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寒波: P分署捜査班



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【この小説が収録されている参考書籍】
寒波: P分署捜査班 (創元推理文庫)

寒波: P分署捜査班の評価: 4.29/5点 レビュー 7件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.29pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全7件 1~7 1/1ページ
No.7:
(5pt)

傑作

ここ数年、北欧サスペンスばかり読みあさっていましたが、こちらは本当に面白いです!
人物描写が素晴らしいし、まるでドラマを見ているようなスピード感でスラスラ読んでしまいます。まだこちらの作家さんの作品は3作品のみなので、日本にどんどん作品出していただきたいです!読みやすさは訳者も素晴らしいのだと思います!
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No.6:
(5pt)

様々な人間模様に惹かれる✨

このシリーズ、
もちろん、事件解決に向けての謎解きの過程がとても面白いです。
合わせて、登場人物たちの人生がしっかりと描かれているところも魅力です。
めっちゃ感情移入してしまいます。
新作が待ち遠しい限りです。
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No.5:
(4pt)

87分署ファン垂涎もののイタリア式警察小説、久々の続巻

87分署シリーズのようなものをイタリアを舞台に描きたい作者と、87分署シリーズのような安定したシリーズを懐かしむ読者との融合、といった気配漂う読書時間が嬉しい、本シリーズ新作である。もっと速いペースで次々と読ませて頂けると有難いのだけれど4年目にして三作目というのは少し間が空き過ぎの印象。せっかく印象に残る個性的刑事たちの集まりなのに、今回のように二年も待たされるとさすがにせっかくの個性も忘れてしまうというもの。

 さて本書では二件の事件が同時に起こり、それぞれの事件に二組の刑事コンビたちが振られるという、刑事ものの王道みたいなスタートなのだが、87分署を思わせるように刑事たちの個性を重視するシリーズなので、事件そのものよりも、群像小説特有の社会派人間ドラマといったところが真の読みどころなのかなと思わせる。個性とはそのためにあるもので、それぞれが活き活きと現実に近い人生の時を過ごさねばならないし、それを本シリーズはしっかり実現させているのだ。そう、元祖87分署シリーズのように。そして読者に彼らは巻を重ねる毎に愛されてゆかねばならないだろう。そしてそれは本書でも上手に良い方向を辿っているように思われる。

 87分署でもニューヨークではなく架空の大都会アイソラを舞台にしているように、イタリアで蘇ったこの警察シリーズも架空の町の架空の分署を舞台としている。87分署との違いは、P分署が、他の警察署で問題になった刑事ばかりが集められたような掃きだめのような場所であるところにある。そして隣接する警察署はこのP分署が自壊してなくなることを端から予想していることだ。

 毎作のようにこの分署が潰されないように、そんな原因を本署に与えないために、問題児とされた個性的な刑事たちが力を合わせて頑張るのである。言わばダメ男ダメ女たちのそれぞれの生き残りを賭けた立ち直りと復活を賭けたドラマとしての側面が大きいところが、正統派であった元ネタの87分署とは異なる部分である。その分だけそれぞれのキャラクターは、より問題や悩みを抱えており、その内なる部分の描写に費やされる作者の志向はかつての87分署とは似て非なるものと言っておきたい。

 さて、本書ではアパートで発見された兄・妹二人の惨殺死体が主たる事件である。一方で父親からの性的暴行が疑われる少女の作文について学校より真偽を確認してほしいというサブ的事件の捜査も進行する。それぞれの捜査に振り分けられた刑事たち。彼らをサポートする署の捜査官たち。虎視眈々と彼らの失策を観察しようとする市警本部や、一作目から副次的に進んでゆく犯罪に手を染める謎の黒い神父。長いシリーズならではの大小の波を継続させながらシリーズは、徐々に加速を加えつつある。

 本当を言えば、毎月一冊くらいずつ読みたいシリーズである。そこまで縮めろとは言わないけれど、是非、ガンガン出してくださいますよう頑張ってください、創元さん! ちなみに87分署シリーズには『熱波』があるので、『寒波』の邦題は大変良かったと思います。
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No.4:
(3pt)

期待しすぎないで

本筋とは関係のないエピソードが多すぎて集中できない。犯人の解明が唐突すぎて伏線があったのだろうかと
思わずにはいられない。
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No.3:
(5pt)

