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夢を与える



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【この小説が収録されている参考書籍】
夢を与える
夢を与える (河出文庫)

夢を与えるの評価: 3.28/5点 レビュー 134件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.28pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全57件 21~40 2/3ページ
No.37:
(5pt)

恐ろしい悪夢

表紙は目を伏せた横顔の女性。

前の2作品とは違って、三人称で書かれている。
本人が否定しているように、主人公・夕子は、作者自身がモデルではない。
帯の「他の女の子より早く老けるだろう」 という文言からすると、
「蹴りたい背中」のオリチャンを想起させる。

タイトルの「夢を与える」の夢とは、
作者の深層心理にある物語性というべきものであり、
それを加工することによって小説は生み出されていく。
主人公の辿る悲劇は、作者の無意識の中に潜む、恐ろしい悪夢のようなものかもしれない。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.36:
(5pt)

文脈で見れば価値がある

内容的には全く面白味はない。

かわいい子が「エロいシーン」を書いているその行為に萌えることができる

ことこそが唯一の価値だと思う。

しかし、1作、2作とこれまでの作品を読んでいる人間にとってみると、

光るものをもっていた作家が凡庸になる瞬間を感じることができるので

ある意味「価値」がある

現役高校生や現役大学生プラスかわいい女の子作家というブランドを身にまとい

生きてきた作者が

アイドルとしての価値を失った時期に書いた作品が内容的にも価値を失った

という文脈を押さえると「アート」としての価値がある、と私は個人的には思います。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.35:
(4pt)

本当に綿矢りさが書いたのか疑問

この書には綿矢りさらしさが何一つ感じられない。売れるが書けない綿矢さんに変わって、名前を借りて全て他人が書いたんじゃ?と想像したほどだ。綿矢さんより年上で、無名で、芸能界に精通していて、文章の上手い者なら、難無く書けるだろう。そうなると、この本は小説というよりは数ある芸能人の転落ドキュメントだろう。 なぜそう思ったかを書いて挙げておく。 1.他三作「インストール」「蹴りたい背中」「勝手にふるえてろ」は一人称で短編、学校でのできごとを中心に書いてあるのに対し、本作は三人称で長編で仕事中心。 2.他三作の「私」の性格や「私」の人間関係は(私には少し理解しにくいが)尖っていて狭いのに対し、本作の主人公夕子は純粋で騙されやすく、世渡り下手で親がついていないと何も出来ない、世間知らずなお嬢さんという印象を受けた。交遊範囲は広い。少なくとも、山田詠美や村上龍、太宰治ファンと公言している綿矢さんの書くキャラとはかなり違うように思う。 3.随分緻密に書かれた(スタジオママの)母との確執、反発も多作品には全然見られないし、母中心の部分との二世代を書いたというのも違う。綿矢さんは二世代書くような作家? 4.他三作ははっきり言って改行不足で読み進めにくいが、この作品は非常に読みやすい。 5.ちょっとやそっとの取材で書ける小説ではない。 好みはわかれると思うが、私はこの小説、好きだ。綿矢さんの作品は私が綿矢さんと年齢が同じなのでつい読んでしまうのだが、他三作は理解できない部分が多々あるのに、この小説はなかった。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.34:
(4pt)

突然変異を起こす

前作、前々作との作品とだいぶ印象が変わっています。
かなり長い歳月を舞台にしているせいか、行間を過ぎると登場人物の急な感情変化や
とりまく環境の変化、無理矢理削ったかの様な文等、かなり雑な出来で、投げやりに
書いているように感じます。
大半が何と言う事も無い話の道筋に上記の様な文章で、これなら以前の2作品の方が
良かったな、とここまでを評価するなら星は1つか2つです。
しかし本当の終盤部分で大きく変化しました。
母親以外の全てを失った彼女と、彼女の周りの人物の描写は、心に異常にモヤモヤと
した感覚を残します。
憶測に過ぎませんが、作者が書こうとしたのはこの終盤の部分だけだったのでは無いでしょうか。
読後には、題名である「夢を与える」と言う言葉が、暗く纏わり付く様に本文にベッタリと
寄生しています。
そのページ数は、見て見ればこの厚さの本の、ほんの僅かです。
この僅かなページ数での文体は、それまでに比べぐっと力が込められている様に感じます。
それに比例する様に、気持ちが、重さがぐんと変わってしまいました。
大半が良いとは言えない出来ながら、終盤でこれ程に感情を変化させる事の出来る文章力を
評価しての☆4つです。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.33:
(4pt)

