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(短編小説)

三鬼 三島屋変調百物語四之続



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三鬼 三島屋変調百物語四之続の評価: 4.58/5点 レビュー 88件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.58pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全88件 41~60 3/5ページ
No.48:
(5pt)

これも強烈な宮部みゆきワールドです。

表題の「三鬼」、強烈ですよ。時代小説、現代小説というジャンルを超えて、人が生きるとはどういうことか、自分はどう生きるか、という問いを突きつけられます。身体の中を吹き抜ける風にゾクッときます。
三鬼 三島屋変調百物語四之続 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:三鬼 三島屋変調百物語四之続 (角川文庫)より
4041077613
No.47:
(3pt)

ちょっと、なにかが違う

いつもの宮部とはなにかが。ちょっとがっかり、でした。
三鬼 三島屋変調百物語四之続 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:三鬼 三島屋変調百物語四之続 (角川文庫)より
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No.46:
(4pt)

人は語りたがる

「人は語りたがる。善いことも、悪いことも」。そうだ。だから、江戸時代に井戸端会議があって、現代にSNSがある。しかし、三島屋の〈黒白の間〉は特別だ。現代ならば、どこかに厳重にパスワードで守った告白の部屋を置くようなものだ。そしてどの時代にも、そんな秘密の物語も「ホントにあったことのように」伝えてくれる語り部のような人がいるものである。現代では、例えば宮部みゆきという。

今年の宮部みゆきの「夏の文庫本」は、これ一冊で打ち止めのような雰囲気だ。仕方ない、仕方ないと思いながら読み終わってしまった。

今回も、私の人生の何処かで、いつか出会った者たちや、これから出会いそうな者たちが現れては消えていった。「迷いの旅籠」のような、懐かしい人たちには、夢の中で何度も出会った気がするし、「食客ひだる神」は子供のころ仲良しだった気がするし、「三鬼」の怖い話は、私の遠い遠い祖先の話のような気もする。「おくらさま」ではおちかさんの若い将来を願い、あの若者と同様の言葉を送りたい。

とは言っても、百物語、未だ78話が残っている。現代の語り部宮部みゆきさん、人生百歳時代、まだまだですよ。
三鬼 三島屋変調百物語四之続 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:三鬼 三島屋変調百物語四之続 (角川文庫)より
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No.45:
(5pt)

怖ろしく悲しく笑って泣ける

すべて読みごたえのある話ばかり。
個人的には「食客ひだる神」に、ほんわかとした気持ちにさせてもらいました。
夜中に読んでいたのですが、声が出ないように笑うのが大変なぐらいでした(笑)
「おくらさま」は、そのもののストーリーはもちろん、最後の場面での若先生の言葉にほろりとしてしまいました。
瓢箪古堂さんの、それこそ飄々としたキャラクターも味があって、富次郎さんとの掛け合いも心楽しくなりました。

今までの百物語シリーズで、今のところはこの本が私の中では最高です。
それと「おまえさん」の井筒平四郎のシリーズも続編が出るのを気長にお待ちしています。
三鬼 三島屋変調百物語四之続Amazon書評・レビュー:三鬼 三島屋変調百物語四之続より
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No.44:
(2pt)

物語は面白いが…残念&不愉快

このシリーズは…というか、宮部みゆきの著書だから当然面白い。が、文庫でしょ。約680頁、幅2.6cmはないわ。市販のブックカバーがかけられない、つり革につかまり片手で読むとき頁をめくりづらい、分厚い分、本の端がこすれやすい…持ち歩くのに不便で読みづらいこと限りなし。4話収録されているのだから、2話ずつの2冊同時発売でいいじゃん。読み終えた時には本のカバーは折れているし、ところどころ変に汚れているところがあるし…なんか不愉快。読み手のことをきちんと考えた編集かな? 内容は良いものの、文庫本ということから評価すれば星2つ。
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No.43:
(5pt)

レビューを読むな!

この作者の作品は、繊細に組み立てられています
レビューで各話の概略を知って読むより
まっさらな気持ちで読んで、「そういうことだったのか」と新鮮な驚きを得るほうを勧めます
三鬼 三島屋変調百物語四之続 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:三鬼 三島屋変調百物語四之続 (角川文庫)より
4041077613
No.42:
(3pt)

二年半前に単行本で読んでました。早く次が読みやい !

