得力があり、
また、共感できる、
共感したいものであった。
これにより、
権力に弓ひく主人公を、
応援したくなってしまう。

また、警察側にも、
魅力的な人物を配置し、
対立構造をうまく利用して、
権力側にも、共感を呼ぶような仕掛けを作りだす。

上下巻であることを忘れるくらい、
あっという間に読み終わりました。
オリンピックの身代金(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金(上) (角川文庫)より
4043860048
No.56:
(5pt)

変わろうとしている日本の中で…。

上下巻の下。

すでに、
犯人も分かり、
動機も、その手法も、
ほとんど明らかにされている中で、
物語は進んでいく。

焦点は、
身代金強奪は成功するのか、どうか?

警察の捜査は、迷走していく。
それにも理由があるのだが。
読むほうは、つい犯人側の成功を祈ってしまう。

いよいよ、オリンピックが始まろうとしている。
国家権力に弓ひく男の運命は…。
オリンピックの身代金(下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金(下) (角川文庫)より
4043860056
No.55:
(5pt)

現代にも通じる格差社会への怒りと叫び

この時代をリアルタイムで知らない世代にとっては非常に興味深く読み進められると思う。もちろん、登場人物の国男や忠と同世代の人たちはこの時代の空気、戦後の焼け跡からオリンピックという国を挙げての世界デビュー。それに付随するように一等国の仲間入りを果たすのだという決意と期待、そして開会式当日、快晴の東京上空を舞った鳩のようなすがすがしくさわやかな高揚感を思い出されるのではないだろうか。その晴れ舞台の陰で大会を支えた出稼ぎ労働者たちに今日においても光が浴びることはない。彼らは劣悪な環境に耐えられず次第にヒロポン(覚醒剤)を常用していく。主人公の国男もヒロポンなしではここまで大胆に計画的に行動できなかったのではないか。本書を社会派サスペンスとして楽しむことはもちろんだが、這い上がりたくても這い上がれない、あるいは底辺を自覚しそこからの行動をすでにあきらめてしまっている人たちがいる現状は今になっても不変だ。国を相手に喧嘩を売る第二の国男は現れるのだろうか。
オリンピックの身代金(下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金(下) (角川文庫)より
4043860056
No.54:
(5pt)

高度経済成長

高度経済成長の裏で安い労働力として重宝された東北の人々。高度経済成長期に起きた学生運動はこのような社会の歪みから生まれた必然だったのかもしれません。本書は1964年の東京オリンピック開催の東京が舞台です。内容的には東京オリンピック開催で盛り上がる首都の工事現場で虐げられるプロレタリアートの社会を垣間見た東大生が東京オリンピックの開催阻止を人質として国家を相手に戦うものです。本書が面白いのは、最初から犯人が分かっていることと犯人の動機および計画が分かっていることです。それだけになんだかニュースを見ながら犯人を追いかけいているような錯覚に陥ります。またミステリーから離れて、本書を読んで私が一番感動したのは60年代の東京や日本人の様子が非常に忠実に描かれていることです。誰もが日本を誇りに思い日本人に生まれたことに喜びを感じ、日本の益々の成長と発展を疑わなかった時代。そんな時代があったことに特に感動してしまいました。私は1970年の大阪万博の時代に生まれましたが、それでも小学生の頃は日本の発展が永遠のものだと信じていたし、日本人に生まれたことに感謝した事もあります。あれから四半世紀強が過ぎ、誰しもが自信をなくしている今日の日本を一体誰が想像したでしょうか。そんな自信を喪失している今の日本人に是非とも読んでもらいたい本です。そして本書を読んで意気に感じて頂いた皆さんともう一度東京にオリンピックを誘致したいものです。
オリンピックの身代金(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金(上) (角川文庫)より
4043860048
No.53:
(5pt)

そうだったのか、東京オリンピック!

