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(短編集)

飛田ホテル



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飛田ホテルの評価: 4.30/5点 レビュー 10件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.30pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全10件 1~10 1/1ページ
No.10:
(4pt)

昭和の西成

たくましく生きている人々がいい。
飛田ホテル (ちくま文庫)Amazon書評・レビュー:飛田ホテル (ちくま文庫)より
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No.9:
(5pt)

哀愁

昭和の哀愁がよくわかる作品です。
飛田ホテル (ちくま文庫)Amazon書評・レビュー:飛田ホテル (ちくま文庫)より
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No.8:
(5pt)

良かった

また読みたい。
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No.7:
(4pt)

哀切な「大阪のどん底」の群像

黒岩重吾が初期に書き続けた、大阪の貧困地域が主舞台の「西成モノ」と総称される短編を集めたもの。

先日読んだこのシリーズの『西成山王ホテル』が面白かったので、復刊第1弾となった本書も購入。

帯には、《そのアパートに集まるのは大阪のどん底に飲み込まれた者たち――「男女の愛憎」を痛切に描く昭和の名作ミステリ短編集が復刊》なる惹句が躍る。

表題作「飛田(とびた)ホテル」は、かつて「飛田遊廓」があり、いまも「飛田新地」という歓楽街になっている大阪市西成区飛田を舞台にしている。

社会の落伍者が集まる汚い安アパート――通称「飛田ホテル」で、物語がくり広げられる。
刑期を終えたヤクザの主人公が「飛田ホテル」に戻ってみると、待っているはずの妻は失踪していた。行方を探すうち、妻の隠された実像を知ることになり……という話。

収録作6編のうち4編までは、殺人事件や失踪の謎を解くミステリになっている。

黒岩重吾は、初期には松本清張の流れを汲む社会派推理小説の書き手であった。直木賞を受賞した出世作『背徳のメス』も、大阪・西成の釜ヶ崎(現・あいりん地区)を舞台にした社会派推理小説だ。

ここに収められた6編も、『背徳のメス』と同じく昭和30年代に書かれたもの。

社会派推理といっても、清張作品のように精緻なトリックや緊密な構成はない。謎解きが主眼のミステリではないのだ。むしろ、事件にからむ人々の愛憎模様に主眼がある。

主人公はヤクザや娼婦、元娼婦など、社会の良識の枠からはみ出した、寄る辺ない人々ばかり。
いずれも無残な過去を背負っていたりして、世間並みの幸福をはなからあきらめている。

たとえば、「口なしの女たち」という一編は、聾唖の娼婦ばかりを集めた(!)売春組織(表向きは中華飯店)が主舞台となる。

そうした人々が織りなす物語はしみじみと哀切で、いまどきの小説にはない味わいがある。

「アルサロ」「マドロス」「ズベ公」「毛唐」などという古めかしい言葉が頻出する文章も、昭和レトロな感じでよい。
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No.6:
(5pt)

これがオイラのふるさと

古き良き日本の原風景が垣間見えます
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No.5:
(5pt)

最高です。

大好きな小説です。
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No.4:
(5pt)

昭和の小説を楽しむ

とても面白く読んだ。当時を生き抜こうとした底辺の人々の思いを感じさせる。もちろん小説だから、全てが事実であるわけがない。それでもこの登場人物たちの原型はあったはずだ。ではフィクションとして描かれたものは何だろう。それを探すことこそ、小説、特に昭和の中間小説、大衆小説と呼ばれた文学を読み直す楽しみではないか。「古くて読めない」なんてことはない。もしそう感じるなら、ある意味「誤読」である。
舞台は主に1950年代後半からせいぜい60年までだろう。そこには今の相対的貧困とは違う絶対的貧困がある。それがこの小説群の底流に流れている。
小学館から昭和の小説を集めたシリーズが刊行されたり、源氏鶏太の作品が見直されたりと、かつての流行小説の再評価の動きが出ている(黒岩重吾の直木賞受賞時の審査員の1人は源氏鶏太だったという)。
本書を企画した編集者に敬意を表したい。
なお、西川真似子氏によるカバーイラストが本当に良い。
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4480434976
No.3:
(4pt)

猥雑もここに極まれり


 黒岩重吾の初期の「西成もの」と言われる作品群。社会派推理小説と位置づけ
られているが、格調高い小説とは言えない。松本清張のような優れた推理小説とも
言えない。それでも結構面白かった。60年以上も前の作品だから男女の愛増も
今とはモラルが全然違う。それに戦争が色濃く影を落としてる。

