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寂しい写楽



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【この小説が収録されている参考書籍】
寂しい写楽 (小学館文庫)

寂しい写楽の評価: 3.80/5点 レビュー 10件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.80pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全6件 1~6 1/1ページ
No.6:
(5pt)

人の手に一度渡った物納得しています。

大変満足しています。
寂しい写楽 (小学館文庫)Amazon書評・レビュー:寂しい写楽 (小学館文庫)より
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No.5:
(5pt)

「寂しい」でくくる群像劇

板元蔦屋重三郎がしかける北斎興行の熱気と祭りのあとの寂しさを描いた群像劇。蔦屋重三郎(喜多川重三郎)は江戸の出版元(書肆・板元)。

この店とかかわりのある山東京伝(伝蔵),葛飾北斎(鉄蔵,春朗),十返舎一九(幾五郎),曲亭馬琴(倉蔵),喜多川歌麿(勇助だが番頭と同じになるので歌麿と呼ばれている),大田直二郎(大田南畝),それから東洲斎写楽(斎藤十郎兵衛だが主として写楽と呼ばれている)が主な出場人物。それぞれの出自と北斎興行との関係が描かれるがみんな寂しい。

群像劇といえば,アーサー・ヘイリーが有名だが,いまは過去の人だから面白いのに見向きもされなくなっている。『ホテル』『大空港』『自動車』『マネーチェンジャーズ』など,その業界の内幕を描いたらピカイチ。

で,宇江佐真理はアーサー・ヘイリーを超えているかというと,残念ながら寂しい。出場人物の故事来歴を丁寧に紹介している分,まどろっこしい。かといって,それを抜かすとプロットだけになってしまう。重三郎がしかけた北斎興行がしっかり描けているかというと,あまり小説的面白さはない。なにしろ,登場人物はどれも一癖も二癖もある。そのひとりひとりだけで一篇の長篇小説が書けてしまう。その証拠に,歌麿,春朗,伝蔵たちを中心とする高橋克彦の「だましゑ歌麿シリーズ」は7冊もある。鉄蔵は娘の応為を中心に何人かの作家が手がけている。その密度で描いていくと,大河小説になるだろう。

かといってダメ作かというとそうは思わない。この「寂しい」が尾を引くのだ。おそらくこの本はプロットが簡単なだけに,いつまでも頭のなかから去ることはないだろう。そんな寂寞感が残る。
寂しい写楽 (小学館文庫)Amazon書評・レビュー:寂しい写楽 (小学館文庫)より
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No.4:
(5pt)

能楽が写楽に展開する顔の位相学

能の揺るがせない根本原理は顔が動かないとういうことである。それは多分霊や気の変化に対して動かさない方がよく対処でき、よく対処するとはそういうことだということである。
翻ってというか翻して云えば、顔はたとえ表情が変わっても共通の位相をもっていて素顔の表情やその心に返っても元々同相の位相をもっている。写楽が写楽として言いたかったこと、表現したかったことはそういうことだったのではないかな、と私などは直截に当時に立ち返る本書を読みながら考えた。
動かさないから動かないものとした能楽に対し、写楽は動かないから動いても動かせないものとして役者の顔を描いてみせた。
逆に苦言すれば、何が寂しいと云ってそれを理解しないこちら側の感受性や理解力のなさの方なのかもしれない。
寂しい写楽 (小学館文庫)Amazon書評・レビュー:寂しい写楽 (小学館文庫)より
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No.3:
(5pt)

史実に基づいた宇江佐ワールド

東州斎写楽、山東京伝、十返舎一九、曲亭馬琴、葛飾北斎、蔦谷重三郎…
江戸時代や化政文化が好きな人、浮世絵に興味がある人にとってはたまらない一冊でしょう。

舞台は、華奢を厳しく取り締まった松平定信の御時世です。日常生活だけでなく芝居や芸術等にも容赦なくお咎めが降りかかる中、ありとあらゆる手段を使って文化を発展させようとした江戸の人々が描かれています。
犯人とトリックを暴く推理小説や、宝物を探したり悪魔を倒しに行くファンタジーとは違って、ストーリーの目的と言いますか…結末が何処に向かうのか予測できません。これは、史実に基づいた歴史小説ならではの特徴でしょうか。
しかしながら宇江佐さんの作品は、いつも人情味に溢れています。この本では、壁にぶち当たりながらも懸命に道を探す人々の情熱がビシビシと伝わってきます。

「寂しい」写楽。
うまい題をつけたなぁと思います。
寂しい写楽 (小学館文庫)Amazon書評・レビュー:寂しい写楽 (小学館文庫)より
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No.2:
(4pt)

謎の多い絵師写楽を巡っての小説

蔦やの盛衰と若き日の北斎、一九、馬琴ら相互のかかわり、創作姿勢の変遷が興味深く、また、中心にある写楽とは何者か、宇江佐さんの推理を面白く読みました。
寂しい写楽 (小学館文庫)Amazon書評・レビュー:寂しい写楽 (小学館文庫)より
4094087974
No.1:
(5pt)

着想が面白いと思います。

これは「写楽は誰?」という本ではありません。写楽は斎藤十郎兵衛としてそのまま現れます。主役は蔦屋重三郎と山東京伝かなあ。写楽の面白さは「誰?」というミステリーも一つですが、もう一つ蔦屋重三郎が立てた作戦の巧妙さにあると思っています。この本は後者の方を扱った小説です。真実も蔦屋重三郎と斎藤十郎兵衛の2人の話ではなかったと思うのですね。いろんな人が絡んでいたはず。ここの部分は色々と想いが広がって小説にしたいところでしょう。今後は「誰?」路線よりこの部分(蔦屋重三郎が立てた作戦)を取り扱った小説が増えそうです。有名な粋な通人を出せるので楽しいと思います。個人的には斎藤十郎兵衛ももっと粋な人物に仕立ててほしかったですね。それとこの本では大首絵は売れなかったことになってます。デビューの第1期ですね。このところも意見が分かれてます。売れたという論陣を張る人もいます。本当はどうだったのでしょうか?
なにせ有名人がそろって出てきますが、名前が当時の呼び名(幾五郎(十返捨一九)、鉄蔵(葛飾北斎)、倉蔵(滝沢馬琴)、伝蔵(山東京伝))なので名簿を手元に作って読んだ方がイメージが膨らんで楽しいです。上記の疑問に対してそれなりに上手くわけが考えられていて、こういう見方も出来るのかと面白く読みました。本の中では写楽の絵が売れなくって仕方がないから破れた襖に張られてるというシーンがあります。今の価値では2000万円以上らしいです。
最後に「寂しい」の意味がなかなか重くていいですよ。それぞれの「寂しい」があって写楽の話は写楽個人の物語でないところが実に楽しいですね。
寂しい写楽 (小学館文庫)Amazon書評・レビュー:寂しい写楽 (小学館文庫)より
4094087974

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