支配層と労働者層の深い断絶のうえに成り立つ国家に挑戦するエリート学生とそれを追う警視庁の大部隊の攻防は文句なく楽しめます。その面白さはほかの評者の皆さんがすでに書いているとおりです。

この作品で私の心に響いたのは、東京オリンピックがどれだけ敗戦から立ち直った日本人の誇りとなり、日本中が沸き立ったかという時代のこまやかな描写です。一方で貧しい秋田の寒村や出稼ぎ労働者たちの姿が対照的で実にリアル。五輪の前年に生まれた自分がどんな時代の中で誕生したのかと思いながら、今なにげなく目にする日本武道館や代々木競技場の体育館などのモニュメントとしての価値を再認識させられました。読んで損はない一冊です。
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4048738992
No.52:
(5pt)

裏三丁目の夕日

と言うと誤解があるが、あの映画が古き良き夢のある日本を表現しているなら
この小説は古き悪しき現実の日本を表現しているように思えます。
あの映画を観た後に、この小説を読むとフランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生!』を観た様な感覚になると思います。


オリンピックの身代金(下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金(下) (角川文庫)より
4043860056
No.51:
(5pt)

文句なしの★5

大どんでん返しがある小説が好きな私ですが、オリンピックの身代金は大どんでん返しはありません。結末はなんとなく想像できてしまいます。なのに最後までハラハラしながら、応援しながらすごく楽しめました。 奥田作品にハマる前は、オリンピックの身代金を本屋で見ましたが、なんとなくあまり惹かれず素通りでした。 こんないい作品をスルーしてたのか!って思います。 文句なしに読んでよかったです。
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4048738992
No.50:
(5pt)

とてもいい物語でした

作者にしては珍しくプロットを先に決めた作品だということですが
ディテールの書き込みは相変わらず作者ならでは。
飯場のオヤジたちや警官、革命家気取りの学生たち、エリートサラリーマン
といった人々がみんな生き生きと描かれてます。

ちょうど今年の震災の前後に読んだので、
粉塵にまみれて危険な突貫工事にあたる出稼ぎのひとたちが
福島第一で被曝しながら決死の現場作業を続ける人たちにかぶって
仕方ありませんでした。
50年前はオリンピックで、いま原発。国の成長の土台づくりと後片づけの
どちらの現場でも東北の人たちが「人柱」みたいになってしまっている。

ブント崩れは30年後にオウムという最悪の集団に形を変えたような気がする。
昭和史の断面が現代に重なって、いろんなことを考えさせられます。

私としては「ララピポ」「マドンナ」と並ぶ傑作。
他のかたも映画化を、と書かれてましたがぜひ観てみたい。
私は東北出身の松山ケンイチに主役をやってほしいです。
もっとも、この時代を描いた別の映画に出てしまったから無理かな・・・
オリンピックの身代金Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金より
4048738992
No.49:
(5pt)

新境地開拓

奥田英朗氏の作品は、読むたびに新しい発見があり驚かされるが、この作品はまさに新境地開拓といったところ。読み応えがあり、すばらしい内容でした。
オリンピックの身代金(下) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金(下) (角川文庫)より
4043860056
No.48:
(5pt)

ズバリ、読んで損はありません。

あまりのスリリングな展開に、あっという間に読み終えてしまいました。奥田さんの著作はシリアス路線よりもコミカル路線の方が個人的には好きでしたが、本書は別格です。

秋田出身の東大院生はなぜ東京オリンピックを妨害し、国家に対決を挑もうとしたのか? 早い段階で犯人は明らかにされ、警察側の追跡と犯人が犯行に及ぶに至った経緯が徐々に解き明かされていきます。その追いかけっこが実にスリリングでした。

とにもかくにもディテールへのこだわりが素晴らしく、市井の人々のちょっとしたやり取りなどから東京オリンピック開催当時の空気がよく伝わってきました。もしかして陰ではこんな騒動があったのか?なんて思わされるほどのリアリティでした。東京オリンピックをリアルタイムで経験していない人なら、上の世代にとって東京オリンピックがどれほどの重みを持っていたのかというのをよく理解できると思います。時折Youtubeで東京オリンピック開会式の映像を見ながら読み進めため、さらに臨場感が増しました。また、高度経済成長の陰で苦役を強いられた人々や、地方と東京の格差について考えさせられたりもします。

ズバリ、読んで損はありません。
オリンピックの身代金(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金(上) (角川文庫)より
4043860048
No.47:
(5pt)

