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サウスバウンド
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サウスバウンドの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.23pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全74件 61~74 4/4ページ
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個人的には『どこかにある楽園を求めて東奔西走』するのは逃げ腰に感じてしまう。『今、自分のいる場所。そこを楽園にする』私はそういう戦いのほうが好きです。 | ||||
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05年に刊行された単行本を,文庫化して分冊した上巻です. 型破りな父を持つ家族が,小学生の息子の視点で語られており, 序盤こそ,そんな父の突飛な言動に目が行きがちになるのですが, 実際には,その父のことがあまり好きになれない少年の成長物語です. 特に上巻は,家庭や学校など日常生活を中心に描かれていて, 友だちや女の子のこと,時には大人のずるさやケンカに家出と, さまざまな経験をして,大きくなる少年の姿がなんとも頼もしく, 「子供も子供なりに大変なんだ」と言う声が聞こえてくるようです. また,別れと旅立ちでは少しあっさりしたところがあるものの, それが却って,子供たちの『強さ』にも思え,印象づけられます. 少年の視点,また語り口調ということもあってとても読みやすく, 自分の子供のころを思い出したり,大人の視点で応援をしてみたり, 読んでいる側が少年の成長を見守っているような感覚になる作品です. | ||||
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『サウスバウンド』とは『南行き』という意味で、新幹線の電光表示板に出る「〜bound for KYOTO」のバウンドと同じだ。で、この物語の後半まで来ると、そのワケが明らかとなる。前半は「学園もの」といった範疇に入るのだろうか、大都会東京に住む小学6年生のいささか‘ませた'「スクール・ライフ」が綴られる。両親の過去の秘密や家族のこと、更には学校内でのいじめ等々を織り交ぜて、主人公の二郎はいろいろな事件に巻き込まれることとなる。クラスメイト(東京らしく?)との軋轢や友情など、前半にも読ませどころはふんだんにあるものの、ストーリーに俄然躍動感が出てくるのは後半に入ってからだ。 これまでの東京での暮らしとは180度異なる「スロー・ライフ」が始まるわけだが、このあたりの新旧世界の対比がとても鮮やかで、戸惑いが徐々に共感に変化していくところが面白い。更には、新しい生活やまたまた巻き込まれる(!)事件を通して、家族が団結し再生されていくところなどは読み応え充分で、後半は「冒険ファンタジー」といった趣を帯びる。いろいろなことを経験しながら成長する二郎の姿は眺めていて微笑ましく、私のような親父(笑)ではなく同年代の少年少女だったらどんな風に感じるのか、とても興味があり感想を聞いてみたい気分だ。 これまで奥田英朗氏は『イン・ザ・プール』しか読んだことがなく、確かに面白いけれど何かヲタクっぽくてネチネチとした印象があり、次の作品に手が伸びないでいた。今になって大いに反省しているが、いやはやなんとも面白い。特に後半に入ってからのスピード感はどうだ!グイグイと引っ張られあっという間に読み切ってしまったが、久々のど真ん中ストレートだった。無理して一言で表すと『家族の団結と再生を絡めた少年の成長記』と味も素っ気もなくなるが、同様の作品として『母恋旅烏』(荻原浩)を是非ともお薦めしたい。こっちの親父さんもなかなかの人物だ。またスケールの大きなファンタジーとしては『アナン、』(飯田譲治)を挙げておきたい。 | ||||
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元過激派の父の引き起こす騒動を、息子である小学6年生の二郎の目から描いた小説。 上巻は、東京・中野を舞台に、都会の下町の小学生の生活を、いきいきと描いている。友達との関係、ほのかな恋愛感情、中学生の不良との対立、父をはじめとする一風変わった大人たちの行動を、細やかに描写していて読ませる。 下巻は、移住した沖縄・西表島での生活を描く。二郎の成長の様子がほほえましい。ただ父母の行動の顛末は、少々現実離れしている感じもする。 大人でも楽しく読めるが、読書力のある中学生ぐらいの子が読むと、主人公と年齢が近い分だけ、さらに楽しめるのではないかと思った。 なお、「父」は、元左翼過激派という設定だが、別にイデオロギー的な作品ではない。破天荒な父を持つ子供の成長物語であって、特段の政治的メッセージがある作品ではないので気楽に読める。 | ||||
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父も母も、もと過激派?なんていうコピーに、ひるみがちかもしれませんが、ぜひおすすめします。 上では、お父さん一郎の言っていることが、すごく理不尽にきこえて、 自分のお父さんだったら、二郎と同じくすごく恥ずかしいなぁとおもっていましたが、 下巻にいったら、全然印象がかわりました。 物事の正しい方向とは、何なのかが、一貫していてまったくぶれない。これがなかなかできません! それが、西表の人々の考え方とかさなっていくと、もともと人間とは、こうだったんだとす思いました。 資本主義で、どんどん私利私欲を追求し、平気で嘘をついたり、人を裏切るようになっていったんでしょう。 ほんと、お父ちゃんかっこいいです。ついでにお母ちゃんもかっこいいです。 ちなみにこのアカハチの像は、ほんとに石垣島の大浜地区にあるので、ぜひいってみてください。(この夏にいってきました!) | ||||
