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森から来た少年
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森から来た少年の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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ほとんど痛みの見られない良い状態のお品物でした。発送も速かったです。 | ||||
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きれいな状態でした。 | ||||
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前作『ランナウェイ』の主人公サイモン・グリーン、またこちらも前作に登場した女性弁護士ヘスターのTV番組収録シーンが序盤に展開する。ヘクターおばあちゃんは、本作では何と、そのままダブル主人公の一翼を担ってしまう。サイモン・グリーンの事件『ランナウェイ』と、本書は時期的にかぶっているらしい。 連作ではないのだろうが、ファンサービスか、作者の遊び心なのだろう。ちなみにハーラン・コーベンのノン・シリーズ2001年作品『唇を閉ざせ』では50代のへスターが登場するらしい。へスター・ファンとしては、件の作品は早速取り寄せねばならないだろう。 前作に続き、本書も全編に渡って作者の遊び心に満ち溢れているように見える。むしろ、それこそが円熟期とも言えるハーラン・コーベンの真骨頂なのかもしれない。 『ランナウェイ』では十代男女の殺し屋コンビ、アッシュとディーディーの殺人街道が、本編とは何の関わりもないかのように、本編に挿入されていた。そうした独特な場面転換によるあの不思議な構成は本作でも生かされている。 多数の多次元的な物語が、一つの小説のうちに交互に展開されるというディープかつ卍な構造が、徐々に全体を縦糸と横糸で編み上げてゆく構成と相まって、総体的に何とも言えぬ緊張感をじわじわともたらしてゆく。視点の転換。仕掛けられたいくつもの伏線と意外性。 本書のタイトルともなる主人公、その名もワイルドは、6歳から8歳と思われ、文明と離れた森の中で育った野生の少年として発見されたにせよ、本作スタート時点は、その34年後、文明社会に馴染み切った中年の男性として登場する。元は野生の生い立ちであったにせよ、今では孤独という名のこれ以上ない警戒心を抱え込んで、先端技術である警備システム、スマホと種々のアプリ、機械類など、野性とは真逆と思われるあまりに現代的な道具を駆使するテクニカルな隠遁者のような生活を送っている。 生活各所における警戒心と緊張と危機管理意識の細やかさは並ではない。日々の生活は、ゆるめては緊張させ、またゆるめる。異性との楽しみ、文化・技術への渇望、そうしたことへの躊躇は見えない。発達した独立自我のリズムで奏でられる見事な生活を信条としているかに見える。 一方で描かれるのは彼の生きる世界が、多くの瑕疵で綻びを産んでいる事実。少年少女たちの間で生まれる差別、虐め、失踪、暴力。大統領選を見据える野望を持つ男。取り巻き連のそれぞれの立場。TVメディア。メディアを操る者たち。過去の殺人。人種差別を下地とする冤罪事件。あってはならぬ悪と、未だ遂げられずにいる正義。本書のなかの世界は、様々な矛盾と不安定ささで燻り過ぎている。 野生の少年であった今や中年男のワイルドは、その中でひたすら優しさと明るさを維持しているかに見える。かくも頼もしく信じられるキャラクターの存在が、ともすればダークになりがちな作品を救済していくように見える。それは作者の優しさなんだろうとも思える。だからこそ多くの布石を回収してゆくストレートでカタルシス豊富な揚力があるのだろう、本作には。 本書ではワイルドと同等、あるいはそれ以上に印象的な闘志を見せるヘスターが目立つ。前作『ランナウェイ』でも頼り甲斐のあるベテラン弁護士として活躍して見せた彼女は本書ではワイルドと主役を分け合う存在感と魅力に満ちている。ハーラン・コーベンの最大の創造力を形に表した存在として、象徴的な存在だと思う。 本日、札幌オンライン読書会で様々な情報を仕入れました。ハーラン・コーベン初心者としては相当参考にさせて頂きました。深謝。 | ||||
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気に入らなかった事は無し。 | ||||
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「ランナウェイ」(2020/12月)以来、ハーラン・コーベンの新しい翻訳「森から来た少年 "The Boy From The Woods"」(小学館)を一気に読み終えました。 1986年、置き去りにされた少年がニュージャージーの森で発見される新聞記事で開巻。 主人公は、二人。一人は、女性刑事弁護士、ヘスター。彼女は、孫のマシュウから同級生のナオミを探してほしいと依頼されます。そして、ヘスターの息子・デイヴィッドの親友でもあり「森から来た少年」ワイルドがナオミの捜索に巻き込まれていきます。ナオミの事件が引鉄となって、過去の事件が、その謎が浮き彫りになり、大物プロデューサー、その警備主任、次期大統領候補、社会活動家と次々といわくありげな登場人物が現れ、読者は物語がどう展開していくのか読めそうで読めないハーラン・コーベンらしいストーリー・テリングに翻弄されることになるでしょう。また、正真正銘のページ・ターナーとしてだけではなく、そこには完全無欠とは言えない米国が抱える「現在」が「苦悩」が照射されています。 SNSが掻き回す世界、#MeeToo、「蹄鉄理論」、先祖探しのDNA鑑定(最近どこかで読んだはずのミステリでも同じテーマが掲げられいたはずなのにその著作を思い出せない(笑)。柚月裕子の新作?)、不確かな道を行く若者たち、そして物語の中で提示された謎は、終盤にはしっかりと回収されていきます。或る一つの事柄を除いて。その点、「森から来た少年」ワイルドの再登場もあり得るのかもしれません。 デジタルな考え方をする人間たちが増えているような気がしますね。私はどうだろうか?真実は、0-1の判定が繰り出されるその先にあるのではなく、より曖昧模糊な中にひっそりと存在しているような気がします。 特筆すべきは、ヘスターが、ワイルドが、マシュウが、ナオミが、ほぼすべての主要登場人物が抱えている失われたはずの愛が一歩先へと前進していく過程にあって、そのことがとても愛おしい。「しかし、人は普通そのどちらでもない灰色の中で生きている。微妙な陰影の中で」(p.481)。 私の評価が少し高過ぎるような気もしますが、それは私がそのストーリー・テリングに惑わされた結果と言えるのかもしれません。 | ||||
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タイトルは原題の通りだが、主人公ワイルド(本名が不明なため、この名前で呼ばれている)は少年ではなく既に30代後半。34年前、森で野生児になって生存しているところを発見されたが、本人にはそれ以前の記憶がない。その後里子に出されたが、素直で優秀な子で、大人になった今はすっかりまともな文明人になっている。組織に属せない、パートナーを定めない、森で養った野生の勘がとても利く、再び森に戻ってそこに自宅を設置している(一部ハイテク装備付き)という特異性はあるが。 もう一人の主人公は70代女性の刑事弁護士へスター。ワイルドを森で発見した家族の一員で、その後も交流を続けている。弁護士としてはまだまだ冴えわたっていて、女性として恋もしている(未亡人)。 そんなふたりが協力し合って、いじめにあっていたへスターの孫の同級生が行方不明になったため捜索するのだが、そうしているうちに事件は思わぬ展開を見せる。そこにはたいへん大きな闇が潜んでいた―――。 ストーリーはよかったが、冗長でスローな印象が強かった。80%あたりから急展開をみせる。 ラストはどんでん返し。これには驚き。 ただ、ここで一件落着なのだろうけど何だか消化不良だった。司法の穴がありそれが現実なのかもしれないが、私としてはすっきりしない終わり方だった。解説の井上順さんは「充実感で満たされた」とのことだが。 さらにワイルドの過去は未解決であり、どこにも書いていないがおそらく続刊があるのだろう、きっと。 | ||||
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