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ナイルパーチの女子会



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【この小説が収録されている参考書籍】
ナイルパーチの女子会 (文春文庫)

ナイルパーチの女子会の評価: 3.91/5点 レビュー 88件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.91pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全61件 21~40 2/4ページ
No.41:
(4pt)

互いを喰らいあうような女ふたり

大手商社のキャリアウーマンの栄利子は多忙な毎日のささやかな楽しみとして『おひょうのダメ奥さん日記』という人気ブログを愛読していた。ある日、栄利子はふとしたことからおひょうこと翔子と出会い、交流を深めた。
翔子はスーパーの店長である夫と二人暮らしの専業主婦。のほほんとした雰囲気を持つが、内心は親の財産を食い潰し、なにもしないのに高圧的な父親と、その父親に嫌気がさして失踪する母親への鬱屈を抱えていた。
そして、栄利子も翔子も心許せる友達がいない。
そんなふたりは初めてできた女友達に最初ははしゃぎ嬉しくなるも、翔子が実家に行くことになり、しばらくブログを休んでいたことから栄利子による翔子へのストーカー行為が始まっていき……という話。

今はTwitterを退会されたものの、作者の柚木麻子はこの小説を書いたきっかけを、Twitterにて「最近、女子会をやってわいわいしているとそれに対して周りのざらついた視線を感じる時がある」と呟かれた。
そこから「友達」とはなんだろうと突き詰めて書かれたという。
正直、私自身も高校時代に友達ができず、友達を作らねばと躍起になり、栄利子のように友達ができない心の傷を拗らせたり、女の子たちが固まってわいわい騒ぐさまを見て、殺意に近い憎しみの眼差しを向けた過去があるので、学生時代に友達ができなくて心細さを感じた人間にはかなりグサグサ刺さる作品ではないだろうか。
そして、生真面目さが災いして他者を自分の価値観の鋳型に無理やり入れて張りぼての友情に固執する栄利子が獰猛なナイルパーチなら、翔子はさながら他者(男)に寄生して侵食していく人食いアメーバのようで、ベクトルは違えど似た者同士だなと寒気が。
と、同時に友達がいないからくるコンプレックスという呪いを解くのは、結局は自分自身だけなのだと改めて思い知らされる。
結末は纏めようと焦りすぎた感があり未消化だが、友達を作ろうという過去の呪縛から解放された栄利子と翔子が受けた代償の大きさに痛々しくなるし、それを踏まえて彼女たちが友達の多寡とかステータスとかで自分や他人をジャッジするのをやめて自分なりの人生をきちんと生きられたらと願いながら星4つ。
追記・コミュニケーション能力は高いが成り上がるために栄利子の同僚と既成事実を作り婚約した派遣社員の真織。彼女が栄利子に言い放った言葉は確かに一理あるものの、あの狂暴さとマウント臭がするコミュ力からして真織は実は友達と思っている子らから疎まれているんじゃないかと意地悪な考えが過った。もし、そうだとしたら真織はどう反応するだろうか。そして真織の張っていたクモの巣に引っ掛かった杉下は多分失踪等をして真織からフェイドアウトしそうで怖い……。
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No.40:
(5pt)

女性の友情は怖いです。

商社勤務の30歳の女性が仕事は出来るし、仕事上なら上手く人間関係をさばけるのに、プライベートになると、友人もいない。彼女が好きなブロガーさんと偶然知り合い、強引に「親友」となっていく過程が怖いです。作者の他の作品も読んでみたくなります。
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No.39:
(4pt)

身近にあるホラー

途中読んでると怖くてやめたいけど、やっぱり続きが気になって夢中で読みました。私は恵莉子に近いと思って、読んでて自分の暗い部分をつかれているみたいで怖かった。友達がちゃんといる自分を演じてなかったと言い切れないし、もしかしたら私の言葉で誰かを追い詰めてしまったことがあるかもしれないと思った。
人の心は思い通りにできないというのを忘れると、人って横暴になったり自分の読み通りの言動をしない人にイライラするのだと思う。
翔子のラスト、強くなったなと思った。
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No.38:
(5pt)

