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薔薇密室
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薔薇密室の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.55pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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廃墟の僧院、人体実験、薔薇の若者、黴毒で崩れた美貌、美しい劣等体、腐食銅版画法などの魅惑的なモチーフの連続に、途中で満腹感を覚えそうになるが、手練れた魔道の先達の筆に導かれて最後まで一息に読めた。 他の方のレビューにもあるように、大胆にも回収されない伏線には聊か驚かされ、肩透かしをくらった感もあるが、これも「物語を必要とするのは不幸な人間」というテーマに則った、読者のために開かれた小説ということなのだろうか。伏線の先は、不幸な読者が紡ぎ出すほかない。 思うに著者は「善い人」なのだろう。個人的には、もう少し捻くれた少数者のための小説も読んでみたいと思う。 | ||||
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今まで読んだ皆川博子さんの作品を知ったあとに期待を持って読むと少しがっかりする内容です。 素材はとても良いです。 ドイツ支配下のポーランド、一人残された少女ミルカ、 脱走兵、美しい瀕死の士官、薔薇の僧院、醜い薔薇男ヨリンゲル、 年をとらない青年ユーリク…などなど。 美しい薔薇と醜いヨリンゲルの描写の対比が素晴らしくホラーさながらに恐ろしさを引き立て、 ミルカとユーリクの叶わぬ恋も物語後半への期待を膨らませました。 が、後半になるとヨリンゲル視点が多く感情移入は出来ますが しつこいくらいローラントの手記のくだりが増えますし、 ミルカが閉じ込められている部分も 進行が遅くかなり中弛みします。読んでいるとやきもきしてきます。 あの手記がナタニエル・ホフマンの創作だとわかったときは肩透かしを食らいますし、 カンのいい人ならグラツィア尼がエルゼだと予想出来ます。 ミルカは結果的に薔薇の僧院に辿り着きますが、 それは何年も経ってからで時はすでに遅く、ユーリクは旅立った後でした。 二人の恋の行方を応援して読み進めていた私としては再開してほしかったです。 彼女の失った数年間は大きすぎます。 唯一救われたのは、不幸な生い立ちとホフマンに受けた仕打ちを比べると安定した暮らしを手に入れたヨリンゲルだと思いますが、 彼だってホフマン親子に対する憎しみを抱えながら生きて行かねばいけません。 不要な箇所を除きページ数を縮めてリズムよくまとめれば最後の結末も意表をつくものになったかもしれませんし、 せめてページ数はそのままでも最後に希望を持たせてくれるお話だったら評価も変わっていたと思います。 最後まで読めたのは、皆川博子さんの骨まで溶かすような表現力のおかげでした。 | ||||
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