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本屋さんのダイアナ
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本屋さんのダイアナの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全44件 41~44 3/3ページ
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ヒロインは二人。一人は、「大穴」と書いて「ダイアナ」と読ませる名前の、髪を金髪に染めた少女です。水商売をする母が、16歳の時産んだ子で、父は家を出たまま行方不明。ダイアナは、父にあこがれつつ、読書を心のよりどころとしています。 もう一人のヒロインは「彩子」。母は自宅で料理教室を開き、父は大手出版社の編集者で、いわゆる良家の優等生です。 二人は、小学3年のクラスで一緒になり親友になります。ダイアナは彩子の上品な家庭に憧れ、一方の彩子は、アパート暮らしながらも自由奔放に生きているダイアナの家庭に惹かれていきます。6年生になり思春期を迎えた二人は、同級生の男の子をめぐる些細な誤解から、絶交状態になります。再会するのは10年後とも知らずに。ここから、二人それぞれの人生、成長の物語が描かれていきます。 ダイアナは、地元のちょっとワルの多い公立中学・高校へと進学します。自分に背負わされた環境や「大穴」という名前、行方知らずの父。これらの「呪い」にもがき、自己を否定し、他人との間に壁を作り孤立しながらも必死に生きていくダイアナ。高校卒業後、本屋を開くという夢に近づくため、書店のアルバイト店員として働くようになります。 一方の彩子は、受験に苦しみながらも名門女子中学・高校へ。そして有名私立大学へ進学します。しかし、そこで男女間のことで失敗します。彩子は、自分の今までの努力が生きるためには何の力にもならないことに気づきます。しかし、それを認めたくない自分に負けて、偽りの恋愛へと陥っていきます。 二人の共通の愛読書「秘密の森のダイアナ」。困難に立ち向かい生きようとするダイアナの姿。友情。それらに導かれ、彩子は、自らを縛っていた「呪い」に勇気をふるって立ち向かい、その呪いをついに解き放ち、女性として自立への道を歩み始めます。 ダイアナもまた、再会した彩子に促され、まるで理想とはほど遠い生活力のない父との再会を果たします。あるがままの現実を受け入れ、ダイアナもまた「呪い」を解き放っていくのです。 人は、その人それぞれの生い立ちを背負い生きていかねばなりません。そして、それを乗り越え成長していくには、自分自身の力によるしかないのです。自らに背負わされた自縄自縛の「呪い」を解こうと必死にもがく少女たち。いじらしくもあり、ほほえましくもあり、また痛々しくもあります。自分自身の弱さに気づき、ありのままを受け入れ成長していく二人の少女の物語、私は十分楽しめました。エールを送りたい気持ちも湧いてきます。「現代の赤毛のアン」という宣伝も許されるのではと思います。 この本、お薦めします。 ただし、「赤毛のアン」だからと言っても、小中学生にはちょっと薦められない場面もある「大人限定版赤毛のアン」です。 | ||||
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『大穴』。 この突拍子もない少女の名前に失笑しつつ、書店と何が関係するのか興味を持ちました。 ダブルヒロインの『彩子』。 暮しの手帖から出てきたような母上に少々辟易、優等生そのものの日常にも不満ぎみ。 そこへダイアナが同級生となり、物語は進行していきます。 私は外国小説の類いや赤毛のアンを中途で投げ出した人間ですので、彼女たちの言い回しが少々わかりませんでした。 少女期によくある親友同士の符丁みたいなものかしら…?程度。 この小説を読み終えて、ダイアナの堅実な生き方がわりと丁寧に描かれているものの、彩子のほうはサラッと書き流しており、イベントサークル以外では別段事件らしいこともなく、平凡でした。 またダイアナの母と彩子の父そしてダイアナの父の相関図が、ちょっと安易な気もします。 願わくば、もう少し登場人物たちを掘り下げて書いていただきたかったですね。 そして昔々の少女たる私にも、予想外の展開をみせていただけたなら星5つでした。 | ||||
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私は、今に至る人生において、あまり読書をしてこなかった40代真ん中位の女です。なので、作家さんに対する偏見も好みも特にありませんが、柚木さんの『あなたの手をにぎりたい』を手にした時、こんなに若い作家さんにバブルが描けるのか、と、半信半疑でページを捲ってみると、堪らずお寿司が食べたくなりました。ダイエット中にも関わらず、以降、柚木さんにはまっています。『本屋さんのダイアナ』は、もちろんお腹も空きましたが、あまからカルテットのお稲荷さん程ではなく、憎悪や愛情の形容が、私の今までの歩みの中の漠然とした感情をくっきりとした形に導いてくれる、そんな教科書みたいな一冊になりました。柚木さんの、感情や人物、色彩描写の多才さに改めて感動しました。ストーリーの最後は、やりすぎな位ドラマチックで、一緒に息を切らして走った気分です。涙がしばらく止まりませんでした。表紙も可愛く綺麗で、私の大好きな本です。 | ||||
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「赤毛のアン」をモチーフにしてる所で、正直「お前もか!」と思わずにはいられませんでした。 朝ドラで食傷気味(←赤毛のアン+村岡訳ファンだと色々言いたい事ありますよね…)だったので…。 キラキラネーム+シングルキャバ嬢の母という環境のダイアナと、健全で清潔で洗練された経済的にも恵まれた環境で育った彩子。 互いの資質と境遇を、互いに羨望している2人の少女の心の揺れに、「ああ、こういう年頃があった…」という感慨を抱きました。 もっと若い内に読みたかった本です。すっかりいい歳の大人になっている自分には、郷愁でしかありませんが、若い時なら指南書として信者になったかもw 大人になりきってる身から言えば、彩子の無垢さをこういう風にに汚さなくても良かったんじゃないかと思います。足跡ない雪一面をぐしゃぐしゃにして喜んでる感じが柚木さんの「黒」部分なのかもしれませんが、「松林は…豚小屋と同じように真実だ」(←分かる人だけ分かって下さい)というフレーズをふと思い出しました。 くれぐれも…面白かったです。 | ||||
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