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検死審問ふたたび
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検死審問ふたたびの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.80pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全5件 1~5 1/1ページ
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「検死審問」に続く第二弾だが、前作を読んでいなくても支障はない。 「検死審問」は全編が検死審問の記録という体裁を取っており、関係者の証言や日記や遺書、検死官と陪審員との会話で構成されていたが、本作もそのスタイルを踏襲している。 前作との比較では、プロットやユーモアがアップしていると感じた。 前作よりも面白かったです。 | ||||
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パーシヴァル・ワイルドの『検死審問〜インクエスト〜』読了して、解説の杉江松恋氏が再読を勧めていたが、やはり手元にある続編の『検死審問ふたたび』を読むという誘惑には抗しきれず読み始めてしまった。 今作『検死審問ふたたび』も前作同様審問に召喚された個性豊かな証人達が語る話だけでストーリーを展開させてゆくという、まるで芥川龍之介の『藪の中』を彷彿とさせる手法で書き上げている。 コネチカットの片田舎トーントンと言う村に住む証人達の個性豊かな話ぶりなどからワイルドならではの人物描写の妙(諧謔や埋め込まれた伏線など)は、読者を楽しませてくれる。 前作『検死審問〜インクエスト〜』も今作『検死審問ふたたび』も必ず真実は、検死官リー・スローカムと速記係りのスローカムの姪のフィリス、そして犯人?以外知らされることなく完結する。 ただし前作では、終章において文芸批評記者「偽のオリヴァー・ブライ・ステックニー」が、評決が出たあとの廷内に飛び込んできて、「検死官、いま長距離電話でドーティー(頭脳明晰と思われるステックニーの後輩記者)と話したんです!すごい剣幕でしたよ!おれはとんでもない考えちがいしていたらしい。あいつ言うには・・・」と叫んできたが、スローカム検死官は、落ち着き払って「あとで個人的に話しましょう、ミスター・ステックニー」などと言いながらけむに巻く粋なエンディングには感じ入ってしまった。 本書の巻末で解説の西上心太氏が、「時代の風雪をものともしないパーシヴァル・ワイルドの面白さ、曲者ぶりが知れ渡ったが、長編である検死審問シリーズによってさらなる高評価を受けることは間違いないだろう。こうなればあと二冊残っている長編ミステリの翻訳出版が叶えばいうことがない。」と書いていたが評者もまったく同じ気持ちで本書を読み終えたのである。 本書『検死審問ふたたび』を、ふたたび堪能してしまったが、本当に良い気晴らしになったから泉下のワイルドに感謝したい。 | ||||
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執筆に集中できる閑静な場所を求め、村はずれの 山荘に引っ越してきた、パルプ作家のティンズリー。 ある夜、山荘が全焼し、焼け跡からティンズリーのものと思しき遺骨が発見された。 さっそく、スローカム検死官のもと、検死審問が行われることと なり、今回は、うるさがたのイングリスが、陪審長に抜擢される。 大いに張り切るイングリスは、審問記録に注釈を加え、 さらには、独りで火事場の実地検分にまで出かけて……。 堅物で融通がきかないイングリスの視点が加えられる ことで、前作よりも、ユーモア色が濃厚になった本作。 特に、注釈というメタフィクショナルな仕掛けは、いささか 悪ノリ気味とも思いますが、やはり笑わされてしまいます。 しかも、そうしたイングリスの頓珍漢な言動が、真相を 隠蔽する煙幕になっているのですから油断できません。 審問自体は、次々に登場する証人たちがそれぞれに放言していくという、 前作同様の展開なのですが、事件と無関係と思われたそうした証言の 中に、大小さまざまな伏線が仕込まれているのです。 実は審問の前に、事件の真相を見抜いていたスローカムが、 終盤になって行う怒涛の伏線回収には感嘆させられました。 | ||||
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ニューヨーク生まれのユーモラスな芸風の劇作家ワイルドが生涯に四作執筆した内の最後のミステリー長編小説で、昨年(2008年)半世紀振りに翻訳復刊され大好評を博した傑作「検死審問」の待望の続編が初紹介されました。本書を読んだ感想を結論から先に申し上げますと、どうしてこんなに面白い作品が今まで訳されて来なかったのだろうと不思議なほど、前作をも遥かにしのぐ稀に見る素晴らしい傑作だと思いました。前作に続き今回も探偵役はリー・スローカム検死官なのですが、冒頭から陪審長に任命されたイングリス氏の語りで検死審問の経緯が綴られて行きます。今回は最近都会から山間の家に越して来て火事に遭い焼死したと見られる作家ティンズリー氏の件についてスローカム検死官が審問を行います。イングリス氏は自分がホームズのつもりになって審問記録に注釈を加え大いに自説を披露します。今回も田舎者の証人達が関係のある事ない事を延々勝手にしゃべりまくり、菌類学者の婦人がキノコについて話す証言記録に「そんなはずがない。それ見ろ!」とイングリス氏が注釈で突っ込みを入れる所が最高に面白いです。本書の構成は法廷小説の形式を借りた本格探偵小説で、読者の心得としては証人が語る事実の中で重要な事とそうでない事を選り分けて自分で分析判断するのが一番大事な事でしょう。著者は単純なシチュエーションの中で周到且つ大胆なトリックを仕掛け、玄人ファンをも「えっ、まさか」と唸らせる最大限の効果を引き出しています。今度こそミステリーの罠に騙されまいと備える読者も、またもや「当たり前過ぎて見逃す」轍を踏んでしまうでしょう。このシリーズは最後にスローカム検死官が本当は聡明なのに田舎の間抜け者を演じて事件を闇に葬る趣向があり、まさに「能ある鷹は爪を隠す」の愉快さです。これ程の才能の著者が寡作なのは本当に惜しい事で、残り2冊の未訳長編もぜひ紹介して頂きたいです。 | ||||
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やはり、ワイルドは読んでいて楽しい。今回の主人公とも言えるのがイングリス氏。この人のトンチンカンな推理と審問記録の註釈は、『探偵術教えます』を彷彿とさせる。事件と関係がなさそうな間の抜けた証言。日当のために、それらを延々と語らせる(ように見える)スローカム。しかし、そこには、無駄話だけでなく、事件の真相を明らかにするためのピースがちりばめられている。謎解きとしてもフェアで、ニヤリとさせられるラストも相変わらず。 | ||||
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