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氷点
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【この小説が収録されている参考書籍】
氷点の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.47pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全139件 81~100 5/7ページ
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以下は本編上下、続編上下を通した感想である。戦後まだ20年(続編では25年)とたたない時代背景が色濃く出た物語である。本作品で最も深い罪を犯したのは啓造であるべきであるが、物語では苦悩する良心として描かれている。客観的に見るならば、妻夏枝は軽率であるが、啓造に比べればその罪は軽い。男の罪は看破されうるとも、女の罪はたとえ小さなものでも大きな代償に相当する時代感覚が背景にある。村井もその罪の償いが問われていない。このような男は、罰されること無く、今でも多く存在する。その点では、時代の背景は現在に連続する。随所に戦争の影響が描かれている。心理描写は時として冗長であり、現代の感覚からは理解しがたい点が散見される。しかしながら、物語のあちらこちらに珠玉の様な言葉の引用やストーリーがあり、それらは、宗教に関係なく人間の生き方に普遍的なものである。物語は時としてダイナミックに展開し、推理小説として読者を引きつける。二重婚約、自殺未遂と行った筆者自身の苦悩の過去を反映している。あまり語られていないが、北海道の自然描写がすばらしい。 | ||||
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キリスト教の「原罪」テーマの提起をドラスティックな状況設定で、以後の展開に期待を持たせるストーリに興味盛り上がるも、下巻での結末は何も応えていなくて失望の一語。 | ||||
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この小説はわずか数字の言葉でもずしりと重く心に響く小説でした。 | ||||
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昔読んだ氷点が目にとまり、Kindle版で読み始めたら、すっかりハマってしまいました。大体のあらすじは覚えているのに、続きが気になってグイグイ引き込まれます。以前は、陽子は清らかで乙女の鏡のようなイメージ、夏枝は育ちの良い類稀な美女だけれど、意地悪でとても冷たい人のイメージがありました。ところが時が過ぎ、自分も母親になってみると、夏枝の辛さがよく分かり、陽子につい意地悪く当たってしまうのも理解できます。本当に世の中は誰が悪人善人と決められないものだなぁと考えさせられます。それにしても秀作というものは、いつの世にも感動を与えるものだと本当に感心しています。そしてそれらがKindle版で読めるのが本当にありがたいです。三浦綾子作品、続けて読もうと思ってます。 | ||||
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この小説はキリスト教の原罪がテーマということであるが、重苦しいテーマを抜きにして、単純にエンターテイメント小説としてみても読みごたえのある作品だと思う。新聞連載用に書かれたとのことで、序盤は同じような描写が繰り返されて、くどく感じた部分もあったが、夏枝が陽子の出生の秘密を知ったあたりから作品の中に引き込まれていき、読み止まらなくなってしまった。我が子を殺した犯人の子供を自分の子供として育てるという、いくら小説とはいえ突飛すぎるように思えた設定が、読みすすめるうちに次第に違和感なくリアリティを帯びていった。それは緻密に描かれている、憎しみ、怒り、嫉妬といった人間の嫌らしい感情が、実は我々が日常的に多々感じているなじみのある感情そのものであるからなのかもしれない。また官能的な描写がいくつかあったが、女性である著者が男性が感じる性的感情をなぜこのように表現できるのかと感心し、著者が官能小説を書いたらすごいものを書いたのでは、とそんなおかしなことを考えたりもした。 | ||||
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あまりにも現実ばなれした設定のため、初めのころは気持ち半分という感じで読んでいたのですが、 だんだんとのめりこんでいっきに読み終えていました。結末を迎えるころには感情をおさえきれず涙がとまりませんでした。 | ||||
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陽子ちゃんの一言、「私の心の中に氷点があったのね。」私はその言葉で、はっとしました。 人間は皆罪人なんだと。 | ||||
