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薔薇密室
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薔薇密室の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.55pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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最近になって皆川先生の作品のファンになり、次々に読んでいます。 『開かせて頂き光栄です』のようなラストの大どんでん返しのような展開はないのですが、 緻密なプロットと巧みな構成をじっくり楽しめる一冊です。思ったより長さを感じさせませんでした。 時代背景に二つの世界大戦をはさみますが、そのさなかでも作中には静謐な雰囲気があり個人的には気に入っています。 物語を必要とする人間は不幸な人間である、というテーマが何回も現れますが、その不幸な人間とははたして読み手の自分の事なのではないのかと考えさせられます。エンディングは落ち着いた雰囲気で不幸ではありませんが、それもヨリンゲルが紡いだ物語かもしれないなどと、感傷に浸っています。 | ||||
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難しいことは、わかりませんが。薔薇人間スゴイ…。ありえないと分かっているけれど、なんだかとっても衝撃的。やっぱり星5つと思いますけど。 | ||||
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この本を読んでいる間は、呼吸を忘れてしまいました。息を吸うと、どんなにおいがするのか・・・ もう、すごいとしか言いようが無いです。 感想って、あらすじを書いてもしょうがないですよね?自分がどのような衝撃を受けたのか。そして、それが「気に入ったのか」。 星五つですよ、もちろん。 たぶん、人によって好みが極端に分かれるでしょう。私は、この「皆川博子」の作品は、おそらくすべて大好きです。 | ||||
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第1・2次世界大戦中の占領国ドイツと非占領国ポーランドを舞台に繰り広げられる壮大な迷宮の物語。作中で、「物語を必要とするのは不幸な人間だ」との詩が引用されるが、これが作品のモチーフとなっている様だ。(小説における)現実とも登場人物達の妄想とも取れる「物語」が幾重にも重なった巧緻な構成で、まさに迷宮を彷徨っている様な感覚を味わえる。 まずは、死に掛かった人間を薔薇と合体させて薔薇人間として生育するというマッド・サイエンティスト的博士ホフマンが住む"薔薇僧院"の模様が脱走兵コンラートの視点で描かれる。一転、ポーランドに住む少女ミルカの一家がドイツ軍に蹂躙される模様やミルカと少年ユーリクの交流の模様が描かれる。ここまでは、ドイツ軍に弾圧されるポーランド人の悲哀をテーマにした作品かと思いきや、ミルカが撮影技師ホフマンとドイツに同行する辺りから読者は混迷の渦に引き込まれる。ここから、コンラートの手記中で薔薇人間の一人として描かれた元男娼ヨリンゲルの一人称とミルカの一人称とが交互に挟まれる。ヨリンゲルが薔薇人間だった筈はないから、コンラートの手記は創作だろう。だが、誰が何の目的で創作したのか ? ヨリンゲルの一人称によれば彼は今でも"薔薇僧院"に住み、そこにはユーリクも居るというのだ......。 ミステリ的叙述技巧が冴えており、人物間の関係設定の巧みさと合い間って読む者を引きずり込む力がある。「物語を必要とするのは誰か ?」というテーマも最後で見事に収斂している。作者の関心が常に"人間の心(に棲む悪魔)"にある事も良く伝わって来た。第1-2次世界大戦間の時間の経過と作中の事象との間にやや矛盾がある様にも感じたが、そうした齟齬が気にならない程の重厚な作品に仕上がっていると思う。 | ||||
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逃げ込んだ僧院で、瀕死の想い人を生き延びさせたいという願望から僧院の主の博士の実験に協力する男。その倒錯した語り口調は一旦途切れ、語り手は第一次大戦下のポーランドの少女に移る。日に日に悪化する戦況の中、彼女はある少年と出会う。ポーランド人であるがゆえにドイツから不当な扱いを受け、次第に彼女の家族も切迫してゆき…。 唐突に中断され、挿入されるエピソードの数々。 一体語り手は誰なのか、どこまでが創作なのか、「真実」はどこにあるのか? 史実と巧妙に絡められて紡がれる物語は思いがけない方向に向かう。 そして作品全体を貫くのが、「物語を必要とするのは不幸な人間である」という言葉。 歴史小説でありながらそうではない、と感じました。そして、もっと美に傾倒したような物語だと思っていた予想も、良い方向に裏切られました。 そして物語というものの持つ魔力にとりつかれた読者は、文字通り作者の手の平の上で踊らされる他はなく、その構成の妙といったら見事というしかなく。 私が今更言うようなことではないですが、本当にすごい作家さんなんだなと思いました。 | ||||
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まず、外界との交流を絶った僧院の中で、薔薇と美青年を融合させる禁断の実験が行われている様を描く「コンラートの手記」が提示される。その後、梅毒スピロヘータの実験材料にされる元男娼と、ドイツに迫害されるポーランド人姉妹の妹の2人が、2度の大戦を背景としたナチの台頭と秘密実験のありようを交代で語る。やがて2人の語り手の人生が「コンラートの手記」をめぐって交錯する。古希を超えて、脅威の筆力である。耽美系の大御所では、谷崎潤一郎も70歳で「鍵」、75歳で「瘋癲老人日記」を著しているが、これほどの長編ではなかった。「死の泉」の冷徹さと比べると、ラストも含めて温かみを感じる。耽美・幻想世界に惹かれる方にお奨めしたいが、557頁と長く幻惑的な作品なので、読む時間をたっぷりとりたい。 | ||||
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