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昏き目の暗殺者
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昏き目の暗殺者の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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カナダのある地方で女性が事故で死に姉が疑いを抱くが・・・というお話。 と書きましたが、一行では総括できないような長い作品で、主人公を中心とするある一家の20世紀が詳細に語られる中に主人公の妹が書いたとされる小説の挿話が挿入されながら進行していくとても長いお話。 主筋の主人公一家の話はカナダの激動の20世紀を編年体で叙述した感じのストーリーであまり語られてこなかった、或は日本では紹介されてこなかったカナダの歴史を概括していて面白く読めました。 傍筋の挿話はあるくたびれた感じの男女のラヴ・ストーリーでその男の方が作中作を書いていて、チャイニーズ・ボックスみたいに入れ子構造になっていてフラン・オブライエンの傑作「スイム・トゥー・バーズにて」みたいで楽しめました。 全体としてアトウッド女史がこの作品で何をやりたかったかはよく判りませんが、勝手に憶測して書かせてもらえば、カナダの20世紀の総括を一つの小説でやりたかったのでは、と思いましたが安易でしょうか。主筋の釦工場一家の波乱に満ちた歴史がそのままカナダの通年史、疲れた感じの男女の傍筋が大国であるにも関わらずアメリカの影に隠れて存在を無視されがちなカナダの暗喩、その男が書いているSF戦争小説がカナダの戦争の歴史のまた暗喩ではないか、という風に捉えることが出来ると考えましたが穿ちすぎでしょうか。 または以上のようなことを全て無視して単なるサスペンスとして読むべきか、とも思いましたが・・・。 いずれにしろ文章は平明で読みやすく、主筋と傍筋の描き分けも巧みで非常に楽しめました。ちょっと長いようにも感じましたが・・・。カナダにも偉大なる文学の伝統があるということを知らしめる秀作。長いけど面白かったです。 上記はハードカバーで読んだ際の感想です。今回文庫で読み直しても同じ様な感想を持ちました。以下で多少ネタに触れるので、興を削ぐとまずいので、未読の方は読まないでください。 ハードカバーで読んだ際は気づかなかったのですが、主人公が一人称で語っている所に仕掛けがあり、所謂信頼できない語り手の工夫がなされているのが今回読み直して判りました。その後の展開も作中作の著者も実は・・・という展開で、何が事実で何が真実かよく判らない文学的迷宮に彷徨う様な感じを受けました。ナボコフの「淡い焔(青白い炎)」みたいでした。ミステリの賞を獲ったのも頷けます。 また、ただ文章を読むだけで、楽しい、読む喜びに溢れていたいたので、単純に楽しめました。アトウッドさんはノーベル賞を獲っても獲らなくても偉大だと思います。前読んだ時よりも面白かったので、☆の数を増やしました。 カナダを代表する作家の傑作。必読。 | ||||
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キンドル版を購入しました。時々校正ミスがあるのが気になります。キンドル版だからでしょうか。 内容は面白いです。 | ||||
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マーガレット・アトウッドが最近の女性差別のニュースなどで再び注目されるようになっている。SFである「侍女の物語」や未来の神話的世界を描いたマッドアダムトリロジーと違って、この物語の設定が1900年代始めであることを考えて読む。閉ざされた世界、結婚に対する考え方、戦争、大恐慌、そういう時代にあって、母親を早くに亡くし理想に敗れた父親を遠目に眺めながら、主人公は育ち、やがて家族を経済的に救うために結婚する。 家族によって、お金によって、世間の価値観によって、それを「あたりまえ」だと飲み込むことが、理不尽だとすら思えずに、人形のように結婚するアイリスはまさに作中作の「舌を抜かれた捧げもの」のようだ。ところが物語が進むに連れ、小さな手がかりが集まって、全体が違う様相を見せて来る。 ひとは自己憐憫により盲目になる。そうしてしか生きられなかった彼女を、誰が裁けるだろう。老年アイリスの皮肉っぽい痛烈なブラックユーモアに唸りながら、最後にアイリスが孫に語るくだりは胸が熱くなった。 | ||||
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内容は満点です。ただし、タイトルの訳し方を見て分かるとおり、翻訳者の個性がかなり強く出た訳文です。 kindle版が安かったので購入しましたが、誤植だらけです。形の似た文字の間違いや、濁点の有無などが多いので、おそらくスキャンした後、きちんと確認していないんだろうと思われます。 早川にしては雑な仕事だと感じます。 | ||||
