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目には目を
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目には目をの評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.91pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全16件 1~16 1/1ページ
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| 本書は少年犯罪と報復殺人という、正解が一つに定まらない複雑なテーマを扱っている。 ただ、報復殺人を完全に否定し、「命は犯罪者も被害者も平等なもの」という立場で描かれていることに、違和感を覚えた。 罪のない幼女を身勝手な理由で殺めた青年。その青年が幼少期に受けたイジメ、少年院を経て社会復帰していくまでのエピソードを通じて、不器用だが正義感が強く正直な姿が描かれている。 そんな社会復帰を目指す青年を、殺された幼女の母親が報復として殺めた。 「目には目を、殺人には殺人を」と、正当化している。 青年は社会復帰に向けて取り組んでいた、そんな青年の未来を潰してしまった、というやや一方的な視点で書かれているが、問題を単純化してないだろうか? どちらが良い、悪いという二項対立の問題に置き換えられない問題だと思うので、結末にはややもやもやを感じた本だった。 | ||||
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| 前半はライターが密告者を探していくような流れですが、終盤に「なるほどそういうことか」という展開になります。 ミステリーとかサスペンスというジャンルではなく、ちょっと悲しくなるお話です | ||||
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| 見逃しそうになったけれど、メモをとりながら読んでいたのでなんとかなりました。「少年X」ね。ちゃんと説明がありました。一応納得はできたけれど、何だかモヤモヤが残ったので、☆1つマイナス。大坂君、ギリセーフ | ||||
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| ネタバレを早く知りたいと思ってしまう作品。 少年法では少女(女子)を「少年」と表記する、という法律用語がなければ成立しない作品。 被害者少年Xは女なわけですが序盤で男だと錯覚させられて、その後チラッと法律用語についての説明があるのみ。実際に女子が入る更生施設は「女子少年院」という名前です。 ノンフィクション風小説。ここに癒しや共感は必要なく、共感するとしたら同様の事件を起こす人間だということなのでしょう。 だからこそ秀逸なんだと思います。 青柳主任の言うみんな良い子。なのにその良い子達が起こした事件は卑劣。私たちの知らない精神世界、価値観で生きてる。だから共感できない人は事件を起こさない。 自分の罪と向き合う少年が2人だけいます。 救いがあるとしたらその2人なのかもしれません。うち1人はもう1人の少年に影響を受け、ルポライターが取材したことで罪と向き合い始めた少年です。自分の犯した罪と向き合うことができるかどうかが更生への道しるべとなるのかもしれず、それは少年院の生活や更生プログラムでは得られないもの。そう考えると感慨深いです。 つまり青柳主任へのインタビューを読んでもこの人には少年たちを更生させる能力はないと思わせられます。如何に現代社会が年齢問わず犯罪者に対して更生を望まず厳罰を与えることのみを望んでいるのかも考えさせられます。(更生に力を入れるなら教官をしっかり育てるところから見直すべきということ。) 究極のネタバレですが、題名通りの事件が起きただけだった。それが作者が取材を始めたきっかけになった。それだけのシンプルな話だと思います。事実は小説より奇なりという言葉はありますがこの小説は「事実に限りなく近い小説」なのでしょう。だから読後に救いも何もないと感じる人もいる。 宮部みゆきさんが推されるのは「理由」を書いた宮部さんだからこそ「作家として共感」できたのでしょう。 宮部みゆき作品のように何度も読みたくなるものではないですがお金を出して読む価値はありました。 | ||||
