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火定
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火定の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.29pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全45件 21~40 2/3ページ
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奈良時代を舞台にした歴史小説が好きで読んでいましたが、澤田さんは今回の著書で初めて知りました。 今のコロナ禍と重ね合わせてしまう、外国人排斥・デマ、そして医療従事者のジレンマが鬼気迫る描写で描かれています。うだるような夏の光景と、登場人物たちの感情がシンクロして、読み手も嵐のさなかにいるような感覚でした。 | ||||
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藤原四兄弟が相次いで天然痘(本書では裳瘡)で亡くなった時代が舞台になっています。悲田院の医師が時代に翻弄されつつも、正直な医師として志を貫きます。1つ難点は、会話文が江戸の言葉になっていて、雰囲気を損なっていることです。 | ||||
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2017年に出た本がコロナ禍の2020年11月に文庫本化。奈良の大仏が作られる少し前に平城京で実際にあった天然痘の大流行を題材とした小説です。著者のかたは奈良の仏教史の専門家とのことですが、目の付け所が鋭すぎます。歴史小説でありながら、近未来(数年後、つまり今)の感染症パンデミックを予測して書かれたかのような内容。出てくる言葉や人名の読み方が少々難しいですが、じきに慣れます。奈良時代の奈良の人々のセリフが標準語(というか、べらんめえ調)なのは勿論不自然ですが、おかげで読みやすいといえば読みやすい。インフォデミック、医療崩壊、「密」の回避、懐を肥やす小悪党(これが途中で少し某国の元大統領の姿に重なって見える場面も)などなど、現在のコロナ禍との共通点を見出すたびに「今といっしょじゃん!すげー!」ってなります。(ただし天然痘のほうが新型コロナより致死率も患者の見た目も遥かにこわい。地獄絵図のような強烈な描写。映像化したらトラウマ必至。)しかし、この本、あんまり話題になってませんよね。時節柄もっと取り上げられてしかるべき本だと思うのですが。なお、コロナ禍うんぬん抜きにしても、純粋に小説としての面白さだけで私的には十分☆5つです。 | ||||
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おもしろい。 | ||||
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奈良時代に起こった天然痘のパンデミックが鮮やかに描かれている。当時と現代と、ウイルスに対する科学的知識に違いはあるが、人間の心の中の潜在的な恐怖は当時と何も変わらない。 | ||||
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はじめはちょっと読みずらっかたけど すぐにはまり「新型コロナなんてもんじゃナイ」 一気に読破 勇気をいただきました。 | ||||
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とても読みやすいので、一気読みしました。医療とは何か。考えさせられました。一人の青年の成長譚としても秀逸です。 | ||||
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時は天平時代。外国から帰国した人たちに天然痘が発生しました。細菌でなくウィルスが原因の感染症です。飛沫や接触で感染します。 新型コロナウイルスが2019年12月に中国で見つかりました。2020年1月には日本でも感染が確認されました。その後はマスクが売り切れ、関係のない紙製品まで品不足になっています。 この本は奈良時代が舞台ですが、日本の状況を予想させるような展開です。当時はマスクがありませんが、得体のしれない黄色いお札が高値で取引されます。活気に溢れていた市場には感染を恐れて誰もやってきません。 主人公は二人です。名代は国立の施療院で働く役人ですが、出世の見込みのない職場からの転勤を願っています。もう一人の諸男は優秀な医師です。今でいえば国立の医療研究所の研究員でしたが、上役から実力を妬まれ、無実の罪で投獄されました。偶然の恩赦で出獄し、復讐心に燃えています。 復讐心、嫉妬と誤解、恐怖心ゆえに発生する暴動、外国人への憎悪など、時代を越えて人間に共通するものです。著者のストーリー展開は上手で、読み進むにつれて謎が明かされて行きます。 カミュのペストと読み比べると興味深いと思います。 | ||||
