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(短編集)
クライム・マシン
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クライム・マシンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.70pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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既に物故者の著者が主に70〜80年代にかけて発表した17の短編を集めたアンソロジーです。それぞれの作品は犯罪ミステリーというよりはユーモア犯罪小説という毛色のものです。ですからまじめに考えるとそんなわけあるまいという都合の良い結末がほとんどですが、それでもヒネリのきいた奇妙な可笑しさをクスクス笑いながら味わえる小品集です。 表題作「クライム・マシン」では、ある殺し屋のもとへ「タイムマシンに乗ってあなたの殺人を逐一見ていたよ」と言う男が訪ねてきます。誰を何時にどうやって殺したかを詳細に語ってみせる男の言葉に、そのタイムマシンを手に入れたくなった殺し屋。本当にタイムマシンは存在するのか…。 その結末に私は実に小気味良く騙されました。 続く「ルーレット必勝法」もコン・ゲームとしてはなかなか良くできています。カジノで毎夜のようにルーレットにかけ、最後は大量のチップを現金化して帰る男がいる。彼はカジノの経営者に「私の必勝法を使えばあんたの店は商売あがったり。だから週に千ドル払ってくれることを条件に二度とこの店には来ないと約束する」と迫ります。そのルーレット必勝法とはいったいどんなものなのか…。 カジノ経営者の主人公の訝しげな気持ちに歩調を合わせながら見事に騙してくれる作品です。 しかし私が最も気に入った作品「歳はいくつだ」だけは、笑えませんでした。それはこの作品にユーモアが足りないという意味ではありません。私の心のどこかに、この物語の中で殺人を繰り返す主人公に強い賛意をおくりたいという気持ちが沸き起こったからです。殺人を肯定するような気持ちは許されるはずもないのですが、私のみならずおそらく多くの読者がこの殺人鬼に共感を覚えるのではないでしょうか。そんな我々の心の脆さを見透かされてしまったようで、なんとも落ち着かない気分にさせられます。そんな見事な構成を持つ作品です。 | ||||
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