内容はおもしろい。
でも、え? あれ? おたまちゃん? また、やってしまった ! 16年の暮れに単行本を購入し読んでました。
確かめもせず「新刊予約」に釣られました。それだけ楽しみにしてたのに。書き下ろしとは書いてないので、注意しなくては!
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4041077613
No.41:
(5pt)

現代にも通じる箴言

おちかが聞き手を務める怪談シリーズの第四弾。
どれも面白かったが「食客ひだる神」が白眉。語り手のとぼけた人柄がなんとも得難い親しみとおかしみを生み出し、おちゃめで憎めないひだる神との距離感が絶妙。「三鬼」のような藩の失政や百姓の貧困を根底に敷いた陰惨な話は、他の作家(京極夏彦あたり?)でも頑張れば書けそうだが、あやかしとの掛け合いのちょうどいい案配は宮部みゆきにしか書けない。
だるま屋の主人が最後の決断に至ったのは、夫婦ともどもひだる神を手のかかる子供のように思っていたからじゃないか……と想像を逞しくした。
子供であり仲間であり相方でもある、身近に馴染んだ人ならぬ存在が突如離れていったら、張り詰めていたものが萎んでしまうのも無理からぬ話だ。

以下簡単に感想。
「迷いの旅籠」
村の奇祭にちなんだ話。まずあばら家を巨大な行灯に仕立て上げるという発想と、その光景が絵的にとても美しくうっとり。
水子の塚を花畑さながら埋め尽くす極彩色の風車など、収録作の中で最も視覚に訴えてきた話。
語り手のおつぎもまっすぐな気性が愛らしく応援したくなる。
死者が集う家の話だが、子や伴侶に先立たれた親の悲哀や、道理を弁えながらも一度未練がぶりかえすと、ありえないもしもに縋ってしまう現実が切ない。
後半は貫太郎の存在感が際立っていた。死者一人一人にかける言葉の優しさにじんときた。

「食客ひだる神」
ひだる神に憑かれた仕出し屋の話。
次々と登場する江戸グルメがめちゃくちゃおいしそうでお腹がすく。鰻の蒲焼にひつまぶしに青菜のまぜご飯、三島屋の三色弁当店……ああ食べたい!
この話に出てくるあやかしは怖くない。どころか色々とツキを運んでくれる上におちゃめでかわいい。だが美味い話には裏があって……
「あんじゅう」しかり、こんなふうにあやかしと共存する人たちがいてもいいと思わせられる。

「三鬼」
収録作の中では最も陰惨。
バケモノ怖い系にあらず、生きてる人間が一番怖い。そして哀しい。
三島屋シリーズはレギュラー陣はもちろん、一回限りのゲストである語り手も非常にキャラが立っていて魅力的なのだが、清左衛門の高潔な人柄と朴訥とした優しさ、その妹の純粋な心根に惹きつけられた。
それだけに志津を襲った事件の惨さと、犯人の卑劣さに憤りをおぼえた。おちかが「黒白の間で聞いた生きてる人間の仕打ちの中で一番酷い」と絶句するしかない心情も頷ける。
読後にわかる「三鬼」のタイトルが深い。ありえない村、いるはずのない三番目の鬼……本当に怖いのは、鬼に落ちるまで人を追い詰め、そのことを省みない同じ人間の無理解と残酷さかもしれない。
嫌なヤツだと思わせて実は……な利三郎も好き。ラストの「ぴかりと光る幸せ」にはこちらも笑顔になった。

「おくらさま」
香具屋という風雅な商売の描写に心惹かれた。今回から三島屋の次男坊・富次郎が加わって賑わいを増す。おくらさまが次の娘を匂いで選んでる、のくだりでぞくり。もしおちかと富次郎に聞かせる為に話したのだとしたら、家を早くに出された彼女が、なんで初代のおくらさまの話を知ってるのか疑問だが、死の床にある「小さな神様」なら見通せたのだろうか。
彼女の言う通り呪いだとしたら、家中に満ちた清浄な気の描写と齟齬が生じるので、美仙屋を祟ってる元凶とは別に代々の娘たちの加護もあったのかな……と思ったり。