 黒岩重吾自身が株で大損をして一時身を寄せたという飛田ホテル的アパート。
そこには「わきみちにそれた人間」や「わけありの人たち」が棲息し、人の目を
気にせず自由気ままに生きている。わきみちのそれ方はひとそれぞれ。まさに
人生いろいろである。

 小説の登場人物のなかに、自分のなかにいる自分の知らない自分と出会って
びっくりしたりする。オレもひょっとしたらこんな道をたどったかもと思わせる。
例えば『女蛭』の国本康人。

 国本康人  О百貨店宣伝部長、出世のため社長の娘と結婚。利己主義者。
 権妻    ヒステリックなブス。肌はかさかさ。
 昔の愛人  病的な女。蛭のように喰らいつく。
 今の愛人  若い。肌がしっとりした女。
 誘惑する女 モデルとして自分を売りこむ。

なんて登場人物がワンパターンなキャラを持っているんだろう。これって
土曜ワイドや火曜サスペンスのチープな世界だ。国本がほんのちょっとした
行き違いで破滅に追い込まれ、最後は劇的に殺される(橋の上から渓流に車で
転落する)物語をたんたんと描いている。この国本はオレかもしれないぞと
思って読むと妙にしみじみする。オレが今でも生きているのはたまたまわき道に
それなかっただけだ。

 あと『隠花の露』の種村がいい。多くの娼婦を私的に抱える鵜飼のような老爺。
徹底的に優しく面倒を見る。それでいてしっかり利にさとい。もう死語になって
しまった「おためごかし」という昭和の言葉を思い出した。私は黒岩の猥雑な
世界が好きかもしれない。
飛田ホテル (ちくま文庫)Amazon書評・レビュー:飛田ホテル (ちくま文庫)より
4480434976
No.2:
(1pt)

全く面白くなかった

直木賞作家の傑作短編集が待望の復刊ということで期待して読み始めた。
タイトルの「飛田ホテル」は読み始めから内容の古さが目立っていたほか、「傑作」というには全く期待外れの感が否めず、他の短編は読む気が失せてしまった。
これを「傑作短編集」として復刊する意味が理解できないというのが正直な感想。
飛田ホテル (ちくま文庫)Amazon書評・レビュー:飛田ホテル (ちくま文庫)より
4480434976
No.1:
(5pt)

大阪最貧地区で生きる女たちの生き様を悲しくそして現実的に描く。推理小説的要素もあるのでとても面白い

飛田は大阪の貧しい地区、西成にある赤線地区。スラム街とまでもいかないまでも訳ありの人々が集まる上流中流社会から見放されている感のある世界をつくっている。

本書は短編集で、表題の短編を始め、「口なしの女たち」「隠花の露」等全部で6編を収録している文庫となっている。

話の多くは女性が主人公で大阪が舞台であること、何かしらの事件に巻き込まれること、そして男女の愛が描かれていることが共通項となっている。

悲しいストーリーが多いが、非常に現実味があること人間の陰の面が描かれていること、そして行き先のない愛が伝わってくることに非常に気持ちが引き込まれる珠玉の文章と展開だ。

「西成山王ホテル」の後でこれを読んだが両方ともたいへんお勧めできるものです。

解説に作者黒岩重吾の辛酸な経歴が載っていたので紹介したいと思います。

昭和20年、彼は満州にいてソ連軍の参戦をうけて一人荒野を彷徨して朝鮮の釜山にたどりつく。戦後日本に戻ると証券会社に勤めて財を成すが急性脊髄炎を患いベッドに釘付けになったまま青春を過ごし、株もスターリン暴落のせいで失う。
2年後松葉杖をついて歩けるようになると釜ヶ崎(今の西成)に住み、キャバレーの宣伝マン、ワイシャツのセールスマン、株の内報屋、インチキ経済雑誌、学用品の行商人などを転々としたあと小説家としてデビューし、「背徳のメス」で昭和36年に直木賞を勝ち取る。

黒岩の心にしみいるような文章は彼自身の体験が裏打ちされているわけであり、本物の貫禄を感じさせる理由がここにある。
飛田ホテル (角川文庫)Amazon書評・レビュー:飛田ホテル (角川文庫)より
4041268087

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