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作者の作品を読むのは、代表作「侍女の物語」、出世作「浮かびあがる」に続いて本作で三作目だが、作者の集大成とも言える重厚な傑作だと思った。邦題からミステリという印象を受け、確かにその趣きもあるのだが、この邦題は若くして亡くなったヒロインの妹が残した唯一の小説(作中作)の名称である。物語は老境に入ったヒロインが、当時自動車事故死と判断されていた妹の死の真相及び作中作に登場する男女のペア(のモデル)を追想しながら探究して行く姿を描くという形で進む。そして、この回想譚が地方の名家であるヒロイン一族の五代に渡る詳細な年代記(あるいは2回の世界大戦が影を落とす20世紀全体に渡るカナダの社会史)になっているという構想が本作を文学的に重層的かつ壮大なスケールのものとしている。マジック・リアリズムではないが、「百年の孤独」を想起させる全体構成である。 カットバック気味に挿入される作中作は、作者の代名詞である"フェミニズム"小説の香りが漂うミステリ・タッチの作品で、「浮かびあがる」と少し似ているが、作中の男が"異界"を舞台にした寓話を語るという二重構造となっており、全体構成と併せて、読者を神秘と呪術に満ちた迷宮へと誘うという凝った創り。一方、ヒロインの回想譚は作者特有の風刺と皮肉に満ちた鋭い人間観察眼で、祖父の代からの一族の歴史を、むしろ淡々と木目細かく綴って行く。この中には作者の死生観、言葉遊び、文学的嗜好、神学論等が詰め込まれていて読み応え充分である。更に、回想譚にはヒロインの現在の境遇も境目なく含まれる上に、所々、各時代の新聞記事(これだけは史実という意味だろう)も挿入されるので、作者が提示する記述形式の多彩さに読者は酩酊感を覚えざるを得ない。 そして、回想譚と作中作とが交錯し、ヒロインの孤独が浮き彫りにされるラストは圧巻で、作者の筆力には改めて感心させられた。上述した通り、作者の集大成と呼ぶに相応しい傑作だと思った。 | ||||
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ブッカー賞(ハメット賞も、だそうな)受賞に騙されるなかれ。ブッカー賞もゴールドダガー賞も、胡散臭い舞台裏があるのでは、と勘ぐりたくなる(要するに、エージェント、出版社、書評家三者の談合の結果っぽい)。で、この本、先に翻訳について言うと、良くない。 タイトルからして『盲目の殺人者』でよかったでしょ、と。昏き目と盲目じゃ意味が違う。盲目でしょ、作家の真意を理解していれば。一事が万事、翻訳者がやたら仰々しい日本語を選ぶ。ま、そもそも原作が酷いから訳文がどうのこうの言っても無意味だけど。入れ子構造がどうだっての? 入れ子部分が面白くない、読めたものじゃない。作者のいちばんの失敗は、リチャードとウィニフレッド兄妹を最初から俗人だと書いてしまったこと。だからサプライズの生じようが無い。姉妹が恋する左翼男も、キャラが薄すぎて、読者が姉妹の恋愛に感情移入するのは難しいと思われ。まあ、ローラのキャラだけは面白かったです。あ、それから、この本、ミステリでも何でもないですから。忙しい人はパスでよし、です。現代人は多忙ですから、読書も徹底して取捨選択しなくては、ですね。日本の小説のほうがレベル高い、と認識した次第。ああ~、ブッカー賞、ブランド落ちすぎ。 | ||||
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650頁以上ある大部の小説。スパイアクションみたいな題名だが純文学作品で、2001年ブッカー賞受賞作。構造はまさに現代文学。三つのストーリーが交互に進行する。複雑だが、読んでみるとわかりにくくはない。 基本のストーリーは語り手の老婦人が記す幼年期~結婚(戦前)から現在(90年代末)までの回想と老いの日常だ。語り手は実家の経済的危機を救うために新興企業家と政略結婚した。 語り手の妹は終戦直後に若くして事故死し、死後に出版された唯一の小説がカルト的な評価を得ている。この恋愛小説の内容が別のストーリーとして並行に語られる。 さらに、この恋愛小説の作中作として寓話が語られる。単独で読みたくなるくらい面白い話で、その主人公が〈昏き目の暗殺者〉。 展開としては、妹の死の真相、 恋愛小説のモデルは誰か、寓話の意味、特に〈昏き目の暗殺者〉は何の象徴かという興味で引っ張っていく。ミステリ的な味付けの展開だが、終盤で著者は謎解きのヒントを示し、複雑な構造を採用した必然性がわかるようにしている。読者を突き放したりしない。 推論すれば、すべてのストーリーが実は、語り手の老婦人の別々の回想録なのだ。ただし、恋愛小説は語り手の結婚生活の裏面(不倫)の回顧であり、寓話は語り手の結婚生活のカリカチュアだ。 だから〈昏き目の暗殺者〉は語り手の不倫相手(スペイン内戦に参加した義勇兵)であり、助けられる〈舌を抜かれた生け贄の処女〉は語り手自身だ(政略結婚させられ何の発言権もないことの暗喩)。〈昏き目の暗殺者〉が破壊しようとする〈繁栄の都〉は、語り手の結婚相手が属する資産家階級とその生活の象徴だろう。 終盤の謎解きで、なぜ地の回想録が必要になったのか理由が明らかになり、三つの回想録は一つに収斂する。そこにはある種の感動が用意されている。しかし、その感動は女性でなければわからない種類のものだと思う。多重構造を分解し、核となるメインの物語を取り出してみると、それは意外と単純な“不倫メロドラマ”だったのではないか。 こんなに複雑な構造を作り出す著者の力業に感心したし、物語は興味深い「女の一生」だが、主人公が芯の強さを隠して受動的な生き方しかしないので、トータルでは感動的な読後感が得られなかった。 | ||||