日常そのもの

あまり皆さんの評価が低かったので、レビュー書いてみようと想いました。
僕は、この本を読んだ一発目の感想は「やっぱ綿谷さんすげー。」でした。

びっくりするぐらいのボリューム。小説にはあまりにも不必要な出来事が淡々と書かれてて正直中だるみします。でも日常ってこんなもんかなって想った。他人から見れば退屈すぎるぐらいの何もないから、でもそれって実は何もない幸せで、嫌なこと駄目になっていく展開がこの小説では急激だけど日常もそんなもの。落ちる時はあっという間に落ちるから。。

そーゆう意味でこのボリュームと退屈すぎる展開と後半の急激展開は、日常そのまのをあらわしてるような気がして、あの若さで表現する綿谷さんはすごいと思う。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.32:
(4pt)

感じたことの素直な発露

約三年放置していた本を読んだので、今更の感はあるけれど感想を書いておく。同じ様に放置していた桜庭一樹「ファミリー・ポートレート」も最近読んだのだけれど、突然大きな文学賞を取って有名になった人は、受賞後第一作としてそのときに感じたことを題材に選びやすいのかな、と感じた。本作はチャイルドモデルから芸能界に入りブレイクした高校生夕子の物語だ。
 フランス人の父親と日本人の母親を持つ夕子は、幼い頃にあるメーカーと半永久的なCM契約を結ぶ。彼女の成長を追う様に製作されるCMは、彼女に視聴者が求める姿を保ち続けることを要請する。どこにでもいる様で、いつまでもかわいい少女。
 生まれた時から愛をつなぎとめる役割を負わされ、視聴者に夢を与える役割を淡々とこなしてきた彼女は、17歳で初めて恋をする。誰かが求める姿を演じるのではなく、自分が求める愛のために、これまで切り捨ててきたものを慌てて回収する様に行動する彼女だが…。
 ドキュメンタリーではなくドラマ、夢を与える側は夢を見ることは出来ない、かしこく簡単に笑わなくなった女の子をテレビで見たいとは思わない。物語の随所随所にちりばめられたセリフが、おそらくは作者の感じたことを伝えてくれている気がした。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.31:
(4pt)

良いのでは

タイトルには多分にアイロニーが含まれていますし、このタイトル以外にあり得ないと思いました。
ストーリーは他の方のレビューにある通り、とてもシンプルでありふれたものです。
(しかし、ストーリーは主人公が生まれる以前から始まります。何故この段階から始まるのかという疑問は読み進めるうちに解けていきます。)
そこに作家独特の感性、そして若い女性でなければ表現し得ないものがこれでもかと盛り込まれています。
突っ込み所は多々ありますし、どうしても主人公と綿矢りさの可憐な容姿とオーバーラップしてしまいますが、
この小説全体が文章のご馳走であることは確かです。これこそが本物の小説の証ではないでしょうか。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.30:
(4pt)

a

前作から3年でしたっけ?
変に色々と考えてしまったのかもしれないと思いますね。
もっとストレートに書いた方が良いとも思う。
今度はただつらつらと書いて見て欲しいです。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.29:
(5pt)

とても良いと思います。

まず、他のレビューを拝読しましたが、なぜ作者が「夢を与える」という言葉を題名及び題材にしたかの真意が本の内容から伝わってない読者の方が多いのが残念でした。
表題から単に夢や希望を与えてくれる内容を期待されたのでしょうが、ありふれた陳腐な感動ストーリーなどは綿矢氏自身今は書きたくないと思います。(推測ですが)
まだ作者自身若いですので、深くなお且つシンプルな、恋愛や人生の真理や真実はまだ色々と人生経験して何かを悟ったと思う時に書けば良いと私は思います。

