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本にだって雄と雌があります
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本にだって雄と雌がありますの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.92pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全25件 21~25 2/2ページ
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「笑える小説」である、といえばその通りで、語り手の語りが全編面白く、 爆笑したところも二か所ほどありました。 しかし語り手の祖父が戦争にいく場面はかなり凄惨で胸に迫るものがあり、 楽しいだけの小説を目当てに読むと、期待を裏切られるでしょう。 基本的にはファンタジー小説ですが、恋愛小説として読めるところがあり、 謎を提示しながら解答を先延ばしにするところなどはミステリ要素があるとも言え、 先ほども挙げた戦争の場面などは戦中記のような読み心地、 そして全体としてはどこか懐かしさを含んだ一族の四代記であり、 なおかつ読者が読んでいるその文章は、語り手が自分の息子に宛てた文章であるという設定の、 いわゆるメタ小説でもある、というなんとも複雑な本です。 きっと著者がかつて読んで心を動かされた様々な本、それらが持っていた色々な要素を、 あますところなく詰め込んだ結果なのでしょう。 この本もまた、本と本の間から生まれたのです。 数多の本の血を引く、本の雑種。 本にだって雑種があります。 そして雑種にしかできないことがあり、この本はそれを見事に成し遂げています。 楽しいだけでも泣けるだけでもない、喜怒哀楽のすべてを感じさせてくれる、素晴らしい本でした。 | ||||
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著者のデビュー作「増大派に告ぐ」が面白かったので購入。 前著がダークな魅力溢れる作品(それはそれで魅力的であるが)だったので、良い意味で期待を裏切ってくれました。 本にも雄と雌がある。書架に本を並べて置くといつの間にか本が繁殖している。書物がナニをして子供をこしらえるのである。そんな大ボラを独特の関西弁で語られる親子四代の愛に溢れるファンタジー。 SF作家のR・Aラファティは「愛すべきほら吹きおじさん」とのキャッチがついているが、本作はそれに負けない愛すべきほら吹き具合。 ニヤニヤしっぱなしの読書体験。読了直前には、いつまでも読み続けていたいと切に思ってしまいました。 本書のタイトルに惹かれたら、ぜひ手に取って欲しい。 | ||||
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本書のレビュー、いや、それ以前に、どういう本なのかを紹介するのは、とても難しい。 まぁ、「ムッチャおもろいよ、よう分からんけど、とにかく笑うし」と取り敢えず言っておけばいいのか。いやしかし、笑えなかったと万一にも苦情があることに備え「あれに笑えんのは、自分がアホいうことやで」と予め言っておくのも忘れずにか・・・ それと笑いっ放しのうちに、終盤には圧巻の文学的昇華もあるのだが、その高揚感は万人受けするものなのか疑問。(私は高く評価するので、5☆とするが、ああいう描き方が苦手な人もいるのだとは思う) ところが、今回はamazonの作品紹介に、非常にインテリくさい一文がある。 >昭和の大阪で起こった幸福な奇跡を皮切りに、明治から現代、そして未来へ続く父子四代の悲劇&喜劇を饒舌に語りたおすマジックリアリズム長編。 これで、マジックリアリズムとやらをwikiで浅読みすれば、レビュー一丁あがりぃってなもんや落ち目の三度笠である。 しかしまぁ、マジックリアリズムなんて決してメジャーでない用語を使わずに、「夜は短し歩けよ乙女」みたいなやつと言っとけばよろしいんちゃいまっか? しかし、本作は「夜は短し歩けよ乙女」あたりを足元にも近づけぬ勢いを後半で見せる。そこまで延々と語り垂らした言葉と人物達をフル稼働させて、実に巧妙にして壮大、言葉多く同時に心を打つ、幻想的であり且つ写実的なストーリーを繰り出してくる。こういう小説に使うのは意外だったが、「圧倒された」としか言いようのない、「一気読み」という月並みな言葉とはむしろ対極にある「憑りつかれたように作品から逃れられない」そんな味わいのある作品だ。 敢えて自分の言葉で書くならば、古今東西の文学メインの知識にネタにとりびあを取り交ぜて、法螺とダジャレをアドリブで掛け合って、語り尽くした戯作だなぁという感想。これだけ言葉に圧倒される小説もそうないという密度であり、挫折したのでエラソウには語りませんが、ジョイスのフィネガンズ・ウェイクを思わせたりもする。 本作前半は、語り言葉それも大阪語ということで、独特の、しかし、大阪語が話せない者にも心地よい調べを伴っている。読むのではなく、五感で感じるような味わい方が出来る作品とも思う。そして、語る言葉が複数重なることでのストーリーの巧妙さの中で、もう一度、大阪語の良さが味わえる。最後まで、言葉の調べを聞き漏らすなということだ。 | ||||
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大笑いはしないけど、ずっとにやにやしていられる、永遠に続いて欲しくなる心地よい落語を聴いたような読後感。 普段ファンタジーは読まないのですが、タイトルに惹かれて(なんだか上手くおちょくられそうな感じ)手に取りました。 結果、読み終わるのが嫌になるくらい、面白かったです! | ||||
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和風マジックリアリズムの理想形と言えるんじゃないかなぁ。 嘘か真か、はたまた法螺か皮肉か大袈裟か、判然としない描写の数々。 しかし、そこには血肉が備わり、温もりさえも感じられる。それは、とぼけた柔らかい語り口と、作中で使用される大阪弁の役割が非常に大きいと思う。 読書中、何かに似てるなぁ、と考えてみたら、親類縁者のみに通じる物語に似てるんだよね。あるエピソードを語るに際して、それが脚色されていく事は経験があると思う。赤の他人が聞けば嘘にしか聞こえなくても、親戚の中ではそれはリアルなこととして共有される。 全体的にそんなトーンで語られていくので、なんだか、とっても懐かしい気持ちになれる。 地の文、伝聞、引用文で語られる出来事に、ファンタジーとリアルの明確な線引きが存在しない。作中作の不思議な出来事を語り手である博が検証できるはずもないけど、読者に一番近いはずの博の周りにも現実とは考えにくい、事実が存在している。 しかし、それぞれにボケとツッコミ的なリズムがあり、その呼吸の中では、ファンタジーとリアルの境目なんてまるで気にならなくなる。 おっちゃんの面白おかしい逸話を聞きながら、しょうもないことで笑ってるうちに、気づけば、物語は語り手の更にその外にまで物語は広がり、環となって人生を包含していく。 未来永劫に続く本筋以外の、枝葉末節が非常に笑えて、印象的な台詞やエピソードに事欠かない。それがまた、物語を魅力的にしている。 本好きはもちろん、蔵書家には是非オススメ。 本が勝手に増えてしまったんよ、と言い訳するためにも(笑) 傑作。 | ||||
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