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探偵を探せ!
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探偵を探せ!の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.89pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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美貌の若妻マーゴットは富豪の夫フィリップとともにコロラド・ロッキーの山上で小さなホテルを経営していたが病弱な夫の束縛から自由になるために夫の殺害を企てていた。一方フィリップも妻の悪意を察し親友の私立探偵ロッキー・ロードスに調査を依頼していた。今夜か明朝には探偵が来訪することを聞かされたマーゴットは夫が眠りに落ちると早速殺害を決行する。その夜道に迷った新聞記者マイクが訪れる。マーゴットは彼を探偵と判断し殺害しようとするが、ちょうどその時さらに二人の男女、セールスマンのミラーと女事務員スーザンが訪れる。計画を中止し翌日フィリップの葬儀を済ませるとさらにもう一人の男、児童文学作家のケイツが現れる。雪が降り始め女中の老女トミーとともにホテルに閉じ込められたマーゴットは四人の宿泊客の中で誰が探偵なのか突き止め亡き者にしようとするのだが… 犯人が探偵を推理するというユニークな物語展開であるが、前半はマーゴットとトミーの似たような会話の繰返しが多くやや冗長であった。中盤の第二の事件発生あたりから緊迫感が増してきて終盤は手に汗を握るサスペンスにあふれマーゴットの推理が二転三転する中で真相が判明していく。気が短く自信過剰なわりにヘマばかりのマーゴットが深刻な事件を起こしながらも挫けない姿がコミカルに描かれる。そのためか全体的に安っぽい感じがあるが読後は圧倒されるものがあった。悲劇と喜劇が中途半端に入り混じっているため笑うことはできない。むしろ不幸な人生を送ってきたマーゴットの孤独な奮闘ぶりに悲哀を感じてしまう。あまりの身勝手さにうんざりすることもあったがどこか憎めないキャラでもある。 人物描写はまず女性陣はわかりやすく描き分けられている。小悪魔的な主人公のマーゴット、母親的な役割で小言や弱音を繰返しマーゴットの反発を受ける女中のトミー、うぶな娘でマーゴットから内心で嘲笑されるスーザン。特にマーゴットがトミーの過去を振り返る場面は印象的である。「あの人は、私の本当の母親よりも、はるかに母親らしかった」(p158) 男性陣も、善良な青年のマイク、好色で精力あふれる中年紳士のミラー、頑固で気難しい学者肌のケイツと個性が分かれており読みやすかったが、やはり女流作家の限界であろうか、どこか表面的で男の迫力という点では今一つという感じである。 伏線は堂々と張られており推理の過程も十分に納得できるがミステリとしては捻りがもう少しほしいところであろうか。本作の見どころはマーゴットの揺れ動く心理描写の中で提示された手掛かりから真相にたどり着く試行錯誤の過程にあると思われる。 中盤で、雪が降り積もる深夜に地面に這いつくばったマーゴットが山荘の「三階の窓に影になって映ったトミー」(p116)に助けを求める場面があるが、映像が目に浮かぶようで見事な描写である。物語展開の上では特に意味はないシーンではあるが読後にこの場面を思い返してみると感慨深いものがあった。 | ||||
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招いた客の中に探偵がいて、夫殺しの自分の罪を暴かれるのではないかと主人公は疑念にかられ、いろんな方法で探りを入れるのですが、結局この探偵は推理も捜査も何にもしないでくの坊に過ぎず、主人公はひとり疑心暗鬼で自縄自縛に陥っていくというだけのなんとも能のない話、というのが私の感想。本格推理らしき場面もいっさいなく、どうカテゴライズすればいいのか・・・。意表をついた着想に惹かれ、ものめずらしさで買った自分がバカなんですが、それにしてもあまりに素人臭すぎて、プロが書いたものとは到底思えません。 このパット・マガーという作家、翻訳はされていないけれど、本国では粋な女スパイ、セリーナ・ミードというシリーズも書いているらしいです。しかしこれも荒唐無稽なフンタジー活劇だろうという気がする!勝手な想像でものを言っちゃまずいことはわかっているけど・・・。 | ||||