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カナダのある地方で女性が事故で死に姉が疑いを抱くが・・・というお話。 と書きましたが、一行では総括できないような長い作品で、主人公を中心とするある一家の20世紀が詳細に語られる中に主人公の妹が書いたとされる小説の挿話が挿入されながら進行していくとても長いお話。 主筋の主人公一家の話はカナダの激動の20世紀を編年体で叙述した感じのストーリーであまり語られてこなかった、或は日本では紹介されてこなかったカナダの歴史を概括していて面白く読めました。 傍筋の挿話はあるくたびれた感じの男女のラヴ・ストーリーでその男の方が作中作を書いていて、チャイニーズ・ボックスみたいに入れ子構造になっていてフラン・オブライエンの傑作「スイム・トゥー・バーズにて」みたいで楽しめました。 全体としてアトウッド女史がこの作品で何をやりたかったかはよく判りませんが、勝手に憶測して書かせてもらえば、カナダの20世紀の総括を一つの小説でやりたかったのでは、と思いましたが安易でしょうか。主筋の釦工場一家の波乱に満ちた歴史がそのままカナダの通年史、疲れた感じの男女の傍筋が大国であるにも関わらずアメリカの影に隠れて存在を無視されがちなカナダの暗喩、その男が書いているSF戦争小説がカナダの戦争の歴史のまた暗喩ではないか、という風に捉えることが出来ると考えましたが穿ちすぎでしょうか。 または以上のようなことを全て無視して単なるサスペンスとして読むべきか、とも思いましたが・・・。 いずれにしろ文章は平明で読みやすく、主筋と傍筋の描き分けも巧みで非常に楽しめました。ちょっと長いようにも感じましたが・・・。カナダにも偉大なる文学の伝統があるということを知らしめる秀作。長いけど面白かったです。 | ||||
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本書は英語圏で最高の権威を誇る文学賞「ブッカー賞」の’00年度受賞作であると同時に、ハードボイルドの始祖の名を冠した「ダシール・ハメット賞」の’01年度受賞作である。つまりミステリーの要素を孕みつつも、優れた文芸作品として認められた“カナダ文学の母なる女神”と呼ばれるマーガレット・アトウッドの大作である。 スタイルはかなりの<入れ子>構造で重層的である。ベースは80才を超える老婆アイリスが語る一人称の波乱の一代記の追想であるが、その語りは祖父母の時代から、孫に至る5世代に渡っている。そして、それに並行して、25歳の若さで亡くなった妹ローラが遺した三人称小説『昏き目の暗殺者』がはさまれる。これもひとつの回想録といえるのだが、さらに、その小説の作中作としてSFファンタジーが語られている。さらにさらに、その中にアイリスの懐古述懐に先行する形での過去の新聞記事が提示されてゆく。 これら次元の異なる物語は、やがて相互に共鳴し合い、読者には、アイリスが誰に対して追想を語っているのか、果たして昏き目の暗殺者とはどんなものかが最後の最後に分かる仕掛けになっている。 本書は、口の悪いおばあさんの、老いと苦い想い出への晦渋が詰まった“憎まれ口”が横溢したエピソードの数々で、英国の古典文学の諧謔趣味がうかがえるし、一方では「ハメット賞」受賞作だけあって、戦前の派手はでしいパルプマガジンの要素が詰まっている。 ともあれ本書は、「ブッカー賞」という文学賞を獲ったわりには、堅苦しいことは無く、大衆小説のように読みやすく、その寓意というか隠れた本質を読み取るのが難解といえば難解だが、ハードカバー667ページという大部にもかかわらず、一気に読ませるリーダビリティに富んでいる。「訳者あとがき」にあるように、本書は近代・現代文学の総決算になるような野心作であろう。 | ||||
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この本は前半とっつきにくくて、謎の部分は早くに見当がついてしまうし先は長いしげんなりしたが、やはりアトウッド。読ませる。 悲しみと後悔が溢れている。暗殺者は誰だったのか。 ダフネ・デュ・モーリアの「レベッカ」を思い起こさせる傑作。 作中劇も見事。 | ||||
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