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甘美なる誘拐
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甘美なる誘拐の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.48pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 21~23 2/2ページ
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ラストのドンデン返し。作者に見事に騙されました。ポール・ニューマンにロバート・レッドフォード。ラストの世界観はまるであのコンゲームの名作映画。 映画では、ポール・ニューマンが詐欺師を集めて偽の芝居を打つ。この作戦は上手くいくのだろうかと観客はハラハラさせられながら見守ります。結果、悪者を見事に騙し切る。しかし、そこで映画は終わらない。本当のラストシーンでは観客も見事に騙されて、えーっ、そうだったのかとなります。 さて、映画ではなく「甘美なる誘拐」について触れると、これはページターナーものです。この先、どうなるのだろうと興味を惹かれながらついついページを繰ってしまいます。 詐欺に引っかかってしまった親娘はこの先どうなるのだろう、老人の殺人事件はどうだ、これらがどのように絡んでくるのだろうと物語がトントンと進み、そして誘拐作戦が始まります。ネタバレになるので詳しくは書けませんがこの計画は見事に決まります。身代金の回収は見どころの一つ。でも、中途半端な終わり方だと、そう思っていたところに鮮やかなラストシーン。 細かく見ていくと物語に多少の傷はあるものの、スピード感でそんな事を気にさせずに一気に最後まで読ませ切るのは作者の才能だと思います。 | ||||
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基本的には麦山組の"ヤクザ見習い"の信二と悠人の二人組を主人公とした極道小説なのだが、題名が「甘美なる誘拐」とある通り、「誘拐」"も"扱っているという新機軸の誘拐ミステリ。この他、紅龍組という麦山組の対抗組織をバックに持つ<ニルヴァーナ>という新興宗教団体(経済ヤクザの兄貴分の荒木田に命令されて二人組は教祖の孫娘を誘拐するハメになる)の存在、二人組が現場に出くわした金貸しの稲村の殺害事件(二人組も借金していたため、警察・荒木田双方から疑われる)の犯人探し及び現場から消え去った「甘美なる誘拐(<The sweet kidnapping>)」という洋書を模倣した小説の謎、地上げのために麦山組から追い込みを駆けられる自動車部品販売会社の浩一と奈々美の父娘の登場理由の謎、荒木田に買わされた当選ロト・クジを掠め取ろうとする二人組の画策、荒木田の真の狙い等、ガジェット満載の小説である。また、舞台となる市には麦山組のレジェンドで今では堅気となっていて荒木田も正面切っては頭が上がらない、その名も"ケンさん"という昔気質の蕎麦屋が住んで居るという風に遊び心も満載である。 二人組(性格別けも良く出来ている)の会話を中心として物語がテンポ良くユーモア・タッチで進行する展開は黒川博行氏のコンビ物を思わせる。そして、物語が何処へ向かって行くかを分らせない全体構成が巧み。上述したガジェットは途中まで一見脈絡なく配置されている様に見えるからである。まず、それらのガジェットを最終的に全て回収する作者の手腕に感心した。そして、後半は「誘拐」に焦点を絞った攻防戦が描かれるのだが、特に、「誘拐」という行為に対して新しい意味付けを行なった点が光り印象に残った。 更に何と言っても、特筆すべきは全体をコンゲームで覆っている点で、これにはカタルシスを覚えた。「『極道小説』+『誘拐ミステリ』」をコンゲームで覆い尽くした新機軸の傑作だと思った。 | ||||
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例年の大賞作とくらべて遜色ないというより、上まわっていると思う。まず誘拐の構造が前代未聞。似ている話が思い出せない。誘拐ものなのだが、誘拐そのものをひとつの道具に使って別の物語を仕立てている。ここが高く評価される。面白い着想だ。 そして小説としてのまとまり、人物の書き分けがうまい。端役も生き生きと描かれている。文章もなめらかで上手い。 | ||||
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