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救い難き人



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救い難き人

救い難き人の評価: 3.00/5点 レビュー 5件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)
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家族愛のないジョーカーや半地下の家族

在日のせいで差別を受けてきた男が、実父や世間への「恨」を果たすために成り上がる話。

主人公朴マンスの歪んだ人格が出来上がる過程や、共にのし上がってきたノブさんとの緊張感のある関係が詳細に綴られていて、ドキュメンタリーのような臨場感があった。さすがの描写力です。

464ページの大作を読み終えた感想を正直に書けば、なんらカタルシスも感動もなく、空虚な徒労感だけが残った。これが作者の狙いならば狙いどおり。

文体も変え、何度も全面改稿を重ねた勝負作との前情報があったので、かなり期待していたけど、期待を超える作品ではなかった。

読者目線の人物(市井の人)が端役しかいないので、最後まで誰にも共感できないまま読み終えたのが、期待を下回った大きな要因だと思う。
加えて、こうなるだろうとの予想どおりの結末で意外性もなかったし、悪い奴がうまい汁を吸ったままのラストが消化不良で、私の満足度が低い理由だと思う。

ヒエラルキー最下層の連中がのし上がってゆく空気感は、映画のジョーカーやパラサイト半地下の家族と似ているが、両作品は、根底に家族愛があった。家族愛は多くの人が普遍的に共感できる感情。

ひるがえって本作は、家族愛のない、ジョーカーや半地下の家族。
朴マンスの母への想いは描かれていたが、その想いがある体験から、歪んだ性の対象へと変容したことで、共感できないものになった。

差別が産んだ歪んだ人間が救われない結末を迎える、タイトルどおりの救いようがない話。
せめてほんの少し、希望の端緒を匂わせるラストなら、読んでよかったと思えたかもしれない。
作者は主人公の設定を間違えたのではなかろうか。

※8/30追記
本作出版社記念の赤松利一さんと新川帆立さんの対談を見ました。
もし新川さんなら、本作のラストに少し希望を匂わせると仰ったのに対して、赤松さんが、じつは連載時はそうしていたと答えました。
それを、徳間書店の担当編集者のリクエストで希望のない終わり方に変えたそうです。
救い難き人Amazon書評・レビュー:救い難き人より
4198656150

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