舞台は江戸時代だが、庶民の心情や世相など、現代との思いがけぬ相似にハッとさせられる。
たとえば貸本屋が商う江戸の名店を紹介する本だが、お金を出した店ほど扱いが大きく、いかに良い店でも必ずしも正しい評価をされるとは限らない。
格が下がるのを敬遠して掲載を断る店もあるというのは、現代のレビューサイトや口コミ雑誌にまんま通じて感慨深い。

「弱い者いじめは世の常だ。上士なら平士へ。金持ちなら貧乏人へ。男なら女へ。大人なら子供へ。
やるせなく煮えるばかりの怒りや、身を腐らせる倦怠をいっとき忘れるために、人は弱い者を打ち、いたぶり、嬲る。」

この部分など、インターネットや当時は発達しきってなかったマスメディアが膨張した分、より陰湿に屈折した形で浮かび上がる社会問題の核心を突いている。
恋愛面では利一郎の身に起きた出来事など、おちかがもう一歩踏み出すかと期待したのだがちょっと残念。霊験お初シリーズでもじりじりしたのを思い出したが、時代背景や当時の価値観を鑑みても奥ゆかしすぎる……せめて手を握る位のあれそれはあってほしかったなあ。

話変わるがざっとレビューを見て、最も好きな話が人それぞれなのが面白い。
それだけ個々の話の完成度が高く、語り手もただの端役におさまらない個性を獲得し、全体的に遜色ない出来に仕上がってる証拠だ。みんなちがってみんないい。
三鬼 三島屋変調百物語四之続 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:三鬼 三島屋変調百物語四之続 (角川文庫)より
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No.40:
(5pt)

怪奇より人間の業が恐ろしい

このシリーズの奇数巻は陰惨、偶数巻はユーモアという特色がありますが、四巻目に当たる本書は物恐ろしさを感じさせる話から思わず笑みがこぼれる軽妙な話などバランスよく収められています。
絵師の狂気に近い亡くした子共への愛情が怪奇を招いた『迷いの旅籠』。餓鬼に憑かれた仕出し屋がそのユニークな半生を語る『食客ひだる神』。鬼が棲むと恐れられる過酷な山に赴任させられた武士が人の業の醜さ残酷さを痛感しながら、その業の化身である鬼の正体が自分の心や人の中に棲む闇が生み出した怪物だと悟る『三鬼』。最後は家の守り神でありながら守護する家の美しい娘を人身御供にしなければならず、姉を捧げ物とされ十四歳で心の時間を止めてしまった老婆が生き霊となっておちかに訴えにきた『おくらさま』の全四編が宮部さんの変わらぬ冴えた筆致で綴られています。
また『おくらさま』では馴染み深い人との別れや、おちかの人生に深く関わる人物との新たな出会いなど次巻の『あやかし草紙』へ繋がるターニングポイントが訪れますので、シリーズを全て読まれている方、或いは宮部みゆきファンの方は必読です。
三鬼 三島屋変調百物語四之続 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:三鬼 三島屋変調百物語四之続 (角川文庫)より
4041077613
No.39:
(5pt)

ひだる神が白眉

おちかが聞き手を務める怪談シリーズの第四弾。
どれも面白かったが「食客ひだる神」が白眉。語り手のとぼけた人柄がなんとも得難い親しみとおかしみを生み出し、おちゃめで憎めないひだる神との距離感が絶妙。「三鬼」のような藩の失政や百姓の貧困を根底に敷いた陰惨な話は、他の作家(京極夏彦あたり?)でも頑張れば書けそうだが、あやかしとの掛け合いのちょうどいい案配は宮部みゆきにしか書けない。
だるま屋の主人が最後の決断に至ったのは、夫婦ともどもひだる神を手のかかる子供のように思っていたからじゃないか……と想像を逞しくした。
子供であり仲間であり相方でもある、身近に馴染んだ人ならぬ存在が突如離れていったら、張り詰めていたものが萎んでしまうのも無理からぬ話だ。