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天平の時代、新羅から日本に持ち込まれた疫病の天然痘が日本列島を襲う中、それを食い止めようと奮闘する医師と、その混乱に乗じて消厄祈願の札を売りつける者たちの、生死の狭間で繰り広げられる人間模様を描いた物語。 物語は施薬院の助手の名代と、元医師で無実の罪を着せられた諸男、二人の視点から描かれていく。 序盤は病人の治療を行う施薬院と、孤児の面倒を見ている非田院の話で一見退屈に感じるのだが、高熱の患者および疱疹の患者が出てくるや否や、物語は一気に加速する。 天然痘という疫病に対して人間がどのような行動をとるのか、人の弱さ、神頼み、怒り、混乱、略奪など、為す術もなく途方に暮れる人々がいる中、懸命に治療を続ける綱手の姿勢には胸が熱くなった。 綱手の医師の矜持を示す以下の言葉は印象に残った。 「己のために行ったことはみな、己の命とともに消え失せる。しかし、他人のためになしたことは、たとえ自らが死んでもその者とともにこの世に留まり、生きた証となってくれよう。自分の命を他人のために用いれば、誰かが自分の生きた意味を継いでくれると言えるではないか」 | ||||
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感染症の脅威、恐怖、悪意を持った異臭、包み隠さず描かれていました。 | ||||
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天平時代。 天然痘が、寧楽(なら)の都に、襲い掛かる。 「生」と「死」が隣り合わせにある中で、他人を押しのけてでも自分だけは助かろうとする人。前代未聞の混迷を千載一遇のチャンスと捉え金儲けに走る人。流布に翻弄され、暴徒化する人々。 一方、天然痘という病の蔓延を必死に食い止めようとする施薬院の医師や彼らを支える人たち。 人間を様々な角度から切り取っている。 「悪」の中にも「善」はあり、「善」の中にも「悪」はあり、相反するものではない。 様々なことを考えさせられた作品。 一気読みでした。 | ||||
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天然痘が寧楽の都に蔓延する。奈良時代のパンデミックに対する医者や市井の人々の行動を描く。公家を含む高貴な方々にも罹患し、都は混乱(パニック)に陥る。当時は天然痘についての知識が乏しく、治療の手立てもない。民衆は医療に頼らずに、まじない札など非科学的なものに頼り、果ては海外から天然痘がやってきたという理由だけで、外国人殺戮まで至るなど狂気の沙汰となる。 天然痘に罹患した人の描写は酸鼻をきわめる。特に後半は顔をしかめるしかなくなる。さて、天然痘に立ち向かった名代(なしろ)や諸男(もろお)は、それほど志高い人ではなかった。それでも何か運命に導かれるように病気に立ち向かう。奈良時代のパニック小説という試みは面白い。 また、この時代の用語は読めないことがよくあるが、本書では、適切なタイミングでルビが入れられているので、非常に読みやすかった。 | ||||
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これを読んで、人間の極限での生きざまというのを見た気がします。 現代の日本はなんと衛生的で便利で福祉の行き渡っている時代なんだと改めて思いました。 この時代では生と死が隣り合わせで、人も自然に帰るということをまざまざと見せつけられます。全体を通して凄まじいです。まさにこの表紙の通りです。 | ||||
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圧倒的に強靭な筆力で描かれている。 本書には渾身の力が注がれている。 天平時代を生きる人びとに直に教わった気分になる。 まさしく、ひとが生きている意味を教えられた。 凄惨な情景が怒涛のごとく次から次へと押し寄せてくる。 そこにはさまざまな形となって人間模様がうずまいている。 疫病の凄まじさはもとより、ひとの”業”が生々しく描かれている。 おぞましい姿があり、荒んでいくこころ。 疫病との戦いの日々であり、立ち上がるひとの姿がここにある。 読了し、感動のあまり、涙腺が弱くなる。 | ||||