同性間に築く友情の困難さ。

一流商社勤めの女性が、ブログを書いている女性と一方的に親友になろうと努めるのだが、結局は破綻してしまう。育った環境も置かれている状況も異なるふたりだが、視点人物を巧みに交互に転換することで、ふたりは似た者同士であることを描出する手法は見事である。
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No.37:
(4pt)

読了後に胃もたれするのについ癖で覗いてしまう柚木ワールド

柚木先生の作品に登場する人物は、大概狂ってる。有名になる柚木作品では特に磨きのかかった狂人が所狭しと躍動している。毎度のことだが、最初は登場人物達を「こいつ、やべぇやつだな(笑)」と第三者的に突き放して眺めていたはずが、気付くと鏡越しに自分を見ているような錯覚に陥る。ナイルパーチの女子会も正にそれ。胃がきりきり痛む。毎度こうなると知っててつい柚木先生の小説を読んでしまう。正直とても困っている。
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No.36:
(4pt)

快活な柚木麻子節が恋しくなってしまったよ

本作品は、エリートの独身女子と主婦ブロガー、友達いない彼女たちが、人と人との距離を測りかねて空回りていく様が描かれている。

物語は、二人の視点が切り替わって進む。

著者は、女心の抉り方が容赦なしだね。他の作品には、怖い女が登場するものがいくつかある。彼女たちは、一見無垢、しかしながらその心のうちには、寒々しいものを抱えている。本作品にもそんな女子が登場するのだ。

読了した時には、快活な柚木麻子節が恋しくなってしまったよ。

ちなみに、ナイルパーチはスズキの代用品だから、タイトルが何を示唆しているかは自ずと分かだろう。
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No.35:
(5pt)

男こそ読んで見てほしい。

男の自分だが、女子会という言葉の違和感を少し理解できた気がした。
最初は栄利子は頭がおかしい人間だと思い、怖いもの見たさで読み進めたが、翔子が英利子に似た部分があるように、男の自分にもかなり似た部分が多いと感じた。
ちょっとした人との出会いやタイミング、運の違いで同じような人間になっていたかもしれないし、もしかするとこれからなる可能性もあるのではと思うと少し怖くなった。
楽しい小説ではないけど、ドキドキ、ヒリヒリした印象に残る作品でした。
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No.34:
(5pt)

展開がすごい

展開がすごい
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No.33:
(4pt)

心当たりのある人には痛い話

住む世界の違う女(独身キャリアと主婦ブロガー)がブログを接点に出会った話。
という感じで見始めたけど全然違った。
まぁ、何も考えずに読むとホラー。
ただ、結局は人との付き合い方についてだと思う。
人との付き合い、友達の作り方、誰も教えてもらったことがない。
友達が多く、普通にできる人にはわからないだろうけど、
そうでない人にとってはすごく刺さる場面が多々あった。
行動は過激だけど、その心情はなんとなくわかる。
誰でも一度は経験してるだろう学生時代一番仲の良かった友達が
別のグループと仲良くなった、彼氏を優先した、そういった寂しさの類から
うまく切り替えられなかったんだろうなと感じた。

翔子の家族との気持ちもすごくよくわかる。
家族だからって誰もが無償の愛情で繋がってるわけじゃないし
家族だからってだけで、いつまでも愛せる訳じゃない。

真織は友達が全てでエリコからは負けたように見えたかもしれないけど、
結局は友達以外の男、家族とはうまく繋がれないんだと思う。

人はよく見えるけど、それぞれに悩みを抱えて
それぞれにうまく人と付き合ってるんだなぁって胸が痛くなった。
えりこが救われますように。
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No.32:
(5pt)

読む人によって読み方は違う気がしますが

話の展開、栄利子や真織の人物設定など所々現実的ではない(リアリティがない)箇所がありますが、この小説で重視するべきポイントはそこではないと思います。
栄利子と翔子それぞれが友達がいないという現実とどう向き合っていくかを見ていただきたいし、小説の中では人と人との関係性についてとても丁寧に細かく書かれてます。
ただ、主人公たちの心情部分は少数派なところがあるので読む人によって共感できないと思うかもしれない