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| 本作は、新川帆立が少年の事件に焦点を当て、少年法をテーマに描いた意欲作である。これまでの彼女の作品は、女性が活躍する物語が多かったが、本作では現在の少年たちの置かれた状況をリアルに描き出している。新川帆立は、弁護士でもあったが、作家になる前に通信制高校で勤務していた経験を持つ。 物語の中心は、傷害致死により少年院に収容されていた少年Aが、出所後に殺人事件を起こす過程と、その背景を巡る人間模様である。Aは、傷害致死により少年院に入った少年であるが、そこで属していたグループには、少年Bという密告者もいた。殺人者の少年Aと密告者の少年B、果たしてそれは一体、六人のうち誰なのか。そして、その真実を追うルポライターの仮谷苑子の視点を通じて、六人の少年へのインタビューが進行していく。 少年Aは、少年Xに暴行を加え、その結果死に至らしめた。傷害致死の疑いで逮捕され、20日間の拘留の後、家庭裁判所に送致され、少年鑑別所に収容された。Aが事件を起こしたのは15歳10ヶ月のときであり、第2種少年院送致の判決を受け、1年3ヶ月の少年院生活を経て、17歳の春に退院した。 その後、土木作業員として働き始めたが、頭痛などの体調不良により仕事をズル休みするようになった。やがて、彼の部屋を訪れた際に殺人が行われていた。犯人は、被害者の母親・田村美雪であった。 これは、我が子を殺された母親の復讐心に他ならない。Aのことを知りうるのは、少年Bからの情報であった。時は流れ、2年後に美雪には無期懲役の判決が下され、控訴しなかった。 これに対して少年法の歪みという指摘もなされている。そして、Aや少年Bの実名は公表されていない。 登場する少年たちの姿も多彩である。大坂将也は、笑顔が人懐っこい青年で、父は家電量販店勤務、母は美人の専業主婦、弟は子役として有名だった。家族の中心は弟であり、将也は家庭内の扱いに不満を抱いていた。直樹殺しの事件に巻き込まれ、その結果少年院に入った。将也はテレビ好きである。 堂城武史は、朴訥とした大男である。身長187cm、体重95kgと巨漢だが、話し方は不器用で、IQも76程度と低めである。あだ名は「電柱」。子供の頃、ハムスター事件を起こし、中学ではいじめに遭っていた。 小堺隼人は、父子家庭で育ち、努力家であるが、家庭環境は厳格であった。父親は高卒で電気機器メーカーに勤務、母親は高卒の専業主婦であり、教育熱心だった。小堺は学校の成績が落ちるとヒステリーを起こし、夕食抜きの罰を受けていた。小柄で力も弱く、足も遅い彼は、母親を包丁で刺す事件を起こす。妹によると、父親が母親に暴力を振るっていたこともあった。 雨宮太一は、猟奇的殺人事件の犯人であり、小学生二人を殺害したとされる。自身は、「あれは自分の作品」と主張し、反省の色を見せなかった。少年院では声も小さく、特に大きなトラブルを起こさなかった。退院後はYoutuberとして活動し、赤坂の高層マンションに居住。チャンネル登録者数は120万人にのぼる。自己顕示欲が強い性格である。 進藤正義は、リーダーシップを発揮する少年で、黒いベンツに乗り、社交的で羽振りも良い。日焼けした肌に金髪の短髪、ロレックスを着用し、22歳にしてマルチ商法の仕事に従事している。母親は飲み屋で働き、妊娠、結婚、離婚を経験している。進藤は、多動症と虚言癖も持ち、14歳のときに特殊詐欺の受け子として逮捕され、その後、女子生徒の盗撮や強盗未遂事件も起こしたため、少年院に収容された。 岩田優介は、少年院に収容されている間、一言も発さなかった。心因性の発声障害を抱え、山のふもとの大きな民家で育った。父は村役場に勤務していた。子供の頃、吃音があり、醜形恐怖症およびコンプレックスを持つ。家では母親に暴力を振るい、それを止めに入った姉をツボで殴り怪我させた結果、姉は意識不明の状態に陥った。そして、少年院に送られた。 仮谷苑子は、丹念に少年たちの背景や人間関係を追及し、セラピードッグ殺害事件、プールでの石つまずき事件、運動会、クリスマス会といった様々なエピソードを通じて、少年たちの派閥形成や内面世界を明らかにする。少年たちを取材し、少年院の実態も詳細に描写する。少年院は罪を償うことではなく、更生を促す場として本来位置づけられているが、その実態には教官の目から見た「良い子」と実際の姿とのズレも浮かび上がる。 田村美雪は、港区白金台の閑静な住宅街に生まれた。「目には目を事件」を起こした田村美雪の背景にまで遡る。美雪の父親は外交官、母親は専業主婦であり、夫は建設会社に勤務している。美雪は、地方転勤の多い夫に対して不満を抱いていた。娘を殺された彼女は、「やられたら、やり返すだけ」と公判で発言し、その後、仮屋苑子が公判内で証言を行う。 このような展開を見ると、「目には目を」事件は、単なる復讐劇ではなく、少年法の存在や少年院の実態について、多角的に問いかける作品であるといえる。仮谷苑子は、復讐と贖罪のテーマについて深く洞察しながら、物語を締めくくる。本作は、社会の闇と少年たちの心に迫る、人間ドラマとなっているである。 | ||||
