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(短編集)
噓つきジェンガ
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噓つきジェンガの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.61pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 21~23 2/2ページ
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この本は、3うの短編小説から成り立っています。 『噓つきジェンガ』。ジェンガとは、直方体のブロックで組み上げたタワーから、片手で1つずつブロ ックを抜き取って、最上段へ積み上げていくテーブルゲームのことです。 積み上げた嘘をバランスよく保つことの難しさと、危うさを象徴するものです。 取り上げられている題材は、出会い系アプリを使った恋愛詐欺、お受験につけこんだ詐欺、有名人の オンラインサロンを装った詐欺と、今どきの世相を斬る社会派小説のようにも読めますが、おそらく 辻村さんが伝えたいメッセージのひとつは、インターネット社会の到来とともに現われ、コロナ禍に よって覆い隠すべくもなく露わになった、人(他者)との距離の取り方が難しくなっていることを 伝えようとしているのだと感じました。 この本の中で、登場人物が発した言葉や、心のつぶやきをいくつか挙げます。 ・心を開く、心を開かせる。心ってそもそもなんだよ ・近くにいないからこそ話せることって、きっとあるよね ・100%を語りながらも、120%は明らかにしていないような、よそよそしさと秘密の気配があった ・信じて、信じたくて。だけどそうできない心の隙間につけこまれて騙されてしまう気持ちがわかる 友だち(と思っている人)であっても、どこか過剰に気を遣いながら、薄っぺらい言葉を何度も 繰り返すことで、つながりを確かめ合って安心する。本音を全力でぶつけることは、関係が壊れる ことを恐れてできないけれども、半分くらいは本気を出し入れしたりしています。 ましてや、コロナ禍においては、マスクの下の表情はわからず、読めません。 辻村さんが「書かなかったことで、描けたものがたくさんある」と登場人物に言わせているように、 現代では、言わないことの中にこそ、伝えたいものがたくさんあるのでしょう。 そんなコミュニケーション不全の絶望感が漂うなかで、最後の最後に、人は「割に合わないことを なぜかやってしまう」という人間の本性のなかに「小さな鼓動」を見出すところで、この小説は終わ っています。 そして、もうひとつ。 3つの短編のなかで、裏メニュー的に表現されているのが、親子の関係です。 受験詐欺の短編以外は、あっさりとしか描かれていませんが、こうあったらいいなぁという他者との 距離の取り方の第一歩は、親と子の関係性の築き方にこそあるんじゃないか、と辻村さんは私たちに 伝えようとしているのかなと、感じました。 辻村さんの扱う題材は変わってきているけれども、人の心の機微をすくい取って描くことの巧みさは 変わりませんし、繊細さ以上に、人がもつ強さを感じるようになってきています。 重くはない。だけど、軽やかさのなかに、どこか心の奥に引っかかるものが見つかる小説です。 | ||||
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『詐欺』を題材にした3つ短編小説集。 ジェンガのように嘘を積み重ね、どこかでバランスが崩れた瞬間に全てが崩れていく… 題材だけ見ると不穏な感じを受けるが、どの作品にも優しさが感じられて読後感が良かった。 | ||||
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●ふと頭をもたげる虚栄心や不安など。積み重なると心が揺れ動いてしまいます。バランスが崩れた 時に忍び込んでくるのが詐欺なのでしょう。 著者は騙す人、騙される人それぞれの心の奥底/切ないまでの慚愧の念を執拗に描きつくしていま す。特に女性を主人公とした第3話では、その心象風景が生々しく、かつたたみかける様な筆致に、 過剰な共感を覚え息が苦しくなりそうでした。 しかし、そんな読み手の心を救うかのような収束に、著者の優しさがうかがえホッとしました。 | ||||
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