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1948年作品。バット・マガーの第3作。とても50年以上昔の作品とは思えないくらいに斬新で生き生きとしている。 パット・マガーはネブラスカ生まれで、コロンビア・ジャーナリズム学校を卒業後、アメリカ道路施設協会の広告部にいて、『建設技術』という雑誌の編集次長も勤めていた経歴を持っている。筋立てのアイディアが斬新で、犯人ではなく探偵が誰なのか、犯人自身が一人称で書いていくという極めてめずらしいストーリーだ。オリジナルのタイトル『Catch Me If You Can』が実に適切にストーリーを表している。 その上表現が実に映像的だ。特に最後のシーンなどまるで優れた映画を見ているような感じすらする。オススメの一品だ。 | ||||
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1948年作品。バット・マガーの第3作。とても50年以上昔の作品とは思えないくらいに斬新で生き生きとしている。 パット・マガーはネブラスカ生まれで、コロンビア・ジャーナリズム学校を卒業後、アメリカ道路施設協会の広告部にいて、『建設技術』という雑誌の編集次長も勤めていた経歴を持っている。筋立てのアイディアが斬新で、犯人ではなく探偵が誰なのか、犯人自身が一人称で書いていくという極めてめずらしいストーリーだ。オリジナルのタイトル『Catch Me If You Can』が実に適切にストーリーを表している。 その上表現が実に映像的だ。特に最後のシーンなどまるで優れた映画を見ているような感じすらする。オススメの一品だ。 | ||||
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殺人犯が主人公で、殺すべき探偵を探して次々と殺人を犯す物語。因果応報の言葉通り、殺人を嗅ぎ付けられて追いつめられていく殺人犯の心理を描写しようとする実験作である。 だれが探偵なのか最後までわからないので、推理物ファンにはお勧めしたい一冊である。 星が3つなのは、推理もの(特にサスペンス)特有の現象なのだが、殺人という罪があまりにも軽く扱われているからである。 金の為に結婚し彼女を離縁してすませようとする夫を殺すのは、結婚か娼婦になるしかない当時の低所得者層の女性が身を守る為にはいたしたない。しかし貧乏人は貧乏故に平気で殺人を犯すと考えるのはあまりにも単純で、(当時の作家や読者特有の)恵まれた階級出身者の人間特有の傲慢な「善意」にすぎない。 あまりにもこのような考え方が自然に描かれる為に、読者は階級差別的な考え方を無批判に受け入れてしまいかねない。それに、もし格差が殺人を引き起すのだと言うのなら、それをどう是正するかも示唆せねばならない。それが優れた小説というものである。 しかし、本作にそのような真面目な議論などないのである。むしろ、恵まれた出自の完璧なヒーローが、悪を倒して恵まれた出自に加え知恵と忍耐を持ち合わせたお姫様と幸せになるおとぎ話を再現すらしている。 中途半端な問題提起で富裕層の「慈悲」をアピールしているにすぎないのである。 従って、どのように素晴らしい着想と物語の展開であっても、今作を絶賛することはできない。 | ||||