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上より下の方が好きです。島の生活っていいなーと羨ましく思いました。島での生活を通して主人公が色んな事を学んでいく様子が描かれていて、読んでいるこっちまでワクワクしました。森を守るために戦う父もかっこ良いです。ただ、ラストは少々納得できませんでした。小学生の子供を置いてっちゃっていいの?と思いました | ||||
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学生運動・過激派の生き残り・・ ^^ けれど、彼の生きかたは潔い。 最初主人公は、小学生のぼく(上原二郎)なのかと思ったが、いやっ どうしてどうして・・ 父親のキャラクターが濃いこと濃いこと。 この役をやるには、よほど人間ができていないとできないのでは(そして野性的な大男でないと)と思った。 八重山諸島のアカハチの末裔・・なんて もし、わたしんとこが、田舎に帰ってこんなに歓待されたらっ なんて (笑)ことも考えてしまった。 沖縄の人の良さや、個人という以上に全体主義のようなおおらかなイキカタも、今の世の中への提言のようで、心地よかった。 一気に読めた一冊でした。 | ||||
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いまや過去の産物となってしまった極左過激派を親に持つ少年の物語です。 上巻は東京における少年の学校生活を中心に進み、その中で父親の言動がシュ−ルに描かれています。 まあ、面白く読めるんですが、ここは普通の出来。 この作品の本領は下巻にあると言って良いと思います。 左翼思想における楽園を求めて西表島に移住した家族の自然に回帰した生活や、 島の人情味は、我々の求めているスロ−ライフそのもので、読んでいる最中 自分も移住したいとも思える、快適さを感じさせるものです。 しかし、そこにも拝金主義の企業が乗り込んで来、またまた父親の大暴れが始まり、 痛快な展開が広がります。 みんなが平等に快適に生活できる楽園。 それは、思想の上にしかないのでしょうか? | ||||
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かなりおもしろいです。過激派の事はよくわかりませんが、一郎はかなり頭のいいひとだと思いました。 二郎もなかなかたくましく好感が持てました。 中野から西表島に引っ越した上原家から目が離せません。 というわけで、下巻に進みたいと思います。 | ||||
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この上巻は、住んでいる土地から言えば、「中野篇」ということになるのでしょうか? 「過激派」という言葉はもう死語かと思っていました。それほど70年安保は遠い昔のことのように思います。 主人公は小学6年生の上原二郎です。この少年の先入観のない目で現代社会を見つめなおして行きます。彼の目は、現代社会と過激派だった両親の語る社会とを、公平に見て行きます。 両親は、盛んに現代の管理社会の弊害に、厳しく反論します。学校においても、社会においても。しかし、その論も激するとアナーキーになって行きます。 この構成に作者の上手さを感じます。両極端な論理を純粋な子供の目でもって中和させ、その上で現代社会の「管理」という魔物に問いかけます。集団になれば、そこに権力が生まれ管理が生まれるということでしょう。 そんな理屈はさておいても、この非現実的な設定からくる面白さが溜まりません。エンターテイメントとして十分に楽しく読める素晴らしい作品です。 | ||||
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2006年本屋大賞第2位ランクインと裏表紙に書いてあるので、とりあえず買ってみました。 上原家の子供たちは3人ともキャラが立っていて、特に主人公の二郎は素直で好感が持てるので (おばあちゃんの家で出されたスペアリブがあまりにおいしくて5本食べちゃって気まずい思いをするとか)、 没頭して読みました。楽しかったです。 展開が結構読めない小説で、著者もどこまで先を見据えて書いているのかな?とか不思議に思ったりもしますが、 それが読者を引きつける要素の一つなのかも知れません。 キーパーソンである主人公の父は、上巻ではたまにいいことを言うが基本的には困った親父 なのですが、下巻になると大爆発して好感度急上昇・ストップ高という感じです。 買って損をした気にはならない本だと思います。 | ||||
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読み始めたときは「なんて物騒な話なんだ」と思いましたが、途中から話の流れが一気に変わり、そのギャップに驚かされました。タイトルの意味もそこでようやく分かりました。 何が正しいとか間違っているとか、それは誰にも分かりませんが、正しいと信じたことを貫く、それが大事なんですね。それをしっかりと学んだ主人公の二郎くんの成長ぶり、そして家族の絆。素晴らしいです。普通の人にはまず真似できません。 いい意味で裏切られました。さすがは奥田英朗だと思わず唸ってしまいました。 | ||||