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| 15歳の少年Aに10歳の娘を殺害され、その復讐として少年Aの居所を見つけ出してを殺害した母親。 我が子を殺した少年Aに復讐した「目には目を事件」の関係者の証言を元に、なぜ少年Aだけが殺害されたのか、少年Aのことを密告した少年Bは誰なのかを探っていくミステリ小説。 少年Aと同じ時期に少年院にいた5人の少年、少年院の刑務官、少年たちの家族から仔細な聞き取りをすることで、当時の少年院内での少年たちの関係性や、罪の意識、反省の度合いなどが描かれていてリアリティがあった。 少年院でプールや運動会、マラソン大会、クリスマス会などのイベントがあったり、セラピードッグがいたりと、知らないことも多かった。 物語の中盤からは、「目には目を事件」の裁判の様子が描かれていくが、ここで語り手のある事実が明らかになり、物語が加速していく展開は最後まで読み応えがあった。 自意識が根本的に欠如していたり、自分が平凡であることを受け入れられなかったり、母親に構ってもらえなかったり、人が悲しむのを見て楽しんだり、と様々な少年たちがいたが、誰も自分が起こした事件のことはほとんど反省していないのが切なかった。 ただ、物語の終盤、少年の一人が被害者や遺族のことを考えて悩み、苦しむ様子が描かれていて、本気で更正しようとする意志が感じられたのが救いだった。 | ||||
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| 被害者遺族に復讐された少年Aと、遺族に密告した少年Bは誰なのか、というミステリー要素に惹かれて読み始めたが、中盤ぐらいからそこはどうでもよくなってきた(ストーリー上もあっさり描写されている)。 それよりも、少年犯罪とその罰は何なのかという話のほうが重かったし、続きがよみたくて一晩で一気に読んでしまった。 少年犯罪は重大事件が起きるたびにもっと厳罰化すべきという声が上がるし、自分もそう思う時がある。しかし宮口幸二氏『ケーキを切れない非行少年たち』など読んだ限り厳罰化すればそれでいいという問題でもないことも理解できる。 『目には目を』では6人の非行少年が登場する。生育環境も性格も多様でひとくくりできない。作中のルポライターは結末である結論に達するが、一方でモンスターのようなパーソナリティの少年も登場させており、ライターの結論を正しいとしていいのかも不透明だ。 その不透明さこそがこの小説の訴えたかったことではないかと思う。少なくとも私は強く打たれ、考えさせられた。 他のレビューを見ると序盤のある少年についての表現がおかしいと指摘があり、いろいろ解釈しようとしたが瑕疵とするのが自然な気がする。だが、そんな瑕疵が気にならないほど面白い小説だったと思う。 | ||||
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| 『目には目を』(新川帆立著、KADOKAWA)の結末には、あまりの意外さに唖然としてしまいました。 思い罪を犯し、少年院で出会った6人。この中に、10歳の女児を殺した15歳の少年Aが含まれていました。 17歳で退院したAは、被害女児の母親によって刺殺されてしまいます。18歳でした。母親は、Aと同じ時期に少年院で過ごした少年Bの密告の手紙、「xx年x月x日、午後四時半、Y建設の社員寮、xx号室に犯人はいます。北の裏口はいつもあいています。そこから、しきちに入ってください」によって、Aの居所を知ることができたのです。 密告した少年Bとは誰なのか、どうして密告したのか――本書は、仮谷苑子が、これらの疑問を解明すべく、退院した少年たちを訪ね歩いてまとめた証言集です。 被害女児の母親は、情報を得るために、SNSに次のような文章を投稿していました。「xx年x月x日、S県T市xx町三丁目―十六 中央東公園内で、娘の有海(あみ)、十歳が無惨にも首を絞められ、殺されました。犯人をさがしています。犯人は、犯行当時十五歳の少年でした。そのために、氏名も顔写真も公開されず、N少年院で一年三カ月をすごしただけで釈放。今ものうのうと生きています。情報求む。有益な情報には謝礼二百万円」。麦わら帽子をかぶってニッコリと笑う有海の写真が添えられていました。 読み終えて暫くは呆然としていたが、冷静さが戻ってくると、レフ・トルストイの『アンナ・カレーニナ』の有名な書き出し、「幸福な家族はどれも似通っているが、不幸な家族は不幸のあり方がそれぞれ異なっている」(この一節だけ、私が英語から重訳)を思い浮かべてしまいました。少年少女たちが罪を犯す前に、思い止まらせるために何かできることがあるのではないかと思うのだが・・・。 | ||||