ナポリに寒風は似合わない

ナポリを舞台にした刑事物語3作目で、イタリア好きには堪えられないシリーズである。
本作では寒風が重要な舞台設定となっているが、確かにナポリに寒風は似合わない。ローマよりも南に位置し、ナポリ湾を隔ててベスビオ火山を望む温暖で風光明媚な土地柄である。異例の厳しい寒風は、残虐な殺人事件の困難を極める捜査と、捜査が行き詰まれば署は閉鎖という圧力にさらされた署員の心象を象徴するものだろう。
物語の構成としては前2作同様、複数の事件捜査を並行させるが、本作では父親の娘に対する性虐待の告発という現代的問題にひねりを効かせてある。
署員たちの問題多き私生活が重要な横糸として絡めてあるのも最近の刑事物のお約束だが、家族関係を重視するイタリア人の気風がよく描かれている。

なお、翻訳には何箇所か疑問が残った。
・「二重殺人」は英語ならdouble murderだろうが、日本語としてはこなれない。複数殺人とか2人の殺人でよいのではないか。
・「ダブルエスプレッソ」はエスプレッソ・ダブル。
・アラゴーナ刑事が副署長を「大統領」と呼ぶ場面があるが、プレジデンテの直訳にしても違和感がある。
・オッターヴィアが「ルルドかメジュゴリエからレターが来たのか」と夫を傷つけるという記載があるが、どちらも聖母の奇跡が示された土地であり、訳註が必要だろう。
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No.2:
(5pt)

やはり最高(原題:Gelo per i bastardi di Pizzofalcone)

問題児ばかり集めたP分署。一癖も二癖もある刑事達の織りなす群像劇の第3弾。

アパートメントで起きた2重殺人事件。目撃者も乏しい中、捜査は難航。
他方、ある少女の虐待を疑う教師に対して、渋々捜査を開始する刑事。
果たして、問題刑事たちは、無事事件を解決し、取り潰し寸前の分署を守れるのか、というストーリー。

このシリーズは、とにかく、刑事達のキャラクターが素晴らしい。
それぞれ大きな問題や悩みがある中で、懸命に生きてく姿勢は、共感を誘わずにはいられない。
軽妙洒脱なセリフ回しも最高だし、イタリアの風景が瞼の裏に浮かんできます。

個人的には、ハヤカワ文庫のショーン・ダフィーシリーズとIQシリーズと、このP分署シリーズが大好きです。
ハヤカワのIQシリーズは、たった2作品で刊行打ち止めになってしまいましたが、このP分署シリーズは、11作まで刊行されているので、是非次巻以降も読みたいです。
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No.1:
(3pt)

寒波が襲う十一月は残酷な月

「集結」(2020/5月)、「誘拐」(2021/5月)に続く<P分署捜査班>シリーズの第三作「寒波 P分署捜査班」(マウリツィオ・デ・ジョバンニ 創元推理文庫)を読み終えました。
 寒波が襲うナポリ。それは、十一月は残酷な時の始まりだったのでしょうか?
 ピッツォファルコーネ署に入った通報を受けて、ロヤコーノ警部とディ・ナルド巡査長補は古い集合住宅に駆けつけます。被害者は生化学の若き研究者・ビアージョと妹のグラツィア。二人は別々の部屋で殺害されていました。一方、巡査長のロマーノとアラゴーナには、父親からの性的虐待が疑われる件で十二歳の生徒が通う学校からベテラン教師が相談に訪れていました。
 "87分署シリーズ"のように或いは<P分署捜査班>シリーズの前作のように二重殺人事件と虐待疑惑事件がパラレルに語られていって、尚且つ前作、前々作から継続する自殺を偽装した連続殺人事件がサブ・ストーリーとして静かに横たわりながら描写されていきます。二重殺人事件の犯人は誰?その動機は?虐待疑惑事件はいかに終結するのか?いつものようにスリラーですから、そのストーリーを描けるのはここまででしょうね(笑)。
 「ピッツォファルコーネの7人のろくでなしたち」。今回の彼らは、市警のお偉方から捜査権を奪われかねないという命題を突きつけられながら真相へと少しずつ近づいていきます。
 言ってしまいますが、スリラーとしてのロジックはまあアベレージでしょう。特筆すべきものはありません(笑)。あっても、私はここで語ることはできませんが(笑)。とは言え、エド・マクベインによる"87分署シリーズ"もまた全ての著作がミステリの傑作だったわけではありませんね。
 今回は7人のろくでなしたちのそれぞれの生活と家族への心情、機微がくっきりと鮮やかに描かれているように思えます。「幸せは過去にしかない、とピザネッリは頭のなかで繰り返した。記憶や後悔のなかにしかない」(p.161)。よって、ミステリの謎解きに心奪われることなく、彼らそれぞれの思いを受け取ることができました。それもまた、楽しい読書体験と言えるのではないでしょうか?
 幕切れの一行が、タイトルに呼応してとても素敵でした。残酷な事件を追うロヤコーノが娘・マリネッラへ寄せる思いを表現するなら、それは「たとえば、愛・・・」。
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