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私はプロテスタントですから、三浦先生のこの「氷点」で、どれだか自分の罪を感じたかわかりません。 本当に改めて先生の神に対するおそれがわかりました。 | ||||
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高校時代、感動した本の一冊。 これを機に、三浦綾子作品はかなり読みました。 発表されて、もう半世紀にもなるのですね。 テーマは、キリスト教の概念である「原罪」。 当時は、主人公、陽子の一点の曇りもない心の清らかさに心を打たれたような憶えがありますが、50代半ばになると、やはり感じ方は、ちょっと違うような気がします。 『表題の「氷点」は、何があっても前向きに生きようとする陽子の心がついに凍った瞬間を表す。その原因は、単に継母夏枝にひどい仕打ちを受けたという表面的なものではなく、人間が生まれながらにして持つ「原罪」に気付いたことであると解釈される』そうなのですが、「凍った」のは、陽子の心だけではなく、辻口啓造も、夏枝も、村井も、松崎由香子にも、その瞬間があったと思うのです。 人間誰しも、生涯に一度は、「心が凍りつく時」「氷点」があるのではないでしょうか。 それを溶かすものは、何なのか……私にはまだわかりませんが。 今回、再読して、変わらなかったのは、「徹」と「辰子」の温かさに救われたことです。 | ||||
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自分が生まれる何でも前に書かれたものですが、 全然古さを感じない作品です。 原罪がテーマに書かれていて、人物それぞれの苦悩が伝わってくる作品。 人間誰しも心に闇を抱えているものと思いますが、 そういったことも含めて深く考えさせられます。 一度読み始めると次を早く知りたくなり、一気に読んでしまいました。 | ||||
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「氷点」は10年あまり前から何度も読み返してるお気に入りの本ですが、文庫本では最近老眼鏡かけねば無理だったところ、Kindleが登場してそれを見事解決!!これからも電子書籍で沢山、本が楽しめそうです!d=(^o^)=b | ||||
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人間の存在とその関わりは、多くの不幸を含んでいる。 しかし、それでも生きるのはなぜか。どう生きたらよいのか。 物語を通じて、落ちついた口調で語られていくように思う。 印象に残った言葉、 “一生を終えてのちに残るのは、われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものである” | ||||
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なんどもテレビドラマ化されている原作ですが 映像作品はいずれも未視聴です。 面白いです。 意外にも、文壇での評価は“通俗的”ということで 低いということですが、逆にその通俗性が古さを感じさせず 『読ませる』力となっていると思います。 小説の冒頭、いきなり人妻に魅了された若い医師のシーンで がっちり心をつかまされます。 他のレビュアの方が、『昼メロ』と書いてますが まさに設定からすると、そんな感じ。 時系列的には、むしろこの氷点を参考にしたのかと思うくらい “俗っぽくてキャッチーな状況”が、冒頭のシーンのみならず どんどん続きます。 一般的にいって、“そんな偶然ねぇだろ!”っていうシチュエーションと そこに対峙する登場人物の“通俗的”な欲望と苦悩でぐいぐい引き込みます。 そこら辺が、純文学と違って文壇に嫌われる所以かもしれません。 この作品、作者がクリスチャンだったり 40年以上も昔の作品ということもあって、 なんとなく難しそうで読むのに億劫でしたが 上記のような理由で読み始めると、どんどん楽しく読めました。 娯楽小説としての読ませる力と、クリスチャンらしい作者の 深いテーマが両立する、素晴らしい作品です。 この小説は、懸賞小説でもともとはこの作品で完結と考えていたようですが 新聞小説で人気となり『続・氷点』を執筆したそうです。 ただ、本書を読んだ方は『続・氷点』もオススメしますし、両作品をもって 完結と考えたほうがよいと思います。 | ||||
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ヒロインの陽子は殺人者の娘であるという思い込みから、自分自身にその血が流れ罪で汚れているという解釈(旧約聖書においてアダムとイブが神の掟に背いた事から、その子孫である全人間は、この世に生誕した時よりその罪を負っているという元々の意味)により自責の念に陥るが、陽子には全く罪は無い。妬み、嫉妬、嫌がらせ、悪口、人の悪を思う、嫌味等、そういうものが、根本的・基本的な罪である様に思います。 | ||||