前書きが長くなりましたが、レビューとして、

デビュー作の「インストール」、芥川賞受賞作の「蹴りたい背中」は以前に読みましたが、
それらに比べて、作者も大人になって文章力はとてもよく成長していると感じました。
内容や文体の斬新さや、若さを出した独特の書き方は少なくなりましたが、
小説家らしい文体になっています。
ですが、綿矢氏自身の個性のある物事の捉え方や描写は相変わらず出ています。
文体は小説家らしいですが、
凡とした小説家にはない鋭い観察力からくる描写はとても素晴らしいです。
時折見せる綿矢氏自身の観念を書いたと思われる鋭い言葉は読者の読む流れを止めてくれて、そこの真意を深く考えさせてくれます。

上記に書いたような変化は作者自身の意図的なものでしょう。(推測ですが)
綿矢氏自身理想の作家像があるのでしょう。
若くして芥川賞を獲ってこの若さでこの文章だの、斬新な描写力だの、アイドル的な容姿で一時的な流行でもちはやされるだの、自分自身の状況がよく分かっていたのだと思います。
綿矢氏自身、本物の小説を書きたいのだろうと思いました。

内容は、

今の芸能界、TV業界の真実をよく風刺し、よく表したものだと思います。
この作品を視聴率取りの為だけのTVや、携帯小説など流行に便乗して金を巻き上げる映画業界に対して、
それらの業界の汚い部分を書いて、逆にドラマ化や映画化してみて自分達の業界の醜態をさらしてみろといわんばかりの内容です。
この部分にも前述した彼女の作家としての意思が伝わってきます。
この作品をドラマや映画にすると逆にTVや映画業界も捨てたものではないな、と思いますが、実際無理でしょうね。

一見リアリティに欠けた話と思う方もいますが、
恋に堕ち、恋に没頭して若さ故の過ちを犯してしまう10代の女の子の言動としてはよくある話です。
世の中の、表面的な綺麗事だけではない、リアリティのある汚い世界の現実や、人間が足を踏みはずす現実をよく表現していると思いました。

最後に、私は前2作の様な斬新的、個性的、その年齢の割にこの文章、といった内容のものより、内容は地味ですが、遥かに優れている作品だと思います。
綿矢氏自身のこれからの成長の具合に寄っては、将来の大器の片鱗を見せてくれたものだと思います。
近い将来、もっと成長した作者による「本物」の小説が楽しみです。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.28:
(5pt)

夢を与えるという事

久しぶりに、本を放り出したくなる小説に出会いました。それもいい意味で。
主人公に対する共感が極まって
目を覆いたくなる場面は、どうしても読み進むのに躊躇してしまうのです。

主人公ゆーちゃんが子供のモデルになって
CMに出演して、高校に合格して
芸能界に進む半生を、じっくりゆっくり描いています。
私自身も
「成長を続けるゆーちゃんを応援する視聴者」になった気分でした。

反面、もたつく感じが否めないけれど
前半の七割は布石に過ぎなくて
核心になるのは後半の三割、急転直下で物語が進んでいきます。

分析するのは野暮ったいけれど、嬉しかったので書いてみます。

夢を与えられなくなったゆーちゃんが気づいたのは夢を与えるという行為の真理だった。
それは今まで無意識にやってこれたこと、
皮肉な事にそれが不可能になった状態でやっと悟る事が出来た。
同時に
読者がゆーちゃんを応援する立場になることで、夢を与えられている立場になっていること。
ゆーちゃんが活躍しているとうれしいし、堕ちていくと悲しい
この夢を与えると与えられるという描写を同時に行っていることに
作品の存在意義がある様に思える。

恋愛に関して
初恋ってああだよなあ!って思っちゃう。
のぼせるよね。ゆーちゃんは世間知らずだから余計に。
そして、相手に見返りのある愛を求めちゃったり
自分にはない強さに骨抜きにされたり
相手の事と自分の事しか考えないで突っ走っちゃう。周りが見えない。
一般人ならいいんだけれど、
ゆーちゃんは芸能人だから、当然リスクも大きいわけで。

結末はバッドエンドっぽいけれど
全てを手放したってことは、ある意味ハッピーエンドじゃないかと思うのは私だけ?
一応、区切りはつけて終わっています。

この作品は個人的に結構好きな部類に入ります。
結構ひいき目に見てしまいましたが
一つだけ違和感を覚えるとすれば
主人公ゆーちゃんの心情描写が薄いかなと。意思が薄いといいますか。
逆に芸能人っぽく
受けのいい立ち回りをして
生かされてる感を出しているのであれば
まあ絶妙なさじ加減といえないこともないけれど。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.27:
(4pt)

滅びの美?