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元過激派の型破りな父に翻弄される家族を、小学校六年生の長男・二郎の視点から描いた物語。年金は払わず、学校に乗り込み、警察とやり合い、騒動ばかり巻き起こす父・一郎。 論争好きで弁が立つ。いかにも過激派らしい演説で相手を煙に巻き、はったりをかます。腕力のある大男ゆえ、最後は敵を投げ飛ばす。二郎は二郎で子どもなりの悩み〜不良中学生に目をつけられたり〜を抱えていて大変なのに、父親が厄介ごとを引き起こすものだからたまらない。挙句、東京を捨てて南の島に移住することになり・・・そこでもまたまた大騒動。 元過激派の父をもつ家族の物語といっても、コミカルであたたかいタッチ。『邪魔』『最悪』とは違います。もうちょっと過激に壊れてもいいのでは(特に、元女闘士だった母親など)・・・と期待してしまったぐらい。二郎をはじめ子どもたちが、しだいに父親を理解していき、家族の結束が固まって、という予定調和といえば言える展開だが、ついついこちらも一郎のファンになってしまう。でもラストは・・・予定調和じゃなかった。やっぱり奥田さんの小説はふつうじゃない。二郎の小学生生活や気持ちが丁寧に書かれていて好感がもてた。どんな世代を描いてもリアリティがあるのはさすがだなあと思う。 わたしが買った巻は、映画公開を控え、帯も栞も映画仕様。おかげで「一郎=トヨエツ」になってしまい、ちょっと損をしたかな・・・トヨエツは好きだけど、自由なイメージで一郎を眺めてみたかった。 | ||||
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相変わらず埼玉と東京と横浜を行ったり来たりしているので、電車に乗っている時間がそこそこある。DSばっかりやっていたのだけれど、最近ちょっと読書欲が出てきたのでとりあえず奥田英朗の「サウス・バウンド」を読んでみた。 まず読んで思ったのは、中島みゆきの新譜(といっても、今となってはもう半年ぐらい前なわけだけど)を聞いたとき、もっと具体的には「宙船」を聞いたときと同じような感想なのだけれど、「この本を読んでも、共感できる日本人というのは実はほんのわずかだよな」ということ。作者はラスト近くで主人公に次のように語らせている。 警察や企業に楯突く一人の男を、痛快に感じ、面白がりはするものの、 我が身に置き換えたりはしない。テレビの前の大人たちは、一度も戦っ たことがないし、この先も戦う気はない。戦う人間を、安全な場所から見 物し、したり顔で論評する。そして最後には冷笑する。それが父以外の、 大多数の大人だ。 この言葉はこの本を読む読者自身にも向けられている。でも、多くの読者はそのあたりの皮肉にはあんまり気がつかないんだろう。あぁ、面白い本を読んだな、でおしまい。 僕は中島みゆきの新譜が出たときはその歌についてブログで全曲感想を書こうと思っていたのだけれど、この間の『ララバイSINGER』ではそれを見送った。なぜかといえば、「宙船」がたとえ高校野球の行進曲になろうとも、すべての港が灯りを消して黙り込んでも その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな という歌詞を、自分で漕いで行く立場で歌うことができる人間、自分の我が身に置き換えることのできる人間がどの程度いるのか、甚だ疑問だと思ったからである。「メロディが好き」「歌詞が好き」と、この曲を評価する人の考えはいくつかあると思うのだけれど、「一人で自分で自分の道を進んで行ける人間」がその中にどの程度いるのかといえば、僕はほとんどいないと思っている。そういう中で、この曲を論評しても意味がないよな、と思ったわけだ。 冒頭に書いたように、同じようなことをこの本を読んだあとにも感じた。しかしまぁ、こち亀の両さんや、ゴルゴ13に自分を置き換える人はいないわけで、その程度のものかもね、とも思う。 以下、いくつか「!」と思ったフレーズ。 嫉妬深くて極端な同質社会である日本には、誰かに犠牲になっていた だいても、嫉妬しきれない、手の届かない存在が必要だと思います。そ れが皇室です。 日本の学校って人それぞれっていう考え方が通用しないから、やりにく くって おれは、あんたらみたいな運動屋にはもうシンパシーを抱いていない。 左翼運動が先細りして、活路を見出したのが環境と人権だ。つまり運動 のための運動だ。ポスト冷戦以降、アメリカが必死になって敵を探して いるのと同じ構造だろう もしも疑問に感じたり、これはおかしいと思うようなことがあったら、それ を忘れないでいてください。そして、大人になったとき、自分の頭で判 断し、正義の側につける人間になってください 人の物を盗まない、騙さない、嫉妬しない、威張らない、悪に加担しな い、そういうの、すべて守ってきたつもり。唯一常識から外れたことがあ るとしたら、それは、世間と合わせなかったってことだけでしょう これらのせりふを、さまざまな登場人物にさらっと言わせているところが楽しい(上の引用は同一人物が語っているものが一組だけあるけれど)。 ところで、この本は第一部と第二部がほぼ完全に独立した別の話になっている。第一部では親父はただのぐうたらで、主人公の学校生活が中心で進んでいく。一方の第二部は親父は北の国からの五郎さんみたいな感じでかなりの働き者になる。話も大人の世界がかなりの割合を占める。どちらが楽しいかと言われると主人公がご飯ばかり食べている前者だが、台詞に赤線を引いたのは後編の方が多い。 個人的なこの本の評価は☆3つ。それにしても奥田氏の書く文章のリズムが好きだ。こういう相性の良さを感じる作家はあまり見つけられない(東野圭吾、宮部みゆき、夏目漱石、宮本輝、野田秀樹、村上春樹、殊能将之、真保裕一くらい?)なので、これからもがんばって欲しい。 | ||||
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