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(短編集)
賢者の贈り物
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賢者の贈り物の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.43pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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短編集。すべての短編で言えるのが「考える」。とにかく考える。あらゆる可能性を考え思考が広がっていく様が面白い。タイトルの「賢者の贈り物」。思考の結果のたどりついた先を思うと、まさに"賢者の贈り物"だと感嘆をあげたくなる。 | ||||
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金の斧銀の斧、シンデレラ、人魚姫、耳なし芳一、・・・。各ショートストーリーのモチーフは有名なもので、それだけにこういう結末が用意されているのだな、と思わせ、それを裏切ることなく、かといってベタにその通りでもなく謎解きをしているのがいいです。石持作品らしく、時にくどすぎ、回り道すぎる謎解きはあります。そこが石持さんらしい、とまとめてしまいましょう。一通り読んでから、全てのストーリーに登場する磯風さんに注目して再読する楽しさがあるのがこの本のすごいところです。こういう楽しみはほかの本にはちょっと見当たらないのではないでしょうか。読者と作者が暗黙の了解でつながれているはずなのに、それを裏切らず、しかも了解を超えた2種類の謎解き?ストーリーが同時に展開されている、そんな本です。 | ||||
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「心臓と左手 座間味くんの推理 」をブラックとすると、こちらはホワイト座間味くんといった趣でしょうか。(座間味くんは出てきませんが。) 短編で登場人物は毎回違うのですが、必ず、磯風さんという美人が登場、童話やO・ヘンリーの短編など既存のお話がモチーフで身近な(でも、本人達にとっては切実な)謎を解くという共通点があります。 「心臓と左手」とは異なり、謎が身近で人も死にませんので、展開は限られますので、ミステリーとしては物足りないという方もいるかもしれません。また、石持作品の短編の”お約束”の、若干(かなり?)、強引な推理もあります。 ただ、こちらは人の生死に関係ありませんので、まあ、そういうのもありかと思えますし、なにより、ほとんどのケースが暖かい終わり方をしていますので、読後感は爽やかです。ちょっとした時間に読むには最適です。お薦めです。 | ||||
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関西地方の方でしたら御存知だと思いますが、昔のTVで笑福亭鶴瓶師匠と桂ざこば師匠が出演されていた「らくごのご」という番組がありました。客席から3つのお題を頂いて即席で話をこしらえて演じるという実験的な舞台でしたが、本書の構成も少しその形式に似通っています。まず10編の短編のテーマが有名なお伽噺・昔話・怪談から取られている事、次に主人公が思わず‘何故だろう?’と考え込む不可解な状況に陥って懸命に頭を捻る展開、最後に長い黒髪の美少女磯風嬢が脇役として必ず登場する、という3つのお約束事に則って全編が書かれています。昔からミステリーには安楽椅子探偵という趣向がありますが、本書の場合は少し違うと思います。各編は名探偵が見事な推理を披露するというよりは曖昧なデータを基に推理を絞り込み何とか答をひねり出して、最善の道を選択するというアマチュアっぽい物語になっています。ひとりで悩まざるを得ない状況の話は読んでいて焦りが伝わって来て気の毒に思えますが、ふたりで気楽にお酒でも飲みながら相談する内にふざけたアイディアから思わぬ真相が浮かび上がって来る話は微笑ましく読めます。本書で取り上げられる謎は犯罪的な物は全くなくて、ありふれた日常生活の中の恋愛・友情・家族愛の世界がテーマになっており、特に他者を心配して思い遣るストーリー・恋愛が成就するストーリーは爽やかで暖かい善意の念に満ちています。そういった傾向が味わえる作品として私のお気に入りは、『ガラスの靴』『可食性手紙』『賢者の贈り物』『泡となって消える前に』『最後のひと目盛り』です。唯一のマイナス要素としては意外性に乏しく想定の範囲内でお話が収まり、ややこじんまりとまとまってしまった印象はあります。けれど難しくて深刻なだけが良い訳ではなく、肩の力が抜けて楽しみながら書かれた掌編も心地良く魅力的だと思いますので、ぜひ本書のご一読をお奨め致します。 | ||||
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