■スポンサードリンク
ひとり旅立つ少年よ
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
ひとり旅立つ少年よの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「神は銃弾」以降ようやく落ち着いた感じがします。いい作品でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
奴隷制度の醜悪さは伝わるも、12歳の思考や行動は時代差もあろうが贖いへの思索は案外深くなく、旅も周囲に助けられ達成。解説子のトンプスン絡めは強引かも。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ボストン・テランの本はどれも好きですが、犬を扱った前作から、弱者への視線が一層優しくなったように思います。少年の、詐欺師であった死んだ父親との対話や出会った人々を通じての成長がよく描かれていると思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この本を読んだのは、産経新聞の読書欄で紹介されていたからである。書評には、「1850年代後半のアメリカ。12歳の少年チャーリーは4千ドルの大金を上着の裏地に縫いこんで、ニューヨークからミズーリに向けて旅立つ。そのお金は奴隷解放運動の資金として奴隷制度廃止運動家に届けるためだった。」と書かれていた。 少年が大人になるまでの成長記録と人種差別廃止運動、と自分の関心事、他にもあるが、の二つまでもが題材となっているので、すぐにiPadに収納した(書籍の購入に不便な国で勤務しているのでこの方法しかない)。作者が英語圏の人の場合は、できるだけ原文で読もうと思っているのだが、体調が悪かったのか脳が疲れていたのか、英文を読んでいてもさっぱり頭に入らなかった、これはいかん、と思い、翻訳本を買い直して読んだところ、嘘のように内容がスイスイと頭に入ってきた。翻訳者の技量に感謝したい。 さてこの本である。主人公のチャーリー少年の父親は希代のペテン師である。しかし、彼は父親の、よく言えば、機転を効かす頭の回転の良さを引き継いだだけでなく、黒人奴隷が目の前でなぶり殺しにされるのを助けることができなかったがために、精神に異常をきたすような心根を持った母親の血も受け継いでいる。その不敵さと正義感が、彼をして困難な旅を続けることを決心させたのだった。 こういう主人公には、彼を助けようとする人々が多く登場する、中にはそのために命を落とした人もいた。少年は多くの無私の行為を厭わない人々に守られて旅をするのだった。そのうちの一人のバトラーという男に作者が言わせる台詞が私には印象的だった。『少年はバトラーに、「あなたはこの上着をぼくから奪って、中のお金をモンゴメリーに持っていくこともできた。それなのにどうしてわざわざぼくに任せたんです?」その問いに答えるバトラーの顔はむしろ物憂げだった。チャーリーにはそう見えた。「男も女もただ生まれるだけじゃない。男も女も生きることで創られるんだよ。そんなふうに創られた男女はそういつもこの世に有り余っているわけじゃない」』、私もそんなふうに創られた男女の内の一人でありたいと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1人の少年を通して当時のアメリカの雰囲気が知る事ができました.アメリカの痛みや強さが少し理解できたような気がします. | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
かろうじて最後まで読んだ。 でも時間の無駄。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
早くボストン・テランの全作品の翻訳が読めるようになってほしいですね。 59章でエンジェル・ファイヤーの姉の裁判が結審する前の晩に裁判所の周りに集まった支持者たちが歌っていた歌はスティーブン・フォスターが作詞、作曲したHard Timesという曲です。Oh, Hard times come again no more. (ああ、辛い日々よ、二度と戻ってこないでおくれ。)というリフレインが印象的です。1854年の作曲で、この作品の舞台が1855年ですから辻褄は合っています.....。 19世紀の半ばに作られた歌ですが20世紀後半1980年頃からカバーする歌手が増えてきました。ボブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーン、ジョニー・キャッシュ、ジェームス・テイラー、ザ・チーフタンズ、エミルー・ハリス、 メアリー・ブラック、矢野顕子など。21世紀になってもこの傾向は続いているようです。最近では日本映画「サバイバル ファミリー」のバックタイトルに流れていました。息苦しい社会環境がそうさせるのでしょうか。 https://youtu.be/4YrfLnlrquo https://genius.com/Stephen-foster-hard-times-lyrics 音源と歌詞は上記のサイトにあります。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