以下簡単に感想。
「迷いの旅籠」
村の奇祭にちなんだ話。まずあばら家を巨大な行灯に仕立て上げるという発想と、その光景が絵的にとても美しくうっとり。
水子の塚を花畑さながら埋め尽くす極彩色の風車など、収録作の中で最も視覚に訴えてきた話。
語り手のおつぎもまっすぐな気性が愛らしく応援したくなる。
死者が集う家の話だが、子や伴侶に先立たれた親の悲哀や、道理を弁えながらも一度未練がぶりかえすと、ありえないもしもに縋ってしまう現実が切ない。
後半は貫太郎の存在感が際立っていた。死者一人一人にかける言葉の優しさにじんときた。

「食客ひだる神」
ひだる神に憑かれた仕出し屋の話。
次々と登場する江戸グルメがめちゃくちゃおいしそうでお腹がすく。鰻の蒲焼にひつまぶしに青菜のまぜご飯、三島屋の三色弁当店……ああ食べたい!
この話に出てくるあやかしは怖くない。どころか色々とツキを運んでくれる上におちゃめでかわいい。だが美味い話には裏があって……
「あんじゅう」しかり、こんなふうにあやかしと共存する人たちがいてもいいと思わせられる。

「三鬼」
収録作の中では最も陰惨。
バケモノ怖い系にあらず、生きてる人間が一番怖い。そして哀しい。
三島屋シリーズはレギュラー陣はもちろん、一回限りのゲストである語り手も非常にキャラが立っていて魅力的なのだが、清左衛門の高潔な人柄と朴訥とした優しさ、その妹の純粋な心根に惹きつけられた。
それだけに志津を襲った事件の惨さと、犯人の卑劣さに憤りをおぼえた。おちかが「黒白の間で聞いた生きてる人間の仕打ちの中で一番酷い」と絶句するしかない心情も頷ける。
読後にわかる「三鬼」のタイトルが深い。ありえない村、いるはずのない三番目の鬼……本当に怖いのは、鬼に落ちるまで人を追い詰め、そのことを省みない同じ人間の無理解と残酷さかもしれない。
嫌なヤツだと思わせて実は……な利三郎も好き。ラストの「ぴかりと光る幸せ」にはこちらも笑顔になった。

「おくらさま」
香具屋という風雅な商売の描写に心惹かれた。今回から三島屋の次男坊・富次郎が加わって賑わいを増す。おくらさまが次の娘を匂いで選んでる、のくだりでぞくり。もしおちかと富次郎に聞かせる為に話したのだとしたら、家を早くに出された彼女が、なんで初代のおくらさまの話を知ってるのか疑問だが、死の床にある「小さな神様」なら見通せたのだろうか。
彼女の言う通り呪いだとしたら、家中に満ちた清浄な気の描写と齟齬が生じるので、美仙屋を祟ってる元凶とは別に代々の娘たちの加護もあったのかな……と思ったり。

舞台は江戸時代だが、庶民の心情や世相など、現代との思いがけぬ相似にハッとさせられる。
たとえば貸本屋が商う江戸の名店を紹介する本だが、お金の金を出した店ほど扱いが大きく、いかに良い店でも必ずしも正しい評価をされるとは限らない。
格が下がるのを敬遠して掲載を断る店もあるというのは、現代のレビューサイトや口コミ雑誌にまんま通じて感慨深い。

「弱い者いじめは世の常だ。上士なら平士へ。金持ちなら貧乏人へ。男なら女へ。大人なら子供へ。
やるせなく煮えるばかりの怒りや、身を腐らせる倦怠をいっとき忘れるために、人は弱い者を打ち、いたぶり、嬲る。」

この部分など、インターネットや当時は発達しきってなかったマスメディアが膨張した分、より陰湿に屈折した形で浮かび上がる社会問題の核心を突いている。
恋愛面では利一郎の身に起きた出来事など、おちかがもう一歩踏み出すかと期待したのだがちょっと残念。霊験お初シリーズでもじりじりしたのを思い出したが、時代背景や当時の価値観を鑑みても奥ゆかしすぎる……せめて手を握る位のあれそれはあってほしかったなあ。

話変わるがざっとレビューを見て、最も好きな話が人それぞれなのが面白い。
それだけ個々の話の完成度が高く、語り手もただの端役におさまらない個性を獲得し、全体的に遜色ない出来に仕上がってる証拠だ。みんなちがってみんないい。
三鬼 三島屋変調百物語四之続Amazon書評・レビュー:三鬼 三島屋変調百物語四之続より
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No.38:
(5pt)

シリーズの1からどうぞ!!