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殺人犯が主人公で、殺すべき探偵を探して次々と殺人を犯す物語。因果応報の言葉通り、殺人を嗅ぎ付けられて追いつめられていく殺人犯の心理を描写しようとする実験作である。 だれが探偵なのか最後までわからないので、推理物ファンにはお勧めしたい一冊である。 星が3つなのは、推理もの(特にサスペンス)特有の現象なのだが、殺人という罪があまりにも軽く扱われているからである。 金の為に結婚し彼女を離縁してすませようとする夫を殺すのは、結婚か娼婦になるしかない当時の低所得者層の女性が身を守る為にはいたしたない。しかし貧乏人は貧乏故に平気で殺人を犯すと考えるのはあまりにも単純で、(当時の作家や読者特有の)恵まれた階級出身者の人間特有の傲慢な「善意」にすぎない。 あまりにもこのような考え方が自然に描かれる為に、読者は階級差別的な考え方を無批判に受け入れてしまいかねない。それに、もし格差が殺人を引き起すのだと言うのなら、それをどう是正するかも示唆せねばならない。それが優れた小説というものである。 しかし、本作にそのような真面目な議論などないのである。むしろ、恵まれた出自の完璧なヒーローが、悪を倒して恵まれた出自に加え知恵と忍耐を持ち合わせたお姫様と幸せになるおとぎ話を再現すらしている。 中途半端な問題提起で富裕層の「慈悲」をアピールしているにすぎないのである。 従って、どのように素晴らしい着想と物語の展開であっても、今作を絶賛することはできない。 | ||||
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パット・マガーの作品は、通常の「犯人さがし」じゃなく 「目撃者」や「探偵」や「被害者」を探すというちょっと変わった 作品ばかりです。 この作品「探偵を捜せ!」では文字通り探偵が誰なのかを探るもの。 若く美しい妻マーゴットが、年の離れた病弱な夫を殺し財産を せしめようとするが、夫はとうに感づいていた。夫は知り合いの 私立探偵にこっそり手紙を書き、妻に殺されようとしていること を訴え自分の住んでいる山荘に呼んでいた。 そのことをマーゴットに告げると、マーゴットは逆上し夫を殺してしまう。 口封じのため、来るはずの探偵を殺そうとしているマーゴット。 だがその晩山荘に現れたのは4人。誰が探偵なのかわからない。 しかしこの中の一人が全てを知っている! マーゴット(犯人)の心理で進行していきます。 誰を殺せばいいのか?面白すぎて読み出したら止まりませんでした。 | ||||
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パット・マガーの作品は、通常の「犯人さがし」じゃなく 「目撃者」や「探偵」や「被害者」を探すというちょっと変わった 作品ばかりです。 この作品「探偵を捜せ!」では文字通り探偵が誰なのかを探るもの。 若く美しい妻マーゴットが、年の離れた病弱な夫を殺し財産を せしめようとするが、夫はとうに感づいていた。夫は知り合いの 私立探偵にこっそり手紙を書き、妻に殺されようとしていること を訴え自分の住んでいる山荘に呼んでいた。 そのことをマーゴットに告げると、マーゴットは逆上し夫を殺してしまう。 口封じのため、来るはずの探偵を殺そうとしているマーゴット。 だがその晩山荘に現れたのは4人。誰が探偵なのかわからない。 しかしこの中の一人が全てを知っている! マーゴット(犯人)の心理で進行していきます。 誰を殺せばいいのか?面白すぎて読み出したら止まりませんでした。 | ||||
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ミステリは通常"犯人探し"がメインのテーマである。ところがP.マガーは「被害者を捜せ」、「目撃者を捜せ」等の作品で、"被害者捜し"、"目撃者捜し"をテーマにするという画期的なアイデアを披露して見せた。本作のテーマは題名通り、"探偵捜し"である。 ホテルを経営する夫妻の妻が夫を殺害した。殺害後、夫が生前に探偵を雇っていた事に女は気付く。折りしもその晩、4人の男がホテルに宿泊する。4人のうち誰かが探偵の筈なのだが、果たして誰なのか ? これが本書のテーマである。女の視点で文章が書かれるので、犯罪者の疑心暗鬼の心理状態が手に取るように分かり、サスペンス感が増す。怪しい(本当に怪しいのは女自身なのだが)と思った男にすぐ女の武器を使って近づく尻軽振りがマイナス点だが、冒頭で誰が探偵なのかのヒントを堂々と明記している作者の技巧には感心した。 「探偵を捜す」というユニークな趣向でサスペンスと本格味を見事に融合させた傑作。 | ||||
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