■スポンサードリンク


蟬しぐれ



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
蝉しぐれ
蝉しぐれ (文春文庫 ふ 1-25)

蟬しぐれの評価: 4.67/5点 レビュー 169件。 Sランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.67pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全169件 121~140 7/9ページ
No.49:
(5pt)

バブル期に誕生した古典小説

イージーマネーがジャブジャブしていたあの頃、「根拠なき熱狂」が支配していたあの頃、日本人が物欲と西欧かぶれの二重苦を抱えて醜悪化の一途を辿ったバブル期に地方紙に連載(1986〜87年)された時代小説。バブルは死んだがこの小説は残った。残って日本人に美しい男女の恋の物語を語り続けている。映画化は顰蹙を買ったが(少なくとも私の周囲では)、テレビシリーズは名品で、外国で賞を取ったりしている。
お隣さん同士の少年と少女が成長し、お互いを意識する年齢になる。若竹のような少年と可憐で楚々とした少女。二人は理想の男女の型に沿って作られたキャラだが、この「型」に込められた人間の希求というのがある。清く存在したい、という願い。作者の哀切もまた窺える。おそらく作者は当時の日本人の姿に傷ついていた。
結ばれるのが当然のような男女が世の理不尽に流されていく三十年弱の歳月を追う中で、若竹の少年は忍苦の中で悪声を放たず、他人と争わず、泣く時は一人で泣く。少女は権力者の寵を得てなお清楚な心を失わず、少年を愛し続け、おそらく彼女もまた一人で泣いている。この物語の人々は秘め事を秘め事のままにしておける。現代人は秘密を守るのが苦手だ。「理解される」ことに餓えているから。本書の男女は「きちんとした振る舞い」に重きを置く世界に生きている。
ラブストーリーを描くには実はこれほどの物語の厚みと段取りが必要なのだと、これほど的確な描写の分量と筆の調子の高さが必要なのだと、痛いほど実感させてもらえる一冊。超一流の技というのは気持ちの良いものです。
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.48:
(5pt)

最高!

本当に久しぶりにこんなにおもしろい本に出会った。
この時代に生きた事があるわけではないのに、なぜか《懐かしみ》を覚える、
そんな本である。
また、すべてのシーンの情景が鮮明に頭に浮かび本の中へ吸い込まれる感覚。
自分が二つの世界を生きる人間のように思えた。
藤沢周平は、非常に情景描写が上手で、
言葉の表現もその場面その場面にマッチした言葉を巧みに使い
読み手をわくわくさせる作者である。
そして、はかない恋のラストシーンは切ない中に温かみを感じた。
藤沢周平の作品を読んだのは、今作品が初めてだが他にも読ませて頂きたいと思う。
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.47:
(5pt)

最終章に作者の優しさが出ている

初出は故郷山形の山形新聞夕刊昭和61年7月9日より62年4月13日。おそらく藤沢作品で最も人気があるのはこの作品だろう。

主人公牧文四郎は典型的な藤沢作品の主人公らしい人物で、武術に長け、義に篤い。自らが予想もしないような運命の流れや、権力抗争に巻き込まれていく。その中でさげすまれたり、持ち上げられたり・・・・正に現代社会と同じだ。自ら思うようには生きられない。その中でいかに自分が自分らしさを失わずに生きるかを自らに問う。そこに惹き付けられる。

最終章に作者の優しさが出ている。忘れられない作品だ。
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.46:
(5pt)

夏になると読んでしまう

噂どおりの良作です。映画より支持します。事情が許さなかった愛。時を経ても互いに胸に秘めていた気持ちが切なくてやるせません。 汚名を着せられた父を恥じることなく、己の矜持にかけてふくを守る文四郎の心持はいかに。遠い日の矢場の坂、二人に聞こえていたのは互いの声と蝉しぐれ。そんなふたりだったのです。" 清左衛門残日録 DVD-BOX 用心棒日月抄 (新潮文庫)
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.45:
(5pt)

痛々しい作品

この作品を読んだのは、もう10年以上前になるでしょうか。作者が亡くなって週刊誌で特集が組まれていたのがきっかけで、藤沢周平を読みまくりました。全体としては、勧善懲悪系の時代活劇ですが、切腹した父の亡骸を自宅に連れ帰るシーンが痛々しくて忘れられません。まだ年端も行かない少年が、罪人となった父の亡骸を貰い受けに行く。世間の冷たい視線を一身に受けながら、うだるような暑さの中、尊敬していた父親を一人必死で連れ帰るシーンに目頭が熱くなり、読むのを何度も中断してしまいました。普通なら絶望してもおかしくない中で彼が信じていたものは・・・。
 細かいあらすじは忘れてしまいましたが、このシーンだけでも、一読の価値のある作品です。
<追記>
 先日、この作品のことで気づいたことがありました。普通、悲しみや寂しさなどの感情を表現するときの背景は夕暮れだったり、雨が降っていて、主人公はずぶ濡れになったりします。かんかん照りの夏の日中を選んだりしないものです。この状況の中で主人公の絶望的な孤独感を描き、しかも、孤独ではなかったことの安堵感(主人公は安心していないかもしれないが、われわれ読者は確実に救われている)を鮮やかに描いてみせることに感心しました。著者の非凡さに改めて敬意を表します。
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.44:
(5pt)