宮部さんの時代小説の大ファンです。百物語シリーズも次が待ち遠しいです。三鬼の中では、食客ひだる神が好きでした。怪しと関わった人々の日常ではない展開に、現実を忘れて引き込まれてしまいます。ところで、おちかさんがにこやかになってよかったなと思います。また、恋をして欲しいです。
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No.37:
(5pt)

さすが今回も面白い

どれを読んでも外れなしな宮部さんですが、今作も面白かったです!
重いお話とじんわり軽めのお話の配分もちょうどよく、読み切り4作品ですが、表題作は特に長編一本分ぐらいの読後感がありました。
表題作の「三鬼」が一番面白いと思いましたが、「おくらさま」も好きでした。
ハッタリで驚かされるわけでもなく、陰惨にすぎるわけでもなく、でもじわじわと効いてくる怪談…という感じでとても好きなシリーズです。
三鬼 三島屋変調百物語四之続Amazon書評・レビュー:三鬼 三島屋変調百物語四之続より
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No.36:
(5pt)

表題作は最高傑作

宮部みゆきはとくに時代劇においてハズレがないが、この三島屋変調百物語シリーズ、個人的には
いちばん楽しみに読んでいる。これは4作目だが、すでに5作目が出版され、その作品集をもって
第一部が完結している。この5作のなかで、本作品集が最高傑作であろう。とにかく密度が濃い。

表題作『三鬼』は、つくづく宮部みゆきという作家が存在してくれていることを神に感謝したくなる。
妹を貶められた義憤から同情の余地ありまくりの不祥事を起こした武士が、山番士(山村に駐在して
警備に当たる下級役人)として、藩内のとてつもなく貧しく過酷な環境のとある山奥の村に送られる。
ここで3年任務を遂げれば、役人としての復帰が叶い、家の再興も許されるという条件付きで。だが、
その村には貧しさゆえの、人心を轢き潰すようなおぞましい秘密があった。

社会において、人は何をもって「人」と認められるのか。命の重さとは。時代小説の体裁ではあるが、
この中編は、現代社会の福祉問題に鋭く斬り込んでいる。息詰まる恐怖と通奏低音のような悲しみに、
最初から最後まで心が囚われっぱなし。恐ろしい話だが、その10倍ぐらい悲しい話だ。語り手であり
主人公の山番士であった村井清左衛門は、当人の「私は人として、より良く、より正しく生きたいと
思うだけだ」という言葉にそのまま象徴される人物。彼の誠実さや謙虚さ、思慮深さや心の優しさが、
陰惨な物語のなかにあって一層切なく引き立つ。たとえその人格が己の幸福に繋がらなくても、俺も
この人のような男になりたいと、かなり本気で思った。また、もうひとりの山番士である須加利三郎。
彼の道徳心のなさには辟易させられたが、短慮だけにすばしこい人物像が、暗すぎる物語を塩梅よく
活性化させていたのは間違いない。終盤には、この利三郎に関して「えっ?」と驚く出来事が描かれ、
ひとつの光明として物語を引き締めている。これだけの内容を、宮部みゆき以外の作家が描けるとは
とうてい思えない。

表題作が突出しているが、他の3篇も手堅く秀逸。『食客ひだる神』は、食い意地の張った「神」に
取り憑かれた有能な料理人が、その「神」のもたらす運に助けられ、あるいは弊害を負わされながら、
人柄と才覚と努力で試行錯誤しつつも立派に生きがいと言える仕事に邁進する話。『迷いの旅籠』は、
亡くなった近親者に対する人間の思いが丁寧に、そしてある意味皮肉っぽくも描かれる。全体として、
悲しい話のはずなのに滑稽さを強く感じた。不気味だけどワクワクしながら不思議を楽しむというか。
『おくらさま』では三島屋の次男・富次郎が登場。奉公先で傷害事件の被害者となったことで実家に
戻ってくる運び。おちかに対して当然のように優しく、陽気で頭がよくて温厚で(たぶん)イケメン、
しかし個人的に、この富次郎ってどうも好きになれないんだよな……なんか楽天的すぎる感じがして。
傷害事件で死にかけた己の体験を咀嚼する聡明さはあるのだが、このシリーズは、おちかの「向き合う
相手に対する常に真摯な姿勢」が生み出す緊迫感が、読んでいてとても心地よいのだ。その雰囲気を、
富次郎の怖い物なし、隔てなしの坊っちゃんらしい屈託のなさが壊してしまっているようで。