アイドルは二度死ぬ、なんて言うが、一人のアイドルが生まれて死ぬまでの物語。

 前半ちょっとかったるいけど、後半なるとなかなかいい感じに悲劇的な展開が始まります。
太宰治が好きだと、作者はインタビューで応えていたが、確かに大げさな所とか太宰だなぁ。

 個人的には好きだけど、友達に勧めるかというと微妙なので星4つ。
あと観念的過ぎる気がする。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.26:
(4pt)

すがるような

最後までいっきに読まされたのはさすがと思います。

今作を読んでいて感じたのは ひたむきさ、苦しいけど丁寧に、根気よく、、
といったようなものでした。
それは綿谷りささんその人から受ける印象も重なっているかもしれません。
(もちろん 一読者の印象でしかありませんが)

美しいものが残酷に終わらせられるさまが描かれていて悲しい印象ですが
心に留めるべきは 作者が繊細な公平な目で物語をきちんと紡ぎ終えたことかも
しれません。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.25:
(4pt)

人を信用しない、ということの凄み

この小説を、作者と切り離して読み、陳腐なストーリーだと
バカにすること。

あるいは、この小説を、若くしてアイドル扱いされ、それが
苦痛だった作者の、策意に満ちた企画モノととらえること。

そのどちらも的はずれではないんだと思います。
当然、そんなことは書いた本人は想定内でしょう。
そういう小説をこんな風に世に出してしまうあたりが、すでに
この人の才能なのかな、と。
そう考えてしまう点で私もあっさり綿矢りさの術中にはまって
いるのかもしれません(笑)

前2作の時は様子見のつもりでいましたが、「書く」という
作業に関しては着実に成長していると思います。

それより何より、この人のすごいところは「徹底して
人間を(自分を含めて)信用していない」こと。登場人物の
性格や作中の人間関係、といった表層的なプロットのことではなく、
綿矢りさ自身がそういう人間であり、小説を書くことで
その一点の真偽をつきつめようとしてる気がします。

甘っちょろい恋愛モノやだらしない仲間意識を垂れ流した
小説を書いてる人に、綿矢りさが抱えつつ戦っている
この情け容赦のなさを感じてほしいと思いますね。

今後の期待をこめて☆4つ。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.24:
(4pt)

しみじみ

正直まったく期待していなかった。
ここのレビューを先に読んでいた、というのもあるし、
第一綿矢りさの作品はあまり好きではなかったから。
"インストール"は下品な言葉を使って
世間の興味を惹いただけに見えたし、
"蹴りたい背中"は何がいいたいのか
いまいちよくわからなかった。
綿矢りさの名が売れたのは、18歳でデビューしたから、
ということだけだろうと思っていた。

が、この作品を読んで、綿矢りさに謝りたくなった。

ストーリーはなんてことない。
美少女が芸能界デビューして人気が出たのもつかの間、
自業自得で人気が暴落、というよくありそうな話。
ラストも救いようのない終わり方なので、
読み終わったら鬱になる。
だがそこがまず魅力。
透明感のある文章なおかげで、
鬱になるけれど不快な感じはしなかった。

やっぱり文才があるなあとしみじみ。若いのに。

年齢と比較してしまって申し訳ないけれど、
この若さでこの作品をかけるということが
すごいと思った。

人との信頼関係や、恋愛に溺れてしまう女心、
欲しいものを無理して追いかけた後の結末、
"夢を与える"のタイトルは何を意味しているか。
そういうものがちゃんと描かれていると思う。

が、哀しい小説なので
もう一度読み直したいか?と問われれば
言葉につまる‥

ということで星4つ。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.23:
(4pt)

じわじわと

読了直後には、ただ強烈な不快感と吐き気のみがあった。

しかし最近になってじわじわと、この本は過去の不可逆性を背負って生きる私たちが未来を選択していく際の、一つの痛烈な道標であるかもしれないと感じるようになった。誰も夕子のようにはなりたくない。誰もが夕子を愚かしいと思い、同じ轍を踏みたくないと願う。

少なくとも私は、この作品があたえるこのような負のインパクトを評価したいと思う。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.22:
(4pt)