こんな風に生きてみたい

かなり切ない話だったのですが、読み終えたとき、「こんな風に恋をして、こんな風に生きてみたい」と思いました。いまのように恋愛が自由ではなかった時代、流されながらも流しきれなかった想い。そういう気持ちを持ち続けることは大事なのではないだろうか。
結ばれる機会はあったかもしれない。しかし人生とはかくも儚く、淡いものなのか。不器用と一言では片づけられない武士の生き様と、誰もが恋するであろう美しい女性の物語。あぁ蝉しぐれが懐かしい…
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.43:
(5pt)

時代劇ファン、藤沢ファン以外にも楽しめる

恋愛もの時代劇です。

とはいっても、藤沢周平作品らしく全体を通じて剣、武士道がバックボーンにあります。

恋愛はあくまでもほのかに描かれており、最後の2,3章でそれがクライマックスに達し、最終章で静かに幕を閉じます。

単なる時代劇ではなく、ぎとぎとの恋愛小説でもありません。

風景描写の美しさやストーリーの物悲しさが絶品です。誰にでも楽しめる、女性でも楽しめる作品ではないでしょうか?
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.42:
(5pt)

時代小説というか青春の書です!

ミーハーな私は、テレビの時代劇に感動して「蝉しぐれ」を読みました。テレビもよかったですが、小説のほうがもっと素晴らしかった!少年期から青年期までの一人の若者の成長を描いて、人間どう生きるべきか?美しい日本人の姿とは?人を愛するということは?などなど。いろいろな深い内容が静かに語られている小説です。余りに感動して、もう3度くらい読み返していますが、まだまだ読み続けることでしょう。特に、文四郎とおふくとの恋には、清らかな無私の愛が輝いています。これは一種のラブストーリーでもありました。
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.41:
(5pt)

夏の思い出

夏の頃、父の実家に泊まったとき、早朝、蚊帳の中から這い出して、朝靄の中、川沿いを歩いたときに田園を見た景色が1ページ開くたびにあるように感じ、懐かしい思い出があふれてくるようだった。

実際に主人公牧文四郎が遭遇するようなことはありえないだろうが、男の子だったら、初恋の人を守るためならば・・・、と、共感を得る題材です。

 映画はつまらなかったけど、イメージソングの「かざぐるま」は原作にあっていて、頭の中でリフレインしながら一気に読んでしまった。
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.40:
(5pt)

しびれる

友達に時代小説を読みたいと言ったら貸してくれたのがこの本でした。

藤沢周平といえば有名人、蝉しぐれといえば名作。

どんなものかと思い読んでみたのですが…

とりあえず一言。 「よかった。」

特に剣の試合シーンは本当にはらはらドキドキしました。

最後にほっと息つける所もいいです。

これはぜひ読んで欲しい1冊です。
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.39:
(5pt)

そういえば子供の頃の記憶って夏の場面が多い・・・

友達と日が暮れるまで遊んだ日々。それが思い浮かびました。夏の記憶といえばセミの声。そんな意味もこめて「蝉しぐれ」なんでしょうか?←私の単純な思い。

 少年期から青年期にかけての一人の男の子のものがたりを雰囲気良く読めました。男の子なら誰でも思いそうなエピソードも多数。そのおかげか、主人公に入り込むのもたやすかったです。

 二度、三度と読めばもっと深く味わえると思います。少し時間を置いて試してみます。
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.38:
(5pt)

深いなぁー

この年にして、藤沢周平デビューである。別に時代小説が嫌いなわけではなく、むしろ好きな部類に入る。池波正太郎・吉川英治など大好きである。ただ、藤沢周平に関してはなんとなく読む機会がなかった。ただそれだけのことである。

そして、蝉しぐれである。

さわやかで清涼感にあふれているのだが、一番印象深かったのは「深いなぁ」ということだった。とにかく、書かない。これでもかというほど、行間を読むことを要求してくる。もともと新聞小説だから、読者の興味を翌日まで引かねばならないこととも無関係ではないだろう。

こんなに、読者にゆだねていいのかと思うほどである。

安っぽい恋愛小説ばかり読んでいる人にぜひ読んでもらいたい極上の一品である。
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.37:
(5pt)

内容や描写,全てが秀逸.