個人的に思うのですが、男性や友人関係に悩んだことがないと自負できる人には、登場人物を自分に置き換えて読むより、自分の周囲に栄利子や翔子と似たような人はいなかったか?などを考えて読んでみるといいと思います。
友達が少ないことに悩んでる、主人公たちと似たような所を持っていると感じた人は、主人公たちと悩みながら読むといいと思います
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No.31:
(5pt)

1986年体制の終焉

2019年の現在、思ったのはトランプ登場前の2015年位の感じだよな~という事です。

それぞれの育ちの良い中での二人、派遣の玉の輿狙いの下層階級出身者、中産階級出身の既婚者の立場から見た世相を描いています。

この辿り着いた閉塞感の中から次の時代が始まる訳ですが、それがどんなものかはまだ分かっていないのです。
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No.30:
(5pt)

「女友達がいない女」はヤバいのか

すっごく面白かった。「女友達がいない女」がテーマだが、内容はセンセーショナルではなく、これでもかというほど友達がいないコンプレックスや切望、その様子が他人の目にどう映るか、なぜ友達ができないかの描写に紙面が費やされる。そこがいい。

個人的に彼氏いない歴=年齢の女性よりも、友達いない歴=年齢の女性のほうがヤバく感じる。前者は私にとって他人事だが、後者は具体的な迷惑に直結する。経験上、友達が全くいない人には非常識な人が多い。単に魅力や必要の問題ならいいが、こちらを傷つける非常識な人なのか否かはそれこそ深く付き合ってみないとわからない。

栄利子は典型的な「やばい奴」。自分のプライドのためだけに友達を切望する様子は、皆が持っているぬいぐるみを欲しがる女児となんら変わらない。友達が好きなのではなく、友達のいる自分になりたいだけだ。脅迫して友達を作るなんて、根本から間違ってる。
翔子は女より男が好きで、芯からは友達を欲していない。居心地のいい人間関係を夫や恋人に求めるから、ギブアンドテイクな友達はいらない。無気力だったり依存傾向があったり多少の問題はあるのだが……こういう人いるし、別に嫌いじゃないな、と思いながら読んだ。

この話の面白いのは、脇役として友情を重んじる人もかなり細かく描写されるところだ。彼・彼女らも別に「いい人」ではない。ただ同性の仲間が好きで、互いに自立しあいながら助け合う「友達」という人間関係が性に合っているだけだ。
私も友達と一緒に結婚式の衣装合わせをしたし、今も友達にマイホームの相談をしている。真織の考え方は極端過ぎるけど、少し分かる気がした。
心の拠り所が栄利子は両親、翔子は夫だとしたら、友情を最も大事にする人の拠り所は友達であり、反面伴侶や親にそこまで期待をしない。伴侶の想像力の欠如や浮気、家事の怠慢に寛大なのは、初めからそこまで期待してないし、相手がいなくても本質的には大丈夫だからだ。結局人は複数の人間関係を心の拠り所にするほど器用ではなく、拠り所にした対象によって人間関係の癖ができるものなのかもしれないな、と思いながら読んだ。

しっかし温泉旅行の描写、本当にグロテスクだった……。裸ではしゃぐおばさんって客観的に見ると超イタイと理解した。
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No.29:
(4pt)

キモいメンへラ☆ストーカーふたり

なんとな〜く微妙な一作。傑作とも駄作とも、リアルとも嘘っぽいとも。女子の゛親友欲しい゛気持ちは単純に世間体だけじゃない。ギャングエイジである少女たちの排他性は可憐なようでいて、地上もっともサバイバル。この関係性を悪化させ、心に血を噴いたのが栄利子。対照的に、何もかもを億劫ととらえる翔子。世界を飛び回る商社ウーマンと怠惰な専業主婦という、一見勝負あった二人の力関係を呆気なくつき崩す作者の豪腕。社会という名の梯子の自在な掛け外しが文学だな、と。通常、接点がないはずの二人が、ブログという密室かつ世界発信な繋がりを握られた結果、さて、どうなる?というストーリーでした。

卓越した心理描写にグイグイ引き込まれるも、ストーリー展開が不自然でついていくのが、やや困難。思うに、「前後編」とかパキッと2つに折り分けてくれたらもっとよかったかと。個人的には、翔子の家族に対する忌避感が身につまされ、ふたつとない傑作でした。