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奈良時代、藤原不比等の息子で政権の重要ポストにいた藤原四兄弟が罹患し、次々と死んでいったことで有名な疫病(天然痘)の蔓延と、そこでの人間の生き様を描いています。著者の古代史の保有知識と医薬に関する探究心、そして人間心理への洞察が如何なく発揮された力作です。 奈良の都での天然痘流行という歴史的大事件、凄惨な状況が、物凄い筆致で読む者の眼前に提示されます。その状況下で、冤罪に苦しみ恨みを抱いている医者、病人の命を救おうとする施薬院の医者、施薬院勤務から抜け出したいと思っている若い役人、民衆を扇動し暴動をおこす者などの心の闇や人間としての成長が描かれて、心に強く訴えてきます。 特に私の心を打った文は次の通りです。 「己のために行ったことはみな、己の命とともに消え失せる。じゃが、他人のためになしたことは、たとえ自らが死んでもその者とともにこの世に留まり、わしの生きた証となってくれよう。」 「疫病はこの都を愛憎の奔流のただなかに叩き込み、人間の醜い本性も、どうしようもない愚かさも、共に白日の下にさらけ出した。さりながらこの灼熱と狂奔の夏にあってこそ、人は誰かを救い、そのために闘い続けられるのだ。」 本の最終章名は「慈雨」であり、疫病がやがて下火になっていくかもしれないという暗示がされています。しかし物語の主人公の一人である、冤罪に苦しみ恨みを抱いている医者の完全な心の解放までは書かれていません。著者の以前の作品『若冲』でも今回の『火定』でも感じたのですが、私はいつの日か著者の「完全なハッピーエンドの物語」を読みたいです。 | ||||
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面白い! 久しぶりに古本以外でほしくなった本です。 天平時代に入り込めます。 | ||||
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数多い疫病の中で、天然痘は人間の力で根絶された。 しかし、かつては世界のあちこちで猛威を振るった。 日本でも何度も大流行した疫病だ。 本書の舞台は平安時代。 主人公は、初めあまり仕事にモチベーションを感じないでいたのだが、 天然痘が京で大流行し、懸命に対応するうちに変わっていく。 どうしようもできない人たちは、怪しげな神に頼る。世間も殺伐としてくる。 この地獄絵図を作者は真正面から見つめ、真摯に綴っていく。 そして、「生と死」という重いテーマを問いかけるのだ。 地獄を描きながら「希望」も感じさせてくれる、読み応えのある一冊である。 | ||||
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とにかく後半につれて考えさせられる内容と濃い展開になっていく。 伝染病によって京都が壊滅になっていくなかで 生き延びようと隠れる者、自らの命より皆の命を救おうとする者、悪知恵を働かせて怪しいおふだを高額で売りさばく者。 様々な人間が現れる。 これは現在にも通じる。 | ||||
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「長屋王を陥れた藤原四兄弟が、天然痘で次々死んだ」という話は、日本史の授業などで知っていましたが、本書はその天然痘のパンデミックで大混乱に陥る市中の様子が描かれています。 薬草による民間療法レベルの治療法しかない時代、病に罹った庶民の治療、収容を行う施設・施薬院(はっきり言って、エリートが派遣されるところではない)で働く医師達の奮闘、意地と矜持、また、庶民のパニックに乗じ一儲けを企む悪党たち‥‥。 次々担ぎ込まれる病人になす術もなく、疲れ果て、「こんなこと無駄だ!」とキレてしまった医師見習いの青年に、施薬院の院長が諭します。 「己のために行ったことは、己の命とともに消えうせる。しかし、他人のために行ったことはその者とともにこの世に留まり、わしの生きた意味を継いでくれる。」 「火定」という言葉を知らなかったので、調べてみたところ、「仏道の修行者が、火の中に自らの身を投げて死ぬこと」と書いてありました。聖書の「一粒の麦もし地に落ちて死なずば、ただ一つにてあらん、死なば多くの実を結ぶべし」と同じような精神なのでしょうか。 話は緊迫感にあふれ、一気に読了しましたが、終始騒々しい感じも受けました。パンデミックや、地震などの大災害の現場では実際にこんな状況なのでしょうが、小説としてはもう少しじっくりと落ち着いて考えさせられる部分も欲しかったように思います。 | ||||
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物語の展開が早くしかもドラマチックで一気に読了。改めて天然痘の脅威を思った。文化文明が進めば進むほどパンデミックへの対応は重要だ。そして国内外の歴史を丁寧に読み解けば現代でも大いに参考になる事象がまだまだあると気づかせてくれた。立身出世を夢見る若者、親から受けたトラウマを引きずっている人間、恋人の真意を信じられない男、個性豊かな登場人物に自分の気持ちを投影させ、時に痒みや不快感を覚えそうになるほどリアルな描写が圧巻だ。作家の資料収集と構成力、何よりその迫力ある筆致に圧倒された小説だった。 | ||||
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