ズバリ、読んで損はありません。

あまりのスリリングな展開に、あっという間に読み終えてしまいました。奥田さんの著作はシリアス路線よりもコミカル路線の方が個人的には好きでしたが、本書は別格です。

秋田出身の東大院生はなぜ東京オリンピックを妨害し、国家に対決を挑もうとしたのか? 早い段階で犯人は明らかにされ、警察側の追跡と犯人が犯行に及ぶに至った経緯が徐々に解き明かされていきます。その追いかけっこが実にスリリングでした。

とにもかくにもディテールへのこだわりが素晴らしく、市井の人々のちょっとしたやり取りなどから東京オリンピック開催当時の空気がよく伝わってきました。もしかして陰ではこんな騒動があったのか?なんて思わされるほどのリアリティでした。東京オリンピックをリアルタイムで経験していない人なら、上の世代にとって東京オリンピックがどれほどの重みを持っていたのかというのをよく理解できると思います。時折Youtubeで東京オリンピック開会式の映像を見ながら読み進めため、さらに臨場感が増しました。また、高度経済成長の陰で苦役を強いられた人々や、地方と東京の格差について考えさせられたりもします。

ズバリ、読んで損はありません。
オリンピックの身代金Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金より
4048738992
No.46:
(5pt)

読書中

今、まさに読んでます。「上」は最高に面白かったです。奥田先生は全作品読むつもりで順番に読破しております。「またか」って思いそうで、思わない独特の展開に嵌ってます。「無理」「邪魔」「最悪」とは異なる感じでありながら「奥田節のエッセンス」は健在で、引き込まれます。あと50ページ程で残しておりますが、通勤の電車内での読書が半年も続いているのは奥田先生のおかげです。他の作者にも愛すべき先生方は沢山居ますが「奥田節」はこれからも楽しませてもらいます。「国男!!気持ちは判るよ」とだけ言っておきます。
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4043860056
No.45:
(4pt)

奥田英朗にしては、重い作品

この作者の作品としては、重目の内容になっていますので、ご注意を。
最近、TVでも小説会でも昭和30年代の高度成長期を懐かしむ作品は多い。

昨今の不景気を嘆き、良い時代を思い出したいのだろう。
この作品も舞台は、高度成長期。東京オリンピック前夜だ。
しかしながら、この作品は、昭和の暗部に焦点を合わせ、飾られて回顧されるような、その時代の現実をえぐっている。

その重さは、高村薫の”レディージョーカー”に通じる、閉塞感や、絶望感をも、感じさせる。
軽快な、サスペンス作品を期待しては、肩透かしを食らうことでしょう。

しかし、昭和を知る上では重要な作品です
オリンピックの身代金(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金(上) (角川文庫)より
4043860048
No.44:
(4pt)

映画を見ているような雰囲気

文庫上下巻読み終えました。
カットバックとクローズアップ,ズームアウトなど文章が画像を呼び起こします。
上巻のやや冗長さは下巻への地ならし。
下巻1/2を過ぎたあたりから展開速度が増して,一気に終話へと。
伊良部医師シリーズ,最悪,サウスバウンドなど毎回試みを続けた作者の新境地に思えます。
オリンピックの身代金(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金(上) (角川文庫)より
4043860048
No.43:
(5pt)

あの時代の格差が克明に描写されている傑作

東京オリンピックを間近に控えた日本の首都、東京は戦後の街の姿から全く新しい近代都市へと性急に生まれ変わろうとしていた。
その陰では多くの人々が犠牲に、埋め立てのために漁業権を強引に剥奪される漁師、道路拡張のために無理矢理土地を奪われる市民
そして何よりオリンピック関連の土木建設業務に従事するため、寝ることすら許されずひたすら肉体労働を強いられた地方からの出稼ぎ労働者。

北京オリンピックで中国を批判した日本人が、かつて自分たちもそれ以上とも思える事をやっていたとこの本を読んで知りました。
作者はオリンピックを知らない世代の人ですが、恐らく膨大な時間をかけて資料を読みあさり、まるで体験した事かのように東京オリンピックの表と裏を語ってくれています。
本当に本当に読んで良かったと思える本です。

オリンピックの身代金(上) (角川文庫)Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金(上) (角川文庫)より
4043860048
No.42:
(4pt)