綿矢りさと金原ひとみ

夢を与える。
本当に最後は恐ろしかった。夕子のあまりの幼さには目をみはった。でも、それは人間のもともとの姿なのかもしれない。夕子は芸能界という「バリア」が張られた世界で、守られながら生きてきた。彼女なりに懸命に。でも、徐々に夕子は壊れはじめる。この過程がもう、たまらなく怖い。
恋というものを脇に据え、人間の切実な孤独を描ききった。
やっぱり綿矢りさは巧いと思う。

第130回芥川賞を金原ひとみと共に受賞した彼女。
金原ひとみも綿矢りさも、案外似ているのかもしれない。どちらの作品にも共通して言えるのは、深い深い闇。金原は暴力と性愛をアイテムにそれを描き、綿矢は高校における「協調性」の手強さをアイテムにそれぞれの孤独と希望を描いた。
彼女たちは現代を生きる上で、切実な孤独にどう立ち向かうのだろうか。綿矢りさのほうが論理的かもしれない(イメージ的に)。
いずれにしても、彼女たちは小説を書き続けていくのだろう。

それにしても、この作品は暗い。切実なまでに孤独な夕子は、守られ続けていたことによって全てをうしなった。それは妥当なことだろう。
夕子は最後に、何かもかもをうしない守りを解いた瞬間に、急に大人になる。
そうしなければ、でも、自分たちは生きていかれないのだろう。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.21:
(4pt)

さらに次回作を期待

この作品に出て来る登場人物はおもしろい。というよりも興味深い。ただし、描き切れていない。主人公以外の登場人物がちょっと薄い印象があった。思ったのは、社会の悪意、また「善人」の悪意のない悪意、などの人間心理を書くにはまだ若いのかなと思った。たとえばヒロインと付き合った男がいまいち伝わらなかった。全体に人間描写は突き放した書き方をしているのが、どこかふっきれてない。それが読後のもやもや感につながっている。だけど、それが等身大なのかも。綿矢りさという小説家はいいと思う。アイデアはおもしろいし、自分に正直な感じがする。次回作を読んでみたい。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.20:
(4pt)

少し残念。

綿矢りささんは割と好きなんですが、今回は少し残念でした。

前二作では、私自身が中学生、高校生だった事もあってか、とても共感出来る部分があったのですが、

今回のものは、年齢云々と言うより世界観や文体のためか、あまりそういった感情がありませんでした。

正晃の事を愛していて、依存症になっていた夕子の心情が上手く伝わってきませんでした。

激しく愛していて、裏切られても信じたくないという程の愛情が、何だかあの文章からは伝わってこず、うーん、とうなってしまいました。

また、多摩について、あれだけ意味深に書いてあったにもかかわらず、後半ではあれっぽっちしか出てこなかった事も、またしかり。

芸能界の中でのことも、出来事を追って追って追って・・・が多く、夕子の揺れていたはずの感情がなかなかつかめませんでした。

後半のスキャンダル後はまだ伝わってきましたが。

ただ、ラストの夕子の言葉や行動に、グッとくるものが個人的にあったので、この評価です。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.19:
(4pt)

痛々しい

[夢を与える]仕事をしてる人の感情が痛いほど伝わる本でした。

もちろん、この話が綿矢さんの実体験でないとしても、多感な時期に人生が変わってしまった綿矢さんが書くとリアルに思えてしまう。

[夢をもらう]事は一種の罪なのだとおもってしまった。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041
No.18:
(5pt)

身を切り刻んで書いた小説だと思う。

女性アイドルの話なのだがとても難しい小説だった気がする。

難しいというのは内容はやストーリー、文といった部分ではよくあるありふれた小説なのだ。

でもそのひとつ、ひとつを吟味しながら読んでいくと最後には

「人から信頼を得る」

ということの大切さ、複雑さ、難しさのようなものが浮かび上がってくるのだ。

その読み終えたあとに襲う恐怖感のスケールがすごい。

この主人公のモデルは綿矢自身できっとネットの噂を気にしたり、男に裏切られたり、身内に利用されたり、芥川賞をとってから本当に辛かったんだろうなあと感じた。

その辛さにがんじがらめになっていく過程を繊細に結んだのがこの小説なのだと思う。

相当身を切り刻んで書いた小説だと思う。

おもしろかった。
夢を与えるAmazon書評・レビュー:夢を与えるより
4309018041

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