富次郎の人物造形に関しては個人的な感想で、この作品集を宮部みゆき作品のなかでも上位につける
傑作として大いにお薦めしたい気持ちに迷いはない。宮部みゆきよりも宣伝スタッフに恵まれている
作家は存在するが(村いえ何でもありません)、宮部みゆきよりも優れた作家はたぶん存在しない。
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No.35:
(5pt)

読み始めたら止まらない

このシリーズをずっと読んでいますが、今のところこの第四作が最高傑作だと思います。
ストーリーが目の前に繰り広げられ、物語の世界に引き込まれます。
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4532171415
No.34:
(3pt)

電子書籍版を!

エピソード的にはちょっとネタ切れの感じもしますけど、相変わらず宮部さんの文章力に魅了されました。
宮部みゆきさんにお願いしたいのは、ただ一つ!いい加減、電子書籍への移行をOKしてもらえませんか?
世の中には簡単に書店に行けない地方の読者も多いですし、仮に書店に辿り着いても、目的の書籍が手に入らないケースがほとんどですからね。
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4532171415
No.33:
(5pt)

宮部氏の時代物は良いです

命の儚さや人の定めのやるせなさを実感する年代に入ったためか、第一話から涙が出たよ。
宮部氏の時代物は良い。読みやすいからね。この本も彼女の世界観が色濃く出ていると思う。
「人は語る。語り得る。。。(中略)。。。語って聞き取られた事柄は、一人一人の儚い命を超えて残っていく。。」
「時を止め、悔恨に打ちひしがれ、昔を恋うて懐かしむだけ、、、さもなきゃおくらさまに、、、。」
私はおくらさまになっちまった。
ストーリーテラーの本領発揮です。
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4532171415
No.32:
(5pt)

面白い!

このシリーズは、間違いないです。最初よりは怖くなくなってはきてるかな?でも作者の読ませる力は衰えず❗
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4532171415
No.31:
(5pt)

相変わらず、ひたすら面白い。

シリーズ4作目に至って、マンネリにもならず面白さも衰えず、依然としてとにかく面白い。
正直、話の内容の他に、読み始めると止まらないのが怖い。酒盗ならぬ時間盗です。
今回は各一話が結構長めで、しかも一話読みだすとその話の終わりまで止まれない感じでした・・・・・・
1話目、「迷いの旅籠」怪しげで奇矯な絵師に注意を引いておいて、じつはもっと深いものを心の底に沈めていた人物の存在が後半で突きつけられたところで「う」とうなりました。
2話目の「食客ひだる神」は思わず笑いのこぼれる楽しさでしたが、3話目の「三鬼」はその笑いが凍りつく陰惨さでした。
逃げ場のないどん詰まり、先に希望が全く見えない闇の深さ、その中でも人は這うようにして生きていく。
ホラーなのに鬼よりも人が怖かった、そんな作品で、なのに人間性の否定にも人生の意義の否定にもなっていないことが不思議でした。
4話目「おくらさま」はわりと予測のつく展開なのに、何故かありきたりでなかったですね。目の付けどころが、ちょっと違うからでしょうか。
4話すべて十分に楽しみました。次巻が待ち遠しい・・・・・・
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4532171415
No.30:
(4pt)

宮部みゆきの本はやっぱり面白い

図書館の順番待ちが、結構長かったもので、待ちきれず、買いました。三鬼が一番面白かったかな。何度も読み返すことになりそうですww
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4532171415
No.29:
(5pt)

やはり面白かった!

このシリーズのファンです!

なかでもこの本が一番印象に残ったように思います。

次回作も楽しみです((o(^∇^)o))
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4532171415

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