Ⅰ、はじめに。 ボストン・テランの2018年の作品の翻訳。すでに優れたレビューが載っているので、本書の内容等については省略し、何か別のことを書いてみよう。 Ⅱ、概略。 〇本書はテランの第10作の翻訳である。 〇2009年に出た第5作はなかなか訳本が出ず、やっと2017年に『その犬の歩むところ』(以下、『その犬』と略)の題で翻訳出版された。しかし、バイオレンスのほとんどない、ちょっとテラン作品らしくない、ヒューマニズムの香る(というより犬への愛情あふれる)、多分に感傷的で、音楽小説風味もあり、(敵ではなく火事からの)緊迫の救出シーンもある『その犬』が、日本で大好評で迎えられたことは周知の通りである。原著出版社のホームページにも「日本で非常に人気」と書かれている。 〇本書は、日本では『その犬』に次いで翻訳出版された本だが、原著としては、『その犬』の次に、第6作『暴力の教義』(新潮文庫)、第7作、第8作、第9作があるので、7、8、9作を飛ばして、本書が翻訳されたようである。(7作は6作と同じルルドもの、8作はルルドの息子ものとのことなので、いずれ新潮から出るのかもしれないが)。 〇興味深いのは、『その犬』でテランを初めて読んで感動した読者が、この本を読んでくれるかどうか、読んで感動するかどうかだが・・ イエスの根拠。 ・出版社としては、犬→少年という流れを期待して、本書を選んだと思われる。少年も犬同様に神に近いものかもしれない。 ・少年の冒険成長小説と考えれば、親しみやすいかもしれない。南北戦争前という古い時代だが、トム・ソーヤーやアンクル・トム等の少年世界名作あるいは、日本で大人気の『風とともに去りぬ』の延長上の時代背景ではある。 ノーの根拠。 ・本書は一応典型的なテラン作品であり、バイオレンスシーンもそれなりにある。『その犬』とは世界が違う。 Ⅲ、私的感想 〇面白かった。大衆小説としてのストーリーがよくできており、ラストのクライマックスにも説得力がある。 Ⅳ、ついでに 〇テランの第11作は2019年発売の『HOW BEAUTIFUL THEY WERE 』で、1850年代(南北戦争前)のアメリカの劇場をテーマ(舞台?)とした作品らしい。ぜひ読みたいが、翻訳出版されるかどうかは本書の??? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「神の銃弾」で鮮烈なデビューを飾ったボストン・テランの現時点での新作「ひとり旅立つ少年よ("A Child Went Forth")」(文春文庫)を読む。著作の中では、スタイリッシュな「凶器の貴公子」が忘れがたい。 米国、1855年の物語。ニューヨーク、ブルックリン、詐欺師の父から大金を託されたその息子チャーリーが、奴隷制度廃止運動家のもとへその4000ドルを届けようとしますが、一方その大金を追って、悪の象徴のような犯罪者と黒人の逃亡奴隷の二人組が暴力の限りを尽くしながら彼を追跡します。ブルックリンからオハイオ、シンシナティ、ケンタッキー、ルイビルを経て、中西部を横切り目的地ミズーリまでを辿るロード・ノベル。(オハイオは、確かにドイツ系移民が多い街でした。シンシナティ。マウント・アダムスからオハイオ川の向こうはケンタッキー)いや、そう言ってしまうとその路上でただの<少年>が<大人>へと成長していく青春物語のように聞こえてしまいますね。 奴隷制度と人種差別。奴隷制度擁護派-対-奴隷制度廃止運動家。その社会的な構図の中で、ひとりの12歳の少年が命懸けで、その持ち前の<嘘>と父親から受け継いだ?詐欺師の技を駆使して、奴隷制度擁護派、殺し屋、心無き人々と戦い、逃亡し、かいくぐり、そしてまた戦いを挑む物語。ボストン・テランの作品はスリラーでありながら、普通小説のように文章を紡いでいきますから複雑な、奇をてらったストーリーではありませんが、ほぼ3分の1ぐらい読み進んだあたりで「あーっ」と思った箇所がありました。 「草の葉」、「アンクル・トムの小屋」、ディッケンズ、そしてP.T.バーナム。その時代を象徴するグレイテスト・ショーマンたちが随所にただのアイコンとしてだけではなく、深い意味を持って引用されています。それらは、この小説の"undercurrent"としてオハイオ川のように、或いはミシシッピ川のように強く、暗く流れています。 夥しい数の暴力、流される血、人間の恥と良心、悪徳と美徳、二極化する心に苛まれるチャーリーの<罪悪感>を超えて、ペキンパーの「ワイルドバンチ」を彷彿とさせるような、誤解を恐れず言えば、本当に美しい、スリリングで心躍る「戦闘」が待ち受けています。 エンジェル・ファイアー、アニー・パイと呼ばれる二人の聖なる少女と「カメオ」の存在。家族の「聖書」によって導かれた少年は立派な若者に成長しながらも、硝煙の向こうでこう問いかけることになります。「ぼくのいるべき場所はどこなんだろう?」 ボストン・テランによるハイ・スピードで大人の階段を駆け上がった少年の準備の物語は、「鮮血の暴力とリリシズム」というテーマを今回も力強く継承しています。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!