が、それにしても栄利子のうす汚いストーカーっぷりに、終盤、とことん私は嫌気がさしました。なんだ言ってヒロインなんですから、多少の愛嬌くらいはせめてもに残して欲しかったな…あれじゃあ夢も屁ったくれもありはしない。単なる「手癖の悪い低能なヤンキーあがり」。あんなに暴走しますかね??きっとまた相手を変えて、彼女は繰り返す・・

ストーキングってか「万引き犯」みたいなああした常習性。不愉快ですね。
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No.28:
(4pt)

怖いだけではない、自省をさせる一冊

佐藤優氏の『嫉妬と自己愛』で、こじれた友情を理解するために適していると紹介されていた作品。
主婦ブロガーの翔子と友達になろうと接近する商社勤めの栄利子の一方的な思い入れが不気味な序盤。
狂気さえ漂わせる栄利子の言動に弾みがかかる中盤。
生きている世界は違えど、二人を動かす価値観や欲求は底で通じていたことがわかる後半。
そして、栄利子や翔子が抱える心に空いた穴は、自分自身も抱えているものなのではないかと気づかされる終盤。
単なるエンタメ小説の枠組みを超えた、自分を省みさせる力を持つ一冊であると思います。
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No.27:
(5pt)

怖い!

とにかく怖いし、
自分にも少しでもそんな怖さに共感すると自分も狂気?と思ったり、自分も感情、共感もどうしたものか?と疑ったりと、なかなかスリリングでショッキングな中盤。
でも最後の方はかなり希望の光も感じ、一定の満足なあたたかな気持ちで読み終えれたかな。
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No.26:
(5pt)

痛いけどさっぱりした読後感

キャラクターの描かれ方(特に栄利子)が極端ではあるものの、決して他人事とは思えない、身に覚えのある心情がたくさん書かれていて、イタいところを突かれつつも読んでいて安心感がありました。

自分も他人との距離感の測り方が分からず空回りしがちなタイプなので、登場人物の中で唯一真織が非現実的な存在に思え、それでいてかっこよく思えたのかなと思いました。

抉られつつも最後まで読むと少し心の風通しが良くなるような作品でした。
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No.25:
(4pt)

力作だが息が詰まる

このストーカー心理って、実は男も女もなく、似たような感じになるのだと思う。ただ、その精神の壊れ方が、やはり読んでいて異常だと思い、感情移入できなかった。読んでいてドン引きする感じ。登場人物がいやなやつばっかりなんだけど、それが読後感の悪さにつながる。一人くらい、いい人というか翔子の味方がいてもいいと思うんだけどなあ。
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No.24:
(5pt)

同性の友達って大変

柚木麻子さんって、比喩表現でなく、キャッチコピーみたいに作品の中で大事なことを短く伝えてくるため児童文学に似ている。
同性の友達について掘り下げられており、今なお人間関係に苦心している私にとって身につまされる部分が多々あった。
作品では、「友達っていうのは努力でどうにかなるものではない」と言ってみたり、「人間関係はメンテナンスしながら調整していく繊細なもの」と表現したりなかなか難しいものだ。
私は栄利子みたいに他人との距離を間違ってしまうことが多く、それ故に失敗が沢山あった。栄利子の行動に周りが怖がる様子が描かれる、私もこんな風に怖かっただろうなと思う。
沢山失敗しないとわからなかった他人との距離感。
学生時代の同性の友達が大事っていうのはなんというか狭い水槽に入れられ、その中でヒエラルキーが形成される中で、友達がいないということはそのままヒエラルキーに影響し、存在価値にまで影響した。だからあんなに必死だった。大人になってからの友達関係とは違い、学生のときの人間関係は過ごす時間というか、友達と一緒にならないとどうにもならないことが多く、避けては通れない死活問題だった。
ただ、大人になっても同性の友達問題は尾を引いている。
結婚できてないのはおかしい、友達がいないのはおかしいと言われる。もう疲れた。自分はおかしいんだろう。
真織のような女友達が大事!と30歳になっても憚らずに言える人のことを私は軽蔑している。真織の結婚相手が女子会を尊重することを馬鹿にしているのも共感できた。だって友達友達って女子中学生みたい。でもそれは真織のように上手くできないから。
私だって人間関係をメンテナンスしているつもりでも、気を遣ってるけど同じようにはできない。私は栄利子のように上辺だけを猿真似しているだけで、相手は困惑しているんだろう。
恋愛できる相手がいて、同性からの友達もいる、という昔のティーン誌で読んだ「両モテ♡」がこなせないと真織のように「お前が同性から陰でなんて言われてるか知ってんのか」と野次る人が出てきて嫌だ。
真織は中学生のときの人間関係が上手な気が強い女の子にそっくり。
あの子今何してるのかな。私は今でも怖いです。
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No.23:
(5pt)

