(短編集)
謎の香りはパン屋から
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謎の香りはパン屋からの総合評価:
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"私はこれまでに起きた様々な出来事を順に辿った。ーその瞬間、焼き上がったパンのように、頭の中で描いていた思考が一気に膨らんだ"2025年発刊の本書は著者デビュー作にして『このミス』2025年大書受賞作。著者のこれまでが反映された日常の謎ミステリー。 個人的に『このミス』受賞作はいつも楽しみにしているので本書も手にとりました。 さて、そんな本書は2023年、『あぁ、我らのガールズバー』で集英社・第98回赤塚賞準入選後、漫画家あるいはおぎぬまXの漫画アシスタントをする活躍するかたわら執筆された著者の小説デビュー作で、大学1年生の市倉小春。漫画家を目指しつつ、大阪は豊中にあるパン屋『ノスティモ』でバイトをしている主人公が、お店で起こる様々なちょっとした事件を『焦げたクロワッサン』『夢見るフランスパン』『恋するシナモンロール』『さよならチョココロネ』『思い出のカレーパン』と焼きたてのパンの香りが広がるような各章でパンネタ披露?と共に解決していく連作短編集なのですが。 主人公自身が著者の実体験が反映されていること、また私自身が縁のある大阪のお店が舞台という事で楽しませていただきました。 また、漫画家でありながら小説家としてもデビュー。と、最近は本当にジャンルを横断して活躍する方々が多いなあ。と、その多才ぶりにも尊敬してしまいます。 | ||||
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1)パン×ミステリーと少し珍しい組み合わせだがうまくまとめられていて読みやすい 2)似たような流れの短編集を読んでいるようで少し単調さを感じてしまった ※あくまでも個人の感想です | ||||
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結論!さすが、大賞だけがあって面白い! 私の想像を遥かに超えた作品でとても満足。 【第一章】焦げたクロワッサン 【第二章】夢見るフランスパン 【第三章】恋するシナモンロール 【第四章】さよならチョココロネ 【第五章】思い出のカレーパン 【エピローグ】 第23回「このミステリーがすごい!』大賞選考結果 第24回「このミステリーがすごい!』大賞募集要項 本作は、パンの香ばしい匂いと、人々の賑やかな声が絶えない店内を舞台にしたミステリー小説である。 舞台となるパン屋「ノスティモ」は、オープンキッチンのために視覚的な魅力だけでなく、音の描写が際立っている点が特徴的だ。 例えば、トングがカチカチと鳴る金属的な響きは、どこか温かみのあるパン屋の空気を一瞬で生き生きと感じさせてくれる。 読者はその音を聞くだけで、ふわりと香る焼き立てパンの湯気まで想像できそうだ。 主人公の市倉小春は大学生でありながら漫画家志望という設定で、彼女の視点から描かれる物語は、ときにコミカルなほど観察眼が鋭く、事件が起こってもどこか冷静だ。 パンの生地をこねる「ごうんごうん」という分割機の低いリズムや、オーブンのタイマー音のわずかな狂いにも気づくほど繊細な耳を持つ。 こうした「音を手がかりにする」姿勢は、パン屋という空間が存分に活かされた本作のミステリー性を、さらに際立たせていると言える。 一方で、登場人物たちの個性も魅力的だ。店長の寡黙で職人気質な態度や、先輩である福尾さんのお茶目で関西弁混じりの明るさ、クールな雰囲気をまといながらも舞台俳優の話になると止まらない親友の由貴子――いずれも、店内に響く声や足音、そして何気なく交わされる会話からキャラクター像が浮かび上がってくる。 ミステリーでありながら、ほのぼのとした日常の空気感が心地よく、事件の謎と温かな人間模様が見事に同居しているのだ。 物語のポイントとなるのは、なぜ店長がパンを焦がすという初歩的なミスをしてしまったのか、その裏にある事情と、倉庫に隠された塩の謎だ。 パン屋特有の「香り」と「音」が、ただの背景描写にとどまらず、手がかりとして効果的に使われているので、読者は五感を研ぎ澄ませるような感覚で推理に没頭できる。 さらに、各章ごとに登場するパン――クロワッサン、フランスパン、シナモンロール、チョココロネ、カレーパン――それぞれに込められたエピソードが物語のバラエティを豊かにし、飽きさせない。 終盤で明かされる店長の過去と、海外での経験をめぐる暗号は意外性に富み、軽快なパン屋の日常から一転してサスペンス感が生まれる。 これによって、ささやかなヒントを見逃さない主人公の観察力が最後まで輝きを放ち、事件が解決したときには爽やかな余韻を残す。 総じて、本作はパンの香りに満ちた温かな世界を存分に味わいつつ、巧妙に仕掛けられた謎を解き明かす醍醐味を堪能できる秀作ミステリーである。 パン好きにはもちろん、コージーミステリーのファンにも大いにおすすめしたい一冊だ。 | ||||
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