前半部までは、北京オリンピックを揶揄した本かと思ってました。

北京オリンピックの前後2年半程中国に駐在していた者です。
 前半読んでて、「これ、日本のことにしてあるけど、本当は北京オリンピックのことを描いているのでは」と思ってしまいました。中国では共産党や国家機関を直接批判する小説は出せませんが、歴史ドラマで王朝批判ドラマ(実は共産党を暗に批判している)を作ったりしてますし、推理小説も、探偵が中国の警察をコケにするようなものは出せないかわりに、日本と欧米の推理小説は大量に翻訳されているので、本作は、翻訳して中国で売るために書かれたのか!?とさえ思ってしまいました。地名・人名・組織名を中国語に変えて翻訳すれば、前半については、中国人も気づかないかも知れないとさえ思えました(ただし北京に海は無いので、海を考慮すると上海万博の方が近くなるかも知れません)。どこでも道路工事の音が鳴り響き、埃っぽく、補償金を払って立ち退きさせる(東京湾)箇所や、出稼ぎ人夫を出す農村と東京の格差、

 「役人も都民も、「外国人に見られて恥ずかしいもの」を隠そうとした。不衛生な屋台街など、真っ先に消える運命にあった(p23)」

 「急増の建築物に、西欧都市を装いたくてしようがない(p199)」

田舎から葬儀の為に出てきた中年女性の仕草を見た主人公が、

 「品が無いというより、マナーの概念が無いのだろう(p225)」

などなど、どうにも中国の話としか思えなくなってきたので、前半を終わったあたりで、主人公の一人、刑事落合氏と同年代の父親(長野の小作農出身で、高校卒業後東京で国家公務員になった)に電話して当時の状況を確認してしまいました。ところが概要を聞いた父いわく、殆ど小説に書いてある通りだとのこと。違いと言えば、長野の田舎は、出稼ぎは多くは無く、小中学校も農繁期にあわせて休校になるので学業の妨げにはならず、父の兄は京大に入ったが、特に村で凄いと言われたことも無く、戦中戦前はともかく、戦後は停電も無かったとのこと。似ていたのは明治時代に建てた家を針金でテントのように四方で支えていた点(小説では棒で支えている)くらいで、「ひょっとしたら東北と長野は大分違うのかも知れない」とのことでした(中国でも華北の土地の痩せた地域と長江以南の豊かな土地での農民の生活ぶりは大きく異なるので、当時の東北は現在の中国の華北に似ているのかも知れません)。

 ということで、本作が書かれた時期からして、北京オリンピックを揶揄する要素は絶対あると思うのですが、歴史小説としても読めるのだと思いました。

 後半は、学生運動や在日朝鮮人社会が出てきて、「日本を舞台としたサスペンス小説」となった感じです。とはいえ、歴史ものは結果がわかっているので、ラストに近づくに連れて切なくなりました。警視庁高官の面子はともかく、現場の刑事には犯人を取り逃がして欲しく無いし、かといって主人公に死んで欲しくない、当時の日本の多様な社会・階層の多彩な人々、対立する立場の登場人物にも感情移入してしまい、楽しめました(驚くべき情報量を誇りながら、犯人を何度も取り逃がす公安にはちょっと納得できませんでした。いくらなんでもあんなに酷く無いと思うのですが。。。)。

 本作が中国語に訳されて、中国でも出版されるといいな、と思いました。
オリンピックの身代金Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金より
4048738992
No.41:
(5pt)

読み応えあるが

高度成長時代にオリンピックに沸き返る東京と、貧しいまま取り残される地方、出稼ぎ者の現状など、時代の矛盾への怒りからテロに手を染める東大生。

ただ、壮大な犯罪を計画する割に、彼に陰謀を周到に進めるという粘着性はない。

それは人物造形上仕方ないことかもしれないが、割と行き当たりばったりに淡々と計画を実行するのに、捜査の手をいつもかいくぐり、最後はついに点火台までたどり着くというのは、リアリティの点で疑問が残った。
オリンピックの身代金Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金より
4048738992
No.40:
(4pt)

裏ALWAYS・・・!?

昭和30年代の”明るい”東京を描いたものが
映画『ALWAYS3丁目の夕日』だとしたら
そこには出ていない、貧しさとか犠牲とか…
同時代なのに違う角度から見た昭和30年代の東京だなぁと感じながら読みました。

巻末に掲載の参考文献等にも読書を広げてみたくなりました。

オリンピックの身代金Amazon書評・レビュー:オリンピックの身代金より
4048738992

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