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大ベストセラー作。下巻まで一気に読みました。ヒロイン陽子は清廉潔白でありますが、養母である夏枝は市井によく居るような方だと思います。続きのレビューは下巻にて。 | ||||
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ギラギラするように娯楽的で、昼メロ的、そして 人間の内面の複雑さに対する鋭い洞察が感じられる作品です。 作品は、啓造、夏江という医者と美しい妻の一見幸福で、そして 欺瞞に満ちた家庭を舞台にしています。 物語は夏江の浮気とも呼べないような小さな浮気から始まります。 この出来事を起点として、この二人は、誤解しあい、心ならずも 共同して継子いじめを行ってしまうのです。 啓造は、夏枝を愛しながら憎み、何度も何度も哀れに思い、 許さなければと思い、そして許せないと思い返します。夏江は 内省的な面を持たない愚かしい母親ではありますが、その愚かさは、 母親らしい盲目的な愛に基づく人間的な愚かさなのです。 この普通の人々がもつ普通の人間の自己愛、わかりあえなさこそが 「原罪」であり、この作品のテーマなのかと思います。 他の三浦綾子作品にくらべて、ずっと大衆的であり、 信仰、北国の叙情、中産家庭上流の暮らしぶりのすべてが 協調的にはたらいて、この一見ドロドロと汚い物語を 美しいものにしているように感じられました。 ただ、ほかの方も書かれているように最後のあたりの陽子の 心情は、唐突で、ちょっとわからない感じでした。 原罪がテーマというならば、すべてにおいてイノセントな 陽子の中にも誰かを殺したいほどの憎しみが生まれて・・・とか、 そういう展開のほうがわかりやすいですね。 | ||||
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陽子のただひたすら前向きな姿が心を締め付けます。 人の持つ原罪を、性悪説を初めて真剣に考えるきっかけとなった作品で す。 続編があってよかった。 無ければタイトル通りの哀しいだけの作品だったのかと。。。 | ||||
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登場人物それぞれの心理描写が適切かつ巧みであり、それぞれのシーンで共感しながら読むことができた。 ルリ子を殺した犯人の娘が陽子だと知った夏江が、果たしてそれでも陽子を愛さなければならないのか、そしてそんなこと人間にできるのか。長い長い生物の自然淘汰によって憎しみや怒りを持たない個体は淘汰されているわけなので、啓造の理想とする「汝の敵を愛せよ」を実行できる人間なんて存在しないのではないか。 もしそんなことできる人間がいたとしたら、その人はただ心の奥底に無理やり憎しみを閉じ込めているだけなのではないだろうか。 そして本書では人間は完璧ではないからこそ生まれながらに罪深い生き物なのだとも書かれている。確かにそうなのかもしれない。 陽子は自分が犯罪者の娘であることに耐えられずに死を選んだ。 このように人間は自分が完ぺきな人間であることを望むばかりに、ついつい自分の欠点については認められなかったりまた過剰な劣等感にさいなまれたりしてしまうものである。 そういった欠点も含めて自分は一人の人間なんだと自覚して生きていくことが大切だと再認識させられた。 | ||||
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大学の図書館でなんとなく文庫・新書コーナーを歩いていたときに発見して借りた。 たしか高校時代、国語の先生が好きな本(?)としてあげていた作品であるとそのとき思い、どんな本なのか興味を持ったからである。 とても昔の作品であるが読みやすく、5日で2冊読み終わってしまった。 登場人物の多くが、陽子に対する自分の振る舞いを正当化するので、中盤は誰を軸にこの物語を読みすすめればいいのかわからなかったが、とてもおもしろく、こういう昔の小説もまた読んでみようと思うようになった。 とにかく夏枝は自己中すぎると思った。 とりあえず続・氷点も大学で借りなくてはw | ||||
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昭和39〜40年に新聞連載された小説で、「人間の原罪」をテーマとした作品です。 何の罪もない主人公は、自分の生い立ちから自分の罪の可能性を感じてしまいます。 人の良心と残虐性を丹念に描いています。 どんな人間にも心の弱さがあって、その弱さが悲劇を招いてしまうのでしょうか。 発表から半世紀近く経っていますが、色褪せることのない名作だと思います。 | ||||
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