初めて藤沢作品に触れた.この作品,主人公の文四郎の青春を等身大で描いた小説で,父の死,母への気持ち,恋,親友との友情,剣,といったいくつもの場面を,文四郎が感受性豊に行動的に生きていく様が描かれている.そして幼馴染の初恋の人を救い,後年再会し,想いを確かめ合う.電車の中で,涙ぐみそうだった.自分に対して素直な主人公の生き方に共感できる.文章も,なんとも言えない描写の妙があり,読むことを楽しく嬉しくさせてくれる.この歳(30台後半)だからこその感動かもしれないが,良い作品に出会えた感が強い.
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.36:
(4pt)

剣戟小説の名作

地方藩の下級武士「文四郎」の物語。藤沢周平の代表作であり、映像化もされた。

 読み返して出色なのは、父の遺骸を引き取るシーンである。狐につままれた思いで待つ城内での光景。腑に落ちない藩の処分により切腹した父の遺骸を、大八車で引いて帰る途方もない重さ。それは過酷な現実の重さだ。悲しむ暇もなく、物質と化した父の体を引いてゆく姿を丹念に描き、無念の思いを血肉化している。

 友情の描き方がいい。初恋の描写もいい。秘剣をからめた剣戟シーンもいい。藩の権力争いも面白い。新聞連載だけに、テンポがいい。

 ただ一点、文四郎の妻だけは、いかにも江戸時代男尊女卑使い捨てキャラクターでかわいそうだ。しかたないけど。
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.35:
(5pt)

精神がきりりとする作品

日本の昔の男子は、これほどまでにりりしく、そして大人であったものかなのか、と思わせる作品です。

汚名をきせられ、罠にはまって切腹させられる父親。その父親の遺体をたった一人引き取りに出かけ、謀反者との罵声を浴びせられながらもひたすら歯を食いしばって車をひくまだ十代の文四郎。

互いに心を惹かれあっている幼馴染のお福との切ない別れ。

不動の固い友情で結ばれている3人の若者。

それらの一つ一つが感動させられます。

そして、大人になった文四郎は、殿様のお手がつき「お福様」となった福とともに、再びお家騒動に巻き込まれていきます。

このお家騒動の結末は?文四郎とお福は?

さわやかな、一陣の涼風が吹く、すばらしい傑作です。
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.34:
(5pt)

さわやか。

知人にすすめられて手にしました。時代小説って、ちょっと近寄りがたい、つまらなそうなイメージがありましたが、ぐいぐいと引き込まれて一気に読んでしまいました。

文章の歯切れがよくて、場面の移り変わり、盛り上がり・構成も見事です。

話の内容は詳しくは書きませんが、とてもさわやかでしみじみした気分になります。
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.33:
(5pt)

最高ッス

「ふくに、殿さまのお手がついたのだそうです」ってとこからはじまる文四郎の心情描写と、

「文四郎さんの御子が私の子で…」ってとこからはじまる、ふくの心情吐露の部分がすごくいい。

鳥肌モン。
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.32:
(5pt)

悲しいのだがさわやか

NHKでもドラマ化され、映画化もされました。みなさんが、おっしゃるとおり、とても良い作品です。

 私は、悲しい話だと思いました。けど、悲しいけど悲劇ではないのです(意味不明ですいません。読んでみてください。)。私は、最終章の「蝉しぐれ」でのふくと文四郎のやりとりがとても好きです。読んだ後は、さわやかな気持ちになります。

 藤沢周平氏の簡潔で無駄のない文章ですが、読んでいると、情景や人物の顔まで浮かびます。

 すらすら読める作品だと思います。ぜひ、一読を。
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.31:
(5pt)

読後さわやか

中学校の国語の教科書に冒頭の1章が掲載されており、初めて藤沢作品and時代小説にチャレンジした国語教師です。朝読書の時間で毎日ちょびちょび読んでいたけどやめられなくなり、途中から夢中で一気に読んだ。「すてき!」「さわやか!」そんな気分が続いてる。言葉に無駄がなく、飾り過ぎない。それなのに(それだから?)情景や気分が広がりをもってよく伝わる。江戸時代の話を読んでいるのになぜか新しさを感じる。私が剣道でもやっていれば道場のシーンがもっとおもしろく読めるんだろうなと思うと、NHKのDVDが見たくなる。ああもうこれから私の中に藤沢作品の世界がどんどん築かれていくかと思うとわくわく。教科書に載っているけどこれはやっぱ大人の小説。
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604
No.30:
(5pt)

心に浮かぶ美しい映像

若い武士の成長物語。幼なじみふくとの淡い恋の行方、個性豊かな親友との友情、剣の遣い手としての成長、藩政の派閥争いなど、多くの要素が織り込まれている。

そして、常に登場するのが川の流れと蝉しぐれ。

読んでいて、これほど人物の表情や体の動き、声、情景がくっきりと映像のように浮かぶ作品は初めてである。

たくさんの登場人物の輪郭が明瞭で、人間関係の複雑さを感じさせない。作中、いくつかの命が失われるが、一貫して爽やかな作品である。
蝉しぐれAmazon書評・レビュー:蝉しぐれより
4163102604

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!