狂気に満ちた承認欲求

面白いです。ゆっくり読もうとしたのに、気付いたら夜明けが来るまで読みふけってしまいました。
他人に認められたい、そんな誰もが持つ承認欲求を社会的地位とブログでのアクセス数に求める主人公の二人。自分にはできない方法で社会から承認されている二人はお互い惹かれ合うが、憧れの人からの承認を目指し、認知すらされない自分に苦しみ、その人から執拗に承認を求めるようになり、気付く頃にはストーカーへと化していた。本編ではそんな主人公たちの心の声が直接書かれていて、読み始めの頃はその狂気じみた承認欲求に恐ろしさすら感じますが、読み進めていくごとにこの主人公は私たちそのものではないかと分かってきます。
途中、東電OLなど実在の事件も登場し、益々現実の人間の承認欲求が恐ろしくなってきますが、最後はすっきりと読み終えられます(ただ夜3時くらいに中盤を読んでいた頃は、栄利子と同じような承認欲求を持つことに気付いた自分自身が彼女と同じように腐っていくのではないかと恐怖を感じました)。
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No.22:
(5pt)

真織さんのストーカーになりたい

面白かったです。「あまからカルテット」にうんざりしたまま、敬遠しないでよかった。
むしろ、これを読んだ後では、「あまからカルテット」は、作者の意地悪な悪い冗談みたいに見えてくる。

女性どうしの友情を、いたずらに賛美するのではなく、その難しさや恐さをホラー映画なみの、やや滑稽なまでにデフォルメした表現で浮かび上がらせているけど、通り一遍でない、型にはまらない、人の心の弱さが基本に描かれていて、そして決して女性に罪を着せてはいないけど、かと言って単純な男女の戦いにもしていない。

どういうか、読み終えて、ある感慨を持ちました。「女性の友情なんて成り立たない、あり得ない」と言われていた私の子どものころ(ざっと50年ほど昔)から、「セックス・アンド・ザ・シティ」などのドラマが描く確かな女性の友情がしっかり市民権を得るようになって、それがもう、皆を縛る常識として批判的に分析されるまで、時は流れて、進んだのだなと。そして、女性男性両方の責任や社会の在り方との関わりを、これほどきっちりとらえていて、決して安易に女性を悪役にも被害者にもしない視点や描き方が、ここまで生まれてきているのだなと。

作者はもちろんすぐれた才能の持ち主であることは疑いないのですが、でも、この人がこれだけの広さと深さで女性の友情を見つめて描ける背景には、フェミニズムやジェンダーや、その他もろもろの社会の進化と発展があって、それなくしては生まれなかった小説ではないかと思うのです。それは作者の過小評価では決してなくて、そういう男女を問わず、新しい時代をめざして苦闘してきた多くの人たちとの合作として、この小説は生まれているような感じがするのです。

いろいろある意味、ひっどい話なのですが、妙にさわやかに笑えるのは、これは大きな意味でも細かい意味でも、相当事実に近いという実感が私自身にもあるからで、ひとりひとりの登場人物が嘘みたいに「まさかこんな」と言いたいほどとんでもないけど、でも絶妙に過不足なくリアルなんですよね。醜すぎて、何もかもが美しい。

欲を言うとさ、いや冗談なんですけど、唯一の欠点は、真織さんがカッコよすぎ(笑)。彼女のせりふと行動のひとつひとつが、特に最後の場面なんか、もう最高で笑い転げて読みました。彼女を主人公にして、一生を小説にしてほしいです。いやマジで。
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4167910128

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