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火定の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.29pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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小説では天然痘に罹患した患者はあたかも9割方死亡するような描写だった。しかしwikiによれば実際には2割〜5割程度の死亡率とのこと。この天平の大流行時には最初期の流行であり、死亡率も高かったのだろう。それでも5割程度の死亡率だったと思われる。 それなのに悲田院の罹患した子供たちを蔵にその死を前提に閉じ込めた施薬院の対応はいくら無知とは言え暴挙と言わざるを得ない。しかも遺体が原型を留めなくなるまで腐敗するまで誰もその存在を忘れているとはお粗末としか言いようがない。 人物の描写もステレオタイプで、オチも陳腐なものだった。奈良の町並みや家屋の描写、それに登場人物の発言などがどうしても奈良時代とは思えないようなものだった。江戸時代の時代小説を読んでいるような雰囲気。そもそも奈良時代なら庶民の民家は弥生時代から続く竪穴式住居で上框なんかなかった。直木賞を受賞させなかったのは選者達の最後の良識だったのかもしれない。 | ||||
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表現の匙加減が描き手のセンスに追うところが大きいとつくづく考えてしまう。数冊前に読んだのは、コーマック・マッカーシーの『ブラッドメリディアン』だった。食事中だと頁を繰るのがつらくなるほど、淡々と続く物語は乾ききった残酷の連続。奈良時代の疱瘡の大流行は日本にとって歴史を変えた大事件だったが、これを捉えた作品はほぼないと記憶する。奈良時代を描く時代小説が少ないので、仔細に時代を勉強しているこの作家の作品を手に取ったのはこれで3回目。だがデビュー作とあまり変わりのない人物像の描き方の薄さが気になった。性格も導き出される行動も想定内、ステレオタイプに留まる。創作には想像があることを許されているとは言え、未経験な阿鼻叫喚を大声で言うほどに訴えかけは奥行きを失い弱くなる。声の大きさや涙の量で悲惨さを図るのは、創作家としてはナイーブかもしれない。現代では疱瘡の患者を実際に見るのも難しく、死穢の恐怖や悪臭を書き連ねてもこの作品の行間から吐き気がするような臭さが感じにくい。試みは理解するが、こんなに大きな声を出さなくても創作の方法はあるのではないだろうか。 | ||||
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極限状態に追い込まれた人間がどのような行動に出るか、様々なタイプが描かれている。自分だったらどうするか、考えさせられた。 ただ、痘瘡に倒れ亡くなっていく人達の描写がいちいちグロテスクすぎる。 | ||||
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私の興味のある藤原四兄弟の時代を扱った歴史小説という事で期待して手に採ったのだが、全く期待外れの作品だった。歴史小説と言うよりは作者の何時もの抒情小説で、作者自身の殻を全く破っていないのである。 藤原四兄弟の時代に流行した天然痘を題材として、主に(四兄弟の妹の光明子が設立した)施薬院で働く医師・僧侶達の奮戦振りと京の騒乱とそれに伴う人間の業を描いた作品。諸男という元医師の数奇な運命がサブ・ストーリ-となっている(凡庸だが)。天然痘がもたらす悲惨さ・人間の理性を奪う怖さは描けてはいるものの、全体構成が良く練れていなくて物語に求心力がない上に、天然痘の元々の原因を新羅に求めている所に大きな疑問が残る(この時代、日本の方に先に感染者が出たという史実がある)。これでは関東大震災時のデマと大同小異である。更に、「白村江の戦い」、の後の時代なので、新羅が日本に朝貢するなんて有り得ないだろう。加えて、従来の巷説では、都の人々は、「天然痘が流行した原因は藤原四兄弟が長屋王を排除した祟り」、と噂したという事になっているが、作者がこの「祟り」には全く触れずに、藤原四兄弟の代りに新羅を元凶とした理由が皆目不明である。第一、伝染病の怖さや人間の業を語るならば、ワザワザ藤原四兄弟の時代にする必然性はなかっただろう。四兄弟の武智麻呂、房前(本作に名前だけ登場)、宇合及び麻呂の関係や政治的手腕の描写が皆無な点も奇異。即ち、時代設定を上手く活かしていないし、初めからその積りはなかったという印象を受けた。また、本作のラストで提示されている手法で天然痘のウィルスを退治出来たとは到底考えられない点も求心力の弱さを助長している。 対象時代の描写と医療行為とを組み合わせた歴史小説として飯嶋和一氏「出星前夜」や「狗賓童子の島」の重厚さ・骨太さと比較すると、本作は如何にも薄っぺらで安っぽい感が否めない。どんな時代を描いても、どんな題材を扱っても、結局、自身の抒情的世界に閉じ篭ってしまう作者の悪弊が出た駄作だと思った。 | ||||
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