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| 犯罪を犯してしまった少年たち「欠けた人間」のディテール表現が高いことに驚きました 安易に悪魔化もせず、「みんな同じ人間」みたいな安直な着地もさせない 「この話どこに収束するんだ」とハラハラしながら読み進めました | ||||
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| 読後少年Bが分かってスカッとという気持ちにはならないが、なん度も「おーそういうことか!」という話の展開がおもしろい。 少年たちの短絡的な行動や、理解不能な言動も仮谷という聞き手の一言で共感でき引きこまれた。 | ||||
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| 少年犯罪・贖罪・復讐・更生など重いテーマを扱った作品ですが、中盤からの展開が衝撃的で一気に読み進めることができました。また、切なくも感動的な結末には思わず涙しました。 まだ2月ではありますが、早くも2025年を代表する作品に出会えたよう気がします。 | ||||
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| 中弛みありますが、ラストスパートは息も尽かせずグイグイ引き込まれましたラストは涙腺が緩みます。 | ||||
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| これまで映像化作家イメージを払拭しきれないでいたが、ここで完全に化けたようだ。仮にミステリとしての仕立てを除いたとしても、テーマ・文章力いずれもズシンと響く。今年始まってまだ2ヶ月、国内ミステリランキングの有力者が現れたのでは。 | ||||
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| 冒頭の”これは、贖罪と復讐の物語である”からはじまる。 重い罪を犯し少年院に入るものたちは、”「普通」になれないもの同士”というが。 これはただ単なる犯人捜しのミステリーではない。 被害者と加害者、そして子を思う親たち。 本気で反省し更生することに問いかけている。 | ||||
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| 主人公が調査していく六人の少年のエピソードがごっちゃになったりして、行きつ戻りつ、読み進めるのがなかなかに骨でした。 でも、主人公にまつわるある事実が明かされてからは、頁をめくる手が速くなり、ぐいぐい読んでくことができました。 そして、密告者である少年Bが誰であったのか分かった時、「ああ。そういうことだったのか‥‥」と、しばし、天を仰ぐしかなかったです。 本書を読んで強く思ったのは、殺人事件ていうのは、それを起こした加害者はもとより、被害者、加害者の家族や友人をはじめ、周囲の人間に、どれほどの苦痛と悲しみ、憎しみを呼び起こすのかという、そのことでした。 また、ここに登場する少年たちの、他人とどう繋がっていいのか分からない、ちょっと理解しづらい不器用な生き方に、なんともやりきれない気持ちにもなりました。 本書のなかで、ある人物が漏らす《「なんでそういうふうにしか、人とつながれないんだろう」》て言葉と、そのちょっと後で一人の少年が言う《「僕たちはみんな、欠陥品なんじゃないですか」》て言葉が、胸に刺さりました。 | ||||
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| この本のテーマは一つ。 自分の娘を殺した加害少年の身元を知りたい被害者母に、加害少年の情報を与えたのは誰か? 密告者の可能性がある少年たちが収容されていた少年院での生活の様子・それぞれの入院までの経緯等が詳しく書かれており、それがのちの「加害少年の情報密告者」の解明につながっていきます。 復讐として加害少年を殺害した被害者母と、加害少年だった息子を殺されて(今度は被害者の母となった)人間の間に生じた憎しみの連鎖、復讐が復讐を呼ぶような雰囲気の中で、双方のつらい気持ちがびしびし伝わってきて痛いほどでした。 最初はただの「犯人探し」として読み始めたわけですが、最後に密告者が分かったときには不覚にも涙が止まりませんでした。 憎しみよりも、なによりも、悲しい悲しい物語でした。 最後の最後に、その加害少年の母が、息子を殺害した被害者母に宛てた手紙が載せられています。 ここで初めて、序章にあった「これは贖罪と復讐の物語である」の本当の意味が分かりました。 涙なくして読めないと思いますが、本当に本当にお勧めの本です。 是非ご一読ください。 | ||||
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