パラダイス
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トニ・モリスンの小説の中でもっとも晦渋かつ長大な小説である。なぜ晦渋かといえば、語り手や視点人物が誰か良く分からないまま文章がすすむ所があるし、その描写がいつの事、何の事かも良く分からないまま進む事が多いからだ。小説は、パラダイスであったはずの避難所がなぜか襲撃を受ける第1章から始まる。そして、入所していた女たちの人生の来し方が語られていく。家を飛び出した女たちの物語。そして昔ながらの黒人だけの町(オクラホマにある)の歴史。小説としての面白みはここらにあるだろう。ただし、一筋縄では行かず、様々なエピソードが融通無碍に組み合わされているから、短編連作とも見える。そして、その修道院は町からはふしだらな人間たちの居場所として排斥され孤立しており、冒頭の事件が起きる。また、トニ・モリスンは当然黒人作家であるから、黒人女性を描いていると思いがちだが、この作品では修道院に避難して来た人物たちの肌の色は意図的によくわからないように書かれている所に大きな意味があるのではないか。いずれにしろ、長大な小説、骨太の小説を読む事を愛好する読者の方にはお勧めできる。 | ||||
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アフリカ系の住民の街に偶然か必然でか出来た修道院の、その中で暮らす様々な悩みや過去を抱えた(おそらく)白人とそれを取り囲むアフリカ系の住民の相互不信と葛藤、その末のカタストロフィを描いた壮大な小説。登場人物の総数はちらっと出るだけのキャラクターだけでも相当な数に及ぶ正に叙事詩ともいうべきものであり、その主要登場人物の内面独白も色々な感情を行ったり来たり錯綜につぐ錯綜で圧倒的展開で読者の頭をぐるぐるに翻弄する。 まず、最初に修道院への襲撃が語られ、その後にその修道院がどのように形成されたかが逐次語られていくという構成で、その修道院に集うことになった訳ありの女性たちの過去や悩みが一人一人こってり描かれ、それが最終的にどのように破滅を迎えるかが延べられるという展開はW・スタイロン等を思わせる。その修道院に集まる女性たちの過去が様々な体験を想起させ、更にそれが即ち現代アメリカの縮図となっていて興味深く、それらの女性たちの再生が結局うまくいかずに崩壊していく所に著者の楽園などありえないという醒めた視線を感じる。修道院を取り囲む街の方も登場人物の思惑が入り乱れ、それを最終的に修道院の責任と押し付ける所なども著者のアメリカ(もしかしたらアフリカ系への)批判のようにも受け取れる。 そしてその中に結婚、子供の誕生、死など卑近な挿話が盛り込まれ、この物語がアメリカのみならず、広く世界のどの国、地域、場所でも起こりうると受け取れるのが著者モリスンの一番言いたかった普遍的マニフェストだったかもしれない。 以上は私の勝手な解釈なのでそんなのを気にしないでこの壮大な小説を楽しんで読んでもらいたいです。 蛇足ですが文章は平明だけど複雑な構成だったので3回読まなきゃ上記のような感想に辿りつけませんでした。 | ||||
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